PC:ノクテュルヌ・ウィンデッシュウグレーツ 狛楼櫻華 スイ
場所:ヴァルメスト山・廃鉱
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いくら科学や技術が発展して、その虹の正体を暴こうとも、
青空に浮かぶ七色の輝きを、人は今日も美しいと思うだろう。
「えへへ、お化け屋敷みたーい。暗ーい、怖ーい」
「といいつつ一番怖くなさそうなのはお前だ、椿」
スイの腕にしがみついて(一部ぶらさがって)、恋人気分を満喫しているノク
テュルヌに、仙女は常連化した突っ込みを入れていた。
「だってお化け屋敷といえば、こういうシュチューエーションでしょ?」
「ああ、たしかに暗い室内を歩き回るそうだな。あと何か作り物の化け物が襲
ってくるとか」
「スイちゃんを普通のお化け屋敷にいれたら、役者さん全滅させて戻ってきそ
うだよねぇ」
「スイ、勘違いしてないか?お化け屋敷とは驚愕や恐怖を堪能する場所で、出
てきた相手を倒すものではないぞ」
スイが、無機質な表情でこちらを向いた。
スイの感情の発現の仕方がようやく最近わかってきた。どうやら驚いているよ
うだ。
「……全部倒したら、何か賞品とか貰えるんじゃないのか?」
どういう育ち方をしたのだろうか?親の顔が見てみたい。
いや、親もこういう風だったらさぞかし世離れした家系だ。もしくは、普通の
親から突然変異で生まれたのかもしれない(笑)
ランタンの琥珀の明かりが、ちらちらと洞内をちらついている。
ノクテュルヌが、さきほどから明かりを振り回して歌っているせいだ。
スイはともかく、櫻花はさっきから注意しよう注意しようと思っているのに、
ノクテュルヌがあまりに楽しそう&歌は中断させるほど不快でもないので、微
妙な顔で黙ってる。
そんな同行者の思惑をまったく理解してない『虹追い人』は高めのソプラノで
歌い続ける。
♪ ♪ ♪♪ ♪
終わりのない物語
自分で結論を出さなくっちゃ
君のせいで、僕はとっても混乱している
僕が誰を選ぶか、待ち構えてるんだろう?
金にものをいわせるあの人か、
仲良し一緒の彼女か
君に首ったけ 僕の願いは一つだけ
あの風吹く道を 君と一緒に歩きたい
君に首ったけ 僕の祈りは一つだけ
あの桜咲く道を 君と一緒に歩きたい
カード2つで勝負がついたと思ったら
きみが突然微笑んだ
その瞳に浮かぶ微笑みは どんな人でも狂わせる
どんな心も狂わせる
僕が誰を選ぶか、君はもう知ってるの?
