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2024/05/17 08:55 |
ワッチ「いきなりダンジョン!!」/ワッチ(さるぞう)
◆――――――――――――――――――――――――――――
PT:  ワッチ、ファング、月見
PC:  ワッチ、ファング、月見
場所: ヴァルカン

-------------------------------------------

オイラは今…何故か片手に月見をぶら下げている。

「わおっ、オヤジ殿って、力持ちっ★」
ってか、俺はオヤジじゃないし、なんでお前がぶら下がってるか良くわかんねぇんだ
けど?


そう、オイラはファングの宝捜しを手伝う事にしたんだ。

報酬は…昨日のメシ代と、銀貨一枚…そう、その銀貨で、新しい剣と盾を受け取り
に、町外れの鍛冶屋まで向かってる最中って訳なんだけどなぁ~

「なんで、おめーは、オイラの腕に絡み付いてくるんだっ!」
絡みつく月見を振りほどこうと、ブンブン腕を振り回すけど、月見は取れねぇ…

「だーーって、ステキ筋肉なオヤジ殿と街を歩くんだから、腕を組んで、ラヴラヴ
ファンタヂィな世界を作り出さなきゃっ」
月見は、グッと拳を握り締めて、真剣に力説
…訳わかんねぇよっ!

実は、ファングも一緒なんだけどよ…オイラ達からきっちり30メートルの距離を置い
て近づいて来ねぇ…
月見曰く、”安全月見間距離”らしい…

「おーい、ワッチ、まだなのかぁ?」
30メートル後ろから、ファングが声をかけてくる。

「おうっ、あの川の向こうだ!!」
と、振り返って答える。
オイラが立ち止まった事にファングは気付いちゃいねぇ。

ファングが30メートル以内に入り込んだその時…

「青年っ!バンダナ青年ファング君もラヴラヴだっ★」

と言って、オイラを引っ張りファングの元まで引きずる…って、オイラ80kはあるん
だぞっ体重…

いつしか月見は、ファングとオイラの間で腕を絡めてご満悦な表情。

「ふっふっふ、ハァレムなポヂション!!誰にも渡さないわっ!」
不敵かつ、陶酔した笑みで、誰に向かって宣言してるんだ、おめぇ?…

そうしてオイラ達が川を渡るために、端の手前まで来た時……



鍛冶屋の前に、不審な男が3人程タムロしてたんだ…
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2007/03/09 00:51 | Comments(0) | TrackBack() | ●浅葱の杖
眼下の宝/月見(スケミ)
◆――――――――――――――――――――――――――――
出演:ワッチ・ファング・月見
場所:ヴァルカン
NPC:不審な男×3
◆――――――――――――――――――――――――――――

「何だろ…アイツら?」

がっちりと月見にホールドされてる腕を必死にはがそうとしつつ、ファングが目をこ
らす。
鍛冶屋の前には3人の男がタムロしていた。
その姿、出で立ちは不審も不審。
傭兵なのだろうか、逞しい肉体に生々しく残る傷跡はまだ完治していないらしく、て
らてらと光っている。
纏っている鎧などの装備は、乾いた血のあとや刀の傷であまり意味をなさないものに
なっていた。
まるで戦争の途中から逃げ出したかのようなその出で立ち。
3人の男は、鬼気迫った殺気のようなものを纏っていた。

「ワッチ、アイツら…。」
「ああ、危ないな…。」

警戒する二人。
しかし平凡な女子高生の月見は、ファング達が何を感知したのかわかるはずなくいつ
もの調子である。
地球でのんびりと暮らしていた月見には結構刺激が強い彼等の出で立ちだが、伊達に
『こっち』に来て何ヶ月も旅をしてるだけあり受け入れられるまでにはなっていた。
受け入れついでに思考が変な感じに展開する。

危ない→危険→エロい→変態。

こんな風に。

「危ない…そ、そんなに変態臭いヤツらなのオヤジ殿にバンダナ君ッ?!」

月見こわーい、とかほざきつつも何か月見は嬉しそうだ。
仲間発見がそんなに嬉しいのか。
そんな月見の言葉にワッチが男達をじっくりと凝視する。

「あー、おー、んー。」

やがて何かに納得したように謎の呻きを漏らしつつ頷いた。

「確かにアイツ、自分の下着の匂い嗅いで喜んでそーなカオしてんなー」
「おっ、確かにそんな顔してるかも…」
「ぬおおおッ!これは危ないッ★」

一番右端の男を指差し言うワッチに二人も同意する。
同意した勢いでファングとワッチが感じた鬼気迫った殺気のようなものが鬼気迫った
変態オーラへと変換されていく。
というか、『自分の下着の匂い嗅いで喜んでそーなカオ』とはどんな顔だ。

「あ、あとアイツッ」

お次はファングが左端の男を指差す。

「ベットの下にエロ本隠して母親に見つかってそうっ」
「んでもって気付いたら机の上におかれてんだろ?オイラならもっと上手く隠すぜッ」
「だよなぁ!ベットの下ってバレバレだって!!」

はっはっはっは!

