PC:リタルード
NPC:重要キャラは特になし(たぶん
場所:成り行きに任せるので今は未定
-----------------------------------------
大きく窓をとったつくりのため明るい室内。
平均的な成人男性よりも頭ひとつ分ほど高い本棚。
今日も晴れていてよかった、と店主は思う。
天気の悪い日は客の入りが悪いし、なにより本が湿気ってかわいそうだ。
身体が重たくて、おまけに誰にも手にとってもらえないなんて、気の毒で仕方ない。
あくびをかみ殺しながら、新しく入ってきた客にカウンター越しに声をかけようとし
て、
読みかけの本をばさりとひざの上に落とした。
その客は狭苦しい棚の間を通って、次々と本を抜きとっていく。
その姿を見たほかの客たちの反応は、
店主と似たり寄ったりで、あんぐりと口をあけたり、
中にはちらりと見ただけで無視を決め込んだものもいる。
その中で例外がひとり。
「あ、くまさんだー」
店内で、ほかより背の低い棚の並ぶ区域。
母親の驚愕と焦りを無視して、無邪気な声をあげた子どもに、
その客----大きな頭にガラス玉の眼の、濃い茶色のもこもこした毛皮の
客は注意をむける。
「くまさんおっきいねー。マリーのおうちにもくまさんあるけど
くまさんみたいにおおきくないよー」
「こらっ、マリー」
躊躇いも無く問い掛ける子どもの腕をつかんで、母親が子どもを
引き寄せる。
子どもは抗議の声を上げたが、くまが自分に手を振ったのを見て、笑って「また
ねー」と言った。
「あ、どうも」
カウンターに本が置かれて、反射的にそう言って、
店主はその冊数に目を丸くする。
「カバーおつけしましょうか…?」
その問いにくまは首を振って----ガコガコと音がした---- 、
壁に貼られた紙を指差す。
”10冊以上のお買い上げで布製の手提げ袋おつけします”
なるほど、そのもこもこした手では本を運ぶのはしんどいだろう。
「…まいど」
代金を受け取って、商品を渡す。
店を出るとき、客が軽く会釈したのがなんだか好印象だった。
「あぁ」
店主はつぶやく。
----今日はいい天気だなぁ。
「あっちぃ」
着ぐるみの頭部をはずして、ベッドに腰掛ける。
窓の外はもう暗い。
今夜は新月のはずだから星がさえて見えるだろうとリタルードは思う。
汗で額に張り付いた金髪を指でつまんでもてあそぶ。
一時は腰に届くほど長くしていた髪だけど、今はある程度短くしてひとつにまとめて
いることが多い。
今日買った本はこの街を出るまでに読んで売らなきゃならない。
荷物を増やしたくないし、財産になるものでもないからだ。
着ぐるみを着て、外で出歩くことの難点は、暑さのほかにはしゃべれないことだ。
買い物の時にはそれほど支障は無いが、宿を借りるときが大変だった。
打開策としては首から黒板をさげることだろうか。それならその状態でうまくチョー
クで
字を書けるように練習しないと。
そこまで考えて、ふと気づいた。
僕、もしかしてすごく変な人になってる?
