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2024/11/16 10:35 |
23.アロエ&オーシン「お天気」/アロエ(果南)
PC:アロエ オーシン
場所:イノス(シーカヤック号船内・シーカヤック号前)
NPC:おばば様(サラ) ベルサリウス(ベル)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「だなっ、よし、じゃあ行くかっ」
 ベルサリウスの言葉に、アロエは猫目をキラキラさせて立ち上がった。カヤ
が死にそうという厳しい状況とは別に、アロエはどこか冒険するとか、探検に
行くとかいう状況に今ワクワクしてしまっているのだ。実はギルドに行くこと
を失敗して、アロエの中で探検としては不完全燃焼だったせいもある。
「うーし!行くぞー!影の黒幕のいる場所へっ」
 もう完全にベルサリウスの父が悪役だと決め付けてしまっている。
「影の黒幕…?」
 ベルサリウスは…アロエのノリに、怒るよりも唖然としてしまっている。こ
の人のような人をお天気屋と言うのだろうな…、と。雨の様に落ち込んでいる
と思えば、次の瞬間、お日様のようにキラキラ輝いて立ち直っている、本当
に、お天気のような。
 そんなアロエの興奮を抑えるように、くいっ、とアロエの耳をオーシンが引
っ張った。
「いでっ!」
 アロエが声を上げる。
「あでで、ミミは痛い!ミミは!」
 猫ミミはアロエの体の中でもかなり敏感な部分だ。おばば様の大声など…強
い刺激には絶えられず、たまにくるくると目を回してしまうこともある。
 ミミから手を離すと、痛そうにミミを押さえるアロエのことを、観察でもし
ているかのようにぼーと見つめているオーシン。綺麗な顔立ちからは、全く何
も考えていないのか、それとも何かを深く考えているのか…、いまひとつ読み
取れない。
(この人たちって…実はヘンな人たち?)
 二人の行動を観察していたベルサリウスがそのことに気づき始めたころ、
「アロエ…」
「何だよ」
「あのね…」
 オーシンがためらいがちに言う。
「おばば様に…いいの?」
「うっ」
 おばば様…サラには勝手に出歩かないようにとさっき怒られたばかりだ。二
度目のカミナリは、ミミにも、頭にも痛いだろう。
 しかし、
「それでも…行くだろ、オーシン」
 にやっと笑いながら言うアロエに、オーシンは真剣な顔で頷いた。
「マヤを…助けなきゃ」
「だからなぁ…」
 ため息をつきアロエは「カヤだって言ってんだろ」と訂正しようとしたが、
「まあ…もういいよ」と諦めた。


 吹く風が先ほどより冷たくなってきている。
 誰もいないことを確認してから、
「いいぞ」
 アロエがGOサインを出した。隠れていた壁からベルサリウスとオーシンが
小走りで走ってくる。
「今度こそダレにも見つかってないハズだ」
 目とミミを光らせてアロエが言う。
「今度は念入りに探った、間違いないぜ」
「本当に…?」
 看板まで走りながら怪訝そうにベルサリウスが言うが、
「おう、同じ轍は二度も踏まないぜ」
 意味が解って使っているのか…そう言ってアロエはにっ、と笑った。
「てつ…って?」
 オーシンが尋ねると。
「んー、なんとなく言ってみただけだ、意味は知らん」
 やはり、意味は解っていなかったらしい、あっさりアロエはこう言った。
 ふとオーシンが空を見上げると、西の空に大きな入道雲が見えた。風に乗っ
てそれはどんどんこちらに近づいてくるようだ。

 どうやらもう一雨来そうである。
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2007/02/12 16:40 | Comments(0) | TrackBack() | アロエ&オーシン

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