PC アロエ オーシン
場所 イノス北西墓地
NPC (マルチ ウォン=リー)
___________________________________
「オーシンッ!!」
薄暗い廊下の闇に白い服が吸い込まれるように小さくなっていく。
遠ざかっていくオーシンを追いかけながら、アロエの金色の目には薄く涙が
滲んだ。
(ちくしょうッ!)
悔しい。
アロエの心が火傷のように痛んだ。
本当に正しいのは誰か。今、アロエははっきりと悟った。
…本当に正しいのは、今のオーシンの行動だ。
オーシンは、どんな状況でも、どんな相手でも、カヤを思い、少しでもカヤ
を助けられる方向に動こうとしていた。
なのに、自分は…、オーシンを助けることで精一杯で、ウォンという男の力
を恐れて、正しい行動を取れなかった。まっすぐに自分の正義のために動けな
かった。
少しでも惑ってしまった自分が悔しい。
少しでも弱気になった自分が悔しい。
そんな自分をアロエは痛いほど悔いていた。
(ごめん、オーシン!カヤっ!おれ、もう、逃げねぇからっっ!!)
オーシンの姿が闇の中に消えた。
オーシンが廊下の角を曲がってしまったからだ。
(やべぇ!)
息を切らして同じ角を曲がったアロエだが、そこにはもうオーシンの姿はな
かった。
「オーシンっ!!」
廊下の隅から隅まで見渡してもオーシンの姿は無い。
ふと目を移すと、廊下の壁には木製の、いかにも重そうな扉がついている。
先ほどオーシンが閉じ込められていた扉と同じ形のものだ。
…もしかしたらオーシンはこの扉のどこかに入っていったのかもしれない。
縋るような気持ちでアロエは扉を開けた。
扉のドアノブに手を掛け、開け放つ。
開け放ったドアのその向こうにオーシンはいた。
「オーシ…」
嬉しそうに声をかけようとしたアロエの動作が止まった。
その部屋は、本の山だった。
壁の本棚は一番上が天井と同じ高さであり、その壁にはびっしりと分厚い本
が並んでいる。まるでこの部屋の壁がもともと本であったかのように。
ふと足元を見ると、床にも本がごろごろと置いてある。それと何かのメモの
ような紙がいくつも落ちている。メモの文字は…走り書きのようなものなのに
もかかわらずなかなかの達筆だ。
部屋の中央には机が置いてあり、そこには何かの書類と思われる大量の紙が
山積みになっている。
その机の前でオーシンは身動きもせずじっと何かを凝視していた。
「何やってんだ…?オーシン?」
アロエの呼びかけにもオーシンは答えない。
アロエはオーシンの肩越しにオーシンが凝視しているものを覗いてみた。
そこにあったモノは…人体から咲く真っ赤な花の絵が表紙の論文が一つ。そ
して、青空と海をバックに、オーシンがサラと写っている写真。
その写真のオーシンは今までアロエが見たこともない満面の笑みで微笑んで
いて、その写真のサラは、今より少しシワが少ないように見えた―。
場所 イノス北西墓地
NPC (マルチ ウォン=リー)
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「オーシンッ!!」
薄暗い廊下の闇に白い服が吸い込まれるように小さくなっていく。
遠ざかっていくオーシンを追いかけながら、アロエの金色の目には薄く涙が
滲んだ。
(ちくしょうッ!)
悔しい。
アロエの心が火傷のように痛んだ。
本当に正しいのは誰か。今、アロエははっきりと悟った。
…本当に正しいのは、今のオーシンの行動だ。
オーシンは、どんな状況でも、どんな相手でも、カヤを思い、少しでもカヤ
を助けられる方向に動こうとしていた。
なのに、自分は…、オーシンを助けることで精一杯で、ウォンという男の力
を恐れて、正しい行動を取れなかった。まっすぐに自分の正義のために動けな
かった。
少しでも惑ってしまった自分が悔しい。
少しでも弱気になった自分が悔しい。
そんな自分をアロエは痛いほど悔いていた。
(ごめん、オーシン!カヤっ!おれ、もう、逃げねぇからっっ!!)
オーシンの姿が闇の中に消えた。
オーシンが廊下の角を曲がってしまったからだ。
(やべぇ!)
息を切らして同じ角を曲がったアロエだが、そこにはもうオーシンの姿はな
かった。
「オーシンっ!!」
廊下の隅から隅まで見渡してもオーシンの姿は無い。
ふと目を移すと、廊下の壁には木製の、いかにも重そうな扉がついている。
先ほどオーシンが閉じ込められていた扉と同じ形のものだ。
…もしかしたらオーシンはこの扉のどこかに入っていったのかもしれない。
縋るような気持ちでアロエは扉を開けた。
扉のドアノブに手を掛け、開け放つ。
開け放ったドアのその向こうにオーシンはいた。
「オーシ…」
嬉しそうに声をかけようとしたアロエの動作が止まった。
その部屋は、本の山だった。
壁の本棚は一番上が天井と同じ高さであり、その壁にはびっしりと分厚い本
が並んでいる。まるでこの部屋の壁がもともと本であったかのように。
ふと足元を見ると、床にも本がごろごろと置いてある。それと何かのメモの
ような紙がいくつも落ちている。メモの文字は…走り書きのようなものなのに
もかかわらずなかなかの達筆だ。
部屋の中央には机が置いてあり、そこには何かの書類と思われる大量の紙が
山積みになっている。
その机の前でオーシンは身動きもせずじっと何かを凝視していた。
「何やってんだ…?オーシン?」
アロエの呼びかけにもオーシンは答えない。
アロエはオーシンの肩越しにオーシンが凝視しているものを覗いてみた。
そこにあったモノは…人体から咲く真っ赤な花の絵が表紙の論文が一つ。そ
して、青空と海をバックに、オーシンがサラと写っている写真。
その写真のオーシンは今までアロエが見たこともない満面の笑みで微笑んで
いて、その写真のサラは、今より少しシワが少ないように見えた―。
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