思わず何かに勝ち誇ったような男らすぃ笑い声をあげる二人。
あくまで二人。
一人、足りない。

「ふ、ふふふふ…っ★」

その一人…月見は、一人居心地わるそうにありもしない方向へと視線をめぐらせてい
た。

「まさか、月見…お前…!」

月見が沈痛な空気を発している。
まるで、デパートの迷子放送で自分の名前が呼ばれた時のように。

月見の頭の中では、地球にいたころの記憶がビデオテープのように流れていた。





「ただいまーッ★」

いつものように大きな声で言うと台所の方から赤毛の青年が出てくる。
月見の家に居候しているイフリートだ。

(お?)

いつもとは違うイフリートの行動に月見は少し驚いた。
いつもならば台所から「おせぇよー」なり「靴そろえろッ」等の罵声が飛んでくるの
だが、今回はわざわざ玄関まで出てきたのだ。

「……………………。」

イフリートは何ともいえない複雑な視線で月見を凝視し…台所へと戻っていった。

(????????)

わけのわからない月見。
もしやこれはラブコールかッ?!とか思ったがそれはあまりにも美味しい展開なので
無理だ。
とりあえず荷物を置こうと自分の部屋に行く。
電気をつけると、何か違和感があった。
部屋が綺麗になっている。
学校へと出かける前の月見の部屋はまるで樹海のようだったのに対し、今の月見の部
屋は普通の女子高生の部屋である。
しかし、違和感はそこだけではなかった。
机兼こたつの上に何かが高く積み重ねられていた。

「!!!!!!!!!!!!!!!!」

それを認識した瞬間、月見は声にならない悲鳴をあげた。
月見秘蔵のエロ本である。
しかも本棚にしまってある普通のエロ本(?)とは異なり、かなりアレソレコレなも
のであった。
しばし硬直。
そんな月見に追い討ちをかけるように、誰かが後ろから月見の肩を叩いた。
かなり固いロボットのような動作で振り返るとそこにはゲッソリとした顔のイフリー
ト。
彼はただ一言、こう言った。

「…せめてもうちょっと上手い場所に隠してくれ。お願いだから」





無駄に長い回想に思わず切なくなると同時に月見が反撃に出る。

「ベットの下のナニが悪いってのよっ!エロ本っつえばベットでしょーなッ★ベット
の下が一番アレソレコレソレ都合がいいはずッ!!」

どんな都合だ。

「でもベットの下はちょっとなぁー。お宝はもっと上手に隠さなきゃ、な、ワッチ。」
「だなっ。見つけてくれっつってるモンだぜー?」

お宝なのかどうかはさておき、あっさりと反撃返しされる月見であった。
このままでは何かのメンツが潰れそうなので話題を変えようとする。

「そ、そそそそそそーいえば、あのまん中のマッチョさんさぁッ★」

そう言って月見は3人の不審な男の内、ドアの前に立っている男を指差した。
その言葉にファングとワッチの二人が男に注目する。

「なんかサディストスメルがプンプンですわよっ!剣なんか抜いてまさにハァドSM盛
り沢山コース一万円ッ★」

「なんつーかSMっつーか」

ワッチが眉をひそめる。

「今すぐ鍛冶屋を襲撃しそ……ッ?!」

ファングの言葉に思わずハッとする月見とワッチ。
何時の間には男達は武器を抜き、戦闘体勢をとっている。
どうやら、男達は鍛冶屋を襲撃する気らしい。
それを認識したファング達は橋を渡って鍛冶屋へと走り…


がすっ。


言葉をかけるより先に男達にとび蹴りをかましていた。



続く

2007/03/09 00:51 | Comments(0) | TrackBack() | ●浅葱の杖
浅葱の杖――其の二/ファング(熊猫)
キャスト:ワッチ・月見・ファング
場所:ヴァルカン―月見亭
―――――――――――――――
「『暴れ山羊』」

