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PC:カイ クレイ
NPC:クレア デュラン・レクストン ルキア ウルザ
場所:王都イスカーナ
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「おじいちゃん、まだみつかんないのー?」
いきなりのこの台詞に、疲労困憊の「おじいちゃん」は噛み付いた。
「なんじゃお前さんは!わしは招待しとらんぞい!」
「あ、図星指されて怒ってるー」
「コラ。おとなしくしてなさい」
「えーっ」
狭い書斎である。埃だらけの書斎である。本が散乱している書斎である。
「狭いから騒ぐなよ」
「狭いとは失敬な!」
「本当に狭いんだから仕方がないだろう?」
「ちょっとー、静かにしようよう」
『お前が言うな!』
「……」
重ねて言うが、狭い、埃だらけの、本が散乱している書斎である。
「ねー」
「うるさいわい」
「まだなんにも言ってないじゃない」
「癪に障るわ」
「だって、コレー」
「勝手に触るでないわ!」
「捜し物ってコレじゃない?」
『!!!』
来て、まだそんなに経ったワケじゃない。
クレアがこの書斎に詳しいわけではけしてない。
しかし、この部屋の主が半日かけて探せなかったモノを、彼女はいとも簡単に見つけだしたのだ。
「何でみつかんないのよー、すぐあったじゃん」
小さなパラフィン紙に包まれた琥珀を、まるでキャラメルでも開けるように躊躇なく解放する。
クレアは琥珀を摘むと透かして、見た。
埃が舞い、あまり明るいとは言えない地下の書斎で、それはとても柔らかい輝きを放った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ルキアは木に登り、町を見下ろしていた。程良く茂った大樹は、気を付けて見ていても、人影を見つけるのは難しい。気付かれる心配などしていなかった。が。
コツン。
木に投石があった。
見下ろすとソコには。
「ウルザ!」
屋敷にいると思っていた妹の登場に困惑するルキア。ウルザは人通りが途絶えたことを確認して、ロープを放りあげるといとも簡単に上ってくる。
この木は二人の秘密の場所だった。養い親であるカシューにも教えていない場所。もしかしたらカシューも知っているのかもしれないが、二人の知る限り邪魔されたことのないとっておきの場所。
「何で来たの? あなたはクレア様に付いてないと」
「あら。カシューに頼みに行ったんでしょ? それに」
気にする様子もなく、当然のように答えるウルザ。
「カラスの翼は、対が揃わないと飛べないのよ」
風に煽られる髪を抑えながら、眼下を見下ろす。ルキアはあきれてモノが言えなかった。
「何から始めるの?」
「きっと動き出すヤツが居るはず。まだ待つべきだと思うけど」
「強気の姉さんの台詞とは思えないわね。何か仕掛けるかと思ってた」
ウルザは何をたくらんでいるのだろう?彼女は不適に優雅に笑った。
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