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2024/05/17 03:38 |
6.イカレウクレレレレレル<敵の兵士達を叩け! >/ウピエル(魅流)
PC:イカレ帽子屋、ウピエル
NPC:兵隊s、リーゼロッテ
場所:断崖の国コモンウェルズ "病院"~宿屋
--------------------------------------------------------------------------------
 ウピエルはほとんど無意識に短剣を創り出し、切りかかってくる警備兵達をあしらい始めた。作り出したのは五指剣、チンクエディアと呼ばれる幅広を刀身を持つ短剣なのだが、装飾が通常のソレと大きく異なっていた。チンクエディアという短剣は鍔元から刃先に向かって三段階に分かれていてそれぞれに5本、3本、2本の溝が刻み込まれているのが特徴なのだが、そういう溝がまったくなく、銀色の刀身が輝いている。だから、正確に言えばそれは五指剣ではなく、ただの幅広い刀身を持つ短剣に過ぎない。
 室内で取り回しの効き辛い長柄物は使わないという事くらいは考えているのか、襲い掛かってくる警備兵達は全員ショートソードとラウンドシールドと呼ばれる円形の盾で武装している。連携は常に左右正面の同時に三名。タイミングを合わせたりずらしたりしながらウピエルを狙ってそれぞれのショートソードが鈍色の線となり、幾何学模様の軌跡を残す。その全てを避け、あるいは弾きながら襲ってくる警備兵の腕を狙って刃を繰り出す。
 腕――もっと言うと、筋肉の薄い関節部分、そこを通る腱を断ち切るのがウピエルの狙いだ。剣を繰り出し、腕が伸びきった所で悠々と腱をプツっと斬る。ショートソードよりもさらに短く、それだけ小回りが効く短剣の攻撃を攻撃を空ぶらせた直後の人間が避ける事なんてできはしない。次々と斬りかかる警備兵達が腱を切られて蹴り飛ばされ、あっというまに廊下の両隅に人山が築かれていく。ほんのすこし、余計な部分を切って付いた血が刀身に染み込み、赤く蝙蝠の模様を描き出す。肉眼ではよくみないと分からないくらいに浅く細く刀身に刻まれた溝に血が流れ込む事によって、蝙蝠の群が紅く浮かび上がるようになっているのだ。
 この短剣はウピエルが鍛冶修行をしていた頃の末期に仲間と共同で創ったモノで、実物はウピエルの屋敷に保管してある。構造や装飾を手にとるように思い出せるこの短剣は、鉄器製造で創られる回数がもっとも多いモノの一つだ。
 大体1分が経つと、鉄器製造で創った武器は消える。コレは全鉄製のショートソードサイズが目安の時間で、これよりもサイズが小さくなるほど時間は伸び、余計なものを追加すると時間は減る。
 この短剣は短いが柄布などを使っているので、やはり1分くらい経つと消えてしまった。

 生み出されては消えた武器が五本を数えると、最初の頃は短剣だったのが腱を狙って斬るのが面倒になったらしく、創り出される武器は打撃武器へと変わって行った。
 今ウピエルがその手に握っているのは"微塵"と呼ばれる、三つの鎖付き鉄球を大きめの鉄の輪で一つに束ねている武器だ。本来は投擲して使うモノなのだが、やや変則的なヌンチャクとして使用しても十分に強力だ。遠心力を掛けられた鈍色の旋風はその範囲の中にあるものをことごとく弾き飛ばしていく。

 結局、立ち塞がる全ての警備兵を殺さずに薙ぎ倒し、ウピエルと帽子屋は堂々と"病院"を後にしたのだった。

                ★☆◆◇†☆★◇◆

 翌日、ウピエルは部屋のドアがノックされる音で目を覚ました。「おはようございます」という丁寧な挨拶と共にカーテンを閉め切った薄暗い部屋に入ってきたのは、彼にとってこの断崖の国における唯一の知り合いであるリーゼロッテだ。昨日と同じ装束に身を包み同じ鞄を提げている所を見ると、恐らくはまた広場に子供の面倒を見に行くところなのだろう。

「おはよう、何か俺様に用事か?」

 少し呼吸が荒いリーゼロッテにこの部屋唯一の椅子と部屋においてあったお茶を勧め、ウピエルはベッドに腰掛けた。
 言われるままに椅子に座ったリーゼロッテは深呼吸をして息を落ち着かせた。赤い頬といい荒い呼吸といいまるで走った後のような様子だが、そう言い切るには何故か違和感を覚える。ウピエルはその理由を探そうとして――息を整えたリーゼロッテが口を開いた。

「朝早くにごめんなさい。私がお勤めに出るのがいつもこの時間なので……」

「いや、むしろ早起きは三文の得っていうしな。起こしてくれてありがとよ」

「それならよかったのですけど……」

 一応会話は成立しているが、リーゼロッテは目もぼうっとしていて意識もどこかうわのそらに見える。体調でも悪いのかと聞こうとして、ウピエルはようやく先ほどからの違和感の正体に気がつく。

