キャスト:トノヤ・ファング
NPC:ワッチ・月見(PLさんが微妙なのでNPCに移しますた)・アイボリー
場所:ヴァルカン/炭鉱の中
―――――――――――――――
現れたのは、確かに女だった。
この暗さにもかかわらず、やたら鮮明にその姿が見える。
細長い体を薄い布で包んだだけの、簡単な服。編み上げのサンダルのような靴は、
この荒々しい洞窟を歩いて来たにしてはいやに安っぽい。
ゆるく波打った金の髪は、曇り空の切れ間から差し込む光にも似ていた。
『ンルディ・・・なのですね?』
足音すらしない――
気づいた途端、さきほどのトラップのせいで裂かれた服から、凍りつくような風が入ってくる。
女は顔の上半分に影を落としながら、一歩こちらに歩んできた。
『その禍々しい光を消しなさい…』
「えぇと…っていうか消し方知らないんだけどオイラ」
腰に月見をまとわりつかせつつ、困った表情でワッチが剣をもてあそぶ。
すると女がそのまま右手をこちらに翳す。
と、すっと剣から光が消えた。同時に女も手を下げる。
闇は――落ちない。見れば、いつの間にか空洞内は薄いオレンジの光で満たされていた。
思ったより高い天井。もうそこは炭鉱などではなく、
ちょっとした礼拝堂のように整然としている。
「誰…なんだ?どうしてンルディの事を…?」
「そうだそうだ!ステキヴォイスから想像するにスペシャルビューティと見た!
ということでフーアーユー★」
もう一度問うたワッチは構えを崩していない。しっかり決めポーズまでつけた月見の
余計なちゃちゃ入れが入るが、慣れた手つきのトノヤが、一撃で沈黙させる。
それを待ってたかのようなタイミングで、女はようやく顔を上げて
全貌をこちらにさらしてきた。
『その剣は…マスターが嫌う者が作った物…私はアイボリー=ドルーウィ。
――マスター=ウィルドから名を受け継いだ者。』
「…でぇえ?!」
思わず大音量で叫んで、ファングは数歩後退った。そのままの勢いで月見に激突し、
思い切りすっ転んでひとしきり騒いでから、ふらふらと立ち上がると、
改めて女の顔を見る。
――美しい女ではあった。うすい唇、白い肌。淡い空色の瞳は確かにこちらを見ているが、
視線がどうしても合わない。
年齢は20歳前後だろうか。もっと若いかもしれないし、もっと年を重ねているかもしれない。
幻に向かって話しているような気分がどうしても拭えないまま、ファングは聞き返した。
「マジで?」
「――おい、どういう事だ?誰だよウィルドって」
気短に、トノヤが肩を掴んでくる。首だけで振り向いて、ファングは鋭くささやいた。
「ウィルドは俺のオヤジだよ!」
NPC:ワッチ・月見(PLさんが微妙なのでNPCに移しますた)・アイボリー
場所:ヴァルカン/炭鉱の中
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現れたのは、確かに女だった。
この暗さにもかかわらず、やたら鮮明にその姿が見える。
細長い体を薄い布で包んだだけの、簡単な服。編み上げのサンダルのような靴は、
この荒々しい洞窟を歩いて来たにしてはいやに安っぽい。
ゆるく波打った金の髪は、曇り空の切れ間から差し込む光にも似ていた。
『ンルディ・・・なのですね?』
足音すらしない――
気づいた途端、さきほどのトラップのせいで裂かれた服から、凍りつくような風が入ってくる。
女は顔の上半分に影を落としながら、一歩こちらに歩んできた。
『その禍々しい光を消しなさい…』
「えぇと…っていうか消し方知らないんだけどオイラ」
腰に月見をまとわりつかせつつ、困った表情でワッチが剣をもてあそぶ。
すると女がそのまま右手をこちらに翳す。
と、すっと剣から光が消えた。同時に女も手を下げる。
闇は――落ちない。見れば、いつの間にか空洞内は薄いオレンジの光で満たされていた。
思ったより高い天井。もうそこは炭鉱などではなく、
ちょっとした礼拝堂のように整然としている。
「誰…なんだ?どうしてンルディの事を…?」
「そうだそうだ!ステキヴォイスから想像するにスペシャルビューティと見た!
ということでフーアーユー★」
もう一度問うたワッチは構えを崩していない。しっかり決めポーズまでつけた月見の
余計なちゃちゃ入れが入るが、慣れた手つきのトノヤが、一撃で沈黙させる。
それを待ってたかのようなタイミングで、女はようやく顔を上げて
全貌をこちらにさらしてきた。
『その剣は…マスターが嫌う者が作った物…私はアイボリー=ドルーウィ。
――マスター=ウィルドから名を受け継いだ者。』
「…でぇえ?!」
思わず大音量で叫んで、ファングは数歩後退った。そのままの勢いで月見に激突し、
思い切りすっ転んでひとしきり騒いでから、ふらふらと立ち上がると、
改めて女の顔を見る。
――美しい女ではあった。うすい唇、白い肌。淡い空色の瞳は確かにこちらを見ているが、
視線がどうしても合わない。
年齢は20歳前後だろうか。もっと若いかもしれないし、もっと年を重ねているかもしれない。
幻に向かって話しているような気分がどうしても拭えないまま、ファングは聞き返した。
「マジで?」
「――おい、どういう事だ?誰だよウィルドって」
気短に、トノヤが肩を掴んでくる。首だけで振り向いて、ファングは鋭くささやいた。
「ウィルドは俺のオヤジだよ!」
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