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2024/11/16 08:45 |
19.アロエ&オーシン「和音」/アロエ(果南)
PC アロエ オーシン
場所 イノス
NPC ハボック カーチス 少年
___________________________________

 おばば様のカミナリが落ちてから数分後。
 イノスの町を歩くハボックとカーチスの姿があった。
「全く…、どーしてこんなことになっちまったんだかね」
 カーチスがドレッドヘアーの頭をぼりぼり掻いて言う。
「あのコスプレの子は実はネコだったし、魔女には大目玉くらうし、…オレた
ち予定ではこんなはずじゃなかったのになぁ、ハボック?」
「しゃーねぇだろ」
 一方のハボックのほうはあきらめきった顔で、目は進行方向を見つめてい
た。
「こうなったら麦藁帽の方の子早いトコ見つけて、魔女に機嫌直してもらうし
かねぇし」
「なぁ、ハボック。まさか…あの麦藁帽の子も人間じゃねぇとか…」
「あのな、冗談言ってる暇あったら、早いとこあの子探せよ、カーチス」
 「はいはい」と返事してカーチスは首をすくめた。どうやらコスプレの子が
ネコだったのを知り、ナンパするときにはあんなに盛り上がっていた彼の気分
はすっかり冷め切ってしまったようだ。
(全く…、一度気分が冷めるとコイツ、冗談いってもカルく流すからなぁ。つ
まんねぇ)
 ふてくされた顔で、カーチスも、ハボックよりはやる気のない感じではある
が麦藁帽の子を探し始めた。
 ぽつっとカーチスの鼻の頭に、何か冷たいものが当たった。
「お、ハボック、降ってきたぜ」
 カーチスのその声に、丁度街の女性に麦藁帽の子を見なかったか尋ねていた
最中のハボックも空を見上げた。いつのまにか空は鉛色の雲に覆われていた。
「こりゃ降ってくるな…。おい、カーチス、ひとまずどこか屋根のあるところ
に避難するか」
「そうだな、そうだ、そこの<海猫亭>にしねぇか?」
 そういってカーチスは丁度近くにあった<海猫亭>の方を顎でしゃくった。
「何でだよ」
「だって、そうしたら海猫亭のバーで飲みながら雨が上がるのを待っていられ
るだろ?うん、名案だな、オレ」
「全く…」
 どうしてコイツはいつもいつも、肝心な時に真面目に働かないのか…。ハボ
ックはため息をついた。ハボックにはカーチスが真面目に麦藁帽の子を探す気
などないことはとっくにお見通しだ。しかし…。ハボックはふと考えた。イノ
スで泊まるなら<海猫亭>と言われるほどに、<海猫亭>はギルドハンターや
商人など多くの人間が集まる場所だ。<海猫亭>の酒場では、時にギルドより
も多くの情報を得られることもある。もしかしたら、麦藁帽の子の情報も手に
入るかもしれない。
(単に飲みたいだけのカーチスはともかく、行ってみる価値はあるかもしれね
ぇな)
 そう考え、ハボックは「いいぜ、行こうか」と返事をした。それを聞いたカ
ーチスの目が輝く。
「おう、なんだ、オレはお前のことだから『真面目に探せよ』って断られるか
と思ってたのによ。ようやくハボックも話のわかるやつになったんだな。ガハ
ハ」
 陽気に笑うと意気揚々と<海猫亭>のドアをくぐるカーチス。ハボックはた
め息をつくとカーチスに続いてそのドアをくぐった。


 おばば様のカミナリが落ちてから数分後。
 シーカヤック号の甲板で一人正座をしているアロエの姿があった。今はおば
ば様の回復魔法のおかげで『天使型』に戻っている。
 なぜ正座しているかというと、それはおばば様に黙って勝手に出歩き、しか
も危険な場所でオーシンを見失った罰としてだ。
「うう。全く…、どーしてこんなことになっちまったんだか」
 耳も尻尾もしょぼーんとたらしてアロエはしょげ返っていた。
「あの船員たちには正体バレちまったし、ばーさんには耳がキンキンするほど
怒られるし、…おれの予定ではこんなハズじゃなかったのによぉ」
 あれから、アロエはさらにおばば様にくどくどと怒られ、船員二人は説教か
ら逃げるように「オレたちあの子を探しに行ってきます!」と街にオーシンを
探しに出かけてしまったのである。
「うう、アイツらさっさとばーさんの説教から逃げやがって…。おかげでオレ
一人正座じゃねぇか…。ずりぃぞ…」
 ううう…、と唸りながら正座しているアロエの耳を、ちょんちょん、と触る
ものがあった。
「アロエ…」
 その感触にふっと顔を上げたアロエは、驚いて目をまん丸くした。
「オーシンじゃねぇか!」
 目の前に立っているのは紛れもなくオーシンである。思わずアロエは立ち上
がろうとして、「イテテ…」と足を擦った。正座で足がしびれてしまっていた
のである。
「大丈夫…、アロエ…?」
「お、おうよ…、平気だ。って、お前どーしてここにいるんだ??」
「あのね…、この子に、カラの姿を見てもらおうと思って」
 そういってオーシンが示した先には、薄汚いフードを被った少年がいた。青
灰色の瞳が挑むようにアロエを見据えている。
「なんだ?コイツは?っていうかカラ、って、もしかしてまた人の名前間違え
てんのかよ、オーシン」
 「?」と首をかしげるオーシンの姿を見て、アロエは頭をぼりぼりと掻い
た。
「まあいいや…、とにかくばーさんがお前のこと心配してるからな。ひとまず
ばーさんとこ行こう」
 その言葉に、少年が、おびえるように低く「ううう…」と唸った。
「…<ばーさん>って、誰さ。どこ行くの」
「なんだコイツ?…っていうか、お前、面白れぇ目してるなー」
 初めてアロエは少年の目に気がついたようだ。興味津々のキラキラした眼差
しで少年の目を見つめる。
「…煩い。僕の目を馬鹿にするな…っ」
「いや、馬鹿になんかしてねぇよ。ただ面白れぇなーと思ってよぉ」
「煩いっ!」
「まあいいや、とにかく面倒だからお前もついてこいよ」
「うわっ…!」
 少年が声を上げた。なぜなら体をアロエに横向きに抱きかかえられたからで
ある。
「離せよ!降ろせー!」
「うるせぇなー、ばーさんとこついたら降ろすからよ」
「嫌だ、行くもんか!離せー!」
 しかし、少年の抵抗もむなしく、少年はアロエたちと一緒におばば様に対面
することになるのであった…。


 ハボックとカーチスが<海猫亭>についたその頃。一人の男がバーで飲んで
いた。彼は何日か前にある依頼をギルドに頼んでいた。
「依頼:盗まれた植物の種を取り戻すこと。…依頼者名:ウォン=リー」
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2007/02/12 16:39 | Comments(0) | TrackBack() | アロエ&オーシン

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