PC:エンジュ シエル レイン
NPC:ユークリッド(情報屋)オーガス(商人)
場所:夢の島ナイティア
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
オーガスがエンジュの元から消え去った、と次の瞬間には儀式の祭壇の横に立って
いる。
「ねえ、エンジュ」
「なに?」
「あなたあんなコトできたかしら」
「やったことないからわからないわ」
もう肩の荷は下りたのか、エンジュはオーガスの魔力の使い方に口笛を吹きそうな
勢いで感心している。脱力感は未だ拭いきれないようだが、隣に立つシエルの方に手
を置いて立ったまま顛末を眺めているのだ。
天使像のごときレインのちょっと辿々しい舞いも、よく見れば最初から繰り返して
いるらしい。若干疲れの色が見え隠れする。
で、肝心のカモノハシはというと。
「ぼはははははははははははははは!!」
巨大化して(といっても人間サイズなのだが)オーガスとにらみ合っているのだ。
「今こそお前を封印してやる」
「ぼはははははははははははははは!!」
「この魔力がお前の行動を阻んでいるのが分かるだろう?」
手を大きく広げたオーガスが、なにやら呪縛系の魔法を使っているらしい。コレな
らレインの舞いもつつがなく終えることが出来そうだった。が。
「ぼはははははははははははははは!!
甘い、甘いぞ、蜂蜜よりも甘いぞぅ!!」
何で蜂蜜なんだよ、というツッコミはおいといて。
「……最大奥義"巨大なカモノハシ☆"!!」」
カモノハシの声がオーガスの耳に叩き付けられる。視線を合わせ、直接頭に押し込
まれた呪文(?)は、オーガスの目の色を変えさせた。
「……マズイぞ」
異変に最初に気付いたのはユークリッドだった。
「アレは……この村に伝説として伝わっている”ことあるごとに河に潜って木の枝を
集めたくさせる能力”に違いない!!」
「何よソレ!」
「……河の水が干上がっているときに、その能力って意味あるの?」
「あるさ、今オーガスは姉さんの魔力を持ってるんだぞ!!」
エンジュとシエルが目を見合わせる。おそるおそるオーガスに視線を戻すと、何ご
とか唱え、突然水の湧きだした河へ飛び込むところだった。
「ぼはははははははははははははは!!」
勝ち誇ったカモノハシにシエルは小さく舌打ちすると『カルム』と呟いて走り出し
た。愛銃アルジャンはユークリッドに押しつけて。いきなり声が出なくなってオロオ
ロするカモノハシを無視し、エンジュに目だけで合図する。
「……『クードヴァン』」
エンジュの頷きと同時の呪文。祭壇まで風で高速移動したのだ。
「……アレは任せる。援護はユークリッド君に頼んで」
「任された。シエルは大丈夫?」
「あんまり保ちそうにないな」
目も合わせずの会話。アレとはもちろんカモノハシ魔王のことで、エンジュが未だ
動揺しているカモノハシに駆け寄るのを背中で感じると、シエルはオーガスの後を追
う。しかし、止めるのは間に合いそうにない。
「……『エール』……っ!」
咄嗟に口を突いたのは呼吸補助の風を呼ぶ呪文。その風をオーガスにまとわりつか
せるのは、何とか間に合ったようだ。
「こ、れで……溺れはしない……わね」
目が据わっている。風魔法の連続使用で、睡魔は極限に達しようとしていた。
よろけつつも河に落ちる前に踏みとどまり、振り返ってエンジュとレインを見る。
「我は夢見の巫女として聖霊に乞う……この乾いた地に恵みの雨を!
この乾いた河に満ち満ちるほどのの雨を!
そして永きにわたる……降雨の契約を!!」
舞い終わったレインが、銀の短刀をカモノハシに突きつけているエンジュの向こう
で、聖霊に呼びかけた。祭壇が光に包まれる……!?
