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2024/11/01 08:15 |
琥珀のカラス38/カイ(マリムラ)

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PC:カイ クレイ

NPC:クレア デュラン・レクストン ルキア ウルザ

場所:王都イスカーナ

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「おじいちゃん、まだみつかんないのー?」

 いきなりのこの台詞に、疲労困憊の「おじいちゃん」は噛み付いた。

「なんじゃお前さんは!わしは招待しとらんぞい!」

「あ、図星指されて怒ってるー」

「コラ。おとなしくしてなさい」

「えーっ」

 狭い書斎である。埃だらけの書斎である。本が散乱している書斎である。

「狭いから騒ぐなよ」

「狭いとは失敬な!」

「本当に狭いんだから仕方がないだろう?」

「ちょっとー、静かにしようよう」

『お前が言うな!』

「……」

 重ねて言うが、狭い、埃だらけの、本が散乱している書斎である。

「ねー」

「うるさいわい」

「まだなんにも言ってないじゃない」

「癪に障るわ」

「だって、コレー」

「勝手に触るでないわ!」

「捜し物ってコレじゃない?」

『!!!』

 来て、まだそんなに経ったワケじゃない。

 クレアがこの書斎に詳しいわけではけしてない。

 しかし、この部屋の主が半日かけて探せなかったモノを、彼女はいとも簡単に見つけだしたのだ。

「何でみつかんないのよー、すぐあったじゃん」

 小さなパラフィン紙に包まれた琥珀を、まるでキャラメルでも開けるように躊躇なく解放する。

 クレアは琥珀を摘むと透かして、見た。

 埃が舞い、あまり明るいとは言えない地下の書斎で、それはとても柔らかい輝きを放った。



  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



 ルキアは木に登り、町を見下ろしていた。程良く茂った大樹は、気を付けて見ていても、人影を見つけるのは難しい。気付かれる心配などしていなかった。が。

 コツン。

 木に投石があった。

 見下ろすとソコには。

「ウルザ!」

 屋敷にいると思っていた妹の登場に困惑するルキア。ウルザは人通りが途絶えたことを確認して、ロープを放りあげるといとも簡単に上ってくる。

 この木は二人の秘密の場所だった。養い親であるカシューにも教えていない場所。もしかしたらカシューも知っているのかもしれないが、二人の知る限り邪魔されたことのないとっておきの場所。

「何で来たの? あなたはクレア様に付いてないと」

「あら。カシューに頼みに行ったんでしょ? それに」

 気にする様子もなく、当然のように答えるウルザ。

「カラスの翼は、対が揃わないと飛べないのよ」

 風に煽られる髪を抑えながら、眼下を見下ろす。ルキアはあきれてモノが言えなかった。



「何から始めるの?」

「きっと動き出すヤツが居るはず。まだ待つべきだと思うけど」

「強気の姉さんの台詞とは思えないわね。何か仕掛けるかと思ってた」

 ウルザは何をたくらんでいるのだろう?彼女は不適に優雅に笑った。
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2006/08/09 01:38 | Comments(0) | TrackBack() | ●琥珀のカラス

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