PC ギゼー リング
場所 白の遺跡
NPC メデッタ 冬姫 春姫
___________________________________
さて、困ったものだ…。
リングは頭を悩ませていた。
ここはギゼーのいうとおり、冬姫と共同戦線を張り、春姫を倒すのが正しい
のだろう。メデッタ伯父様も反論しない。
けれど、そうするということはつまり、春姫を傷つけなくてはならない、と
いうことだ。どうあっても。
(うう…、ギゼーさんは正しいです…。しかし、しかし、春姫さんを傷つける
のはやはり…)
そうやってリングがうだうだ悩んでいる間に、ギゼーはつかつかと戦いの場
に歩み寄ると、さっそく冬姫に接触を試みていた。
「あ、ギゼーさんっ!」
「おい、冬姫!ゆ・きぃっ!」
ごおおおおおお!!!
しかし、二人とも、今はそれどころではない様子だ。
舞い散る、桜吹雪と吹雪。
姉妹の力はほぼ互角。
その吹雪の中で踊るように戦っている二人の美女の姿は、観ている側として
は美しいとすら思ってしまうものなのだが、二人の厳しい表情から、それが精
神をギリギリまで追い詰める厳しい戦いだということが分かる。
「ど、どうしましょうっ、伯父様!私、こんなに真剣に戦っていらっしゃるお
二人の、どちらにも加勢できません!」
「しかしだね…、リング、考えてもご覧よ」
瞳をうるうるさせて必死に訴えるリングとは違い、メデッタの反応は冷静
だ。
「そもそもの原因はギゼー君なんだよ。冷静に考えてごらん。この二人はたか
だか男一人を取り合って、こうして暴れまわっているわけだよ。考えてみると
馬鹿馬鹿しい話じゃないか、全く」
「ええ…。そ、そんなこと言われましても、やはり争いは止めさせなくて
は…」
メデッタとリングがこうして話している間にも、ギゼーは必死で冬姫に呼び
かけ続けていた。
「冬姫ー!冬姫ーっ!!ええいっ、くそっ!かわいい冬姫ちゃーんっ!」
くるっ
ギゼーが半ばやけくそ気味で叫んだこの言葉に、冬姫が反応した。
「なんですの~、ギゼー殿~」
「冬姫ちゃん!ちょっとていあ…」
ギゼーの眼が、凍りついた。
そこには背中に、無数の桜の花びらが突き刺さる冬姫の姿。
ふわり
冬姫はその場に、羽のように倒れこんだ。
「冬姫ぃぃっ!!」
ギゼーが冬姫の側に駆け寄り、その身体を抱き起こす。
「おい!大丈夫か!しっかりしろっ!!」
「私は…平気…ですわ、ギゼー殿、早く…逃げないと姉様が…」
「ふふふっ、男に気を取られたのが運の尽きよ!」
冬姫の背後に、春姫が、自信たっぷりの笑みを浮かべて立ちはだかってい
た。
「おい!お前!いくらなんでも妹にこんな怪我させることなかったんじゃない
のか!?大体、卑怯じゃないか!今のは!」
「ふふっ、これくらいやらないと妹は懲りないわよ。さあ、冬姫の次は貴方。
私たちの<永遠>に、貴方は要らないわ」
不敵な笑みを浮かべて、春姫がギゼーと冬姫に歩み寄る。
「消えておしまいっ!」
「くっ!」
冬姫を抱えているため、ギゼーは動けない。桜の花びらをまとった春姫が、
二人に迫る。
その時、
「…ダメです」
春姫の前にリングが立ちふさがった。
「ギゼーさんと冬姫さんを、傷つけてはいけません。…そんなこと、私が赦せ
ません」
「うむ。リングが赦せないのなら、私も加勢しようかね」
メデッタも、すっとリングの隣に並ぶ。
「貴方たち…。まとめて私の餌食になりたいらしいわね」
今や、敵意をむき出しにしている春姫に、リングは言い放った。
「いいえ、餌食になってしまわれるのは、貴女かもしれませんよ。春姫さん」
場所 白の遺跡
NPC メデッタ 冬姫 春姫
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さて、困ったものだ…。
リングは頭を悩ませていた。
ここはギゼーのいうとおり、冬姫と共同戦線を張り、春姫を倒すのが正しい
のだろう。メデッタ伯父様も反論しない。
けれど、そうするということはつまり、春姫を傷つけなくてはならない、と
いうことだ。どうあっても。
(うう…、ギゼーさんは正しいです…。しかし、しかし、春姫さんを傷つける
のはやはり…)
そうやってリングがうだうだ悩んでいる間に、ギゼーはつかつかと戦いの場
に歩み寄ると、さっそく冬姫に接触を試みていた。
「あ、ギゼーさんっ!」
「おい、冬姫!ゆ・きぃっ!」
ごおおおおおお!!!
しかし、二人とも、今はそれどころではない様子だ。
舞い散る、桜吹雪と吹雪。
姉妹の力はほぼ互角。
その吹雪の中で踊るように戦っている二人の美女の姿は、観ている側として
は美しいとすら思ってしまうものなのだが、二人の厳しい表情から、それが精
神をギリギリまで追い詰める厳しい戦いだということが分かる。
「ど、どうしましょうっ、伯父様!私、こんなに真剣に戦っていらっしゃるお
二人の、どちらにも加勢できません!」
「しかしだね…、リング、考えてもご覧よ」
瞳をうるうるさせて必死に訴えるリングとは違い、メデッタの反応は冷静
だ。
「そもそもの原因はギゼー君なんだよ。冷静に考えてごらん。この二人はたか
だか男一人を取り合って、こうして暴れまわっているわけだよ。考えてみると
馬鹿馬鹿しい話じゃないか、全く」
「ええ…。そ、そんなこと言われましても、やはり争いは止めさせなくて
は…」
メデッタとリングがこうして話している間にも、ギゼーは必死で冬姫に呼び
かけ続けていた。
「冬姫ー!冬姫ーっ!!ええいっ、くそっ!かわいい冬姫ちゃーんっ!」
くるっ
ギゼーが半ばやけくそ気味で叫んだこの言葉に、冬姫が反応した。
「なんですの~、ギゼー殿~」
「冬姫ちゃん!ちょっとていあ…」
ギゼーの眼が、凍りついた。
そこには背中に、無数の桜の花びらが突き刺さる冬姫の姿。
ふわり
冬姫はその場に、羽のように倒れこんだ。
「冬姫ぃぃっ!!」
ギゼーが冬姫の側に駆け寄り、その身体を抱き起こす。
「おい!大丈夫か!しっかりしろっ!!」
「私は…平気…ですわ、ギゼー殿、早く…逃げないと姉様が…」
「ふふふっ、男に気を取られたのが運の尽きよ!」
冬姫の背後に、春姫が、自信たっぷりの笑みを浮かべて立ちはだかってい
た。
「おい!お前!いくらなんでも妹にこんな怪我させることなかったんじゃない
のか!?大体、卑怯じゃないか!今のは!」
「ふふっ、これくらいやらないと妹は懲りないわよ。さあ、冬姫の次は貴方。
私たちの<永遠>に、貴方は要らないわ」
不敵な笑みを浮かべて、春姫がギゼーと冬姫に歩み寄る。
「消えておしまいっ!」
「くっ!」
冬姫を抱えているため、ギゼーは動けない。桜の花びらをまとった春姫が、
二人に迫る。
その時、
「…ダメです」
春姫の前にリングが立ちふさがった。
「ギゼーさんと冬姫さんを、傷つけてはいけません。…そんなこと、私が赦せ
ません」
「うむ。リングが赦せないのなら、私も加勢しようかね」
メデッタも、すっとリングの隣に並ぶ。
「貴方たち…。まとめて私の餌食になりたいらしいわね」
今や、敵意をむき出しにしている春姫に、リングは言い放った。
「いいえ、餌食になってしまわれるのは、貴女かもしれませんよ。春姫さん」
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