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2024/11/08 17:48 |
19.カナリア/リタ(遠夏)
PT:ヴィルフリード、ディアン、フレア、リタルード
NPC:ゼクス
場所:宿屋
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「おっと」

窓から降りたリタルードをヴィルフリードはぼふっと受け止める。

「ありがとー。いやー、最近なんか僕人間好きかもー」

「この状況からどうしてそういう感想がでてくるか、俺にはさっぱりわかないぞ」

リタルードを地面におろして、ヴィルフリードが怪訝な顔をする。

「ん、ここ最近なんか僕とくになつっこい性格でー。
 なんだろう年齢的なものかなぁ。さっきも大好きとか言っちゃうし。
 で、これからどうするの?」

「脈絡ねぇな」

「だって寝てないし。とりあえず中に入る?」

「そうだな」

「----おや」

ちょうど窓三つ分くらい離れたところから、壁に手をついて二人に声をかけた人物が
あった。

先ほどまでそこにいたのではなく、恐らくは露ほどの気配も感じさせずにたった今こ
こに出現した-----。

「ゼクス……」

ヴィルフリードがかすれた声で呟く。

壁に押し付けるように広げられた指の数は、六本。

「おかしいな。誰もいないはずだったのに。
 僕がここにくるまでに窓から飛び降りでもしたのかな」

いやそれ本当なんだけど、とか。
軽口を叩けないのは、彼という存在が放つ奇妙な威圧感のせい。

その圧力は彼の持つ魔力に由来するものなのか、魔力など関係なしに彼が持っている
力なのか。
彼から受ける印象は、明るい髪の色にも関わらず星も月も全ての光をさえぎったとき
のべったりとした闇夜の色。

「何しに、きたの?」

「探し物をしに」

簡潔に答えると、ゼクスは壁から手を離す。その向こうから、なんだか騒がしい声が
聞こえるような気がする。

何をしていたと、尋ねるべきなのだろうか。

「君たちはあの女の子の連れなのかな?」

「そういうことになるな」

「あぁ、ちょうどよかった」

不可解な言葉を吐くと、彼は踵を返して宿の入り口のほうに歩を進める。ヴィルフ
リードが何か言おうとして、その前に彼がこちらを振り返った。

「どうせなら中で話でもしよう。少し騒ぎになっているかもしれないけどじきに収ま
るだろうし。
 おそらく彼女も僕を探しているだろう」

ゼクスの声が笑いを含んでいるように聞こえるのは、彼が結局のところ自分に逆らえ
る人間などほとんどいないことを心得ているからなのだろうか、とリタルードはふと
その時思った。
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2007/02/11 14:36 | Comments(0) | TrackBack() | ●Colors

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