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2024/05/17 23:50 |
4.バニラクリーム/リタ(遠夏)
PC:ヴィルフリード、フレア、リタルード
NPC:なし
場所:宿屋前、宿屋
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ある種の非日常な装いというのは、奇妙に人を冷静にするところがある。

だからリタルードは、本人なりに冷静に判断する。

「横取り……」

されるくらいだったら。

「は?!」

「うわっ!」

少女と男性が同時に狼狽した。

クマが自分たちの腕をつかんでひっぱったのだ。
クマが二人の間に入る形となる。

「みんな仲良し、ね」

くぐもったその声が二人にちゃんと届いたかなんてわからないけど。



「やっぱり人格の歪みって人と触れ合うことで修正するのが
 一番いいと思うんだよね。
 あ、僕リタっていうからよろしく」

半強制的に連行した宿屋の食堂でリタルードは開口一番にこう言った。

クマの頭は、今は四人がけのテーブルの一席を占領している。

「わ、私は、フレア・フィフスだ」

紅い瞳の少女が、生真面目に返す。

その様子が本当にまっすぐで、誰に対しても反感を抱かせないような誠実さが彼女に
はあった。

「おじさんは?」

「ヴィルフリード…お前さんなんでそんな格好してんだ?」

「うわぁ、すごく真っ当な質問だぁ。
 僕、感動して涙でてきそう」

「とりあえず質問に答えてくれ」

「えー、そんなの決まってるじゃん」

頬に指を添えて、「ねっ」と小首をかしげてリタルードは答える。

「せっかく僕可愛いんだから可愛い格好したほうがいいじゃん」

「それ、決定的なところで何かが間違ってるぞ」

「うん、僕もそう思う」

あっさり肯定されて、ヴィルフリードはうめいて頭を抱えた。
今四十数年築いてきた常識が現在の状況と戦ってるかなぁ、と思ってそっとしてお
く。

「と、いうわけだからよろしくね。フレアちゃんって呼んでいいかな?」

「それはいいが、何がよろしくなんだ?」

「えー、だって夜道を女の子一人で歩いてたらナンパしてくださいって
 言ってるようなもんだよ。
 通り魔にあっちゃうよ。遭遇しちゃうよ」

「リタだって女の子だろう?」

あ、やっぱり。

不思議そうに、警戒や不審も入った感じで言われて、リタルードは答えずにへらっと
笑う。

こういう勘違いをされて楽しいと思うのは、
すごく意地が悪くて器が小さいって自分でも思うけれど、
そういう所は消そうと思って消せるものではない。

かみ合わない会話。通じ合わない気持ち。

楽しいと思うのは、それが自分が誰かと一緒にいるって思い知らせてくれるから。

フレアがさらに何かを言おうと口を開いて----真紅の瞳を見開いた。
視線の先は窓の外。

リタルードがそこを見やるときには、彼女は剣を持って飛び出していた。

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2007/02/11 14:26 | Comments(0) | TrackBack() | ●Colors

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