ぽつりと、ファングは目の前の店の看板を読み上げた。

足元には、ワッチとファングに蹴り倒され、顔を抑えてうめいている男がふたり。
あとの一人は、ようやく左右にいた自分の仲間が倒れている様子に気づいたらしい。

「てめぇ――」

そして男は遅くも我に返ったのか、怒声の一つでもあびせようと振り返りかけた――
が。

「はーいそこの一万円ぽっきりマッチョさんvvお客様なら目のま」

ごぎ。

わざとやっているにしか見えないタイミングで首を出した月見は、案の定
男が着ている鎧の装飾のひとつに後頭部を思い切り打たれ、ずるずると石畳に沈んだ。

「ふ・・・ふふ・・・もうプレイは始まっているわけね・・・さすがマッチョさん。ただものじゃないッ★」
「お前のnotただ者レベルには負けっぞ。オイ」

顔面を血で真っ赤にして嬉々としてつぶやく月見を見て滝のように汗を流しながら、
ファングはかかとを倒れた男の頬から離さないままうめいた。

隣ではワッチが不思議そうな顔をしてこちらのやりとりを見ているが、
同性の視線を受けるのはあまり気持ちのいいものではない。
とりなすように、あーとか言いながらファングは、自分より頭一つは上背のある男を
遠慮することなく見上げた。

「なぁなぁオッサン達、さっき何やろーとしてたの??」
「あ゛ァ!?」
「・・・うるさいのぅ」

突然会話に割り込んできたしわがれ声に目を向けると、今にも倒壊しそうな店
(というかファングの目には廃材の山に見えた)から、背の小さな老人が
面倒くさそうにその短い足を使って店の中から出てきた。

背はファングの膝までしかないというのにでっぷりと太った体躯で、
鼻と頬が真っ赤である。目など顔の肉でほとんど見えない。
ファングは直感した。

(ドワーフだ)
「さっきからワシの店先でガヤガヤガヤガヤ・・・」

久し振りに日の目を見た、とでもいいたげにしかめ面で晴天を仰いで、
しかし頑ななままに、やぶにらみでこちらに顔を向ける。

――どうやらこの店の鍛冶屋なのだろうが。

「親父・・・」

ワッチが大きな体躯をちぢめるようにしながら、一歩前に出た。
できれば店の中に入っていてもらいたかったと、困った顔が言っている。

すると、あー!という野太い非難の声が背後から上がった。
同時に、両脇で寝ていた二人の男も顔に怒気を含めて立ち上がってきていた。

「おいジジイ!てめぇ、こんなに役に立たねぇ武具売りやがって!金返せ!」
「・・・武具っちゅうもんは、役に立てるもんじゃなかろうに」

やはり小声でぶつぶつと毒づいて、ドワーフはひっく、と酒臭い息を喉から押し出した。
片手に持った酒瓶――人間用のサイズなので彼自身の身長ほどもあるが、中身は
半分もなかった――を両手で傾けて、飲み干してしまう。
一連の動作がひどく緩慢であり、それがさらに男達の怒りを増長させたらしい。

「いやーん!じっさまちっちゃくてカワイイだもーvvvv」

いきなり月見が復活する。

それを見て鍛冶屋に詰め寄ろうと一歩足を踏み出した男は、
そのまま一歩後ろへ下がった。

2007/03/09 00:52 | Comments(0) | TrackBack() | ●浅葱の杖
ワッチ 「新しい武具」/ワッチ(さるぞう)
PT:  ワッチ、ファング、月見(筋肉で宝捜しをセクハラしちゃうパーティー)
PC:  ワッチ、ファング、月見
場所: ヴァルカン
NPC: ドワーフな鍛冶屋と、逆恨みしてる3人組のチンピラごぼう
―――――――――――――――――――――
オイラは今……戦闘中?だったと思ったんだけどな…


「いやーん!じっさまちっちゃくてカワイイだもーvvvv」
と、月見の目の形がハート型になってるんだけどよ……可愛いか?あの酔っ払いが?

