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2024/05/17 08:30 |
消えない足跡:-1/トウヤ(ミキ)
PC: トウヤ(PL:ミキ)
NPC: サーカス
場所: カルマーン


その物語は壮大ではなかったかも知れない。


『ぼくのこの短い腕で出来る事なんて限られてるんだ、結局。』


その少年は強くなかったかも知れない。


『いつまで人に守られ続けてるの?!大切なモノがあるなら自分で守りなさいよ!』


その少年は賢くなかったかも知れない。


『ミキさん。ぼくはどうしたらいいの・・・・?』


それでも、この旅は少年の人生を大きく変えた。



2006年秋、テラロマが贈るワクワクファンタジー!
剣と魔法の世界で繰り広げられる少年達の命の花火!
題名未定!!現在台本執筆中!!

この秋、キミと少年の世界は広がる!





木漏れ日が眩しくてぼくはカーテンを閉めるために身を起こした。
なんだか不思議な夢を見ていた気がする。まぁ、所詮夢なんて夢か。
カーテンに手をかけて窓から外を覗くと、沈む夕陽と真っ赤にそまる街並みが見えた。

普段真っ白なカルマーンの道路や、無駄に自己主張の高い煌びやかな屋敷たちが、
一緒に夕陽の色に染まって、次第に空と共に黒くなっていくのをぼくはのんびりと見入ってしまった。
ふと、視線を落とすと道路に中の良い友人の姿が見えた。どうやらうちの屋敷に向かってくる所らしい。
ぼくはさっきまで寝ていたし、こんな時間だからきっと入れて貰えないだろう。
ぼくは窓を開けて3階の窓から、屋敷の門に張り付いている門番に向かって叫んだ。

「アイン!カークを入れてやってくれ!ぼくが呼んだんだ!」


ぼくの名前はトウヤ・アルゥ・セルシエナ。
ガルドゼント王国の貿易商セルシエナ家の長男だ。
年齢は13歳。趣味は読書。特技は勉強。
ぼくははっきり言っておぼっちゃまだ。
一代で富と地位を築いた立派なパパ、面倒見の良いママ、
仕事は何でも確実にこなす執事達に囲まれ、ゆくゆくはパパの跡を継ぐ。
欲しいモノは何でも手に入る、何も怖くない。
そんなどうしようもない金持ちのぼんぼんだ。
本の中の知識ばかり詰め込んで、本当の世の中のことは何も知らない。

「トウヤおぼっちゃま、サーカス様をお連れしました。」

「カーク、入ってくれ。」

ぼくは相変わらずベットに寝たまま半身を起こし、ぼくの友人を迎えた。
サーカス・アルゥ・ミリアム。ぼくはカークと呼んでいる。
彼はぼくの友人。ぼくの良き相談相手だ。
ぼくは少し前、彼にある頼み事をした。その報告に来てくれたのだろう。
無言で手招きして近くのイスに座らせ、ぼくは彼の言葉を待った。

「トウヤ、要望通りに依頼を出しておいたよ。馬車も食料も備品も用意した。」

ぼくは歓喜で飛び上がりそうになったけれども友人の手前上ぐっとこらえた。

「人間必ず死ぬのに、こんな平和ボケした生活ばかり続けるのはつまらない。
 だからぼくは旅に出たかったんだ。カーク、ありがとう。」

「トウヤ、本当に行くのか・・・・・」

「ああ、ぼくには時間がないんだ。16になるまでにもっと人生を楽しみたいんだ。」


「・・・・・・・今日はそれを伝えに来ただけだ。」

立ち上がり部屋を出ようとしたカークにぼくは言った。

「そうか、ありがとう、カーク。」

「明日、またギルドに行ってからくるよ。おやすみ。」


ぼくは旅に出たかった。北の村に住む姉のミキさんに会いに行きたかったし、
出来れば国外にも出てみたかった。色々な場所を旅したかった。
だから、カークに頼んで、旅のための馬車や護衛を3人雇った。
雇ったというかギルドに護衛の依頼を出させた。
女性の冒険者がいれば旅の間に仲良くなれるかも知れない。

どんな冒険が出来るのだろうか、どんな世界がぼくの前に広がるのか。
ぼくは旅が待ち遠しくてたまらなくなった。
ぼくは棚に並べた、有名な冒険者の探検記をとりだし、
ランプをつけて、来る自分の旅の参考にするために読み始めた。

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2007/02/12 21:14 | Comments(0) | TrackBack() | 消えない足跡

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