その光を見たような気がしたのは、もしかしたら夢だったのかもしれない。
シエルはホッとしたように崩れ落ち、深い眠りについていたのだ。
NPC:ユークリッド(情報屋)オーガス(商人)
場所:夢の島ナイティア
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オーガスがエンジュの元から消え去った、と次の瞬間には儀式の祭壇の横に立って
いる。
「ねえ、エンジュ」
「なに?」
「あなたあんなコトできたかしら」
「やったことないからわからないわ」
もう肩の荷は下りたのか、エンジュはオーガスの魔力の使い方に口笛を吹きそうな
勢いで感心している。脱力感は未だ拭いきれないようだが、隣に立つシエルの方に手
を置いて立ったまま顛末を眺めているのだ。
天使像のごときレインのちょっと辿々しい舞いも、よく見れば最初から繰り返して
いるらしい。若干疲れの色が見え隠れする。
で、肝心のカモノハシはというと。
「ぼはははははははははははははは!!」
巨大化して(といっても人間サイズなのだが)オーガスとにらみ合っているのだ。
「今こそお前を封印してやる」
「ぼはははははははははははははは!!」
「この魔力がお前の行動を阻んでいるのが分かるだろう?」
手を大きく広げたオーガスが、なにやら呪縛系の魔法を使っているらしい。コレな
らレインの舞いもつつがなく終えることが出来そうだった。が。
「ぼはははははははははははははは!!
甘い、甘いぞ、蜂蜜よりも甘いぞぅ!!」
何で蜂蜜なんだよ、というツッコミはおいといて。
「……最大奥義"巨大なカモノハシ☆"!!」」
カモノハシの声がオーガスの耳に叩き付けられる。視線を合わせ、直接頭に押し込
まれた呪文(?)は、オーガスの目の色を変えさせた。
「……マズイぞ」
異変に最初に気付いたのはユークリッドだった。
「アレは……この村に伝説として伝わっている”ことあるごとに河に潜って木の枝を
集めたくさせる能力”に違いない!!」
「何よソレ!」
「……河の水が干上がっているときに、その能力って意味あるの?」
「あるさ、今オーガスは姉さんの魔力を持ってるんだぞ!!」
エンジュとシエルが目を見合わせる。おそるおそるオーガスに視線を戻すと、何ご
とか唱え、突然水の湧きだした河へ飛び込むところだった。
「ぼはははははははははははははは!!」
勝ち誇ったカモノハシにシエルは小さく舌打ちすると『カルム』と呟いて走り出し
た。愛銃アルジャンはユークリッドに押しつけて。いきなり声が出なくなってオロオ
ロするカモノハシを無視し、エンジュに目だけで合図する。
「……『クードヴァン』」
エンジュの頷きと同時の呪文。祭壇まで風で高速移動したのだ。
「……アレは任せる。援護はユークリッド君に頼んで」
「任された。シエルは大丈夫?」
「あんまり保ちそうにないな」
目も合わせずの会話。アレとはもちろんカモノハシ魔王のことで、エンジュが未だ
動揺しているカモノハシに駆け寄るのを背中で感じると、シエルはオーガスの後を追
う。しかし、止めるのは間に合いそうにない。
「……『エール』……っ!」
咄嗟に口を突いたのは呼吸補助の風を呼ぶ呪文。その風をオーガスにまとわりつか
せるのは、何とか間に合ったようだ。
「こ、れで……溺れはしない……わね」
目が据わっている。風魔法の連続使用で、睡魔は極限に達しようとしていた。
よろけつつも河に落ちる前に踏みとどまり、振り返ってエンジュとレインを見る。
「我は夢見の巫女として聖霊に乞う……この乾いた地に恵みの雨を!
この乾いた河に満ち満ちるほどのの雨を!
そして永きにわたる……降雨の契約を!!」
舞い終わったレインが、銀の短刀をカモノハシに突きつけているエンジュの向こう
で、聖霊に呼びかけた。祭壇が光に包まれる……!?
その光を見たような気がしたのは、もしかしたら夢だったのかもしれない。
シエルはホッとしたように崩れ落ち、深い眠りについていたのだ。
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