◆――――――――――――――――――――――――――――
出演:ワッチ・ファング・月見
場所:ヴァルカン
NPC:不審な男×3
◆――――――――――――――――――――――――――――
「何だろ…アイツら?」
がっちりと月見にホールドされてる腕を必死にはがそうとしつつ、ファングが目をこ
らす。
鍛冶屋の前には3人の男がタムロしていた。
その姿、出で立ちは不審も不審。
傭兵なのだろうか、逞しい肉体に生々しく残る傷跡はまだ完治していないらしく、て
らてらと光っている。
纏っている鎧などの装備は、乾いた血のあとや刀の傷であまり意味をなさないものに
なっていた。
まるで戦争の途中から逃げ出したかのようなその出で立ち。
3人の男は、鬼気迫った殺気のようなものを纏っていた。
「ワッチ、アイツら…。」
「ああ、危ないな…。」
警戒する二人。
しかし平凡な女子高生の月見は、ファング達が何を感知したのかわかるはずなくいつ
もの調子である。
地球でのんびりと暮らしていた月見には結構刺激が強い彼等の出で立ちだが、伊達に
『こっち』に来て何ヶ月も旅をしてるだけあり受け入れられるまでにはなっていた。
受け入れついでに思考が変な感じに展開する。
危ない→危険→エロい→変態。
こんな風に。
「危ない…そ、そんなに変態臭いヤツらなのオヤジ殿にバンダナ君ッ?!」
月見こわーい、とかほざきつつも何か月見は嬉しそうだ。
仲間発見がそんなに嬉しいのか。
そんな月見の言葉にワッチが男達をじっくりと凝視する。
「あー、おー、んー。」
やがて何かに納得したように謎の呻きを漏らしつつ頷いた。
「確かにアイツ、自分の下着の匂い嗅いで喜んでそーなカオしてんなー」
「おっ、確かにそんな顔してるかも…」
「ぬおおおッ!これは危ないッ★」
一番右端の男を指差し言うワッチに二人も同意する。
同意した勢いでファングとワッチが感じた鬼気迫った殺気のようなものが鬼気迫った
変態オーラへと変換されていく。
というか、『自分の下着の匂い嗅いで喜んでそーなカオ』とはどんな顔だ。
「あ、あとアイツッ」
お次はファングが左端の男を指差す。
「ベットの下にエロ本隠して母親に見つかってそうっ」
「んでもって気付いたら机の上におかれてんだろ?オイラならもっと上手く隠すぜッ」
「だよなぁ!ベットの下ってバレバレだって!!」
はっはっはっは!
思わず何かに勝ち誇ったような男らすぃ笑い声をあげる二人。
あくまで二人。
一人、足りない。
「ふ、ふふふふ…っ★」
その一人…月見は、一人居心地わるそうにありもしない方向へと視線をめぐらせてい
た。
「まさか、月見…お前…!」
月見が沈痛な空気を発している。
まるで、デパートの迷子放送で自分の名前が呼ばれた時のように。
月見の頭の中では、地球にいたころの記憶がビデオテープのように流れていた。
◇
「ただいまーッ★」
いつものように大きな声で言うと台所の方から赤毛の青年が出てくる。
月見の家に居候しているイフリートだ。
(お?)
いつもとは違うイフリートの行動に月見は少し驚いた。
いつもならば台所から「おせぇよー」なり「靴そろえろッ」等の罵声が飛んでくるの
だが、今回はわざわざ玄関まで出てきたのだ。
「……………………。」
イフリートは何ともいえない複雑な視線で月見を凝視し…台所へと戻っていった。
(????????)
