◆――――――――――――――――――――――――――――
場所 とある街
メンバー リング
NPC フリフリスカートの女性(?)と男二人
◆――――――――――――――――――――――――――――
「ふう・・・」
雷に打たれ黒焦げになって、慌てふためいて逃げていく二人を見ながら、リングは安堵のため息をついた。
(あの二人、いい人間とは言い切れませんでしたが、「聖書」を使ってしまい、悪いことをしましたね・・・)
聖書、とはリングの体から出てきた本のことである。本の魔力で悪い人間に「天罰」を与えることを目的としたアイテムだ。リングが聖書を使い終わると、聖書はソラマメぐらいに縮む。リングはそれを指でつまむと、ぱくっと飲み込んだ。これで聖書がまた体から出せるようになる。
「あの・・・」
物陰で一部始終を覗いていたフリフリスカートの女性がおずおずとリングに声をかけた。
「助けていただいてありがとうございます」
「いえ、そんなことよりもあなたが無事でよかったです」
振り向いて女性の顔を見たリングの表情が驚いた顔になった。続いて、好奇心で表情がぱあっと輝く。
「うわあ、私初めて知りました!」
リングはきわめて無邪気な笑みを浮かべて言う。
「女の方にも、「髭」って生えるんですね」
「おほほ、いやだわ、少し剃らないでいたらもう生えちゃって」
そういって女性は口元を押さえて笑う。そのスカートから覗く足には脛毛の存在も垣間見える。
「ザンネンねー、あなたが男だったら私の店でうんとサービスしてあげるのにぃ」
「そうなんですか、なら私、男の姿のほうがよかったでしょうか?」
「え?」
「あ・・、何でもないです」
リングはあわてて手をぶんぶんと振ると、すくっと立ち上がった。
「さて、私もう行かなければ」
「え、もう行っちゃうのぉ?」
名残惜しそうに言う、オカマの方にリングは笑顔で言った。
「ええ、私行かなければならないんです。ソフィニアに」
「ふぁー、ここがソフィニアですか・・・」
リングにとって地上に出て初めての大都市、である。リングは田舎者がよくするようにきょろきょろと街の中を見渡した。たくさんの人間、本の中でしか見たことがないアイテムが売っている店。見とれているうちに本来の目的、「本の秘密を探る」ということをうっかり忘れてしまいそうになる。
(まずは情報を集めなければいけません、情報を集める場といえば)
リングの頭にチーンという一昔前の効果音が鳴った。
「ズバリ、酒場ですね!」
リングはとりあえず一番近い酒場の中に入ることにした。
「<消えゆく灯火>・・・、趣のある名前ですね」
しかし、酒場からは扉を開けてもいないのに中から喧嘩が聞こえてくる。
(しかし、こんないいお名前の酒場ですし、中にいる人はいい人たちに違いありません)
世間知らずのせいか、安易にそう思い込み、リングは酒場の中に入っていった。
がやがやがやと、あふれ出る話し声の洪水。いろいろな顔つきの人間たち。リングはそのどれもが面白く、ものめずらしく、いちいち人の顔をじろじろ見て回った。
(すごいです、すごいです、人間がたくさんいます!)
ふと、リングはある人間に目を留めた。
「おや」
銀色の髪に、紫の瞳。背中には大きな斧を背負う少女。地上では世間知らずのリングでも、この少女が普通の人間ではないことぐらいはわかった。
「美しい少女ですね、しかし何かお困りのようです」
少女はカウンターで店の主人と何かもめているようだ。リングは、何をもめているのか気になって少女のもとに行こうとした。すると、
ガタン!
今度は、栗色の髪をした冒険家風の青年が椅子を蹴倒した。驚いてリングが見ると、青年は、ひどく驚いたような顔をしている。
「いったい何事でしょう・・・?」
リングは唖然として二人を見つめた。
場所 とある街
メンバー リング
NPC フリフリスカートの女性(?)と男二人
◆――――――――――――――――――――――――――――
「ふう・・・」
雷に打たれ黒焦げになって、慌てふためいて逃げていく二人を見ながら、リングは安堵のため息をついた。
(あの二人、いい人間とは言い切れませんでしたが、「聖書」を使ってしまい、悪いことをしましたね・・・)
聖書、とはリングの体から出てきた本のことである。本の魔力で悪い人間に「天罰」を与えることを目的としたアイテムだ。リングが聖書を使い終わると、聖書はソラマメぐらいに縮む。リングはそれを指でつまむと、ぱくっと飲み込んだ。これで聖書がまた体から出せるようになる。
「あの・・・」
物陰で一部始終を覗いていたフリフリスカートの女性がおずおずとリングに声をかけた。
「助けていただいてありがとうございます」
「いえ、そんなことよりもあなたが無事でよかったです」
振り向いて女性の顔を見たリングの表情が驚いた顔になった。続いて、好奇心で表情がぱあっと輝く。
「うわあ、私初めて知りました!」
リングはきわめて無邪気な笑みを浮かべて言う。
「女の方にも、「髭」って生えるんですね」
「おほほ、いやだわ、少し剃らないでいたらもう生えちゃって」
そういって女性は口元を押さえて笑う。そのスカートから覗く足には脛毛の存在も垣間見える。
「ザンネンねー、あなたが男だったら私の店でうんとサービスしてあげるのにぃ」
「そうなんですか、なら私、男の姿のほうがよかったでしょうか?」
「え?」
「あ・・、何でもないです」
リングはあわてて手をぶんぶんと振ると、すくっと立ち上がった。
「さて、私もう行かなければ」
「え、もう行っちゃうのぉ?」
名残惜しそうに言う、オカマの方にリングは笑顔で言った。
「ええ、私行かなければならないんです。ソフィニアに」
「ふぁー、ここがソフィニアですか・・・」
リングにとって地上に出て初めての大都市、である。リングは田舎者がよくするようにきょろきょろと街の中を見渡した。たくさんの人間、本の中でしか見たことがないアイテムが売っている店。見とれているうちに本来の目的、「本の秘密を探る」ということをうっかり忘れてしまいそうになる。
(まずは情報を集めなければいけません、情報を集める場といえば)
リングの頭にチーンという一昔前の効果音が鳴った。
「ズバリ、酒場ですね!」
リングはとりあえず一番近い酒場の中に入ることにした。
「<消えゆく灯火>・・・、趣のある名前ですね」
しかし、酒場からは扉を開けてもいないのに中から喧嘩が聞こえてくる。
(しかし、こんないいお名前の酒場ですし、中にいる人はいい人たちに違いありません)
世間知らずのせいか、安易にそう思い込み、リングは酒場の中に入っていった。
がやがやがやと、あふれ出る話し声の洪水。いろいろな顔つきの人間たち。リングはそのどれもが面白く、ものめずらしく、いちいち人の顔をじろじろ見て回った。
(すごいです、すごいです、人間がたくさんいます!)
ふと、リングはある人間に目を留めた。
「おや」
銀色の髪に、紫の瞳。背中には大きな斧を背負う少女。地上では世間知らずのリングでも、この少女が普通の人間ではないことぐらいはわかった。
「美しい少女ですね、しかし何かお困りのようです」
少女はカウンターで店の主人と何かもめているようだ。リングは、何をもめているのか気になって少女のもとに行こうとした。すると、
ガタン!
今度は、栗色の髪をした冒険家風の青年が椅子を蹴倒した。驚いてリングが見ると、青年は、ひどく驚いたような顔をしている。
「いったい何事でしょう・・・?」
リングは唖然として二人を見つめた。
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