--------------------------------------------------------------------------------
PC: クレイ カイ
NPC:ロイヤー マグダネル カシュー ギルベルト デュラン
ルキア ウルザ
場所:王都イスカーナ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「……ばかな、なぜ兵が集まらんのだ!」
指して特徴と呼べるところも無い男は顔面を蒼白にしながら、
誰にとも無く独白した。
ロイヤー家は落ちぶれたとはいえれっきとした伯爵家である。
領地をもたないため、独自の兵力は保有してないものの、伯爵
権限で人数と部隊は限られるにしても軍を動かせるはずなのに、
どういうわけかどこに出した要請も不認されたのだ。
それどころか、個人で雇っていた傭兵達も王宮から私兵を宮殿
から距離のある王都外周部の兵舎に下げるように指示されたのだ。
「ロイヤー殿、こちらもダメでした。」
王宮からの使いが退出したのを確認して、入れ替わりに部屋に
入ってきたマグダネルが困惑したように報告した。
マグダネルはロイヤーとは別に、生命の石の奪回を餌に神殿に
話しを付けに行っていたのだ。
先日はデュランと手を組んだらしいカラスとその仲間と実際に
戦ったわけだが、なかなかに侮りがたい連中だったために、援軍
を求めたのだった。
しかしほとんど話をする機会も得られず、結局手ぶらで帰るこ
とになったのだ。
「カラスの後ろに誰がついているにしても、私兵の実質的撤収な
んて勝手にめいれいできないはずなのに。」
もし呼んだ兵達が物理的に何らかの妨害を受けるならまだ想定
内といえるだろう。
だがこの有様ではまるで貴族としての権限そのものが失効して
いるようではないか。
仮に相当上のモノが手を回したにしても、平時は査問委員会も
開かずにかってはできないはずなのだ。
(その無茶をなりふりかまずにやる者がいたにしても、神殿にま
で圧力をかけるのはサウディオ様でもないかぎり不可能。)
おたつくロイヤーを見ているうちに落ち着いてきたのか、マグ
ダネルは状況を分析する。
もともと私兵で十分と思っていたところに突然の移動命令。
ならば権限を生かして「自警」目的でのイスカー軍への兵員出
向要請……の不許可。
別口の神殿ルートもだめ。
こんなマネ、イスカーナ国王ですらそうそうできるものではな
い。
ならばいったい何がおきているのか……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「ファーミア大公が離反された。」
窓の外を眺めながらギルベルトが口にしたのは、さすがのカシ
ューも驚かずにはいられなかった。
「大公様といえばいままで国が割れないように尽力されてた方じ
ゃないですか、そんなお人がなんでまた?」
「詳しいことまではわからんさ。サウディオの話ではディクタで
旗揚げされたリアナ様につい立って話だが……理由まではな。」
だが、と振り返ったギルベルトは唇に笑みを浮かべていた。
「あの方はこの国でも数少ない本物の尊敬に値する貴族だった。
その方の離反は心を痛めんでもないが、私にとってはむしろあり
がたい。大公とまで呼ばれた貴族が消え、力関係は大きく変化す
る。」
「なるほど、三大公の一角くずれるとなれば、ハーネスは無視で
きませんなぁ。」
「おまけに、サウディオの豚も瑣末な事にかまける余裕はなくな
るしな。これまた不可解だが、あの豚はリアナ姫に執着していた
からな。」
ギルベルトとてリアナ王女が「闇の姫巫女」とよばれるゆえん
はつかんでいたが、カシューに言うようなことでも無いのであえ
手底は濁した。
「つまり神殿は勝手にてをひくわけですな。」
「そういうことだ。あとは、彼ら次第。」
今頃はロイヤー邸についているであろう若者達の姿を思い浮か
べる。
「ま、なんだかんだでツキもきてるようだし、きっとうまくいき
ますよ。」
カシューの言葉の裏に潜む思いはギルベルトにとってはまさに
当事者としての思いでもあった。
「ああ、こんどこそはな。」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「ははーん、それでこの有様か。」
ルキアから国の一大事を告げられたクレイの反応はそれだけだ
った。
ロイヤー邸の様子があまりにも無防備すぎて不審がるクレイに
密偵の側面をもつウルザが極秘としながらもうちあけたのだ。
「そういえば王宮がものものしかったのは……。」
カイもなにやら納得したようだがそれほど驚いてはいなかった。
二人にとってはそんな雲の上の話よりも目前のことのほうが大事
というだけなのだ。
「さて、どうしますか?」
ウルザが屋敷をうかがいながら聞いてくる。
ちなみにルキアとウルザはここにもカラスとしてきているため、
クレイはルキアを一号、ウルザを二号とよんでいたりする。
「もちろん、正面から堂々とじゃ!」
デュラン元神官が胸を張りながら宣言する。
カイと顔を見合わせたクレイは思わず笑ってしまう。
「そうだな、むかしから正義の味方は正々堂々ってきまってる。」
そのクレイの言葉に何を感じたのか、珍しくカイも少し笑いな
