PC:ディアン、ヴィルフリード、フレア、リタルード
NPC:なし
場所:宿屋
----------------------------------
「やれやれ・・・やっと着いたのはいいが、フレアの奴ぁ一体
どこに宿を取ったのやら・・・」
俺がこの町に着いたのは太陽が山の端に消え、代わって出てきた半月が中天に
3分の1ほど昇ったころ。
まだまだ夜は始まったばかりの時間帯だから、(本人は気づいてないだろうが)
あの目立つ少女のことだ。
酒場にでも行けば案外簡単に情報があるかもしれねぇが・・・
こんな天気のいい夜だ。
知らない町での夜の散歩も風流だろうと、ぶらつきながらその辺の宿を
覗いてみることにした。
時間に押されていない旅の、良いところだ。
幸い、路銀にも余裕がある。
ま、ムリしてここで見つけられなくてもいいだろうってのが本音だしな。
縁があれば、どっかで会うこともあるだろうさ。
何を考えるでもなく、宿屋に入って宿帳を見、また出てふらり・・・
の繰り返しで4軒目。
「・・・?」
ロビーで目に入ったのは、ランプの明かりを浴びて輝く、鮮やかな金髪。
少年とも、少女とも取れる体型と顔の造作の持ち主だった。
一瞬どきりとする美貌に、次の瞬間俺は首を振った。
向こうも戸口をくぐった俺を見て一瞬歩みを止めたものの、すぐに興味を
無くしたように歩き出したのだ。
歩き方だけは、よほど特殊な訓練をつまない限り男女の違いが表れる。
肩で重心をとる歩き方は、男特有のもの。
(ちょっとドキッとして損したぜ・・・)
内心失望のため息をつきながら、カウンターに声をかけた。
「悪いが、ちょっと教えてくれ。連れとはぐれちまったんだが・・・えぇとだな、
背丈はこれくらいで、腰までの黒髪に、真っ赤な瞳の・・・そうだな、
『ぴりっ』とした感じの女の子なんだが。」
身振り手振りで表現する俺を見て、受付の男は「あぁ」という表情を浮かべた。
お、当たりか?
「失礼ですが、お連れ様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、フレア、って言うんだが・・・。」
男は、ぱらぱらと宿帳をめくり、次いで軽くうなり声を上げた。
「どうした?いるんだろ?」
「いえ、確かにフレアさまは宿をお取りになっていますが、お連れ様がいるとは
聞いていないので・・・というよりお連れ様お二人とご一緒でしたが。」
な、にゃにぃ!?
いやまぁ、確かにフレアにはもしかしたらそっちの方面に行くかも~みたいな
曖昧な調子で言ってはあったが・・・もしかして、忘れられてるのか、俺!?
元はと言えば俺が路銀を気前良くフレアに奢ってやっちまったせいで自分の分が
足りなくなり、かといってフレアにたかるわけにもいかずに
「ちょっと用事があるから先に行っててくれ」とフレアを先行させて
2,3日ほど『仕事』をして懐を潤してから追いついた・・・って経緯が
あるにはあるし、悪いのは俺なんだが。
珍しいこともあるもんだが・・・連れが二人?