君に首ったけ 僕の思いは一つだけ
君と一緒に あの空まで行ってみたい
君に首ったけ 僕の行き先は一つだけ
君と一緒に 宝の島まで泳いでみたい
君のおかげで 僕は混乱してる
本当は着く前にサヨナラなのに、手を繋ぎたいとおもってる
分かれ道で離れちゃうのに まだ君の歌が聞きたいとおもってる
草原をこえて、山の中をくぐりぬけて、もう分かれ道はすぐそこ
なのに、僕は君に首ったけ
僕の願いは一つだけ この物語の終わりを君と見てみたい
♪
♪ ♪
♪
「ノクテュルヌ、あまり灯りを振り回すな。それは歩く先を照らすものだ、振
り回すものじゃない」
歌が終わってもランタンをピクニックのバスケットのように振り回す女性に、
ようやく櫻花は控えめな注意をしてみた。
「でもきちんと鉱山内は整備されてるし、ほら歩く歩道も平らだよ?こけな
い、こけない大丈夫!」
しかし、まったく効果は薄かった。というより皆無だった。
ふと、ノクテュルヌはさきほどからスイがこちらを見ているのに気がついた。
ランタンを振り回すのをやめて、不思議そうな顔をする。
「どしたのスイちゃん、おなか痛い?」
「いや……なんでもない」
珍しく歯切れの悪い返答に、何を思ったかノクテュルヌはいきなり笑顔ではし
ゃぎ始めた。
「そっか、おなか減ったんだね!」
「「・・・・・・・・・・・・・は?」」
二人の発言が同音同語でかぶった。
「じゃあさ、またこれが終わったら皆で食べに行こう。餡蜜とか羊羹とか、ス
イちゃんヨウカンしってる?すっごく美味しいんだよ」
それでね、とえらく嬉しそうに話し始めるノクテュルヌの会話に応対するスイ
に、なんら表情の変化は認められなかった。
櫻花も、相も変わらないそんな彼女の様子を見て溜息をついた。
誰も、特に相手への疑いも詮索もなかった。
ただ、スイとしっかり繋いだ手が、少し緩みかけた。
「ってうわー、すごいー、綺麗ー、おっきいー、広いー」
「…確かに、そうだな」
一同が着いたのは、鉱山内で一番大きい区画だろう。
上が何十メートルも高く、ところどころで宝石だか水晶だかの欠片がきらりと
光る。
光は岸壁の間から細く細く差し込まれ、宗教画の洞穴内の教会のような雰囲気
だった。
さきほどから歩道は終わり、なぜか石畳の神殿風な造りや、壊れて倒れた西洋
風の柱が目立つ。
そろそろ、目的地に近いのかもしれない。
と、突然スイが少し離れた。
「っと、スイちゃんどうしたの?」
どこかで、岩が軋む音が、響いた。
振り返ったスイの瞳は、いつもと変わらなかったが、天上の微かな光源のせい
か、どこか感情を帯びていたように思えた。
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Carolina Rua(かろりな・るー)
メアリー・ブラックの1989年代の曲。ノクテュルヌの歌の原型です。
ケルトでヨーロッパ最高の歌声。
場所:ヴァルメスト山・廃鉱
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いくら科学や技術が発展して、その虹の正体を暴こうとも、
青空に浮かぶ七色の輝きを、人は今日も美しいと思うだろう。
「えへへ、お化け屋敷みたーい。暗ーい、怖ーい」
「といいつつ一番怖くなさそうなのはお前だ、椿」
スイの腕にしがみついて(一部ぶらさがって)、恋人気分を満喫しているノク
テュルヌに、仙女は常連化した突っ込みを入れていた。
「だってお化け屋敷といえば、こういうシュチューエーションでしょ?」
「ああ、たしかに暗い室内を歩き回るそうだな。あと何か作り物の化け物が襲
ってくるとか」
「スイちゃんを普通のお化け屋敷にいれたら、役者さん全滅させて戻ってきそ
うだよねぇ」
「スイ、勘違いしてないか?お化け屋敷とは驚愕や恐怖を堪能する場所で、出
てきた相手を倒すものではないぞ」
スイが、無機質な表情でこちらを向いた。
スイの感情の発現の仕方がようやく最近わかってきた。どうやら驚いているよ
うだ。
「……全部倒したら、何か賞品とか貰えるんじゃないのか?」
どういう育ち方をしたのだろうか?親の顔が見てみたい。
いや、親もこういう風だったらさぞかし世離れした家系だ。もしくは、普通の
親から突然変異で生まれたのかもしれない(笑)
ランタンの琥珀の明かりが、ちらちらと洞内をちらついている。
ノクテュルヌが、さきほどから明かりを振り回して歌っているせいだ。
スイはともかく、櫻花はさっきから注意しよう注意しようと思っているのに、
ノクテュルヌがあまりに楽しそう&歌は中断させるほど不快でもないので、微
妙な顔で黙ってる。
そんな同行者の思惑をまったく理解してない『虹追い人』は高めのソプラノで
歌い続ける。
♪ ♪ ♪♪ ♪
終わりのない物語
自分で結論を出さなくっちゃ
君のせいで、僕はとっても混乱している
僕が誰を選ぶか、待ち構えてるんだろう?
