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2024/11/08 15:00 |
17.チェリーブロッサム/フレア(熊猫)
キャスト:ヴィルフリード・リタルード・ディアン・フレア
NPC:なし
場所:宿屋
―――――――――――――――

朝食を食べなかったのは、食欲の問題とはまた別に理由があった。

――明日の朝ご飯も三人一緒だからね――

きっと彼女(彼)自身は何気なく言ったのだろう。
それでも、この約束だけは守らなければいけないような気がした。

カップを両手で包み込んだまま、考え込む。そんな動作をさっきから
何回も繰り返しているせいで、中のミルクはすっかり冷めてしまっていた。

「…」

ゼクスは、自分に『また会おう』と言った。リタは彼に何か思うところが
あるらしい。そうなるとヴィルフリードも一緒だろう。

ディアンだけは、まだゼクスの事を知らない。

(ディアンに話すのか…?巻き込んでしまうのか?)

ゼクスが間違いなく有害であるとは思わない。
しかし、彼を目の前にして警戒しないわけにはいかない。
何せ相手は、この宿を何のためらいもなく、根こそぎ消し飛ばそうとしたのだ。

一番いいのは自分ひとりでここを離れることだ――
傷つき、死に近づくのは自分だけでいい。

しかしディアンに『待ってろ』と言われた以上、巻き込みたくないからと
いって、黙って発つのは忍びない。

このまま一緒に行動するなら、少しでも危険な要素を含んでいそうなもの
――例えば、ゼクスがまた何らかの危険な行動に及ぶ可能性――が
あれば、仲間に警告するのが道理だろう。
それが杞憂だとしても、そのほうが遥かにいい。

ゼクスの事を話した上で、どうするかはディアンが決める。

「よし…」

小さく呟いて、カップを傾けて中のミルクを喉に流し込む。
冷め切ってむしろ冷たくなったそれは、意外と心地よく身体に沁み込んだ。

と、

どん、と軽く地の底から突き上げるような衝撃が宿を襲った。

「っ?」

むせそうになりながらも何とかすべて飲み込んで、状況を理解しようと
なんとなく見当をつけて右を見る。

ちょうどそこは窓で、あの男――ゼクスが昨日立っていたあたりだ。

すっと、凍えた空気が鼻を通る。瞳は窓を溶かしそうなほど外を見ている。

(来たのか…!?)

整理できたと思った頭の中は、既に崩れかけていた。
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2007/02/11 14:35 | Comments(0) | TrackBack() | ●Colors

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