キャスト:ワッチ・月見・トノヤ・ファング
NPC:悪人面グループ
場所:ヴァルカン/炭鉱の中
―――――――――――――――
(銃…だよなさっきの)
鉄でできた弾を高速で撃ち出す武器――
その程度の知識が、さっと頭を駆け巡る。
見たのは初めてだが、これほどまでに小さいものだとは思わなかった。
銃、という響きから鈍重なフォルムだとばかり思っていたが、
彼の持っているそれは派手な彩色が目を引く。しかも素材は鉄などではなく、
いやに薄っぺらい、つるりとしたものだ。到底、鉄の弾を撃ち出せるとは思えない。
少年の腰に装備されているそれを暗がりの中でじっと
観察しながら、ファングはひたすら胸中で警鐘を聞いていた。
(撃たれたら、死ぬにきまってんじゃん!)
月見の両足を引きずりながら、傷を探す。だが、擦り傷ひとつ見つからない。
そしてワッチと少年が動こうとした時、
先に動いたのは……月見だった。
「ぐふぅ。なんかゴツゴツしてるんですが…ッ☆まるで岩の上で
寝ているみたいじゃないのさ!」
がばと跳ね起きた月見のせりふが、皆を止める。
足を掴んだままのファングが言葉を捜していると、彼女は嬉々としてさらに
叫んできた。
「あぁ!もしかしてファング君!?いつの間にこんなにゴツく!?」
「なってねーよ!起きろ!いいから!」
わけがわからず、足を離してとにかく叫び返す。と、視線を感じてそちらを見れば
ワッチとトノヤが構えを崩さないままこちらを何か言いたげに見ていた――
特にトノヤと名乗った少年――ファングとさほど年は離れていないように見えるが、
目つきの悪さが何かを隔てているようにも思える。
「なんだよ月見。死んでないじゃん」
「だから言ったろ」
「なんかその言い回し…死んでたほうがよかったみたいな感じなんですケド!」
月見の返事のかわりに、トノヤが割り込んでくる。その顔は、高まった士気に
水を刺されたことで、不服そうだった。
月見が立ち上がりながらこっそり反論するが、いつもの事であまり重視されていない。
「仕切りなおしだな」
「そだな。じゃあ――」
「おぉっ!?なんか頭が5鼻毛くらい痛いですぞ☆てゆかこのステッキーな銀髪様はどちら様?」
「…えぇと」
再度足を開いて構えるトノヤとワッチに、がっくりと肩を落としつつ声をかける。
「タイマンはちょっと置いておいてさ、なんか…いろいろわかんないんトコあるんだけど」
「わからない?そうだなぁ、タイマンは男のロマンだぞ」
「そこじゃねーよ!」
真面目な顔をして答えてくるワッチにきっぱりと言い放って、とりなおすように
トノヤに向き直る。彼は、この数秒の空白でさえ退屈そうだった。
「だからさ、えーっとトノヤ?おたく、何しに来たんだ?」
「ん?俺か?」
ようやくまともに話ができると踏んでか――トノヤがこちらに向き直る。
双方、互いの顔を確認するように見てから、
「いや、なんかこいつらがよ、洞窟に生える山菜を採るから手伝ってくれっていうから」
『こいつら』のところでトノヤはぞんざいに腕を振って、まだ倒れている男達を指した。
「…は?」
「俺もくだらねぇとは思ったんだけどよ。まぁヒマだったから来たけど。
でもどーやら、違うみてぇだな。――宝って、何だ?」
「…」
一瞬ファングは言葉に詰まった――相手が敵でなさそうという事ヘわかるが、
貴重な宝の情報をすぐに言える仲でもない。
(今は…だけどな。もしかしたら手伝ってもらえるかも?)
淡い期待を込めて、口を開きかけた時、
「く…うっ!?」
うめき声と共に、次々とさきほどの男達が立ち上がる。
にわかに騒がしくなった炭鉱内で、警戒したファング達が身構えると同時、
ワッチがふと、つぶやいた。
「…なぁ、なんか聞こえねぇか?」
「え?」
ワッチの声に、男達でさえ黙る。月見はなにやらわめいていたが、
ファングがすかさず口をふさいだ。
しん…とした炭鉱内で、がしゃがしゃと、金属がこすれ合うような音が響く。
音はなにやら早いリズムで、しかも確実に近づいてきている。
月見の口をふさがなくてもその音が聞こえるまでに近づいてきたその時、
「なんっ…だ!?ありゃあ……」
誰ともなしに、今まで進んできた方向を指差す。
最初に見えたのは、遠くでランプの明かりを反射する一本の柱だった。
しゅぎん!
柱が突如壁から現れて、すぐに沈む。また現れて、消える。
それをすさまじいスピードで繰り返しながら、進んできているのである。
そして柱の正体は――巨大な剣の刃だった。
「トラップだ――ッ!!!!」
一行は、口々に叫びながら全速力で炭鉱の奥へと駆けていった。
NPC:悪人面グループ
場所:ヴァルカン/炭鉱の中
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(銃…だよなさっきの)
鉄でできた弾を高速で撃ち出す武器――
その程度の知識が、さっと頭を駆け巡る。
見たのは初めてだが、これほどまでに小さいものだとは思わなかった。
銃、という響きから鈍重なフォルムだとばかり思っていたが、
彼の持っているそれは派手な彩色が目を引く。しかも素材は鉄などではなく、
いやに薄っぺらい、つるりとしたものだ。到底、鉄の弾を撃ち出せるとは思えない。
少年の腰に装備されているそれを暗がりの中でじっと
観察しながら、ファングはひたすら胸中で警鐘を聞いていた。
(撃たれたら、死ぬにきまってんじゃん!)
月見の両足を引きずりながら、傷を探す。だが、擦り傷ひとつ見つからない。
そしてワッチと少年が動こうとした時、
先に動いたのは……月見だった。
「ぐふぅ。なんかゴツゴツしてるんですが…ッ☆まるで岩の上で
寝ているみたいじゃないのさ!」
がばと跳ね起きた月見のせりふが、皆を止める。
足を掴んだままのファングが言葉を捜していると、彼女は嬉々としてさらに
叫んできた。
「あぁ!もしかしてファング君!?いつの間にこんなにゴツく!?」
「なってねーよ!起きろ!いいから!」
わけがわからず、足を離してとにかく叫び返す。と、視線を感じてそちらを見れば
ワッチとトノヤが構えを崩さないままこちらを何か言いたげに見ていた――
特にトノヤと名乗った少年――ファングとさほど年は離れていないように見えるが、
目つきの悪さが何かを隔てているようにも思える。
「なんだよ月見。死んでないじゃん」
「だから言ったろ」
「なんかその言い回し…死んでたほうがよかったみたいな感じなんですケド!」
月見の返事のかわりに、トノヤが割り込んでくる。その顔は、高まった士気に
水を刺されたことで、不服そうだった。
月見が立ち上がりながらこっそり反論するが、いつもの事であまり重視されていない。
「仕切りなおしだな」
「そだな。じゃあ――」
「おぉっ!?なんか頭が5鼻毛くらい痛いですぞ☆てゆかこのステッキーな銀髪様はどちら様?」
「…えぇと」
再度足を開いて構えるトノヤとワッチに、がっくりと肩を落としつつ声をかける。
「タイマンはちょっと置いておいてさ、なんか…いろいろわかんないんトコあるんだけど」
「わからない?そうだなぁ、タイマンは男のロマンだぞ」
「そこじゃねーよ!」
真面目な顔をして答えてくるワッチにきっぱりと言い放って、とりなおすように
トノヤに向き直る。彼は、この数秒の空白でさえ退屈そうだった。
「だからさ、えーっとトノヤ?おたく、何しに来たんだ?」
「ん?俺か?」
ようやくまともに話ができると踏んでか――トノヤがこちらに向き直る。
双方、互いの顔を確認するように見てから、
「いや、なんかこいつらがよ、洞窟に生える山菜を採るから手伝ってくれっていうから」
『こいつら』のところでトノヤはぞんざいに腕を振って、まだ倒れている男達を指した。
「…は?」
「俺もくだらねぇとは思ったんだけどよ。まぁヒマだったから来たけど。
でもどーやら、違うみてぇだな。――宝って、何だ?」
「…」
一瞬ファングは言葉に詰まった――相手が敵でなさそうという事ヘわかるが、
貴重な宝の情報をすぐに言える仲でもない。
(今は…だけどな。もしかしたら手伝ってもらえるかも?)
淡い期待を込めて、口を開きかけた時、
「く…うっ!?」
うめき声と共に、次々とさきほどの男達が立ち上がる。
にわかに騒がしくなった炭鉱内で、警戒したファング達が身構えると同時、
ワッチがふと、つぶやいた。
「…なぁ、なんか聞こえねぇか?」
「え?」
ワッチの声に、男達でさえ黙る。月見はなにやらわめいていたが、
ファングがすかさず口をふさいだ。
しん…とした炭鉱内で、がしゃがしゃと、金属がこすれ合うような音が響く。
音はなにやら早いリズムで、しかも確実に近づいてきている。
月見の口をふさがなくてもその音が聞こえるまでに近づいてきたその時、
「なんっ…だ!?ありゃあ……」
誰ともなしに、今まで進んできた方向を指差す。
最初に見えたのは、遠くでランプの明かりを反射する一本の柱だった。
しゅぎん!
柱が突如壁から現れて、すぐに沈む。また現れて、消える。
それをすさまじいスピードで繰り返しながら、進んできているのである。
そして柱の正体は――巨大な剣の刃だった。
「トラップだ――ッ!!!!」
一行は、口々に叫びながら全速力で炭鉱の奥へと駆けていった。
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