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PC:カイ クレイ
NPC:クレア ウルザ ルキア ギルベルト
場所:王都イスカーナ
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「遅い!」
クレアは何度目かのその言葉を吐き捨てた。
ルキアとウルザは顔を見合わせ、苦笑する。
「まだお部屋に戻られたばかりですよ?クレア様」
「関係ないわよ、そんな事」
着替えを済まし、クッキーをかじるクレアはご立腹だ。
彼女は父に呼び出されたクレイのことが心配でならないのだ。
「理由付けて追い出したり、怪我させようとしたら、お父様でも許さないんだから」
そういうクレアの鼻息は荒い。
「ソレは出来ませんよ」
涼しい顔でお茶をすするのはルキア。ウルザはクレアの後ろに控えている。
「クレア様に嫌われたくはないでしょうから」
そう言って意味深に笑みを浮かべた。
「でも、本当に遅いわよね?」
頬をぷぅっと膨らませると、クレアはテーブルに頬杖を付いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「出せる情報はここまでだ」
ハーネス公ギルベルトは、眼前に跪[ひざまづ]くクレイとカイを交互に見た。
「君たちに屋敷内の滞在を許可しよう」
「ありがとうございます」
ほっと胸をなで下ろす二人。
「だが、女性の部屋に出入りするのは好ましいとは言えんな」
……どうやって帰れと言うのだ。
「ふむ、一部屋を用意させよう。使いたまえ」
「お心遣い感謝します」
深々と頭を下げた。
「特別任務依頼も手配しておこう。これで自由に動けるだろうからな」
「しかしそれでは……」
「私の名前は出ないよう配慮するさ」
「……はい」
ギルベルトに促され、クレイとカイが立ち上がる。
「クレアには結婚話の無期延期を伝えてくれ。君が伝えた方が喜ぶだろうしな」
「承知しました」
だから君の話も聞かなかったことにする、と暗に圧力を感じるのは、クレイの気のせいだけはないだろう。視線が痛いほどに突き刺さる。
「では、失礼します」
「失礼します」
二人はようやく、青の間を脱出できたのだった。
クレイは精神的な疲労で軽い立ちくらみまで感じていた。
「まず、どうする?」
「休みたい……ってワケにもいかないよな」
カイの言葉に、クレイは苦く笑って答えた。
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