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2024/11/01 20:22 |
琥珀のカラス30/カイ(マリムラ)

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PC:カイ クレイ

NPC:クレア ウルザ ルキア ギルベルト

場所:王都イスカーナ

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「遅い!」

 クレアは何度目かのその言葉を吐き捨てた。

 ルキアとウルザは顔を見合わせ、苦笑する。

「まだお部屋に戻られたばかりですよ?クレア様」

「関係ないわよ、そんな事」

 着替えを済まし、クッキーをかじるクレアはご立腹だ。

 彼女は父に呼び出されたクレイのことが心配でならないのだ。

「理由付けて追い出したり、怪我させようとしたら、お父様でも許さないんだから」

 そういうクレアの鼻息は荒い。

「ソレは出来ませんよ」

 涼しい顔でお茶をすするのはルキア。ウルザはクレアの後ろに控えている。

「クレア様に嫌われたくはないでしょうから」

 そう言って意味深に笑みを浮かべた。

「でも、本当に遅いわよね?」

 頬をぷぅっと膨らませると、クレアはテーブルに頬杖を付いた。



  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



「出せる情報はここまでだ」

 ハーネス公ギルベルトは、眼前に跪[ひざまづ]くクレイとカイを交互に見た。

「君たちに屋敷内の滞在を許可しよう」

「ありがとうございます」

 ほっと胸をなで下ろす二人。

「だが、女性の部屋に出入りするのは好ましいとは言えんな」

 ……どうやって帰れと言うのだ。

「ふむ、一部屋を用意させよう。使いたまえ」

「お心遣い感謝します」

 深々と頭を下げた。

「特別任務依頼も手配しておこう。これで自由に動けるだろうからな」

「しかしそれでは……」

「私の名前は出ないよう配慮するさ」

「……はい」

 ギルベルトに促され、クレイとカイが立ち上がる。

「クレアには結婚話の無期延期を伝えてくれ。君が伝えた方が喜ぶだろうしな」

「承知しました」

 だから君の話も聞かなかったことにする、と暗に圧力を感じるのは、クレイの気のせいだけはないだろう。視線が痛いほどに突き刺さる。

「では、失礼します」

「失礼します」

 二人はようやく、青の間を脱出できたのだった。

 クレイは精神的な疲労で軽い立ちくらみまで感じていた。

「まず、どうする?」

「休みたい……ってワケにもいかないよな」

 カイの言葉に、クレイは苦く笑って答えた。
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2006/08/04 20:44 | Comments(0) | TrackBack() | ●琥珀のカラス

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