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2024/05/16 19:46 |
ワッチ「温泉にて」/ワッチ(さるぞう)
PT :    ワッチ
場所:    ヴァルカン
PC :    ワッチ
NPC:    

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オイラの名前はワッチ、今オイラがどこに居るかって-と……温泉の中だったりす
る。

「ふぅー極楽だぜぇ~~」
温泉に浸かりながらチビリチビリと飲酒(や)ってるんだけど、これがまた、乙な物
でよぉ。
と思いながらも、いつの間にかラッパ飲み状態になってるのは、しょうが無ぇっても
んでな。

「これと言って良い仕事も無ぇしなぁ…まぁランクFの冒険者に回ってくる仕事なん
か、大した事無ぇし…」
と、まぁ今は鉱夫のアルバイト真っ最中ってな、無料温泉と酒が飲み放題ってのは嬉
しいけどよぉ。
飲みながらオイラは苦笑してた。

「明日また、ギルドにでも行って、手ごろな仕事探さないとなぁ」
オイラはぶつぶつ言いながら、結構出来上がってきている。

日雇い労働…ハンターなんて同じようなもんだけどな、ただ、オイラの剣闘士として
の魂が許しちゃくれないらしい。
強ぇ奴との出会い…まぁ、腕っ節の強そうな奴なら、この街にゃゴロゴロしてるんだ
けどなぁ…喧嘩は嫌いだからな、ホントだぜ。



ヴァルカン…この火山に生き、火山を喰らう街
ポポルがエルフと人間が共存する街なら、ここはドワーフと人間が共存する街だ。

多くの鍛冶屋が存在し、生まれながらの職人であるドワーフの名工たちを輩出した
街、もちろん人間の名工も多い。


話は一週間前に遡るんだけどよ…
オイラも剣を使う者の端くれとして、この街の武器を見て回ったのさ…そして、見つ
けたんだ…掘り出し物といっても良い

町外れ…メインストリートから外れた下町のさらに外れた所で今にも潰れそうなボロ
ボロの鍛冶屋「暴れ山羊」
そこに投げ捨てられるように置いてあったその剣を見て、気に入っちまった…オイラ
が気に入ったのは剣だけじゃなく、お揃いの盾。

立派な山羊のモチーフと、オイラの為に作られたような重さ…ただ……気にいらねぇ
のは、値段だ!!
銀貨二枚だと?安すぎるのさ…

「親父…なんかの冗談だろう?この剣と盾が銀貨二枚ってのは?」
オイラは不自然なまでの値段に親父に聞いてみた。

「けっ、どうせワシゃ呪われた武器職人よ…ワシの作った武器はそれで最後じゃよ、
それが売れたらこんな街とはおさらばじゃ。」
酒瓶を抱え酔いつぶれ気味のドワーフの親父は、吐き捨てるようにオイラに言ってき
た…

「呪われた武器職人ってなんだそりゃ?」
気になったオイラは、聞いてみることにしたんだが…

「聞いて驚け、ワシの作った武器を買った奴は、みーんな、戦いで命を落としちまっ
てるんじゃよ、フンっ、剣を振るえば死と隣り合わせ、そんな事は当たり前の事なん
じゃ……ワシが作った剣は、全部で九振り…そして今まで8人の戦士が、命を落とし
ておる…じゃからの、最後の一振りには盾をサービスで作った…命を落とす危険を少
しでも減らすためにの…が、最後の一振り、どうしても売れぬのじゃ、これを売らぬ
限り、ワシはこの店を閉めたくないのじゃよ…」
そう言って口を閉ざした店の親父の顔には、無念さがにじみ出てきてたんだ…

「……親父…その剣と盾、オイラが買うぜ…今金が無ぇんだけどよ予約って事で良い
だろ?手付けに銀貨一枚置いていくからよ、な?オイラは死な無ぇぜ、オイラは強く
なるって決めてるからよ…そして…強ぇって事は生きるって事だって、オイラの爺さ
んが教えてくれたからよ。
その剣と盾で、オイラは一つ強くなれる気がするんだ…」
そう言って、銀貨を渡す。

店の親父は銀貨を受け取ると、剣と盾を磨き始めながら、「お前さんが取りに来るま
でピカピカに磨いておくよ。」と笑いながらオイラを送りだしてくれたんだ…


でっ、今オイラはのんびりと温泉なんぞに入っている訳なんだが…未だに殆ど無一文
に近い上に、大した仕事にも有り付けず…


オイラは酒の回ったぼんやりした頭で、明日も鉱山か、それとも何か起きるのか、そ
んな事を考えていた……
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2007/03/09 00:47 | Comments(0) | TrackBack() | ●浅葱の杖

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