 突然、糸がプツンと切れたようにリーゼロッテの体から力がぬけ、テーブルに倒れこんだ。コップに入っていたお茶がこぼれたお茶がリズの腕に掛かり、ジュという音を立てて蒸発する。――なんてこった、間違いなく人間の体温じゃネェ。

 彼女に何が起きているのか……考えるまでもない。昨日"病院"の奥で見た光景がウピエルの頭をよぎった。
 体中の鳳凰の因子が活性化する事によって起きる発火現象。このまま体温が高まり続けるとそう時間を必要とせずにリズは炭素の塊へと成り果てるのだろう。むしろ、水が蒸発するような体温でもなお生存している今の状況が既に奇跡だ。

 しかし、この世の中に奇跡などという都合のいいものはない。思いだせ、"病院"の子供達はけして炭にも灰にもなっていなかった。
 自らの身を炎で焼き尽くす鳳凰なぞ存在しないというのなら。彼らの体が炎に屈しないと言うのなら。
 その血肉を引き継ぐ人間もまた、引き継いだ分だけ火に耐性を持つのではないか。

 そして、その事実は残酷な現実を物語る。
 完全にではなく、ある程度までの火や温度に耐える体を持った人間は、本来ならばとっくに死んでしまうような高温でも死ぬことはできず、完全ではなくある程度までしか耐えない体は最後には結局熱に屈服してしまう。ソレが意図されたものかどうかはわからないが、結果としてそれは神殺しをやってのけた人間の一族に与えられた呪いだ。
 殺された鳳凰の無念が、永い時を越えて今リーゼロッテの体を焼いているのだ。

 完全に意識を失ったリーゼロッテをベッドに寝かすと、ウピエルは氷を確保するべく厨房へ向かう。焼け石に水だろうが、とりあえず意識が戻ればそれでいい。
 岩壁に宿らせた精霊で状況を見守る女王はすでに配下のモノをこちらへと向かわせているだろう。その前に、ウピエルはどうしてもリーゼロッテに聞くべき事があった。

 無事氷を手に入れ、自室へと戻るウピエル。
 そして、その扉の前にはイカレ帽子屋が待ち構えていた。
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2007/02/11 23:02 | Comments(0) | TrackBack() | ●イカレウクレレレレレノレ
7.イカレウクレレレレレル<贄の断崖 >/イカレ帽子屋(Caku)
場所 :断崖の国コモンウェルズ
PC :イカレ帽子屋・ウピエル
NPC:女王マルガリータ・少女リーゼリット
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--------------------

ウピエルは女王の元に殴りこみにいったようだ。
でも、おそらく間に合わないだろう。数百年の時間で進化は終わり、数千人の
子供の贄によって炎を宿す資質は完成された。一つの生命が進化の系譜を変え
るのに、ここまで来たのだ。

女王の高笑いする幻聴が聞こえてきそうだった。

                   □□□□


「私、死んじゃうのでしょうか…?」
意識が戻ったリーゼリットは、ぼんやりと天井を見上げながら呟いた。

「このままでは、そうなるでしょうね」
まったく配慮の欠片もない返答をしたのはイカレ帽子屋だった。即席相棒たる
吸血鬼は野暮用といって外に出てしまった。必然的に二人だけの会話となる。

「死が怖いのですか?」
「…このまま私は燃えて、灰になってしまうのでしょうか…そうして、死んで
しまうの?」

呼吸も苦しいのか、熱に浮かされた頭で必死に言葉を紡いでいる。
今も少女は灼熱の地獄を彷徨っている。だが隣の青年は同情もせずに笑った。

「貴女は、終わる。けれど別のモノが始まるのでしょう」
「別、の…モノ?」
「平たく言えば、太古の生物の遺伝子が発現して現在の遺伝子を生きたまま
組み替えているということです。生きながらに別のモノに変わっていく気分
はどうですか?」
「………」

苦しそうに瞼を閉じた娘の額の氷嚢を取りあげると、すでに温い温度に変わ
っていた。それくらいはしてやろうと、帽子屋は席を立とうとし、細い手が
裾を掴んでいた事に気がついた。

「教えてください」
「…何を?」
「見知らぬ方…私達の知らないこと、知ってらっしゃるのでしょう?」
「………」
「見てください」

リーゼリットが捲り上げた腕。
汗に塗れ、衣服の裾から見える腕はあまりにも大きかった。それは、黄金の
羽毛だった。

「…五年前くらいでしょうか?
私は父さんと母さんと三人の妹と末の弟と暮らしてた。その頃空を飛ぶ夢を
よく見たんです。
ある朝、目が覚めてみれば羽が生えていた。女王様の衛兵が“貴女は選ばれ
た者だ”って言って私を神殿まで連れていった。
女王様は約束してくれた、私が神に生涯仕える間は家族に有り余るほどの食
事と水をくれる、と」

