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2025/03/10 06:39 |
ゼッタイゼツメイ?/トノヤ(ヒサ)
キャスト:ワッチ・月見・トノヤ・ファング
NPC:悪人面グループ
場所:ヴァルカン/炭鉱の中
―――――――――――――――
『あぎゃーーー!!』

後ろで悲惨な悲鳴がいくつも聞こえてくる。
地面から追って出てくる凶悪なトラップは、逃げられない早さではない。
しかしこのまま走り続けてもいつかは捕まッてしまうのは目に見えている。

「ど、どうすんだよファング!?このトラップ止まりそうにないぞ!!」
「どうすんだって言われても……!!どっかに止める仕掛けは絶対あるはずなんだけ
ど、こんな状況じゃ探すことも出来ないって!!」

走り始めてすぐに音を上げた月見を抱えて走るワッチにも疲労の色が見えかくれして
いる。
ファングもそろそろやばい。
ちらりと後ろを見るファング。
物凄い勢いで突き出てくる巨大な剣のスピードが衰える気配は全く無い。
走り続けて酸素の足りない脳みそをフル回転させて打開策を探すが、どうにもこうに
も浮かんでこない。
このトラップが発動したのは状況からして、ワッチにノされた男達が起きた時に仕掛
けに触ったのだろう。

「ハァハァ……大抵のトラップのオンオフの仕掛けは同じ場所にあるんだけど……こ
れじゃあ戻ッてみることも出来ないよ!」
「さっき居た場所に止める仕掛けがあるのか?」

ファングの隣をやけに涼しい顔をして走っていたトノヤが振り返る。

「あるかどうかはわからないけど、可能性はあるってコトッ」
「なるほどね」

なにを血迷ったのかトノヤは急に立ち止まり、トラップに面と向かった。
手には先程持っていた銃ではなく、ひと回り大きな銃を持っていた。

「オイ少年っ!死ぬ気か!?」

思わず足を止めるワッチにトノヤは「良いから走っとけよ!」と怒鳴り付ける。
ワッチの走りつつも止まりかけたり振り向いたりと不規則な動きに、肩上の月見はア
ウアウと泡を吹いてグロッキー状態だ。

もうトラップは目の前。
ワッチとファングが胸の奥で十字を切った瞬間。
トノヤは持っていた銃の照準を低い天井に向け、足下が割れる寸前にトリガーを引い
た。

ガチッ!!

銃口から飛び出したのは弾丸ではなくワイヤーだった。
ワイヤーの先は天井にしっかり食い付き、ターザンのように振り子でトラップの上を
通過し、綺麗に後ろに着地した。

「お、おお。すごォ……」
「ってゆーか俺にも出来たかも」

ファングは自分の鞄の中にも先に仕掛けの付いたワイヤーは入っているのに気が付い
た。
しかし,のっぺりした天井に引っ掛けるのではなく、ヒト1人が支えられる程しっか
りと刺すのは余程の力でないと無理だ。
中途半端に刺さったところで……考えただけでも痛い。
自分の実戦した所を想像してファングは背中に冷たい汗を感じた。

「仕掛け探してくっから、それまで死ぬなよ~~」

物凄い速さで遠ざかるトノヤの声。
もし見つけたところであいつが1人でトラップ解除出来るのか、とファングの頭を不
安がよぎるが、取り敢えず今は信じて走るしかなさそうだ。

「おいファング!前!前!」
「え?……ゲッ!!」

絶体絶命。……かもしれない。
こういうトラップにありがちな展開、行き止まり、だ。
目の前に広がる湿った岩壁。
そして足下には絶望感たっぷりに白骨が山になっている。
追ってくるトラップはいやらしく速度がゆるむ。
神に祈る時間でも与えているつもりだろうか。

「ここはオイラが横穴をぶちあけるッ!!」
「ちょっ……無理だとおも……」

ガチ~~ン

勢い良くンルディを降りおろすが、見事に刃は止まる。
相当の衝撃にワッチはビリビリ。ついでに担いだままの月見もビリビリ痙攣している。
そんな様子を横目にファングは壁をまさぐる。

「運が良ければこーゆーとこにスイッチが……」

左手に違和感。
ビンゴだ。1ケ所だけ軽い手触りの岩。
しかし押しても引いてもびくともしない。

「ワッチん!ここ殴ッて!!」
「おしきたぁ!!くおるぁ!!!」

ベッコン

緊張感のない音とともに地響きをあげ、横穴が出現した。
もうトラップは目の前に迫っていた。
急いで横穴に飛び込む2人と1人。
ファングが最後に飛び込んだとき、背中を冷たい風が薄く切り裂いた。
スースーするので服の後ろが割かれたようだ。

「ふー……助かった?」
「なんとか?」
「ってーか狭いよ。ワッチんもっと奥行けない?」

横は幅は大人1人入るには狭いほどしかなく、高さはワッチの長身では頭がついてし
まいそうな低さ。
実際ワッチは首が曲がってるようだ。
奥行きは、もしかしたらヒト1人分なのかもしれない。
三人だと相当圧迫感がある。ぎゅうぎゅうだ。

「助かったは良いけど……このまま圧死?」
「しょ、少年がなんとかしてくれ、る、グエッ……月見ィ!動くなよ!」
「目が覚めてみたらなんとぉ!VIVAハーレムではないですかッ★ちょっと狭いけど。
鼻から墳血しそうですぞ!!グフッグフフフ」
「つ、突っ込むスペースもない……」

横穴の出入り口は剣のトラップが止まり、塞いでしまっている。
まさに八方塞がり。

とりあえず戻ってくるかわからないがトノヤを待ってみることにした一行であった。
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2007/03/09 00:57 | Comments(0) | TrackBack() | ●浅葱の杖

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