キャスト:ヴィルフリード・リタルード・ディアン・フレア
NPC:ゼクス
場所:街道
―――――――――――――――
出発の刻は意外と騒がしかった。
荷造りはすぐ終わったのだが、
ウ゛ィルフリードがディアンに絡んでからが長かった。
「昨日のドア代、そっちが払うんだよな?あと俺に対する慰謝料だが、
まぁ俺も寛大な男だ。金貨100枚に負けてやろう」
「オッサンの寝言に払う金はねぇなぁ」
「誰がオッサンだ準オッサン」
しかもそこにリタがちゃちゃを入れるから、始末に負えない。
「僕らから見たらどっちもどっちだけどね。ねー、フレアちゃん?」
「え、いや…」
心底困った顔で二人を見やると、彼らは子供が思いつきそうな
悪口雑言の応酬を繰り返している。
あっけにとられてそれを見ているうち、ふっと笑いがこみ上げてきた。
「――そうだな」
リタの満足そうな笑顔に、フレアの笑い声がかぶって、
ヴィルフリードとディアンはそこでようやく口を閉じた。
・・・★・・・
「…本当に、これでよかったのか?」
霧に濡れた前髪を払って、霞む視界の先を望む。
白い粒子の流れが、さながら生きているかのように
風に乗っているのが見える。
こんな夜中に運行している馬車などあるわけでもなく、
二人はひたすらに歩いていた。
街は静かだ。
フレアのつぶやきに、ディアンが首を傾けてくる。
「なんだ、今更。お前らしくも無ぇ」
そう言う彼の姿は、この霧の中でさえ一段と白い。
「心配なんだ…二人が」
フレアは目を伏せて、冷たい指先をこぶしの中に
丸め込んで暖めた。
首の細い夜烏が、街灯のてっぺんにまるで
装飾の一部のようにとまっている。
霧に濡れて艶やかさを増した黒い羽が、ここからも見えた。
「まぁ、なんだ」
いきなりディアンの声が頭の上から降ってくる。
「大丈夫だろ。あの二人なら何があっても
なんとかするような気がするぜ?」
特にリタなんかはよ、と付け加えると、彼は思いのほか
幼く笑ってみせた。それにつられて、フレアの口端も微かに上がる。
「それならいい…」
吐息のように静かな風が、背中を撫でて、霧の幕がめくれる――
と同時に、道の端に奇妙な影を見つけ、フレアは足を止めた。
霧の中に、何かほかの気配が混じっている。
NPC:ゼクス
場所:街道
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出発の刻は意外と騒がしかった。
荷造りはすぐ終わったのだが、
ウ゛ィルフリードがディアンに絡んでからが長かった。
「昨日のドア代、そっちが払うんだよな?あと俺に対する慰謝料だが、
まぁ俺も寛大な男だ。金貨100枚に負けてやろう」
「オッサンの寝言に払う金はねぇなぁ」
「誰がオッサンだ準オッサン」
しかもそこにリタがちゃちゃを入れるから、始末に負えない。
「僕らから見たらどっちもどっちだけどね。ねー、フレアちゃん?」
「え、いや…」
心底困った顔で二人を見やると、彼らは子供が思いつきそうな
悪口雑言の応酬を繰り返している。
あっけにとられてそれを見ているうち、ふっと笑いがこみ上げてきた。
「――そうだな」
リタの満足そうな笑顔に、フレアの笑い声がかぶって、
ヴィルフリードとディアンはそこでようやく口を閉じた。
・・・★・・・
「…本当に、これでよかったのか?」
霧に濡れた前髪を払って、霞む視界の先を望む。
白い粒子の流れが、さながら生きているかのように
風に乗っているのが見える。
こんな夜中に運行している馬車などあるわけでもなく、
二人はひたすらに歩いていた。
街は静かだ。
フレアのつぶやきに、ディアンが首を傾けてくる。
「なんだ、今更。お前らしくも無ぇ」
そう言う彼の姿は、この霧の中でさえ一段と白い。
「心配なんだ…二人が」
フレアは目を伏せて、冷たい指先をこぶしの中に
丸め込んで暖めた。
首の細い夜烏が、街灯のてっぺんにまるで
装飾の一部のようにとまっている。
霧に濡れて艶やかさを増した黒い羽が、ここからも見えた。
「まぁ、なんだ」
いきなりディアンの声が頭の上から降ってくる。
「大丈夫だろ。あの二人なら何があっても
なんとかするような気がするぜ?」
特にリタなんかはよ、と付け加えると、彼は思いのほか
幼く笑ってみせた。それにつられて、フレアの口端も微かに上がる。
「それならいい…」
吐息のように静かな風が、背中を撫でて、霧の幕がめくれる――
と同時に、道の端に奇妙な影を見つけ、フレアは足を止めた。
霧の中に、何かほかの気配が混じっている。
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