帽子屋が目を細めた。
よく見れば、その少女の瞳には人間にはありえない水晶体の形をしていた。
鳥の瞳のような細い虹彩が揺らめいている。
少女はほとんど自覚していた。自分の身に起こり、やがて来るであろう未来
を。

「…鳳凰になっても、神様になっても、私は父さんや母さんを覚えていられ
るのでしょうか?
人との繋がりなど、神の心には不要かもしれません。…人でなくなることは
怖いですが」

一言区切って、少女はうっすら涙を浮かべた。

「それより何より、大好きな家族を忘れてしまうことが、もっと怖いんで
す…」


                   □□□□

「これはこれは…ウピエル殿、かような慌て様いかがしました?」
「やっぱ、お前が黒幕かよ」

十八人目の兵士が倒される音が、大広間に響いた。
敬語ですらない青年に、さして気にせずに鷹揚に頷く女王の美貌があった。

「事件は解決しましたか?」
「お前を倒せば、な!」

常人では認識できない速度で投げつけられた短剣は、女王の頬を浅く掠めた。
切り裂いた頬から赤い血が流れ、だが女王は嫣然と微笑んでいた。

「なるほど…子供が【再生】の遺伝子を覚醒させ、大人が【不死】の遺伝子
を覚醒させるっつうことか」
「吸血鬼殿、それは誤解だ。
不死、とは死なぬことよ。それは【再生】遺伝子が完全でなければならない」

傷口が瞬時に塞がっていく。元通りの白く滑らかな薔薇色の頬に朱色の血が
輝いた。

「我らの【不死】など所詮、時間稼ぎ。数回程度心臓をもぎ取ってしまえば
事切れる程度。かといって子供の体では遺伝子の改変に耐え切れずに自滅し
てしまう。はて、嘆かわしいことです」

兵士が続々と集まる広間。
ウピエルは構わずに、短剣の切っ先を女王に向ける。

「次は本気でやるぞ。リーゼリットはどうすれば治る?」
「治る?これは病気ではない、進化だ!我らは人と神を繋ぐミッシング・リ
ングだったのだ。
そして失われた進化はようやく埋まり、私たちは新たなる神の一つとなるの
だ!」

ウピエルは鼻で笑った。

「神様なんて笑わせる。てめぇの神様ごっこのためにどんだけの子供達が蜿
蜒(えんえん)と苦しませた?正気の沙汰じゃねぇ」

ウピエルの反抗にも眉一つ動かさずに、穏やかに微笑み続ける女王マルガリ
ータ。
その余裕がウピエルには分からなかった。相手は自分の力量を軽視している
だけだろうか?兵士の力があるといっても、一般人とウピエルの戦闘能力は
歴然だ。

「駒の配役が逆になってしまったが、まぁいいでしょう。
今頃リーゼリットはすでに祭壇へ捧げられているはず」
「何だと?」

マルガリータは白い喉を逸らせながら笑った。

「【外】の国々が邪魔者を送り込んできたことはお前が来るより先に知って
いたこと。
【外】の邪魔者…あの不気味な喪服男は我らの内情を通敵し、【外】へと垂
れ流すためにやって来たのだ。たかが調査員の失踪事件程度では国は動かぬ
、その裏には【鳳凰】を手に入れようとする【外】の愚かな俗界の魂胆が透
けて見えるわ!」

哄笑しながら、女王の凄惨な美貌が歪んだ。

「だが我が国には未だ【鳳凰】は目覚めていなかった。
だからあの喪服男は【神】の可能性のあるリーゼリットに近づこうとしたが
、先にお前が接触してしまった、ということだ。あの喪服男の狙いはお前の
注意を我らにむけ、自分はのうのうと【神】を覚醒させて【外】の俗界から
【神の情報】を高値で売りさばくつもりなのだよ!」


                   □□□□

向こうと自分は利害は一致した。
【神を目覚めさせること】…その点においてはイカレ帽子屋と女王マルガリ
ータは暗黙の了解を互いに交し合っていたのだ。

帽子屋は特定の国家に属してはない。彼が考えるのは己が利益のみ。
だから、リーゼリットには【鳳凰】として覚醒してもらったほうが、この依
頼の情報量と価値は格段に跳ね上がり、いくらでも他国家は湯水のように金
を貢だろう。それで国同士の戦争が始まろうが、この国が滅ぼうが特に問題
はない。

「…帽子屋さん…ご、ごめんな、さい…少し…」

問題は、無いはずだけれど。

「さすがに高熱の貴女に山登りはきつそうですね」

伝承では神の剣といわれる幅の細い岩山。中は空洞であり、そこはコモンウ
ェルズでも聖域として扱われているため、滅多なことでは足を踏み入れるこ
とは許されない。

「休みましょうか?頂上はもう少しですから」
「…へ、へい…気です…」

衣服を引きずりながら、熱っぽい呼吸を繰り返す少女。
もうすでに覚醒しているのに、まだ少女の意識があるからその体は人間のま
ま発熱している。生き地獄だろうに、ただ汗を流しては足を動かす。

「…逃げないのですね」
「帽子屋さん、言ったじゃないです、か…一人誰かが神様になれれば、発火
現、象…収まるって…」

発火現象の特徴は、まるで伝染病のように発病した子供に親しくしていた子
供へと鎖のように繋がっていた。恐らく、一度発症するとなんらかの要素で
近い個体も同じように変化を促されるのだろう。
つまり、発火現象の究極たる【鳳凰復活】が発現すれば発火はそこで止まる。
社会的集団要素に近い共有現象がそれを引き起こしているのだろうと見た帽
子屋は、つまり一度誰かが“完成”されれば、その他の個体の症状は徐々に
治まると仮説を立てた。

もちろん、ただの仮説だ。


『みんなが苦しんで死んでいくよりも、私が両親や妹、弟達を思い出せなく
なるぐらいですむのなら』


少女は笑った。
澄み切った清流のように透明な笑顔で。
リーゼリットには【鳳凰】として覚醒してもらったほうが、この依頼の情報
量と価値は格段に跳ね上がり、いくらでも他国家は湯水のように金を貢だろ
う。

…それで国同士の戦争が始まろうが、この国が滅ぼうが特に問題はない。

「…リーゼリットさん、しばらく我慢してくださいね」
「…わっ」

軽い少女を背中におぶって、また聖域の階段を上がっていく。
それぐらいの力は一応ある。始めリーゼリットはもぞもぞしていたが、高熱
と疲れのためにすぐにぐったりとおとなしくなった。
しばらくはどちらも口を開かずに、黙々と歩き運ばれる。

「…帽子屋さん…、ウピエルさんに、ありが…とうって伝えて、ください
ね…」
「神の言葉ですから、必ずや」

くだらない冗談に、リーゼリットは笑ったようだ。
靴裏がかつんと、違う地層に触れた。そこは最上階、整備され高価な玉が敷き
詰められた祭壇の広間だった。

「さて」

少女を広間に下ろすと、殺気じみた気配が横を掠めた。

「…マルガリータも口ほどにもない。足止めどころか先回りされているじゃな
いですか…」

苦笑ついでに、真っ赤な口腔を三日月に裂きながら、祭壇のステンドグラスを
仰ぎ見た。
光を透過させるガラスの絵画の真ん中に、切り取ったような長身の影。
金髪の下の瞳が、無造作に二人を見下げていた。


2007/02/11 23:03 | Comments(0) | TrackBack() | ●イカレウクレレレレレノレ
8.イカレウクレレレレレル<人間脱出作戦 >/ウピエル(魅流)
場所 :断崖の国コモンウェルズ 祭壇の間
PC :イカレ帽子屋・ウピエル
NPC:女王マルガリータ・少女リーゼリット
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「何かいいてェ事はあるか」

 少女を下ろした帽子屋を、押し殺した声が糾弾する。祭壇へと上がる階段の半ばにある
踊り場で仁王立ちする吸血鬼からは収容所に突入した時ですら纏っていた軽い空気はまっ
たくと言っていいほど感じれなくなっていた。

 しばらくの間、吹き抜ける風の音だけが場を支配する。睨み合う金髪の男と三日月の笑
みを浮かべた男。一足飛びに高まっていく緊張がその場にいる全員にプレッシャーを掛け
る。

「あの、ウピエルさん……違うんです」

 弱弱しく口を開いたのは二人のある意味中心にいる少女。熱にうかされ、体力を奪われ
ながらもこれは自分の意思で決めた事だと必死に語ろうとする。そんな健気な姿を見せる
少女に、吸血鬼は一瞬だけ憐れむような目を向け……その瞳が不気味な紅い光を発する。
魅入られたようにその瞳を数秒見つめた少女は、意識を失い地面に倒れ伏した。

「支配の魔眼ですか……。貴方も容赦がありませんね」

「信じてたモンに裏切られるっていうのは辛いもんさ。夢でも見せとくのが優しさっても
んだろ?」

「おや、私はただ彼女の意志を尊重しただけなのですが。裏切りとは心外ですね」

「ハン、限定した情報しか与えないでそう決意するように誘導したヤツが言う台詞じゃ
ねーな」

 言葉をやり取りするたびに黒衣の男の唇は吊り上がっていく。それはたとえるならばま
るで仮面のような笑み。口がない顔に裂け目ができたような印象さえ与える笑みを浮かべ
て、情報屋は淡々と相手の急所へ言葉のナイフを突き刺していく。

