忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/11/08 07:52 |
4.バニラクリーム/リタ(遠夏)
PC:ヴィルフリード、フレア、リタルード
NPC:なし
場所:宿屋前、宿屋
------------------------------------

ある種の非日常な装いというのは、奇妙に人を冷静にするところがある。

だからリタルードは、本人なりに冷静に判断する。

「横取り……」

されるくらいだったら。

「は?!」

「うわっ!」

少女と男性が同時に狼狽した。

クマが自分たちの腕をつかんでひっぱったのだ。
クマが二人の間に入る形となる。

「みんな仲良し、ね」

くぐもったその声が二人にちゃんと届いたかなんてわからないけど。



「やっぱり人格の歪みって人と触れ合うことで修正するのが
 一番いいと思うんだよね。
 あ、僕リタっていうからよろしく」

半強制的に連行した宿屋の食堂でリタルードは開口一番にこう言った。

クマの頭は、今は四人がけのテーブルの一席を占領している。

「わ、私は、フレア・フィフスだ」

紅い瞳の少女が、生真面目に返す。

その様子が本当にまっすぐで、誰に対しても反感を抱かせないような誠実さが彼女に
はあった。

「おじさんは?」

「ヴィルフリード…お前さんなんでそんな格好してんだ?」

「うわぁ、すごく真っ当な質問だぁ。
 僕、感動して涙でてきそう」

「とりあえず質問に答えてくれ」

「えー、そんなの決まってるじゃん」

頬に指を添えて、「ねっ」と小首をかしげてリタルードは答える。

「せっかく僕可愛いんだから可愛い格好したほうがいいじゃん」

「それ、決定的なところで何かが間違ってるぞ」

「うん、僕もそう思う」

あっさり肯定されて、ヴィルフリードはうめいて頭を抱えた。
今四十数年築いてきた常識が現在の状況と戦ってるかなぁ、と思ってそっとしてお
く。

「と、いうわけだからよろしくね。フレアちゃんって呼んでいいかな?」

「それはいいが、何がよろしくなんだ?」

「えー、だって夜道を女の子一人で歩いてたらナンパしてくださいって
 言ってるようなもんだよ。
 通り魔にあっちゃうよ。遭遇しちゃうよ」

「リタだって女の子だろう?」

あ、やっぱり。

不思議そうに、警戒や不審も入った感じで言われて、リタルードは答えずにへらっと
笑う。

こういう勘違いをされて楽しいと思うのは、
すごく意地が悪くて器が小さいって自分でも思うけれど、
そういう所は消そうと思って消せるものではない。

かみ合わない会話。通じ合わない気持ち。

楽しいと思うのは、それが自分が誰かと一緒にいるって思い知らせてくれるから。

フレアがさらに何かを言おうと口を開いて----真紅の瞳を見開いた。
視線の先は窓の外。

リタルードがそこを見やるときには、彼女は剣を持って飛び出していた。

PR

2007/02/11 14:26 | Comments(0) | TrackBack() | ●Colors
5.ハイドラント/フレア(熊猫)
キャスト:ヴィルフリード・リタルード・フレア
NPC:ゼクス
場所:街道
―――――――――――――――

乱暴に扉を開けて通りに出ると、そこには一人の男がいた。

男――と称するより、青年と言ったほうがいいか。自分より年上だろうが、
そう老いてもいない。

黒っぽいコートのようなものを袖に腕を通さず羽織っているだけで、
武装をしている感じでもない。

青年は、フレアが出てきても意に介さない様子で、
この宿屋の窓に片方の手のひらと顔を向けている。

6本の指がある手の平で。

嫌に痩せぎすの腕だけを伸ばし、体はこちらに向けながら、
ゆっくりと流し目のように目を細めて、視線をこちらに這わせてきた。

白に近いベージュの髪。ランプの灯の光ではなく、日の光に当たれば
もっと色は薄いだろう。
口が妙に大きいような気がする。

黙ってそこに立っているだけ、こちらを見ているだけ。
それだけで、意識が張り詰める。

例え、彼の指の数が自分と同じだとしても、纏っている強大な魔力がなくても、
きっと今と同じ事を考えただろう。

彼が今、その魔力を放ったとしたら――
この宿屋は、いやこの一帯は塵と化す。
それは予想ではなく、漠然とした真実。
見えなくても、感じる。肌が痛いほどに濃く、純粋に強い魔力。


その切っ先は、確かにこの宿にむけられている。


と、手は下ろさないまま、青年が口を薄く開いた。

「…何の用かな」

少しかすれたような、甘い声。
なぜかぐっと言葉に詰まるが、なんとか言葉を返す。

「そっちこそ!」

喉が渇いている。気がつけば、拳をきつく握っていた。
青年はこちらの睨みに動じる事なく――少し間をおいて嘆息すると、
やっとそこで腕を下ろした。
コートの中に、細い腕が消える。

同時に、フレアの胸から暗く重い緊張が抜けた。

背後で、なになにー、というリタの軽い声と足音が聞こえた。
続いて、開きっぱなしのはずの扉が軋む音。

振り返ると、いつの間にか様子を伺っていたらしいヴィルフリードが、
半身を扉に隠したまま、渋い顔をして立っている。
さらにその後ろから、ひょいとリタが顔だけを出した。

「フレアちゃん、どうしたの?」

目の覚めるような金髪を振って、リタが首をかしげる。
フレアは口ごもってもう一度青年に顔を向けると、彼は二人を見ているよう
だったが、すぐにこちらを再度見返すと、どうという事もないふうに
口だけで笑って見せた。

「惜しかったね」
「え――」
「…僕の事はゼクスとでも呼んで欲しい…。また会おう」

そう言い切って、ゼクスと名乗った青年はいきなりきびすを返した。
あれ誰?と、リタが言っているのが聞こえる。


フレアは混乱して、ただその後姿を見ていた。


2007/02/11 14:27 | Comments(0) | TrackBack() | ●Colors
6.ウスニビイロ/ヴィルフリード(フンヅワーラー)
キャスト:ヴィルフリード・フレア・リタルード
NPC:ゼクス
場所:どっかの宿屋
-------------------------------
「あの人、誰? 知り合い?」

 立ち竦むフレアにリタが声をかける。
 しかしフレアは反応しない。

「フレアちゃん?」

 突如、リタとフレアの頭上に手が置かれ、後ろに軽く引かれる力がかかった。
 ヴィルフリードだ。

「とり合えず、寒いから中入れ」
「あ……あぁ」
「風邪ひくだろうが。俺が。
 若いあんたらとは違って抵抗力低いんだからよ。
 ホラ」

 その掛け声と同時に、今度は二人の頭を強めに後ろに引く。
 リタは「うわぁ」などと言いながらも、食堂に引き返し始めた。
 頭部以外のきぐるみをまだ着用しているので、その姿はどこかひょうきんであっ
た。
 そしてフレアもそれに続く。こちらの足取りは少し重い。
 その二人の対照的な姿を横目で見ながら、ヴィルフリードはドアに手をかける。
 ……そして、最後にゼクスの歩いていった方向を確認した。
 遠くに見えるゼクスは、少しだけ振り返り、そしてまた歩き始めた。

 振り返ったゼクスの顔は、笑っていた。

 暗い中ではあったが、そう確信させるものがあった。
 ヴィルフリードは舌打ちをし、バタン、と音を立て、ドアを閉めた。
 外には冷たい夜風が吹いていた。

  ◇  ◇  ◇  ◇

 食堂に戻ると、丁度、注文品が運ばれて来た。

「で、なんだったの? 急に飛び出して」
「なんでもない……。私の勘違いだ。
 あの人には失礼なことをしてしまったようだ」

 フレアはリタに向かって、安心させようと、少しだけ微笑みを浮かべながらそう答
えた。

 関わらせてはいけない。

 この一時だけの――少々強引ではあったが――出会いだというだけなのだ。関わら
せてはいけない。
 フレアはそう思っていた。

「……ふぅん。
 じゃぁ『惜しかった』ってなんだろうね?
 『また会おう』は?」

 フレアの笑みが消える。

「ごめんねー。
 でも、仕方ないよね? あの距離じゃ自然に聞こえるんだもん」

 リタの言っている事には一理あった。
 あの時、リタはフレアのすぐ背後にいたのだ。

「でも……」

 フレアは、何故か、弁解するように言った。

「でも、本当に、私はあの人のことなど知らない。初対面だ」
「でもさぁ、『惜しい』って、何か目的があって、それが達成できなかった時に使う
よねー。
 で、『また会おう』って、今度、また、目的を達成させるために会おうっていうこ
とだろうし。
 ……だとすれば、『目的』は何だろうねー?
 何にしろ、フレアちゃん、ちょっとヤバい状況なんじゃないの?」
「きっと人違いだ。だとすれば、すぐに解決する」

それまで、黙ってそのやり取りを聞きながら飲み食いをしていたヴィルフリードが口
を挟んだ。

「ゼクス。
 6本指の奇人だ。ここいらの冒険者の間ではちょっとした有名人だ。
 一度だけなら接触したことがある。仕事絡みでな。
 初対面だろうが、あいつには関係ないさ。
 変態だよ、アイツは。興味持ったら、そんなの関係ないのさ。
 ほら、そこの金髪嬢ちゃんと、俺らも初対面だが、なんだかそんなこと関係ないよ
うな展開になって、今飯を食っているだろう? それと一緒だよ」
「うわぁ。それ、僕、変態ってこと言っていない? サラリとキツイこと言うなぁ」
「……否定するつもりか?」
「してはないよ? だって人間誰しも、そのような要素はあるものじゃない?
 ただ、それを面と向かってサラリと言う人間性に、問題を置いているんだよ」
「そーゆーコトを面と向かってサラリと言えるお前の人間性はどうなんだ?」
「ホラ。僕、変態だから。それにちゃんと人を選んでるし」

 ニッコリと笑う金髪の美少女(美少年だけども)。
 ヴィルフリードは、力無く、テーブルの上に崩れ落ちた。
 しかし、その頭の片隅でだんだんとその状況を楽しむようになっていた。

 あぁ、この感覚だ。

 心の奥底をくすぐるような感覚。
 久しぶりだ。

 人格の歪みは人と触れ合うことで修正するのが一番いい。
 確かにそうなのかもしれない。
 ヴィルフリードは、目の前にいる人物が言っていた言葉を、なんとなく思い出して
いた。

 その湧き上がる気持ちを押さえつけるように、続ける。
 今は、この気持ちを出す場面ではない。

「まぁ、アンタがどうするつもりかは知らんが、何にしろ覚悟だけはしておくんだ
な。
 詳しくは知らんが魔法を使うらしい」

 フレアは、深刻な顔でうつむき、軽くうなずく。
 そこに、リタが再び入る。

「僕、今さっきはあんまり見なかったから覚えてないんだけど、6本指なの? 確か
に?」
「あぁ、確かに、そうだった」

 フレアは、言葉を切りながら一語一語丁寧に答える。

「なら、相当の力の持ち主かもね。
 本で読んだことあるんだけども。
 大きな魔力は時にヒトの身体の構造すら変えてしまうんだって。
 その一番良くある……と言っても、数件だけなんだけど。まぁ、その事例が指の増
加らしいよ。
 噂では、普通の指では組めない印も使えるらしいけども。
 興味深いよねー。遺伝子と魔力の関係」

 その言葉に、フレアは目を丸くした。

「ん? どうしたの?」

 無邪気にフレアに微笑みかけるリタ。

「いや……まさか、直後にこんなに情報が入るとは思わなくて」
「役に立つでしょ?」
「それは、ともかく、だ」

 ヴィルフリードがジョッキをテーブルに置き、リタを軽くにらむ。

「リタ……とか言ったな?
 一体お嬢さんの目的は何なんだ?」

 おかげでこっちは変態扱いだ、とヴィルフリードは心の中で呟く。
 宿を出る前、宿屋のオヤジに言った「カワイコちゃんをひっかけてくる」という台
詞を言った直後、『カワイコちゃん』を2人も連れてきたのがまずかったらしい。オ
ヤジはさっきからチラチラとこちらを興味津々に視線を向けている。
 それを睨んで追い出そうと試みているがなかなかうまくいかない。

「『みんなでお食事して、ハイ終わり』だけで、終わるのか? コレ」

 ヴィルフリードは、にんじんのソテーを頬張りながら、ふとした疑問をぶつけた。


2007/02/11 14:27 | Comments(0) | TrackBack() | ●Colors
7.パンプキン/リタ(遠夏)
PC:ヴィルフリード、フレア、リタルード
NPC:なし
場所:宿屋
----------------------------------

「えー、じゃあ僕、精神病院に軟禁されてた超天才児で、
 今逃げてるところだからこれから護衛してくださいって駄目?」

「明らかに嘘じゃねぇか」

リタルードの返事に、即座にヴィルフリードが突っ込む。

「それなら、行方不明の某王国の世継ぎで王位につくために
 仲間が必要なのーとか」

「『それなら』だの『とか』だの言ってたら信じるものも信じないぞ?」

「うん、だって冗談だし。でも」

表情はそのまま、瞳だけから笑みを消して、リタルードは言う。

「ヴィルフリードさん、僕のこと結構好き、だよね?」

自分自身というカード。それを切る。
自分が信じられないわけでも、心底嫌っているわけでもないけれど、
それでもこのカードを切るとき、冷たい緊張が自分の中に生じないことはない。

「まぁ、な」

ニヤリと笑んでヴィルフリードが言って、リタルードは内心安堵する。

「あと僕、ゼクスさん、興味あるんだよね」

「何故だ?」

どこか険しい声で尋ねたのはフレアだ。

「あいつは興味本位で関わっていい相手じゃない」

「もちろん、有名人だからミーハ-魂が騒ぐのってわけじゃなよ。
 ちなみに、実はゼクスさんと知り合いだったんですー
 ってわけでもないからね」

「だから何故だ?」

その問いに、リタルードな今度は完全に笑みを消して、答える。

「僕には僕なりの事情があるってだけじゃ……納得してもらえない、かな?」

「お前さん、その言い方ものすごく卑怯だってわかってるか?」

ヴィルフリードが苦い顔をする。

「うん…。あのさ、でも何が何でも!ってわけじゃないんだよ。
 わからないかもしれないしわかるかもしれない。
 そういうのに頼ってみたいって、駄目かな」

「話がよく見えないんだが…」

「他の人にちゃんとわかるように言ってないのは自覚してるよ。
 でも、僕がそういう理由でフレアちゃんにくっついていたいっていうのは
 わかってもらえる?」

「あぁ…」

フレアは少し躊躇したが、それでも結局は頷いた。

「その話の流れだと俺もセットになってるみたいだが」

「あれ、嫌なの?
 ここでヴィルフリードさんにぐねられるとすっごい面倒だから
 僕露骨に嫌な顔するよ?」

そしてリタルードはにっこり笑って続ける。

「もちろん明日の朝ご飯も三人一緒だからね!」



「駄目だ、集中できない」

夕飯のあと、フレアは同じ宿屋で部屋を借りて、あとの二人はそれぞれの部屋に戻っ
て。
着ぐるみを脱いで、例の本の山に取り掛かっていたリタルードは舌打ちして本を置い
た。

会ったのこと無い人と初めて話したり、変わったことのあった日は、そういうことが
ある。

胸の奥で鈴が鳴りつづけるような、気が高ぶる感じ。
たぶんこれでは、ベッドに入ってもなかなか寝付けないだろう。

それとも、もしかして。

呼んでる?

六本指のゼクス。おそらく彼は強大な力の持ち主だろう。

まさか、と思う。そんなことをする理由がわからない。
自分が彼を気にしているだけで、彼が目をつけているのはフレアのはずだ。

そう思いながらも、リタルードは出かける準備をすることにする。

気のせいならそれはそれでいい。このまま部屋にいても退屈するだけだ。
罠だとしても、避ける理由など存在しないのだから。

朝ご飯、一緒に食べられなかったら嫌だな。

部屋を出るとき気にかかったのはそんなことだった。


2007/02/11 14:28 | Comments(0) | TrackBack() | ●Colors
8.バージンスノウ-雪月花-/ディアン(光)
PC:ディアン、ヴィルフリード、フレア、リタルード
NPC:なし
場所:宿屋
----------------------------------
「やれやれ・・・やっと着いたのはいいが、フレアの奴ぁ一体
どこに宿を取ったのやら・・・」
俺がこの町に着いたのは太陽が山の端に消え、代わって出てきた半月が中天に
3分の1ほど昇ったころ。
まだまだ夜は始まったばかりの時間帯だから、(本人は気づいてないだろうが)
あの目立つ少女のことだ。
酒場にでも行けば案外簡単に情報があるかもしれねぇが・・・
こんな天気のいい夜だ。
知らない町での夜の散歩も風流だろうと、ぶらつきながらその辺の宿を
覗いてみることにした。
時間に押されていない旅の、良いところだ。
幸い、路銀にも余裕がある。
ま、ムリしてここで見つけられなくてもいいだろうってのが本音だしな。
縁があれば、どっかで会うこともあるだろうさ。
 
何を考えるでもなく、宿屋に入って宿帳を見、また出てふらり・・・
の繰り返しで4軒目。
「・・・?」
ロビーで目に入ったのは、ランプの明かりを浴びて輝く、鮮やかな金髪。
少年とも、少女とも取れる体型と顔の造作の持ち主だった。 
一瞬どきりとする美貌に、次の瞬間俺は首を振った。
向こうも戸口をくぐった俺を見て一瞬歩みを止めたものの、すぐに興味を
無くしたように歩き出したのだ。
歩き方だけは、よほど特殊な訓練をつまない限り男女の違いが表れる。
肩で重心をとる歩き方は、男特有のもの。
(ちょっとドキッとして損したぜ・・・)
内心失望のため息をつきながら、カウンターに声をかけた。
「悪いが、ちょっと教えてくれ。連れとはぐれちまったんだが・・・えぇとだな、
背丈はこれくらいで、腰までの黒髪に、真っ赤な瞳の・・・そうだな、
『ぴりっ』とした感じの女の子なんだが。」
身振り手振りで表現する俺を見て、受付の男は「あぁ」という表情を浮かべた。
お、当たりか?
「失礼ですが、お連れ様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、フレア、って言うんだが・・・。」
男は、ぱらぱらと宿帳をめくり、次いで軽くうなり声を上げた。
「どうした?いるんだろ?」
「いえ、確かにフレアさまは宿をお取りになっていますが、お連れ様がいるとは
聞いていないので・・・というよりお連れ様お二人とご一緒でしたが。」
な、にゃにぃ!?
いやまぁ、確かにフレアにはもしかしたらそっちの方面に行くかも~みたいな
曖昧な調子で言ってはあったが・・・もしかして、忘れられてるのか、俺!?
元はと言えば俺が路銀を気前良くフレアに奢ってやっちまったせいで自分の分が
足りなくなり、かといってフレアにたかるわけにもいかずに
「ちょっと用事があるから先に行っててくれ」とフレアを先行させて
2,3日ほど『仕事』をして懐を潤してから追いついた・・・って経緯が
あるにはあるし、悪いのは俺なんだが。

珍しいこともあるもんだが・・・連れが二人?
覗きこむように宿帳を確認すると、(あまり客の入りは良くないのだろう)閑散と
した名簿のページには確かに「F・フレア」の署名と一緒に二名ほど名前が
連なっている。もちろん、部屋は別々に取ってあるのが救いだが。
(ふんふん。リタルードにヴィルフリード、ね・・・)
絶対忘れん!と固く誓いながら、その名前を胸の奥に刻み込んだ。
しっかし・・・3人で宿とは・・・いや、まさかそんな、といかがわしい妄想を
払いのける。
「そうだな、それじゃあ仕方ない。じゃあ、俺に一部屋とってもらっても
いいかな?」
「分かりました。すぐにお取りしますので・・・ええと、2階の4号室をご利用
ください。寝具等は置いてありますので・・・」
差し出された鍵を受け取り、説明を聞き流して俺は颯爽と階段を上っていった。
明日の朝、俺を見つけて驚くフレアの顔を想像してほくそえみながら・・・。

2007/02/11 14:29 | Comments(0) | TrackBack() | ●Colors

<<前のページ | HOME | 次のページ>>
忍者ブログ[PR]