わけのわからない月見。
もしやこれはラブコールかッ?!とか思ったがそれはあまりにも美味しい展開なので
無理だ。
とりあえず荷物を置こうと自分の部屋に行く。
電気をつけると、何か違和感があった。
部屋が綺麗になっている。
学校へと出かける前の月見の部屋はまるで樹海のようだったのに対し、今の月見の部
屋は普通の女子高生の部屋である。
しかし、違和感はそこだけではなかった。
机兼こたつの上に何かが高く積み重ねられていた。
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
それを認識した瞬間、月見は声にならない悲鳴をあげた。
月見秘蔵のエロ本である。
しかも本棚にしまってある普通のエロ本(?)とは異なり、かなりアレソレコレなも
のであった。
しばし硬直。
そんな月見に追い討ちをかけるように、誰かが後ろから月見の肩を叩いた。
かなり固いロボットのような動作で振り返るとそこにはゲッソリとした顔のイフリー
ト。
彼はただ一言、こう言った。
「…せめてもうちょっと上手い場所に隠してくれ。お願いだから」
◇
無駄に長い回想に思わず切なくなると同時に月見が反撃に出る。
「ベットの下のナニが悪いってのよっ!エロ本っつえばベットでしょーなッ★ベット
の下が一番アレソレコレソレ都合がいいはずッ!!」
どんな都合だ。
「でもベットの下はちょっとなぁー。お宝はもっと上手に隠さなきゃ、な、ワッチ。」
「だなっ。見つけてくれっつってるモンだぜー?」
お宝なのかどうかはさておき、あっさりと反撃返しされる月見であった。
このままでは何かのメンツが潰れそうなので話題を変えようとする。
「そ、そそそそそそーいえば、あのまん中のマッチョさんさぁッ★」
そう言って月見は3人の不審な男の内、ドアの前に立っている男を指差した。
その言葉にファングとワッチの二人が男に注目する。
「なんかサディストスメルがプンプンですわよっ!剣なんか抜いてまさにハァドSM盛
り沢山コース一万円ッ★」
「なんつーかSMっつーか」
ワッチが眉をひそめる。
「今すぐ鍛冶屋を襲撃しそ……ッ?!」
ファングの言葉に思わずハッとする月見とワッチ。
何時の間には男達は武器を抜き、戦闘体勢をとっている。
どうやら、男達は鍛冶屋を襲撃する気らしい。
それを認識したファング達は橋を渡って鍛冶屋へと走り…
がすっ。
言葉をかけるより先に男達にとび蹴りをかましていた。
続く
出演:ワッチ・ファング・月見
場所:ヴァルカン
NPC:不審な男×3
◆――――――――――――――――――――――――――――
「何だろ…アイツら?」
がっちりと月見にホールドされてる腕を必死にはがそうとしつつ、ファングが目をこ
らす。
鍛冶屋の前には3人の男がタムロしていた。
その姿、出で立ちは不審も不審。
傭兵なのだろうか、逞しい肉体に生々しく残る傷跡はまだ完治していないらしく、て
らてらと光っている。
纏っている鎧などの装備は、乾いた血のあとや刀の傷であまり意味をなさないものに
なっていた。
まるで戦争の途中から逃げ出したかのようなその出で立ち。
3人の男は、鬼気迫った殺気のようなものを纏っていた。
「ワッチ、アイツら…。」
「ああ、危ないな…。」
警戒する二人。
しかし平凡な女子高生の月見は、ファング達が何を感知したのかわかるはずなくいつ
もの調子である。
地球でのんびりと暮らしていた月見には結構刺激が強い彼等の出で立ちだが、伊達に
『こっち』に来て何ヶ月も旅をしてるだけあり受け入れられるまでにはなっていた。
受け入れついでに思考が変な感じに展開する。
危ない→危険→エロい→変態。
こんな風に。
「危ない…そ、そんなに変態臭いヤツらなのオヤジ殿にバンダナ君ッ?!」
月見こわーい、とかほざきつつも何か月見は嬉しそうだ。
仲間発見がそんなに嬉しいのか。
そんな月見の言葉にワッチが男達をじっくりと凝視する。
「あー、おー、んー。」
やがて何かに納得したように謎の呻きを漏らしつつ頷いた。
「確かにアイツ、自分の下着の匂い嗅いで喜んでそーなカオしてんなー」
「おっ、確かにそんな顔してるかも…」
「ぬおおおッ!これは危ないッ★」
一番右端の男を指差し言うワッチに二人も同意する。
同意した勢いでファングとワッチが感じた鬼気迫った殺気のようなものが鬼気迫った
変態オーラへと変換されていく。
というか、『自分の下着の匂い嗅いで喜んでそーなカオ』とはどんな顔だ。
「あ、あとアイツッ」
お次はファングが左端の男を指差す。
「ベットの下にエロ本隠して母親に見つかってそうっ」
「んでもって気付いたら机の上におかれてんだろ?オイラならもっと上手く隠すぜッ」
「だよなぁ!ベットの下ってバレバレだって!!」
はっはっはっは!
思わず何かに勝ち誇ったような男らすぃ笑い声をあげる二人。
あくまで二人。
一人、足りない。
「ふ、ふふふふ…っ★」
その一人…月見は、一人居心地わるそうにありもしない方向へと視線をめぐらせてい
た。
「まさか、月見…お前…!」
月見が沈痛な空気を発している。
まるで、デパートの迷子放送で自分の名前が呼ばれた時のように。
月見の頭の中では、地球にいたころの記憶がビデオテープのように流れていた。
◇
「ただいまーッ★」
いつものように大きな声で言うと台所の方から赤毛の青年が出てくる。
月見の家に居候しているイフリートだ。
(お?)
いつもとは違うイフリートの行動に月見は少し驚いた。
いつもならば台所から「おせぇよー」なり「靴そろえろッ」等の罵声が飛んでくるの
だが、今回はわざわざ玄関まで出てきたのだ。
「……………………。」
イフリートは何ともいえない複雑な視線で月見を凝視し…台所へと戻っていった。
(????????)
わけのわからない月見。
もしやこれはラブコールかッ?!とか思ったがそれはあまりにも美味しい展開なので
無理だ。
とりあえず荷物を置こうと自分の部屋に行く。
電気をつけると、何か違和感があった。
部屋が綺麗になっている。
学校へと出かける前の月見の部屋はまるで樹海のようだったのに対し、今の月見の部
屋は普通の女子高生の部屋である。
しかし、違和感はそこだけではなかった。
机兼こたつの上に何かが高く積み重ねられていた。
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
それを認識した瞬間、月見は声にならない悲鳴をあげた。
月見秘蔵のエロ本である。
しかも本棚にしまってある普通のエロ本(?)とは異なり、かなりアレソレコレなも
のであった。
しばし硬直。
そんな月見に追い討ちをかけるように、誰かが後ろから月見の肩を叩いた。
かなり固いロボットのような動作で振り返るとそこにはゲッソリとした顔のイフリー
ト。
彼はただ一言、こう言った。
「…せめてもうちょっと上手い場所に隠してくれ。お願いだから」
◇
無駄に長い回想に思わず切なくなると同時に月見が反撃に出る。
「ベットの下のナニが悪いってのよっ!エロ本っつえばベットでしょーなッ★ベット
の下が一番アレソレコレソレ都合がいいはずッ!!」
どんな都合だ。
「でもベットの下はちょっとなぁー。お宝はもっと上手に隠さなきゃ、な、ワッチ。」
「だなっ。見つけてくれっつってるモンだぜー?」
お宝なのかどうかはさておき、あっさりと反撃返しされる月見であった。
このままでは何かのメンツが潰れそうなので話題を変えようとする。
「そ、そそそそそそーいえば、あのまん中のマッチョさんさぁッ★」
そう言って月見は3人の不審な男の内、ドアの前に立っている男を指差した。
その言葉にファングとワッチの二人が男に注目する。
「なんかサディストスメルがプンプンですわよっ!剣なんか抜いてまさにハァドSM盛
り沢山コース一万円ッ★」
「なんつーかSMっつーか」
ワッチが眉をひそめる。
「今すぐ鍛冶屋を襲撃しそ……ッ?!」
ファングの言葉に思わずハッとする月見とワッチ。
何時の間には男達は武器を抜き、戦闘体勢をとっている。
どうやら、男達は鍛冶屋を襲撃する気らしい。
それを認識したファング達は橋を渡って鍛冶屋へと走り…
がすっ。
言葉をかけるより先に男達にとび蹴りをかましていた。
続く
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