「それで、それを知った貴方はどうするのですか?ここではロクに吸血鬼としての力を振
るえない貴方が」

 ゆっくりと階段に向けて歩き出すマッドハッター。両手を大きく広げ、まるで舞台上の
俳優のように大仰な仕草と台詞回しで語りかける。

「気付いているのでしょう?この祭壇の間はかつて死した鳳凰の屍骸を組み合わせて造っ
たものだ。力を受け継ぐ彼女がこの場にいる以上、不死の鳥もまたかつての力を取り戻す。
……そして、貴方は他者の生命の中では力を振るえない」

 コツ、コツ、コツ……

 ゆっくりと階段を上る帽子屋に対して、ウピエルはただその顔を睨み付けるのみだ。二
人の距離が徐々に縮まっていく。

「……先程の魔眼で相当に力を消耗したのでしょう?いつもならすぐ回復する力も、ここ
ではそうはいかない。その状態で、この国の全てを相手にして戦い抜けますか?……いく
ら貴方といえども、無理でしょう。それともただ一人の少女への同情の為にここでその数
百年の生を散らせますか」

 コツ、コツ、コツ。

 そして、ついに二人は踊り場で対峙する。

「言いてぇ事は、それだけか――」

 例えるならばそれは暴風。返事を待たずに繰り出された右手は逆らうもの全てを打ち砕
く風となって帽子屋へと襲いかかった。
 踏み込んだ右のストレートが帽子屋の前髪をハジく。右手を引っ込めながら体全体を回
転させるようにして放たれた左フックは外套をはためかせるだけに終わった。突き込むよ
うな左肘は風圧が胸を軽く撫でる程度に止まり、体重を乗せた右のハイキックはバックス
テップで避けられ空を切った。

「この国の女王が何を企もうが知ったこっちゃねェ」

 一度連撃を止め、呟く様に言葉を吐き出す。

「あの娘が何を思って自分を犠牲にするのかも俺様には関係ねェ」

 祭壇の間の入り口で倒れ伏す少女に少しだけ視線を送る。深紅を通り越して黄味を帯び
ていた眼が、ほんの少しだけ生来の青い輝きを取り戻した。

「だが、てめぇのその遣り口だけはどうにも我慢がならねェ」

 瞳孔が窄まり、再び深紅に燃える熾火のような瞳を喪服色の衣に身を包む男へと向ける。

「おお怖い。私の専門は情報戦だといいますのに」

 言いながら、杖の中に仕込まれていた細身の剣を抜く。剣先をウピエルに向け、構える
姿は数刻前とは違い、まったく隙がない。何も考えずにその間合いに飛び込めば秒も経た
ずに寸刻みにされるような、そんな静かな気迫が感じられる構えだった。

 それを知ってなお、ウピエルは無造作に間合いを詰める。その手に何かしらの武器が握
られる事はなく、無手のままずかずかと歩を進めていく。
 ここに来て、今まで余裕の表情を浮かべていた帽子屋の笑みが凍りつく事になる。

 間合いに入ると同時に躊躇う事なく繰り出される突き。吸血鬼の弱点と言われる心臓部
目掛けて銀閃が疾走る。だが、帽子屋の小剣が吸血鬼の心臓を捕らえる事はなかった。タ
ンッと軽い音がしてウピエルの体が横に大きく跳ね、剣の間合いの外へと飛び出して行く。

「ッ!」

 踏み込んで追撃するか否か――対応を逡巡する間にもウピエルは獣じみた動きで再び剣
の間合いへと飛び込み、低い姿勢から帽子屋の顔に目掛けて拳を突き上げた。その動きは
先ほど衛兵達をなぎ倒した動きから比べると見る影もなく、帽子屋はヒラリとステップを
踏んであっさりとその奇襲を躱す。

 遠くからみると二人の動きはまるで舞いを舞っているかのようだった。お互いがお互い
の攻撃を予定調和のうちとでも言うように余裕を持って躱していく。階段の踊り場という
狭い舞台で、その舞はいつまでもいつまでも続くかのように思えた。

「ほっほっほ。やっておるのぅ」

 二人の舞踏を遮る声。いつの間にか祭壇の間の入り口に現れたのは一言で言うのならば
化け物。顔こそ人間の女性だが、体から下は鳥のそれになっていて、羽根の変わりに腕が
生えている。足も鳥のそれだが、靴を履ける程度には人間らしさが残っている。何もしら
ない子供が鳥人間と言われてイメージした絵そのもののような姿がそこにはあった。

「どうした、鳩が豆鉄砲を食らわされたような顔をしおって。妾が姿を見せるなぞ過去数
百年なかった事。自分の幸運にとくと感謝せよ」

 二人とも、その姿にこそ見覚えはなかったものの声には聞き覚えがあった。

 一般人なら知る事もないような国に異邦の者を招いた人。神を殺しその力を我が物にせ
んと企む者。この国で起きた災いの元凶。この国を統べる存在。黒幕。

「女王……ピザ・マルガリータ!」

「フン、下等な化け物風情がみだりに妾の名を口にするでないわ……まぁ、今の妾はとて
も機嫌がいいので特別に許してやろう。重ね重ね己が幸運に感謝せよ、吸血鬼」

 入り口から現れた女王は倒れる少女を抱きかかえ、一息に祭壇まで跳躍した。

「ふふふ、この日をどれだけ待ち侘びた事か……この娘の血肉を食らって妾はようやく真
の神となるのじゃ」

 懐からナイフを取り出し、リーゼロッテが纏う服を切り裂きながら女王は哄う。魔眼の
力によって強制的に眠りに付かされている少女はピクリとも動かず、すぐに準備は整った。

「女王様――」

「なんじゃ、情報屋。そういえば、汝には礼を言わねばならんな。こうして妾が神になれ
るのも汝のお陰。褒美なら後で望むほど取らせようぞ。……なんじゃ、それとも妾が嘘を
ついたと憤っているのかや?巫女を祭壇の間へ連れてくれば彼女は神となり救われる、そ
う申した妾の言葉が嘘だったと」

 目的を八割達成した余裕の成せる業か、女王は熱にうかされたように饒舌だった。

「だとすればそれは言い掛かりもいいところじゃ。事実、巫女は妾の血肉となる事で神の
一部となるのじゃからな!これを救いと呼ばずしてなんと呼ぼうぞ」

 目深に被ったシルクハットの下でイカレ帽子屋がどういう表情をしているのか、高い位
置にいる女王は見る事ができない。だが、そこにあるであろう苦渋の表情を想像するだけ
でもマルガリータは十分な快感を味わう事ができた。Aランクの情報屋といえど所詮は自
分の掌の上と思うだけで自分の偉大さがわかろうというものだ。ひたすら自己陶酔に浸る
女王は、だからシルクハットの縁からわずかに見える三日月の笑みについぞ気づく事がな
かった。

「汝らはそこで指を銜えて見ているがよい!これで妾は永久を生きる神となるのじゃ!」

 言うが早いか、女王は手馴れた手つきで少女の生命の源、心臓を抉りだし齧り付く。生
肉を咀嚼し、飲み込む嫌な音が祭壇の間に響き渡った。いつの間にか風もやみ、まるで女
王以外の者の時が止まってしまったかのような錯覚すら与える。

「ふふふ、はははははは、ふははははははははははは!!」

 ボッと音を立ててリーゼロッテの体が炎に包まれる。

「力が、力が妾に流れこんできよるわ!これが神の力か!ははははっ」

 力を得た自分を確かめるかのように自分の姿を検める女王。そして、その目は次に踊り
場へたつ二人へと向けられた。

「……そういえば、褒美をくれてやる約束じゃったな。この度のそなたらの働き、見事で
あった。褒美として妾が得た神の力を思う存分味あわせてやろう。全身全霊で受け止める
がよいわ!」

 言いながらかざす女王の手に炎が球状になって集まっていく。それは全てを焼き尽くし
浄化する鳳凰の炎。直撃すれば例え火山の溶岩の中に棲む火トカゲであろうとも消し炭に
なるだろう。

「どうせなら、どうしてわざわざ俺様を呼び出したのかを教えて貰いたいね」

 諦めたように肩を竦めながら言うウピエル。今にも火球を放とうとしていた女王は、少
し考えてからその願いを聞き届ける事にした。

「……冥途の土産がほしいと申すか、よかろう。汝をわざわざこの国に呼び出した理由は
ただ一つ。不浄なる化け物の分際で永世を生きているのが許せなかったからじゃ。不死は
神にのみ与えられた特権、汝如きが享受してよいものではない。ならば、妾が神の力を持
ってその思い上がりを糺してやらねばなるまい?妾直々に断罪してやろうと言うのじゃ、
感謝するがよい」

 余裕の表情を浮かべて吸血鬼の罪についてとくとくと語るマルガリータ。だが、次の瞬
間その余裕は凍りつく事になる。

「……なるほど、つまり、アンタは、俺様が羨ましかったんだな?」

「……な、んじゃと」

「神だのなんだのなんて全部意味はねェんだろ?アンタは長生きがしたかった。そのため
にそんな醜い姿にもなったし、それを磐石にするために長い間を掛けて準備をしてきたん
だ。なのに俺様はあっさりとその不死を得ている。アンタはそれが悔しいんだろう?やれ
やれ、ババァの嫉妬はその外見以上に醜いねぇ」

 図星。心の奥底にある感情をダイレクトに指摘された女王の思考はただただ赤黒い怒り
に染まっていく。

 ――お前なぞに何が分かる。偉そうに妾を語るな、化け物風情が!

 女王の怒りに呼応するかのように祭壇に灯された火は勢いを増し、また女王自身から凄
まじい怒気が放たれる。物理的な衝撃すら伴った怒りの波動。だが、それでもウピエルは
余裕を崩す事なく淡々と言葉を紡ぐ。

「なぁ、そろそろ頃合だよな?」

「ええ、そうですね」

 まるで世間話でもしているかのような気軽さ。怒りに震える女王は、そこでようやくな
にかがおかしいという事に気がつく。……だが、全てはもう後の祭りだった。

 ・・・・
「目覚めろ」

 低い声でウピエルが宣言するのと同時にリーゼロッテを包んでいた炎が大きさを増した。
女王が生み出した火球も取り込み、大きい大きい火柱となって燃え上がる。

「な、何をしたっ!?」

 燃え上がる炎に命を吸い取られたかのように、先ほどまでの力に溢れた堂々たる女王の
姿は既にそこにはなかった。時間がたつ毎に体を守っていた羽毛は抜け落ち、若々しく張
っていた肌には皺が刻まれていく。

「力が……妾の力が吸い取られるじゃとっ!?」

 火柱は一度燃え上がった後はまた小さくなっていくが、女王の変化はとまらない。今ま
で無理やり時をとめていたツケを払わされるように、秒単位で老いて行く。後に残ったの
は、まるで即身仏になる直前の僧のように干からびきって小さくなった老婆が一人。

「力はより大きな力に飲み込まれる、という事ですよ」

 帽子を被りなおしながら喪服色を身にまとう男が口を開く。

「貴女が何人欠片を持つ子供をその身の内に取り入れようと、覚醒した本物には敵わなか
った……それだけの話です」

「馬鹿な……妾は、妾は神の力を手にしたハズじゃ。それがっ!」

 かつては鈴を転がすようだった美声をも失い、失われていく力に縋るかのように祭壇へ
とよろめいていった。その手には、先程少女の心臓を抉るのに使った短刀が鈍い光を放っ
ている。

「認めん、妾は認めんぞっ!」

 今度こそ間違いなく息の根を止めてやろうと、手にした短刀を両手でしっかりと握り、
振り上げる。そして、今まさに炎の中から生まれんとしている鳳凰の雛に向けて刃を突き
落とす――

 瞬間、全てを包み込み癒すかのような軟らかい炎が祭壇の間を覆いつくした。

2007/02/11 23:03 | Comments(0) | TrackBack() | ●イカレウクレレレレレノレ
9.イカレウクレレレレレル<断崖に希望の火を>/イカレ帽子屋(Caku)
場所 :断崖の国コモンウェルズ 祭壇の間
PC :イカレ帽子屋・ウピエル
NPC:女王マルガリータ・少女リーゼリット
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女王の絶叫と共に、より一層炎は燃え上がる。
罪を薪に萌える罰はより紅く、より美しく、まさしく女王の望みのままに何よ
りも美しく燃え上がった。血の色をした焔はまさしく古来に潰えた鳳凰の嘆き
かあるいは贄と成り果てた子供らの憎悪か。

「…美しいですね、貴方の望みのままに」

皮肉めいた帽子屋の呟きに、先程まで戦意を顕にしていたウピエルは呆れて肩
を竦めた。

「そりゃぁ綺麗だろうさ、何せ数千年の呪いと数十人の生贄の集大成さ」

倒れこんでいたリーゼリットを抱き起こすウピエル。額に汗を浮かべ、前髪を
張り付かせてぐったりとしているが、とりたて体に異変はないようだ。安心し
て息をつくと、とりわけ甲高い絶叫が断崖の空に響いた。
ウピエルがその声に振り返ったのは、最後を見届けるためではない。魂までも
炙るような熱風と、爆発的な神意を感じたからだ。

「あれが、最も古き神々の一人…」

紅い光が撒き散らされ、産毛のような火の粉が舞う。思わず帽子屋とウピエ
ル、そして意識が朦朧としていたリーゼリットまでも目蓋を閉じて顔を庇う。



翼を広げたその神は、たった一声鳴くと明け方の空に飛び立った。
その声は歌のような、叫びのような不思議な声だった。断崖を見下ろすように
首を下げていたが、やがて朝焼けの空に飛んでその姿は紛れてしまった。



「…見ましたか」

「…あぁ、見たけれど」

しばし、帽子屋もウピエルも無言。気が抜けたように二人とも空を見上げてい
たが、帽子屋がいつもの笑みに戻って、

「生で神様を見たのは初めてですよ」

「まぁ…ナマモノではなぁ」

動いてる神様はウピエルも永く生きてるが初見えだ。今回の事件は、普段なら
絵画やら石像やらでしか見れない存在のオンパレードだった。
神にしろ魔物にしろ、とにかくハチャメチャな日々だった。リーゼリットがよ
うやく意識を取り戻したのか、目を瞬いてウピエルの顔を凝視する。

「あ、あれ?」

「残念でしたね、貴女はハズレみたいだったですよ」

「なんつー言い方すんだよオメーは」

薄気味悪く笑う帽子屋と、いかんしがたい表情で腕を組むウピエルを交互に眺
めて、そして明け方の空を見る。今はもう青く澄み渡り、今までの紅い景色が
嘘のようだ。

「…あの、女王様は?あと神は…」

「ババアはそれ、神さんは上だ」

ウピエルが灰の残骸を指差し、次に空を指差した。しばしリーゼリットはクエ
スチョンマークを浮かべていたが、納得いったようないかないような妙な顔の
まま立ち上がる。

「…なんだか、あっという間でした」

いまや姿も確認できないが、神は確かにいたのだ。

「それでよ、これからどーするんだ」

ウピエルの浮かない声が現実を引き戻す。
悪の親玉である女王は滅んだが、王を亡くした国はどうなるのか、子供達を失
った都はどうするのか。問題は今だ多岐にわたり、流された血と命は数え切れ
ず、先行きは暗澹とした闇の中だ。だからといって、ウピエルや帽子屋がそれ
を抱え込めるかいうわけでもなく、ただの通りがかりである二人には国の未来
などはとてもじゃないが抱えきれない。

「…どう、なるんでしょう…」

当事者のリーゼリットも困惑しきった様子だった。だが、やがて意を決したよ
うに笑った。背後の空のように澄み切った笑顔だった。

「困ったときの、神頼みとか」

「都合いいなぁ」

ちら、と舌を出して笑うリーゼリット。どうやら根はこちらのほうらしく、明
け空を眺めながら手を差し伸べる。

「今まで女王様が神様でした。でも、本当の神様がいらっしゃるようなら、き
っとこれから頑張ることは実を結ぶでしょう?だって、神様は空から常に見て
いてくださっているのですから、頑張ればきっと報われますでしょう」







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二日後。

「…質問、アンタどうやってコモンウェルズに来たんだ」

「それはこちらの台詞ですよ。当初ギルドの身分証を偽って行こうと思ってい
たら、コモンウェルズ手前で女王の息のかかった野党に襲われるわむしろギル
ドの関係者だと思われて四方八方追い回されるわ…陸路でいくならギルド繋が
りの商人とかで行った方が楽だとふんだら、とんだ誤解で幾日も崖に隠れたり
よじ登ったりして大変でしたよ」

「…んで、どう入ったの?」

「仕方ないので、女装で」
 
野党も宗教関係者でしかも女性は狙わないようだ。
と、いうことでリーゼリットが着ていたような神官服を購入しそれに顔を隠し
て断崖の国に侵入したのだった。

「…マジか…」

「こちらからの質問ですが、なんで貴方が凹むのですか?」

脱力した吸血鬼、どうやら本格的に脳裏に破滅的な映像がよぎったらしく、
少々立ち直るのには時間がかかりそうだ。それを横目で見て、何故か不満げに
なりつつも荷馬車の横揺れで乱れた襟元を正す。

断崖の国から出て行く商人の馬車に乗せてもらいながら、二人は非常にゆっく
りとしたスピードで谷を下っていった。断崖を降りているのでがこがこと揺れ
る上に、馬車の荷台には大量の鶏が乗っていた。今ウピエルが大勢の鶏に囲ま
れて慰められるようにつつかれているのを見ながら、なぜか膝上に載っている
ひよこを撫でつつ澄んだ青空を眺める。

「今頃どのへんを飛んでるんでしょうね…」

「あー…見えねぇなぁ……」

でしょうね、と帽子屋は頷く。ウピエルのあぐらの中で鶏が決闘していて、常
に彼の視界には澄み渡った蒼空と鶏の姿が7:3ぐらいの割合で映っているだ
ろうから、青空の向こうの鳳凰を見たくとも、見えるのは血気盛った鶏ぐらい
だろう。

「まぁ」

鶏の声が煩すぎるので、たとえ今ここで神の啓示がなされても多分聞こえない
だろう。あの澄み渡る夜明けに響いた神の一鳴きは、断崖で血を流しながら生
きてきた人々に何を授けるんだろうか。
神がいるという、ただそれだけで人は何ができるというのか。

「せいぜい、意味も無く祈るぐらいですかね」

神さえいれば、人は星に祈る事ができよう。意味も無く晴れた星空、理由もな
く澄んだ青空に、人はきっと今日は良い事があると理由もなく思えるだろう。
神がどこかにいる空へ、今日もきっと祈りが響く。

断崖の国に灯がともる。
人が宿した希望の火、未来の火が。















「ところで、あんたコレどうやって情報売んの?まさか自分で見ただけですっ
ていう目撃談だけ?」

「……(そうだよなぁ)」

最初にこの依頼を受けた知己を口八丁で丸め込めるかどうかは、神様に祈るし
かないようだ。とりあえず神様のいる方向(青空)に祈ってみる帽子屋だっ
た。


2007/02/11 23:04 | Comments(0) | TrackBack() | ●イカレウクレレレレレノレ

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