「な、なんじゃ、この娘はっ!」
フラフラしながらも、月見がこの後、自分に何をするのか、本能的に悟ったらしいド
ワーフの親父は、ジリッっと、一歩後退した…酔っぱらったオヤジを退かせるとは…
月見、恐るべしだぜっ。

「まっ、いいか…おめぇら、そろそろ出番が終わってるんだけど、逃げてくんねぇか
?」
月見の”はーと目”に恐怖した(らしい)チンピラ3人組に向かって、オイラは言っ
てやったんだけどなぁ…


「て、てやんでいっ!、こちとら、”この”出来損ないのナマクラソードのおかげ
で、命を落としかけたんでぃ、このジジイに一発おみまいしてやらねぇと、気が済ま
ないんでぇ~っ」
と、チンピラの一人(エロ本を母ちゃんに見つかったような面をした奴)が威勢の良
い啖呵を切ってくれたんだが……その面で、そんな事言われてもよぉ。


「ん?その剣、貸してみ。」
オイラはツカツカと、無造作に歩み寄ると”ナマクラソード”とやらを、そいつの手
から、もぎ取って一振りしてみた。

剣をもぎ取られて、一瞬呆気に取られてたみてぇだけど、関係ねぇし。

「”良い剣”じゃねーか?」
軽いし、意匠も凝っているし、強度も問題無さそうだ…それに、剣の柄の部分には、
魔石みてぇな代物まである、言っちゃ悪ぃけど、こいつら”ごとき”にゃ、勿体
無ぇ。

「返せよっ!」
泣きそうな面で、オイラから剣を奪い返す。
エロ本見つかった時も、こんな顔してたんだろうなぁと、勝手に推測して思わず笑っ
ちまった。

「くくくっ…」
見れば、同じ事を考えていたのか、ファングが必死に笑いを堪えている。

で、オイラが月見の方に目をやると、ドワーフ親父をいじくりまわして遊んでいるの
が見えたんだ…何やってるんだかと、オイラは遠い目をしちまった。

「ねぇねぇ、オヤジ殿っ!」
急に呼びかけられて、オイラは遠い目から一瞬で我に返る。

「なんでぇ月見?」
オイラが再び月見を見たとき…「これっ★」っと、ドワーフ親父から預かったんだろ
う、例の”剣”をオイラに見せる。

「きっと、その”危ない”人たちは”道具”の使い方が下手なのさっ☆、これで使い
方を”手取り、足取り、XX取り”、コーチINGっ★」
なーんて言ってるけどな…”道具”とか”XX取り”とかが気になるぜ。




と、月見に言われて、剣を受け取り、きっちり5秒後…



「また、つまんねーもん、切っちまったぜっ…」
と、決め台詞。

倒れてるチンピラ3人組の周りにはヒヨコが数羽、ピヨピヨ鳴いていたのさ。

様子を3人仲良く並んで観戦していた、ファング&月見&ドワーフ親父は、それぞれ
にオイラ事を褒め称える。
…まっ、当然と言えば当然の結果だけどな。

「おおっ、すげぇぜ”ワッチん”」
と、ファングが手を叩いているけどよ…
なんだよ、その”ワッチん”て呼び方は?

「つまらない物を切らせるんだったらオヤジ殿だねっ!」
月見の褒め方も、問題があるぞっ。

「流石、ワシの見込んだ男じゃっ」
酔っぱらったドワーフ親父が、フラフラ近寄ってきて腰の辺りを嬉しそうに叩く。

「ワッチんってー名前だったな…この剣には、一つだけ隠された能力を付加しておい
たぞ…」
と、急に神妙な顔で、オイラの握った剣にを見る。

っていうか、こいつかっ…ファングに変な呼び方を植え付けやがったのは……

「隠された能力?」
ファングが興味深そうに、ドワーフ親父の顔をみる。

「バイブ機能とか?」
と、月見の真剣な顔…

「そんな事あるかってーの!」

ビシッ、っとファングの容赦無い ツッコミが入る

「はうっ!、バンダナ君ったら、こんな所でっソフトプレイ☆」
ツッコミを入れたはずのファングに対して、月見は妙に嬉しそうなリアクションだ…


「説明してもいいかの?」
じゃれあってる(?)二人を尻目に、ドワーフ親父が説明をはじめた。

「この剣には、魔石を埋め込んであるのじゃ…この柄に彫られた山羊の目の部分の赤
い宝玉の事じゃの…」
オイラは、ゴクリと喉を鳴らす。
オイラもとうとう、魔剣の所有者かっ?

