PC:アロエ オーシン
場所:イノス『海猫亭』
NPC:ハボック カーチス ウォン=リー ベル(ベルサリウス)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あっ、オマエあの時の船員だなっ!」
ようやく気がついたアロエが、ハボックを指差し声を上げる。
「おーおー、よく見りゃあっちに頭が爆発した方のヤツもいるしよぉ。オマエ
等なんでこんなとこにいんだよっ」
「頭が爆発」という言葉に、瞬時にカーチスがこちらを見た。カーチスにし
てみればヒドイ言葉だろうが、頭といえば大抵自分のこと。そのおかげで名前
を呼ばれなくとも瞬時に反応できるのは彼の一つの利点であろうか。
アロエが「あっち」、と言ってカーチスのほうを見、それにカーチスがむっ
と振り向いた時、
ベルサリウスの身体かびくっ、と動いた。
ふとオーシンがそれに気づく。
「…ベル?」
今のベルサリウスは…尋常じゃないほど蒼白な顔になっていた。人の気持ち
を察することにはうといオーシンだが、さすがにベルサリウスのこの異常には
「何かあったんだ」と気づき、心配そうに顔を覗き込む。
「ベル…?一体どうしたんだい…?」
ベルサリウスの口の端から、微かに声が漏れた。
「お…父様…」
固まっているベルサリウスの見ている方向をオーシンは見た。
暗闇のように深く、氷のように冷たい目。
そんな男と目線が合った。
しかし、それは一瞬で。次の瞬間から、男はにっこりとオーシンとベルサリ
ウスに笑顔を向けた。
「やあ、こんなに雨に濡れて…。平気かね?」
親しそうな笑顔を向けて、男はオーシンに近寄り、着ていたローブをそっと
オーシンの身体にかけた。
「これを着たまえ。キミは美人だからね。そのままの格好だと、そこの二人組
みもキミと目線が合わせづらいだろう」
オーシンはぼーっと男の顔を見つめると、「…ありがとう」と言った。
そんな行動に、ハボックとカーチスが金魚のように口をぱくぱくさせて「う
ーわー…」と声無き声を上げる。なんて紳士な行動なんだ…と、思いながら。
この中で一番無神経なアロエが、無垢な顔でズバリ聞いた。
「オッサン…、アンタ誰だ?」
(オッサン…!!)
ハボックとカーチスがあんぐりと口をあける。
(この紳士な御方に向かって「オッサン」!!)
しかし男は、無遠慮なアロエの言葉に怒った様子も見せず、にっこりと微笑
んだ。
「これは失礼したね。私はウォン=リー。そう…、この子の父親だよ」
「そうだな?」と、促すようにウォンがベルサリウスのほうを見ると、ベル
サリウスは怯えるようにこくん、と頷いた。そのとき初めて、アロエもベルサ
リウスの異変に気づく。
「…おい、ベル?」
「ベル…?」
ウォンの片眉がぴくり、と動く。
「ベル…というのは?」
「ああ、そうだった。オッサン、それコイツの名前なんだ」
「名…前…?」
ウォンの表情が厳しくなる。しかしそれにかまわずアロエは言う。
「そうだ、オッサン、アンタがベルの父親なんだろ?じゃあ、なんでコイツに
名前つけてやらなかったんだよ。名前ないと可哀想じゃねぇか。不便だろう
し」
「不便?可哀想?」
その言葉を聞いた時、ウォンの目が冷たく光った。
「なぜなんだい?」
表情の無い顔で問いかえされて、アロエは少したじろいた。
「な、なぜって…。だから…」
「大体」
ウォンが三日月のように笑う。
「どうして<私の所有物>に名前をつける必要があるのかな?」
「<私の所有物>…」
アロエはウォンから一二歩下がると、低く、喉の奥で唸った。
「オーシン…、やっぱりコイツ…影の黒幕だな」
場所:イノス『海猫亭』
NPC:ハボック カーチス ウォン=リー ベル(ベルサリウス)
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「あっ、オマエあの時の船員だなっ!」
ようやく気がついたアロエが、ハボックを指差し声を上げる。
「おーおー、よく見りゃあっちに頭が爆発した方のヤツもいるしよぉ。オマエ
等なんでこんなとこにいんだよっ」
「頭が爆発」という言葉に、瞬時にカーチスがこちらを見た。カーチスにし
てみればヒドイ言葉だろうが、頭といえば大抵自分のこと。そのおかげで名前
を呼ばれなくとも瞬時に反応できるのは彼の一つの利点であろうか。
アロエが「あっち」、と言ってカーチスのほうを見、それにカーチスがむっ
と振り向いた時、
ベルサリウスの身体かびくっ、と動いた。
ふとオーシンがそれに気づく。
「…ベル?」
今のベルサリウスは…尋常じゃないほど蒼白な顔になっていた。人の気持ち
を察することにはうといオーシンだが、さすがにベルサリウスのこの異常には
「何かあったんだ」と気づき、心配そうに顔を覗き込む。
「ベル…?一体どうしたんだい…?」
ベルサリウスの口の端から、微かに声が漏れた。
「お…父様…」
固まっているベルサリウスの見ている方向をオーシンは見た。
暗闇のように深く、氷のように冷たい目。
そんな男と目線が合った。
しかし、それは一瞬で。次の瞬間から、男はにっこりとオーシンとベルサリ
ウスに笑顔を向けた。
「やあ、こんなに雨に濡れて…。平気かね?」
親しそうな笑顔を向けて、男はオーシンに近寄り、着ていたローブをそっと
オーシンの身体にかけた。
「これを着たまえ。キミは美人だからね。そのままの格好だと、そこの二人組
みもキミと目線が合わせづらいだろう」
オーシンはぼーっと男の顔を見つめると、「…ありがとう」と言った。
そんな行動に、ハボックとカーチスが金魚のように口をぱくぱくさせて「う
ーわー…」と声無き声を上げる。なんて紳士な行動なんだ…と、思いながら。
この中で一番無神経なアロエが、無垢な顔でズバリ聞いた。
「オッサン…、アンタ誰だ?」
(オッサン…!!)
ハボックとカーチスがあんぐりと口をあける。
(この紳士な御方に向かって「オッサン」!!)
しかし男は、無遠慮なアロエの言葉に怒った様子も見せず、にっこりと微笑
んだ。
「これは失礼したね。私はウォン=リー。そう…、この子の父親だよ」
「そうだな?」と、促すようにウォンがベルサリウスのほうを見ると、ベル
サリウスは怯えるようにこくん、と頷いた。そのとき初めて、アロエもベルサ
リウスの異変に気づく。
「…おい、ベル?」
「ベル…?」
ウォンの片眉がぴくり、と動く。
「ベル…というのは?」
「ああ、そうだった。オッサン、それコイツの名前なんだ」
「名…前…?」
ウォンの表情が厳しくなる。しかしそれにかまわずアロエは言う。
「そうだ、オッサン、アンタがベルの父親なんだろ?じゃあ、なんでコイツに
名前つけてやらなかったんだよ。名前ないと可哀想じゃねぇか。不便だろう
し」
「不便?可哀想?」
その言葉を聞いた時、ウォンの目が冷たく光った。
「なぜなんだい?」
表情の無い顔で問いかえされて、アロエは少したじろいた。
「な、なぜって…。だから…」
「大体」
ウォンが三日月のように笑う。
「どうして<私の所有物>に名前をつける必要があるのかな?」
「<私の所有物>…」
アロエはウォンから一二歩下がると、低く、喉の奥で唸った。
「オーシン…、やっぱりコイツ…影の黒幕だな」
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