がら冗談めかして言った。
「そうだな。正々堂々な。」
PC: クレイ カイ
NPC:ロイヤー マグダネル カシュー ギルベルト デュラン
ルキア ウルザ
場所:王都イスカーナ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「……ばかな、なぜ兵が集まらんのだ!」
指して特徴と呼べるところも無い男は顔面を蒼白にしながら、
誰にとも無く独白した。
ロイヤー家は落ちぶれたとはいえれっきとした伯爵家である。
領地をもたないため、独自の兵力は保有してないものの、伯爵
権限で人数と部隊は限られるにしても軍を動かせるはずなのに、
どういうわけかどこに出した要請も不認されたのだ。
それどころか、個人で雇っていた傭兵達も王宮から私兵を宮殿
から距離のある王都外周部の兵舎に下げるように指示されたのだ。
「ロイヤー殿、こちらもダメでした。」
王宮からの使いが退出したのを確認して、入れ替わりに部屋に
入ってきたマグダネルが困惑したように報告した。
マグダネルはロイヤーとは別に、生命の石の奪回を餌に神殿に
話しを付けに行っていたのだ。
先日はデュランと手を組んだらしいカラスとその仲間と実際に
戦ったわけだが、なかなかに侮りがたい連中だったために、援軍
を求めたのだった。
しかしほとんど話をする機会も得られず、結局手ぶらで帰るこ
とになったのだ。
「カラスの後ろに誰がついているにしても、私兵の実質的撤収な
んて勝手にめいれいできないはずなのに。」
もし呼んだ兵達が物理的に何らかの妨害を受けるならまだ想定
内といえるだろう。
だがこの有様ではまるで貴族としての権限そのものが失効して
いるようではないか。
仮に相当上のモノが手を回したにしても、平時は査問委員会も
開かずにかってはできないはずなのだ。
(その無茶をなりふりかまずにやる者がいたにしても、神殿にま
で圧力をかけるのはサウディオ様でもないかぎり不可能。)
おたつくロイヤーを見ているうちに落ち着いてきたのか、マグ
ダネルは状況を分析する。
もともと私兵で十分と思っていたところに突然の移動命令。
ならば権限を生かして「自警」目的でのイスカー軍への兵員出
向要請……の不許可。
別口の神殿ルートもだめ。
こんなマネ、イスカーナ国王ですらそうそうできるものではな
い。
ならばいったい何がおきているのか……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「ファーミア大公が離反された。」
窓の外を眺めながらギルベルトが口にしたのは、さすがのカシ
ューも驚かずにはいられなかった。
「大公様といえばいままで国が割れないように尽力されてた方じ
ゃないですか、そんなお人がなんでまた?」
「詳しいことまではわからんさ。サウディオの話ではディクタで
旗揚げされたリアナ様につい立って話だが……理由まではな。」
だが、と振り返ったギルベルトは唇に笑みを浮かべていた。
「あの方はこの国でも数少ない本物の尊敬に値する貴族だった。
その方の離反は心を痛めんでもないが、私にとってはむしろあり
がたい。大公とまで呼ばれた貴族が消え、力関係は大きく変化す
る。」
「なるほど、三大公の一角くずれるとなれば、ハーネスは無視で
きませんなぁ。」
「おまけに、サウディオの豚も瑣末な事にかまける余裕はなくな
るしな。これまた不可解だが、あの豚はリアナ姫に執着していた
からな。」
ギルベルトとてリアナ王女が「闇の姫巫女」とよばれるゆえん
はつかんでいたが、カシューに言うようなことでも無いのであえ
手底は濁した。
「つまり神殿は勝手にてをひくわけですな。」
「そういうことだ。あとは、彼ら次第。」
今頃はロイヤー邸についているであろう若者達の姿を思い浮か
べる。
「ま、なんだかんだでツキもきてるようだし、きっとうまくいき
ますよ。」
カシューの言葉の裏に潜む思いはギルベルトにとってはまさに
当事者としての思いでもあった。
「ああ、こんどこそはな。」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「ははーん、それでこの有様か。」
ルキアから国の一大事を告げられたクレイの反応はそれだけだ
った。
ロイヤー邸の様子があまりにも無防備すぎて不審がるクレイに
密偵の側面をもつウルザが極秘としながらもうちあけたのだ。
「そういえば王宮がものものしかったのは……。」
カイもなにやら納得したようだがそれほど驚いてはいなかった。
二人にとってはそんな雲の上の話よりも目前のことのほうが大事
というだけなのだ。
「さて、どうしますか?」
ウルザが屋敷をうかがいながら聞いてくる。
ちなみにルキアとウルザはここにもカラスとしてきているため、
クレイはルキアを一号、ウルザを二号とよんでいたりする。
「もちろん、正面から堂々とじゃ!」
デュラン元神官が胸を張りながら宣言する。
カイと顔を見合わせたクレイは思わず笑ってしまう。
「そうだな、むかしから正義の味方は正々堂々ってきまってる。」
そのクレイの言葉に何を感じたのか、珍しくカイも少し笑いな
がら冗談めかして言った。
「そうだな。正々堂々な。」
PR
トラックバック
トラックバックURL: