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2024/11/08 09:59 |
7.パンプキン/リタ(遠夏)
PC:ヴィルフリード、フレア、リタルード
NPC:なし
場所:宿屋
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「えー、じゃあ僕、精神病院に軟禁されてた超天才児で、
 今逃げてるところだからこれから護衛してくださいって駄目?」

「明らかに嘘じゃねぇか」

リタルードの返事に、即座にヴィルフリードが突っ込む。

「それなら、行方不明の某王国の世継ぎで王位につくために
 仲間が必要なのーとか」

「『それなら』だの『とか』だの言ってたら信じるものも信じないぞ?」

「うん、だって冗談だし。でも」

表情はそのまま、瞳だけから笑みを消して、リタルードは言う。

「ヴィルフリードさん、僕のこと結構好き、だよね?」

自分自身というカード。それを切る。
自分が信じられないわけでも、心底嫌っているわけでもないけれど、
それでもこのカードを切るとき、冷たい緊張が自分の中に生じないことはない。

「まぁ、な」

ニヤリと笑んでヴィルフリードが言って、リタルードは内心安堵する。

「あと僕、ゼクスさん、興味あるんだよね」

「何故だ?」

どこか険しい声で尋ねたのはフレアだ。

「あいつは興味本位で関わっていい相手じゃない」

「もちろん、有名人だからミーハ-魂が騒ぐのってわけじゃなよ。
 ちなみに、実はゼクスさんと知り合いだったんですー
 ってわけでもないからね」

「だから何故だ?」

その問いに、リタルードな今度は完全に笑みを消して、答える。

「僕には僕なりの事情があるってだけじゃ……納得してもらえない、かな?」

「お前さん、その言い方ものすごく卑怯だってわかってるか?」

ヴィルフリードが苦い顔をする。

「うん…。あのさ、でも何が何でも!ってわけじゃないんだよ。
 わからないかもしれないしわかるかもしれない。
 そういうのに頼ってみたいって、駄目かな」

「話がよく見えないんだが…」

「他の人にちゃんとわかるように言ってないのは自覚してるよ。
 でも、僕がそういう理由でフレアちゃんにくっついていたいっていうのは
 わかってもらえる?」

「あぁ…」

フレアは少し躊躇したが、それでも結局は頷いた。

「その話の流れだと俺もセットになってるみたいだが」

「あれ、嫌なの?
 ここでヴィルフリードさんにぐねられるとすっごい面倒だから
 僕露骨に嫌な顔するよ?」

そしてリタルードはにっこり笑って続ける。

「もちろん明日の朝ご飯も三人一緒だからね!」



「駄目だ、集中できない」

夕飯のあと、フレアは同じ宿屋で部屋を借りて、あとの二人はそれぞれの部屋に戻っ
て。
着ぐるみを脱いで、例の本の山に取り掛かっていたリタルードは舌打ちして本を置い
た。

会ったのこと無い人と初めて話したり、変わったことのあった日は、そういうことが
ある。

胸の奥で鈴が鳴りつづけるような、気が高ぶる感じ。
たぶんこれでは、ベッドに入ってもなかなか寝付けないだろう。

それとも、もしかして。

呼んでる?

六本指のゼクス。おそらく彼は強大な力の持ち主だろう。

まさか、と思う。そんなことをする理由がわからない。
自分が彼を気にしているだけで、彼が目をつけているのはフレアのはずだ。

そう思いながらも、リタルードは出かける準備をすることにする。

気のせいならそれはそれでいい。このまま部屋にいても退屈するだけだ。
罠だとしても、避ける理由など存在しないのだから。

朝ご飯、一緒に食べられなかったら嫌だな。

部屋を出るとき気にかかったのはそんなことだった。

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2007/02/11 14:28 | Comments(0) | TrackBack() | ●Colors

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