覗きこむように宿帳を確認すると、(あまり客の入りは良くないのだろう)閑散と
した名簿のページには確かに「F・フレア」の署名と一緒に二名ほど名前が
連なっている。もちろん、部屋は別々に取ってあるのが救いだが。
(ふんふん。リタルードにヴィルフリード、ね・・・)
絶対忘れん!と固く誓いながら、その名前を胸の奥に刻み込んだ。
しっかし・・・3人で宿とは・・・いや、まさかそんな、といかがわしい妄想を
払いのける。
「そうだな、それじゃあ仕方ない。じゃあ、俺に一部屋とってもらっても
いいかな?」
「分かりました。すぐにお取りしますので・・・ええと、2階の4号室をご利用
ください。寝具等は置いてありますので・・・」
差し出された鍵を受け取り、説明を聞き流して俺は颯爽と階段を上っていった。
明日の朝、俺を見つけて驚くフレアの顔を想像してほくそえみながら・・・。
NPC:なし
場所:宿屋
----------------------------------
「やれやれ・・・やっと着いたのはいいが、フレアの奴ぁ一体
どこに宿を取ったのやら・・・」
俺がこの町に着いたのは太陽が山の端に消え、代わって出てきた半月が中天に
3分の1ほど昇ったころ。
まだまだ夜は始まったばかりの時間帯だから、(本人は気づいてないだろうが)
あの目立つ少女のことだ。
酒場にでも行けば案外簡単に情報があるかもしれねぇが・・・
こんな天気のいい夜だ。
知らない町での夜の散歩も風流だろうと、ぶらつきながらその辺の宿を
覗いてみることにした。
時間に押されていない旅の、良いところだ。
幸い、路銀にも余裕がある。
ま、ムリしてここで見つけられなくてもいいだろうってのが本音だしな。
縁があれば、どっかで会うこともあるだろうさ。
何を考えるでもなく、宿屋に入って宿帳を見、また出てふらり・・・
の繰り返しで4軒目。
「・・・?」
ロビーで目に入ったのは、ランプの明かりを浴びて輝く、鮮やかな金髪。
少年とも、少女とも取れる体型と顔の造作の持ち主だった。
一瞬どきりとする美貌に、次の瞬間俺は首を振った。
向こうも戸口をくぐった俺を見て一瞬歩みを止めたものの、すぐに興味を
無くしたように歩き出したのだ。
歩き方だけは、よほど特殊な訓練をつまない限り男女の違いが表れる。
肩で重心をとる歩き方は、男特有のもの。
(ちょっとドキッとして損したぜ・・・)
内心失望のため息をつきながら、カウンターに声をかけた。
「悪いが、ちょっと教えてくれ。連れとはぐれちまったんだが・・・えぇとだな、
背丈はこれくらいで、腰までの黒髪に、真っ赤な瞳の・・・そうだな、
『ぴりっ』とした感じの女の子なんだが。」
身振り手振りで表現する俺を見て、受付の男は「あぁ」という表情を浮かべた。
お、当たりか?
「失礼ですが、お連れ様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、フレア、って言うんだが・・・。」
男は、ぱらぱらと宿帳をめくり、次いで軽くうなり声を上げた。
「どうした?いるんだろ?」
「いえ、確かにフレアさまは宿をお取りになっていますが、お連れ様がいるとは
聞いていないので・・・というよりお連れ様お二人とご一緒でしたが。」
な、にゃにぃ!?
いやまぁ、確かにフレアにはもしかしたらそっちの方面に行くかも~みたいな
曖昧な調子で言ってはあったが・・・もしかして、忘れられてるのか、俺!?
元はと言えば俺が路銀を気前良くフレアに奢ってやっちまったせいで自分の分が
足りなくなり、かといってフレアにたかるわけにもいかずに
「ちょっと用事があるから先に行っててくれ」とフレアを先行させて
2,3日ほど『仕事』をして懐を潤してから追いついた・・・って経緯が
あるにはあるし、悪いのは俺なんだが。
珍しいこともあるもんだが・・・連れが二人?
覗きこむように宿帳を確認すると、(あまり客の入りは良くないのだろう)閑散と
した名簿のページには確かに「F・フレア」の署名と一緒に二名ほど名前が
連なっている。もちろん、部屋は別々に取ってあるのが救いだが。
(ふんふん。リタルードにヴィルフリード、ね・・・)
絶対忘れん!と固く誓いながら、その名前を胸の奥に刻み込んだ。
しっかし・・・3人で宿とは・・・いや、まさかそんな、といかがわしい妄想を
払いのける。
「そうだな、それじゃあ仕方ない。じゃあ、俺に一部屋とってもらっても
いいかな?」
「分かりました。すぐにお取りしますので・・・ええと、2階の4号室をご利用
ください。寝具等は置いてありますので・・・」
差し出された鍵を受け取り、説明を聞き流して俺は颯爽と階段を上っていった。
明日の朝、俺を見つけて驚くフレアの顔を想像してほくそえみながら・・・。
PR
トラックバック
トラックバックURL: