キャスト:トノヤ・ファング
NPC:ワッチ・月見・アイボリー
場所:ヴァルカン/炭鉱の中
―――――――――――――――
「おっ…!?」
やぶ睨みだった双眸を珍しく開いて、トノヤが言葉に詰まる。
もう剣を鞘に収めているワッチと、やたら騒いでいる月見は
状況がわかってないのか、あまり反応はない。
じゃあ、とさらにたたみ掛けるトノヤをさえぎって、ファングは続けた。
「そうだよ…あるんだよここに。『浅葱の杖』が!そうだろ!?」
ばっと、振り向く。アイボリーは答えるかわりに横に体をずらすと、
死角になっていて見えなかった、洞窟の奥を指差した。
ここからでは良く見えない―――ファングは待ちきれず、犬のように奥へ走り出していた。
(やっと見れる…!今度はどんな宝だ!?)
笑みを消せない。顔が火照る。うれしくてしょうがない!
祭壇かと見まごうほど立派な台座に、それは突き立っていた。
長さは、台座から下ろせば一メートルくらいだろうか、『杖』とは言えない、ただの棒。
しかし――
「ガラ…ス?」
氷のような、浅葱色。
これだけの量のガラスを見るのは初めてだった――そしてこれだけ透明度が高く、
しかも滑らかな出来のは。
「なんだよ。ただのガラスじゃねーか」
いつの間に来ていたのか、トノヤが興ざめだと言わんばかりにぼやく。
ファングが反論しようと口を尖らせた時、アイボリーの声が響いた。
『マスターの作ったトラップを抜けてきたなら向こうから来るはずなのに…
どうして上から来たのです?』
「え?」
振り向くと――
やたら豪華な門の向こうに、明らかに殺傷を目的とした巨大な歯車や針が
通路いっぱい、複雑に入り組んでいる。どうやら動力部は上に突き出ているようだが…。
「おい…」
「うん…」
ワッチが額にしわを寄せて、すがるようにこちらを見てくる。同じ空気を感じて頷くと、
腕を組んだトノヤがぽつりと上を見上げて、続けた。
「…さっきのトラップはこの仕掛けの一部だったよーだな」
「う…うひょうっ!ファング君のパパンったらオチャメさんv」
「てゆーか俺ら…入り口間違えて…た?」
頭をかかえてしゃがみ込むファングの後ろで、アイボリーが聞いているのかいないのか、
『製作者のウィルドですら脱出するのに一週間を要したというのに…。あなた、名は?』
「それってただのバカじゃ…いや、俺、ファングっていうんだけど。一応そのウィルドって
俺のオヤジなんだけどさ」
その言葉でようやく、女に表情らしい表情があらわれる。
『そうですか、あなたがファング…。いいでしょう、では最後の謎です。
この謎を解かない限り…『浅葱の杖』はお渡しできません。そしていくらあなたでも、
謎が解けなければここから出すなと、マスターから命じられております』
「え…?な、謎?なんだよそれ!」
わけがわからず目をしばたかせるが、ほかの3人の声が無理やり後押しをする。
「ファング、責任重大だなぁ」
「でも…vこのままここにいてもパラダーイス♪」
「解けなかったらブッ殺すからなマジで」
「お前ら、実は俺を手伝う気ゼロだろ!?」
たまらず立ち上がったファングの背後で、滑るようにアイボリーが声を放った。
『この杖に喰らわれないうちに、この杖をここから運び出してください』
・・・★・・・
月も太陽も星もいらぬ。欲望は闇に埋まる―――闇を食らう浅葱の杖
NPC:ワッチ・月見・アイボリー
場所:ヴァルカン/炭鉱の中
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「おっ…!?」
やぶ睨みだった双眸を珍しく開いて、トノヤが言葉に詰まる。
もう剣を鞘に収めているワッチと、やたら騒いでいる月見は
状況がわかってないのか、あまり反応はない。
じゃあ、とさらにたたみ掛けるトノヤをさえぎって、ファングは続けた。
「そうだよ…あるんだよここに。『浅葱の杖』が!そうだろ!?」
ばっと、振り向く。アイボリーは答えるかわりに横に体をずらすと、
死角になっていて見えなかった、洞窟の奥を指差した。
ここからでは良く見えない―――ファングは待ちきれず、犬のように奥へ走り出していた。
(やっと見れる…!今度はどんな宝だ!?)
笑みを消せない。顔が火照る。うれしくてしょうがない!
祭壇かと見まごうほど立派な台座に、それは突き立っていた。
長さは、台座から下ろせば一メートルくらいだろうか、『杖』とは言えない、ただの棒。
しかし――
「ガラ…ス?」
氷のような、浅葱色。
これだけの量のガラスを見るのは初めてだった――そしてこれだけ透明度が高く、
しかも滑らかな出来のは。
「なんだよ。ただのガラスじゃねーか」
いつの間に来ていたのか、トノヤが興ざめだと言わんばかりにぼやく。
ファングが反論しようと口を尖らせた時、アイボリーの声が響いた。
『マスターの作ったトラップを抜けてきたなら向こうから来るはずなのに…
どうして上から来たのです?』
「え?」
振り向くと――
やたら豪華な門の向こうに、明らかに殺傷を目的とした巨大な歯車や針が
通路いっぱい、複雑に入り組んでいる。どうやら動力部は上に突き出ているようだが…。
「おい…」
「うん…」
ワッチが額にしわを寄せて、すがるようにこちらを見てくる。同じ空気を感じて頷くと、
腕を組んだトノヤがぽつりと上を見上げて、続けた。
「…さっきのトラップはこの仕掛けの一部だったよーだな」
「う…うひょうっ!ファング君のパパンったらオチャメさんv」
「てゆーか俺ら…入り口間違えて…た?」
頭をかかえてしゃがみ込むファングの後ろで、アイボリーが聞いているのかいないのか、
『製作者のウィルドですら脱出するのに一週間を要したというのに…。あなた、名は?』
「それってただのバカじゃ…いや、俺、ファングっていうんだけど。一応そのウィルドって
俺のオヤジなんだけどさ」
その言葉でようやく、女に表情らしい表情があらわれる。
『そうですか、あなたがファング…。いいでしょう、では最後の謎です。
この謎を解かない限り…『浅葱の杖』はお渡しできません。そしていくらあなたでも、
謎が解けなければここから出すなと、マスターから命じられております』
「え…?な、謎?なんだよそれ!」
わけがわからず目をしばたかせるが、ほかの3人の声が無理やり後押しをする。
「ファング、責任重大だなぁ」
「でも…vこのままここにいてもパラダーイス♪」
「解けなかったらブッ殺すからなマジで」
「お前ら、実は俺を手伝う気ゼロだろ!?」
たまらず立ち上がったファングの背後で、滑るようにアイボリーが声を放った。
『この杖に喰らわれないうちに、この杖をここから運び出してください』
・・・★・・・
月も太陽も星もいらぬ。欲望は闇に埋まる―――闇を食らう浅葱の杖
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