PC ギゼー リング
場所 白の遺跡
NPC メデッタ 影の男
___________________________________
時を同じくして…。
メデッタもまた、あの影の男と真っ白な空間の中で対峙していた。
二人の間に、静かな時間が流れている。
互いの気が張り詰めた空間、一見談話でもできそうなほどゆるやかな雰囲気
に見えるが、他の感情が入り込めないほどの濃密な気が空間に満ちている。
この雰囲気の中、姿勢を崩し、最初に口火を切ったのは、影の男だった。
「…キミはおもしろいんだか、クソつまらないんだか」
影の男がニヤリと笑う。
「…リングちゃんとは、ずいぶん違うねぇ。あの竜は、揺さぶればすぐ感情を
乱すのに」
<リング>という単語にメデッタが、ピクリと片眉だけを歪める。
「…今、リングと話しているのか?」
その様子を見て、影の男が微笑んだ。
「ふふ。やっぱりそうなんだ。キミのウィークポイントはあの竜だね?」
メデッタはただ表情を硬くして黙り込む。
影の男はにたあっと気持ち悪い笑みを浮かべた。まるでイタズラを思いつい
た子供のように。
「そうだ、キミには肉弾戦を仕掛けるより、こっちのほうがいいかもしれない
ね」
みるみるうちに、影の男の姿が変わっていく。その笑みは、やがて彼、メデ
ッタがよく見知った顔になった。
「…どうですか、伯父様?なかなかそっくりだと思いません…?」
「…ッ!!」
メデッタの身体からどっと冷や汗が出てくる。今まで冷静沈着だった彼が始
めて動揺を見せた。メデッタは思わず一歩あとずさる。
影の男、いや…リングは、ふふ、と微笑むと、さらにメデッタへの間合いを
詰めた。
「伯父様はそんなに私のことが好きなんですか…?」
「…やめろ。やめてくれ…っ」
「かわいそうな伯父様。でも、私は所詮あなたのことを<叔父>としかみてい
ないんですよね?」
「…っ!」
「だから、だから貴方は私に<叔父様>と呼ばれるのを嫌がるのでしょう…?
私に、一人の男として見てもらいたいから」
「知っているさ!」
思わずメデッタが大声を出した。
「それで構わない。それで良いのだ!私は…っ」
<私は、呪われているのだから>
「<本当に?>」
リングがそっと、メデッタの頬に触れた。メデッタの瞳の中を、哀願するよ
うに覗き込む。…彼が、ずっと望んでいた眼差しで。
『…私が、貴方の望みを叶えてあげましょうか?』
「…っ!」
メデッタはリングが頬に触れた手を振り払ったが、力は弱々しかった。
リングはにやり、と笑うと、横を向いて視線を合わせまいとするメデッタの
顔を両手で掴んでこちらを向かせた。
『ねぇ、どうして私を見て下さらないんですか…?』
たとえ理性ではニセモノだと解っていても、本物そっくりの姿の「彼女」の
誘惑を拒むことは、メデッタにはできなかった。
今まで、喉から手が出るほど、欲しくてたまらなかったものをちらつかせる
誘惑。
堪え切れない感情。
たとえそれが自分に対する罠だと解っていても。
『答えて…?ねぇ、メデッタ?』
彼の中で何かが壊れた。
場所 白の遺跡
NPC メデッタ 影の男
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時を同じくして…。
メデッタもまた、あの影の男と真っ白な空間の中で対峙していた。
二人の間に、静かな時間が流れている。
互いの気が張り詰めた空間、一見談話でもできそうなほどゆるやかな雰囲気
に見えるが、他の感情が入り込めないほどの濃密な気が空間に満ちている。
この雰囲気の中、姿勢を崩し、最初に口火を切ったのは、影の男だった。
「…キミはおもしろいんだか、クソつまらないんだか」
影の男がニヤリと笑う。
「…リングちゃんとは、ずいぶん違うねぇ。あの竜は、揺さぶればすぐ感情を
乱すのに」
<リング>という単語にメデッタが、ピクリと片眉だけを歪める。
「…今、リングと話しているのか?」
その様子を見て、影の男が微笑んだ。
「ふふ。やっぱりそうなんだ。キミのウィークポイントはあの竜だね?」
メデッタはただ表情を硬くして黙り込む。
影の男はにたあっと気持ち悪い笑みを浮かべた。まるでイタズラを思いつい
た子供のように。
「そうだ、キミには肉弾戦を仕掛けるより、こっちのほうがいいかもしれない
ね」
みるみるうちに、影の男の姿が変わっていく。その笑みは、やがて彼、メデ
ッタがよく見知った顔になった。
「…どうですか、伯父様?なかなかそっくりだと思いません…?」
「…ッ!!」
メデッタの身体からどっと冷や汗が出てくる。今まで冷静沈着だった彼が始
めて動揺を見せた。メデッタは思わず一歩あとずさる。
影の男、いや…リングは、ふふ、と微笑むと、さらにメデッタへの間合いを
詰めた。
「伯父様はそんなに私のことが好きなんですか…?」
「…やめろ。やめてくれ…っ」
「かわいそうな伯父様。でも、私は所詮あなたのことを<叔父>としかみてい
ないんですよね?」
「…っ!」
「だから、だから貴方は私に<叔父様>と呼ばれるのを嫌がるのでしょう…?
私に、一人の男として見てもらいたいから」
「知っているさ!」
思わずメデッタが大声を出した。
「それで構わない。それで良いのだ!私は…っ」
<私は、呪われているのだから>
「<本当に?>」
リングがそっと、メデッタの頬に触れた。メデッタの瞳の中を、哀願するよ
うに覗き込む。…彼が、ずっと望んでいた眼差しで。
『…私が、貴方の望みを叶えてあげましょうか?』
「…っ!」
メデッタはリングが頬に触れた手を振り払ったが、力は弱々しかった。
リングはにやり、と笑うと、横を向いて視線を合わせまいとするメデッタの
顔を両手で掴んでこちらを向かせた。
『ねぇ、どうして私を見て下さらないんですか…?』
たとえ理性ではニセモノだと解っていても、本物そっくりの姿の「彼女」の
誘惑を拒むことは、メデッタにはできなかった。
今まで、喉から手が出るほど、欲しくてたまらなかったものをちらつかせる
誘惑。
堪え切れない感情。
たとえそれが自分に対する罠だと解っていても。
『答えて…?ねぇ、メデッタ?』
彼の中で何かが壊れた。
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