金にものをいわせるあの人か、
仲良し一緒の彼女か
君に首ったけ 僕の願いは一つだけ
あの風吹く道を 君と一緒に歩きたい
君に首ったけ 僕の祈りは一つだけ
あの桜咲く道を 君と一緒に歩きたい
カード2つで勝負がついたと思ったら
きみが突然微笑んだ
その瞳に浮かぶ微笑みは どんな人でも狂わせる
どんな心も狂わせる
僕が誰を選ぶか、君はもう知ってるの?
君に首ったけ 僕の思いは一つだけ
君と一緒に あの空まで行ってみたい
君に首ったけ 僕の行き先は一つだけ
君と一緒に 宝の島まで泳いでみたい
君のおかげで 僕は混乱してる
本当は着く前にサヨナラなのに、手を繋ぎたいとおもってる
分かれ道で離れちゃうのに まだ君の歌が聞きたいとおもってる
草原をこえて、山の中をくぐりぬけて、もう分かれ道はすぐそこ
なのに、僕は君に首ったけ
僕の願いは一つだけ この物語の終わりを君と見てみたい
♪
♪ ♪
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「ノクテュルヌ、あまり灯りを振り回すな。それは歩く先を照らすものだ、振
り回すものじゃない」
歌が終わってもランタンをピクニックのバスケットのように振り回す女性に、
ようやく櫻花は控えめな注意をしてみた。
「でもきちんと鉱山内は整備されてるし、ほら歩く歩道も平らだよ?こけな
い、こけない大丈夫!」
しかし、まったく効果は薄かった。というより皆無だった。
ふと、ノクテュルヌはさきほどからスイがこちらを見ているのに気がついた。
ランタンを振り回すのをやめて、不思議そうな顔をする。
「どしたのスイちゃん、おなか痛い?」
「いや……なんでもない」
珍しく歯切れの悪い返答に、何を思ったかノクテュルヌはいきなり笑顔ではし
ゃぎ始めた。
「そっか、おなか減ったんだね!」
「「・・・・・・・・・・・・・は?」」
二人の発言が同音同語でかぶった。
「じゃあさ、またこれが終わったら皆で食べに行こう。餡蜜とか羊羹とか、ス
イちゃんヨウカンしってる?すっごく美味しいんだよ」
それでね、とえらく嬉しそうに話し始めるノクテュルヌの会話に応対するスイ
に、なんら表情の変化は認められなかった。
櫻花も、相も変わらないそんな彼女の様子を見て溜息をついた。
誰も、特に相手への疑いも詮索もなかった。
ただ、スイとしっかり繋いだ手が、少し緩みかけた。
「ってうわー、すごいー、綺麗ー、おっきいー、広いー」
「…確かに、そうだな」
一同が着いたのは、鉱山内で一番大きい区画だろう。
上が何十メートルも高く、ところどころで宝石だか水晶だかの欠片がきらりと
光る。
光は岸壁の間から細く細く差し込まれ、宗教画の洞穴内の教会のような雰囲気
だった。
さきほどから歩道は終わり、なぜか石畳の神殿風な造りや、壊れて倒れた西洋
風の柱が目立つ。
そろそろ、目的地に近いのかもしれない。
と、突然スイが少し離れた。
「っと、スイちゃんどうしたの?」
どこかで、岩が軋む音が、響いた。
振り返ったスイの瞳は、いつもと変わらなかったが、天上の微かな光源のせい
か、どこか感情を帯びていたように思えた。
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Carolina Rua(かろりな・るー)
メアリー・ブラックの1989年代の曲。ノクテュルヌの歌の原型です。
ケルトでヨーロッパ最高の歌声。
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