「で、どんな機能なので?、バイブ機能とか……ぐふっ!」
月見の台詞に、すかさず、ファングのツッコミが入り、同じ情景が繰り返されたんだ
けどな…端折らせてもらうぜ。

「うむ…あるキーワードを唱えれば、”それ”は発動するんじゃ…」
もったいぶるような、親父の言い方。

「で、そのキーワードは?」
月見の頭を押さえつけながら、ファングが興味深々とばかりに身を乗り出した。

「ふぐぐっ!!」
頭を押さえつけられた月見が苦しそう(嬉しそう)に呻いてるけど、それ所じゃねー
よなぁ。

「ふむ…”ンルディ”じゃ。」
…発音しにくいじゃねーかっ、と、心で思ったが、口にはしねぇ…オイラは大人だか
らなっ。

「ほれ、唱えてみ☆」
「唱えるのじゃ」
「唱えてみてくれよ。」

3人が急かす…

「そんじゃまー…んんっ、エヘンっ」
咳払いを数回…

「「「早くっ!!!」」」

3人がハモりやがった…そう急かすなって…

「んんっ、あーっあーっ…でわっ……”ンルディ”…っと。」
オイラがそう唱えると、剣に埋め込まれた宝玉がボンヤリと光を放つ。

そして…刀身が赤、青、黄色、緑…と様々な色に変化していったんだ…

「すごいじゃろ…刀身の色の変わる剣じゃて♪」
自信満々なドワーフ親父。

「……それだけ?」
ファングが呆気に取られたような顔で聞くと、「そうじゃ」と、頷く親父。

「凄い凄いっ☆★☆っっ」
反面、はしゃぐ月見。


オイラはどう反応して良いか分からずに、只、呆然と七色に変わる刀身を見続けてい
たんだ…




なんとなく、3人組のチンピラが怒鳴り込んだ気持ちが分かったような気がした
ぜ……

2007/03/09 00:52 | Comments(0) | TrackBack() | ●浅葱の杖
サンポール/月見(スケミ)
◆――――――――――――――――――――――――――――
出演:ワッチ・ファング・月見(アル)
場所:ヴァルカン(『暴れ山羊』
NPC:ドワーフ系の鍛冶屋
◆――――――――――――――――――――――――――――
小屋の中。
鍛冶屋を長年営んでいたであろうその小屋の中はさっぱりとしていた。
鍛冶屋を辞めるため、品物を片付けたからであろう。
今はただ床に散らばる身の回りの生活品と、鍛冶屋であることを示すかまどが残って
いるのみだ。
そのかまどにはしばらく使っていないはずなのに埃がまったく見当たらない。
毎日掃除しているのだろうか。

「おーい!オイラが取ろうか?」

壁に一つだけ、ぽつんとかけられた盾。
それを脚立を使いつつ取ろうと奮闘するドワーフの鍛冶屋の親父。
そんな鍛冶屋の親父にワッチが手伝おうと話し掛ける…が

「い、いやじゃ、これはワシがとるんじゃッ!」

拒否の意志を首の激しい横運動で表す。

「ワシはまだまだ若いモンの力を借りる程おちぶれちゃおらんッ!!」

鍛冶屋の親父は気を取り直しぷるぷると震える腕を盾へと伸ばす。

「…頑固な親父だぜ」

そう言ってワッチは十回目のため息をついた。
これで十回目。
鍛冶屋の親父が奮闘しはじめてから十回程くりかえされた会話である。
充分に盾が取れる高さはあるのだがどうやら鍛冶屋の親父は高い所が苦手らしい。
それはドワーフゆえの身長の低さのせいでもある。
ワッチ達人間にとってはなんてない高さでも彼等にとっては違う世界なのだ。
それに加えて先程の拒否首横運動のせいで気持ち悪さも加わったらしく更に状況は悪
化した。

「高いとこが苦手ならわざわざ高いとこに飾らなくてもなぁ”ンルディ”」

ワッチの背後から中の様子をみていたファングが語尾に違和感を残しつつぽつりとも
らす。
そんなファングを不審がることもなく後ろを向く。

「極限状態が好きなんじゃねぇかな?」
「何かアレだよな~磁石的だか痔客的だかいう”ンルディ”…おおッ?!ワッチん見
てくれッ!!」

ファングはそういって右手にもった魔剣をワッチの鼻先に突き付ける。
あまりの勢いのよさに『鼻先に突き付ける』という文章に相応しく、少しばかり剣の
先端がワッチの鼻先に刺さっている。 
が、やはり趣味が肉体鍛錬のツワモノ。
肉体鍛練という言葉に恥じぬ鍛えっぷりのおかげか血が出ていない。
恐るべし。

「ファング…良く飽きねぇな…」

何より恐ろしいのがちゃっかりと刺してたり刺されてたりするのにさっぱり気にして
ない両者である。

「見てくれよッ!今回のこの色の変わり具合ッ!」

そう言われて面倒臭そうに鼻先に突き付けられた魔剣をみつめる。
ワッチ本人は気付いてないだろうが彼は今、素晴らしく寄り目であった。
真顔で寄り目なだけに妙な威圧感がある。
そんなワッチに寄り目で見つめられている魔剣は刀身の色を赤、黒、黄、茶色、橙色
…その系統の色に次々と変わっていく。

その系統の色。
排泄物系統の色だったりする。

「こいつぁすげぇな…色んな意味で」
「だろッ!?こうむずむずと…」

偶然による排泄物カラーリングに何故かちょっと便意を催しつつ雑談する二人。
そんな中。

「……うっぷ」

ようやくその腕に盾を入手した鍛冶屋の親父の口から危険な呻きがもれる。
リアル排泄物の色というものが拝めるかもしれない。

「そういえば、月見はどうしてんかな」

いまだ変色していく魔剣を見つめるワッチは、ぽつりと呟いた。



ここにも一人、リアル排泄物な人物が一人いた。

「うぃ~★すっきりッ」

月見である。
魔剣の期待の機能がバイブ機能やイボが出たりとかそんな夜の闘い系統じゃなかった
のがよほどガッカリしたらしく、やり場のない切なさが昨日喰いまくった御飯の消化
にまわされたらしい。
…と、いうわけで小屋の裏側にまわって野グソした月見であった。
ちゃっかり野グソ進行中にワッチやファングが乱入してこないかなぁ、という畜生な
展開を期待していたの月見だがそんなことはまったくもってもなかった。

「…っとっと!ちゃんと隠蔽せねばッ!」

とりあえず人気もないのでささっとすまし、野グソ現場に土を盛る。
あまりに臭かったので大量に盛って消臭するために深く深く土を掘る。
掘るったら掘る。
掘る掘る掘る掘るほるほるほるほるほるほる。
ほれほれほれほれほれほれほれほれほれほれ。
みつけろ。
みつけろ、触媒を。
みつけろ、原因を。
白いものがみえる。
臭いが届く。
ナニカが見える。
光が見える。
見つけた。
みつけた。


地中に埋もれていた『ナニカ』を土で汚れた手で引き上げる。
引き上げて、土を払って、それをまじまじとみつめた。
藁で作った簡素な人形。普通の藁人形。
見える。
藁人形の両手にまとわりつくどす黒い邪気を。
人形の内部にはあのドワーフの鍛冶屋のものとおぼしき髪の毛があった。
どうやらここの鍛冶屋が店をたたむ原因になった持ち主が全て死んでしまったという
剣は、この藁人形の呪力によって呪われてしまったらしい。

「………………」

今は離れた故郷の言霊を紡ぎ意識を高め、藁人形を浄める。
藁人形の両手にまとわりつく黒い邪気が空へとのぼっていく。
しかし、これで剣の呪いが解けたかどうかはわからない。
死の影はいつ襲ってくるか分からない。
それは持ち主だけではなく周りの人間をも巻込むかもしれない。
それはとても…

「楽しみは独り占めさせないよ、月見」

月見…アルは呟いた。
いまださらされた野グソの前で。



「大丈夫か?」

突如、月見の視界にワッチの顔がいっぱいにひろがった。
反射的に今までにないほどの接近具合なのを認識し、腰を撫でさすろうとする…が、
すばらしき早さのチョップで阻止された。

「こ、ここはどこですかぃ…ッ?」

頭がぼうっとして今どんな状況におかれているのかわからない月見。
なんせ野グソをした直後あたりから記憶が霞がかかったように思い出せないのだ。
周りをみわたすとそこは先程までいた鍛冶屋の小屋ではなく、ごつごつとした岩がた
くさんある場所だった。
どうやら、町の外れにある山のふもとらしいが…。

「どこって…オイラ達と歩いて到着したばっかじゃねーか」
「え、いやッ、到着っつーかさっきまで鍛冶屋にいなかったっけかッ?」
「オイラより若いのにボケるなよッ。ファング、もっかい説明してやってくれッ」

そういってワッチは少し離れたところで地図を広げ、何やら調べているファングに話
し掛ける。

「ここは浅葱の杖の手がかりがある場所さ。」

続く

2007/03/09 00:52 | Comments(0) | TrackBack() | ●浅葱の杖

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