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2025/03/10 06:21 |
5.アロエ&オーシン「面倒な頼みごと」/アロエ(果南)
PC アロエ・オーシン
場所 イノス
NPC おばば様(サラ)・シーカヤック号船員
___________________________________

 現れたのは、青と白の縞のシャツを着た、ひげの男だった。
「えー、突然失礼します。仲間に、ここが<魔女>サラの家だってきいたモン
ですから…」
「魔女…?」
 オーシンが首をかしげる。サラというのはおばば様の名前だということは解
る。しかし、<魔女>とは何のことだろう。
 オーシンの背後にいるアロエが、男を見て「おっ」と声を上げた。
「おっ。お前、確か、ここの港にいる船乗りだろ?」
「えっ」
 男はそのとき背後にいるアロエの存在に気づいたようだ。きょとんとした顔
になる。
「そういうアンタ誰だい?何でそんなこと知ってる?」
「だっておれ、ここの街の上通るとき見たんだ」
 通る、とはアロエが空腹で空を飛んでいたときのことだ。アロエは、めまい
がするほど空腹でも、見るものはそれなりに見ていたらしい。
「港でお前と同じようなカッコした奴が、いそがしそうに船から荷物出し入れ
しているの見たぜ。そうだろ?」
「ああ…、確かに俺はシーカヤック号の船員(クルー)だが…」
 言った後、男はじろじろとうさんくさそうにアロエの姿を見た。
「お前のその姿、何だ?猫の耳に羽が生えてるなんて。お前、人間か?」
「ん…、ああ。これナ」
 実はアロエは猫と天使のハーフで…。そういうことを、オーシンがおずおず
と説明しようとしたとき、

「<コスプレ>、だ」
 
 きっぱりと言い切ったアロエを、オーシンはぽやーっと振り返った。本人は
はっとして振り返ったつもりなのだが。
 その言葉をきいて、船乗りは即座に(ああ…)と納得した。
 そして、渋い顔つきになった。
「そうか…。しかしまあ…、ヘンな趣味だな」
 こすぷれ?こすぷれとは何だろう…。
 ドアの前で、しばらくぼーっと考えるオーシン。
 アロエを見ると、アロエは、オーシンに向ってイタズラっぽくにやっ、と笑
いかけた。その顔は(黙っとけ)と言っている様だ。
 オーシンも細かい説明は苦手なので、とりあえず、今はアロエの言うとおり
にしようと思った。
 そんな二人を見つめながら、船員は困ったような表情を浮かべる。
「とりあえず、お嬢ちゃん方、どっちか魔女を呼んできてくれないか?俺は早
いとこ魔女に会って用を伝えなきゃいけないんだ」

「誰が<魔女>だってぇ?」

 その声にアロエが「みゃっ!」と驚き、船員がびくっと身体を震わせ、オー
シンがゆっくりと振り向くと、いつのまにかそこにはおばば様が立っていた。
「はっ、あ、あのっ、アンタが例の魔女…」
「魔女とは失礼だね!」
 おばば様がドンっ、と床に杖をつく。
「おばば様と呼びな!」
「はいいっ!!」
 おばば様の怒声に、一気に船員の背筋がピシイッとなる。
「それで?用はなんだい?」
 おばば様がうさんさそうに睨む。
「お前たち船員は、めんどくさいことばかり頼むわ、影でこそこそと魔女だと
噂するわ、本当に嫌な奴らだよ、全く。お前もどうせ噂を鵜呑みにして、ここ
に来たんだろ?」
 イタいところを突かれたとばかりに、船員が「うっ」と呻いた。
 しかし、彼には今日中になんとしても頼まなくてはならない、大事な用があ
った。船員は気を取り直すと、思い切って話し出した。
「実は、今日は船長の使いで、貴方にお願いがあって来たんですが…」
 それを聞いて、おばば様はふうっ、とため息をついた。
「ふん、まためんどくさい頼みごとかい。どうせそんなこっだろうと思った
よ。とりあえず玄関じゃ何だからね。奥にいって話を聞くとしようか」
 そうして、おばば様と船員は、一緒に奥にある部屋に引っ込んだ。
残されたのはオーシンとアロエだ。
二人は、おばば様と船員が奥に引っ込んだ後、顔を見合わせた。
「なぁ、アイツ、頼みごとがあるって言ってたけど、何だろな?」
「…たぶん、何かの薬やお守りを作って欲しいっていう、依頼、じゃないか
な…」
 アロエと目が合った瞬間、オーシンは目を伏せてぼそぼそと答えた。やは
り、まだ天使としてのアロエに、直視されることには慣れないらしい。
「おばば様はいつも、こういう頼みごと聞いてお金を貰ってるから…、口では
嫌がっても、今回も断れないんじゃないかと思う…」
「なるほど…、あのばーさんは、魔法で薬とか作って、その報酬で生活してる
ってわけだな」
 アロエがうんうん、と頷く。
「しっかしあのヒゲオヤジ、あのばーさんに何頼みに来たんだろーな」
 アロエの言葉を聞いて、オーシンも少し考え込んだ。
「…そうだなぁ。…お守りとか、かな?」
「うーん、そうかぁ?」
 アロエは、その金色の瞳を少し細めて考え込んだ。なにか思うところがある
らしい。
「それにしちゃあ、アイツ、切羽詰まってたように見えたぜ、おれ」
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2007/02/12 16:33 | Comments(0) | TrackBack() | アロエ&オーシン

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