「なんかものすごくそんな気がするなぁ…」
つぶやいて、目線の先の机の上につまれた本の山を見やる。
数えたら十冊は優にこえていた。うん、変な人になってる。
「最近ずっとひとりだったしな」
そういえば独り言も増えた。
ぽろぽろと口から思考回路に流れる情報の一部がこぼれるのは、
あまり気持ちのよいものではないけれど、ついでてしまう。
よし、ナンパでもしにいこう。
決意して、自分の首から下がまだ着ぐるみをきたままだったことを思い出す。
むくむくのもこもこ。指なんかいつもよりぶっとくて愛らしい。
これ、明日には返却しないといけないんだよね。
足元に転がっていたくまの頭を手にとる。
何事も第一印象が重要なのだ。
NPC:重要キャラは特になし(たぶん
場所:成り行きに任せるので今は未定
-----------------------------------------
大きく窓をとったつくりのため明るい室内。
平均的な成人男性よりも頭ひとつ分ほど高い本棚。
今日も晴れていてよかった、と店主は思う。
天気の悪い日は客の入りが悪いし、なにより本が湿気ってかわいそうだ。
身体が重たくて、おまけに誰にも手にとってもらえないなんて、気の毒で仕方ない。
あくびをかみ殺しながら、新しく入ってきた客にカウンター越しに声をかけようとし
て、
読みかけの本をばさりとひざの上に落とした。
その客は狭苦しい棚の間を通って、次々と本を抜きとっていく。
その姿を見たほかの客たちの反応は、
店主と似たり寄ったりで、あんぐりと口をあけたり、
中にはちらりと見ただけで無視を決め込んだものもいる。
その中で例外がひとり。
「あ、くまさんだー」
店内で、ほかより背の低い棚の並ぶ区域。
母親の驚愕と焦りを無視して、無邪気な声をあげた子どもに、
その客----大きな頭にガラス玉の眼の、濃い茶色のもこもこした毛皮の
客は注意をむける。
「くまさんおっきいねー。マリーのおうちにもくまさんあるけど
くまさんみたいにおおきくないよー」
「こらっ、マリー」
躊躇いも無く問い掛ける子どもの腕をつかんで、母親が子どもを
引き寄せる。
子どもは抗議の声を上げたが、くまが自分に手を振ったのを見て、笑って「また
ねー」と言った。
「あ、どうも」
カウンターに本が置かれて、反射的にそう言って、
店主はその冊数に目を丸くする。
「カバーおつけしましょうか…?」
その問いにくまは首を振って----ガコガコと音がした---- 、
壁に貼られた紙を指差す。
”10冊以上のお買い上げで布製の手提げ袋おつけします”
なるほど、そのもこもこした手では本を運ぶのはしんどいだろう。
「…まいど」
代金を受け取って、商品を渡す。
店を出るとき、客が軽く会釈したのがなんだか好印象だった。
「あぁ」
店主はつぶやく。
----今日はいい天気だなぁ。
「あっちぃ」
着ぐるみの頭部をはずして、ベッドに腰掛ける。
窓の外はもう暗い。
今夜は新月のはずだから星がさえて見えるだろうとリタルードは思う。
汗で額に張り付いた金髪を指でつまんでもてあそぶ。
一時は腰に届くほど長くしていた髪だけど、今はある程度短くしてひとつにまとめて
いることが多い。
今日買った本はこの街を出るまでに読んで売らなきゃならない。
荷物を増やしたくないし、財産になるものでもないからだ。
着ぐるみを着て、外で出歩くことの難点は、暑さのほかにはしゃべれないことだ。
買い物の時にはそれほど支障は無いが、宿を借りるときが大変だった。
打開策としては首から黒板をさげることだろうか。それならその状態でうまくチョー
クで
字を書けるように練習しないと。
そこまで考えて、ふと気づいた。
僕、もしかしてすごく変な人になってる?
「なんかものすごくそんな気がするなぁ…」
つぶやいて、目線の先の机の上につまれた本の山を見やる。
数えたら十冊は優にこえていた。うん、変な人になってる。
「最近ずっとひとりだったしな」
そういえば独り言も増えた。
ぽろぽろと口から思考回路に流れる情報の一部がこぼれるのは、
あまり気持ちのよいものではないけれど、ついでてしまう。
よし、ナンパでもしにいこう。
決意して、自分の首から下がまだ着ぐるみをきたままだったことを思い出す。
むくむくのもこもこ。指なんかいつもよりぶっとくて愛らしい。
これ、明日には返却しないといけないんだよね。
足元に転がっていたくまの頭を手にとる。
何事も第一印象が重要なのだ。
PR
トラックバック
トラックバックURL: