人物:ライ セラフィナ
場所:デルクリフ⇔ルクセン
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「何かありましたって言いふらしてるようなモノよね」
駆け去る船員を見て、ベアトリスが眉をひそめる。
セラフィナも船員達の慌ただしさはただごとではないと思っていたので笑えない。
「事と次第によっては、私の方がずっと役に立つのに」
そういった彼女に向き直って、目を閉じていたライが溜め息を付いた。
「近くで魔法は控えて欲しいって言わなかったっけ?」
「あら、だから控えてるじゃない」
砂糖たっぷりのコーヒーを飲みながら、当たり前のように言うベアトリス。
セラフィナは心配そうにベアトリスを見つめた。
「ねぇティリー、危ないコトするつもりじゃないわよね?」
「身の危険を感じなきゃね」
即答。
ベアトリスはくいっとコーヒーを飲み干した。
「二人だって周りに任せた方が危ないと思ったら、自分で動くでしょ」
ライとセラフィナが顔を見合わせる。
セラフィナは自分に何か出来そうなとき、色々なことに首を突っ込んできただけに
曖昧な苦笑しか浮かべることが出来ない。
ライは溜め息を付いて机に突っ伏した。
「で、行くつもりなワケね」
「もちろん」
口元をハンカチで軽く拭うと、ベアトリスが立ち上がる。
「足手まといになる可能性とかは考えない……よねー」
「若くても腕はいいんだから!」
気分を害したのか、キツイ目で見下しながら胸を張った。
やれやれ、とライは頭を抱える。
「で、セラフィナさんは?」
「放っておけませんよ」
「……そう、だろうねー……」
予想通りの答えに脱力するライ。
セラフィナが立ち上がるのを確認して、ベアトリスがライに向き直った。
「あなたは留守番?」
「もう少し様子を見てからでもイイと思うけどナァ」
「理由は魔法が怖いから?」
「……って、そうじゃなくて。君も人の話聞いてないよね……」
「まわりくどい話って面倒なのよ」
どうも自分が悪いとは思っていないらしい。
ベアトリスはもう一度船員の去った扉の方を見て振り返った。
「私、魔法使うつもりだからね」
「あああ、やっぱり」
ライが曖昧に笑う。
「もしもアイツだったら私一人じゃ荷が重いかもしれないけど、仕方ないわ」
そういうと、ベアトリスは扉へ向かった。
「え、あ、私も行きます」
セラフィナが追おうとして立ち止まり、ライに声をかける。
「ライさんはどうします?」
「あんな意味深な言葉残して先に行くなんてズルイよねー」
言いながら立ち上がる。
「僕泳げないんだけどなぁ」
気が乗らないながらも付いてきてくれるライに、セラフィナは笑顔を向けた。
☆ ・ ☆ ・ ☆ ・ ☆ ・ ☆
「あちゃー」
ベアトリスを見つけた船員が頭を抱える。
まだ甲板に上がっていないが、上がろうとしていたのはすぐにわかったのだ。
「甲板は危ないから船室にいてって言われたでしょう?お嬢ちゃん」
「ティリーよ」
「すまんすまん、部屋に戻ってなティリー」
なんとか回れ右させようと背中に手を回したのだが。
「危険を知らせないのは何故?」
するりとすり抜けられる。
「あのねー、騒ぎが大きくなるとちょっとしたことでも大事になっちゃうんだよ」
「ちょっとしたことじゃないじゃない」
「ソレはまだ確認できてないからサー」
船員も何とかベアトリスの両肩を掴み、向きを変えて押し出す。
「なんともなければいいがね」
「楽観的すぎ」
間髪入れずに言い返す。
後を追ったセラフィナとライがようやく追いついてきた。
「速いねー」
「決めたら速いわよ、当たり前」
「あ、そう」
そんなやりとりを見た船員が笑う。
「面白いなー、アンタ達」
「いや、一括りにされても困るんだけど」
ドォォォン
耳を塞ぎたくなるような大音響と共に、船体が大きく揺れた。
一瞬体が浮き上がるくらいのかなり大きな揺れ。
「何よ、やっぱりアイツじゃない」
船員の手をすり抜け、ベアトリスが走り出した。
振り向く船員の隣をすり抜け、ライとセラフィナも後を追った。
場所:デルクリフ⇔ルクセン
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「何かありましたって言いふらしてるようなモノよね」
駆け去る船員を見て、ベアトリスが眉をひそめる。
セラフィナも船員達の慌ただしさはただごとではないと思っていたので笑えない。
「事と次第によっては、私の方がずっと役に立つのに」
そういった彼女に向き直って、目を閉じていたライが溜め息を付いた。
「近くで魔法は控えて欲しいって言わなかったっけ?」
「あら、だから控えてるじゃない」
砂糖たっぷりのコーヒーを飲みながら、当たり前のように言うベアトリス。
セラフィナは心配そうにベアトリスを見つめた。
「ねぇティリー、危ないコトするつもりじゃないわよね?」
「身の危険を感じなきゃね」
即答。
ベアトリスはくいっとコーヒーを飲み干した。
「二人だって周りに任せた方が危ないと思ったら、自分で動くでしょ」
ライとセラフィナが顔を見合わせる。
セラフィナは自分に何か出来そうなとき、色々なことに首を突っ込んできただけに
曖昧な苦笑しか浮かべることが出来ない。
ライは溜め息を付いて机に突っ伏した。
「で、行くつもりなワケね」
「もちろん」
口元をハンカチで軽く拭うと、ベアトリスが立ち上がる。
「足手まといになる可能性とかは考えない……よねー」
「若くても腕はいいんだから!」
気分を害したのか、キツイ目で見下しながら胸を張った。
やれやれ、とライは頭を抱える。
「で、セラフィナさんは?」
「放っておけませんよ」
「……そう、だろうねー……」
予想通りの答えに脱力するライ。
セラフィナが立ち上がるのを確認して、ベアトリスがライに向き直った。
「あなたは留守番?」
「もう少し様子を見てからでもイイと思うけどナァ」
「理由は魔法が怖いから?」
「……って、そうじゃなくて。君も人の話聞いてないよね……」
「まわりくどい話って面倒なのよ」
どうも自分が悪いとは思っていないらしい。
ベアトリスはもう一度船員の去った扉の方を見て振り返った。
「私、魔法使うつもりだからね」
「あああ、やっぱり」
ライが曖昧に笑う。
「もしもアイツだったら私一人じゃ荷が重いかもしれないけど、仕方ないわ」
そういうと、ベアトリスは扉へ向かった。
「え、あ、私も行きます」
セラフィナが追おうとして立ち止まり、ライに声をかける。
「ライさんはどうします?」
「あんな意味深な言葉残して先に行くなんてズルイよねー」
言いながら立ち上がる。
「僕泳げないんだけどなぁ」
気が乗らないながらも付いてきてくれるライに、セラフィナは笑顔を向けた。
☆ ・ ☆ ・ ☆ ・ ☆ ・ ☆
「あちゃー」
ベアトリスを見つけた船員が頭を抱える。
まだ甲板に上がっていないが、上がろうとしていたのはすぐにわかったのだ。
「甲板は危ないから船室にいてって言われたでしょう?お嬢ちゃん」
「ティリーよ」
「すまんすまん、部屋に戻ってなティリー」
なんとか回れ右させようと背中に手を回したのだが。
「危険を知らせないのは何故?」
するりとすり抜けられる。
「あのねー、騒ぎが大きくなるとちょっとしたことでも大事になっちゃうんだよ」
「ちょっとしたことじゃないじゃない」
「ソレはまだ確認できてないからサー」
船員も何とかベアトリスの両肩を掴み、向きを変えて押し出す。
「なんともなければいいがね」
「楽観的すぎ」
間髪入れずに言い返す。
後を追ったセラフィナとライがようやく追いついてきた。
「速いねー」
「決めたら速いわよ、当たり前」
「あ、そう」
そんなやりとりを見た船員が笑う。
「面白いなー、アンタ達」
「いや、一括りにされても困るんだけど」
ドォォォン
耳を塞ぎたくなるような大音響と共に、船体が大きく揺れた。
一瞬体が浮き上がるくらいのかなり大きな揺れ。
「何よ、やっぱりアイツじゃない」
船員の手をすり抜け、ベアトリスが走り出した。
振り向く船員の隣をすり抜け、ライとセラフィナも後を追った。
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