PC リング・ギゼー
場所 白の遺跡
NPC メデッタ=オーシャン・影の男
___________________________________
「何でって、それは私が君たちよりも先に試練をクリアしたからに決まってい
るだろう?」
唖然としているギゼーとリングに向かって、メデッタはチッチッチッという
ように指を振る。
「全く、君たちは遅すぎるぞっ。私など、途中で倒れていたあの少女を遺跡の
外に運び出し、それからまた引き返してここまできたというのに」
「あの少女…って…」
「ジュヴィアさんのことですかっ!」
とたんに目の色が変わる二人。そんな二人に、メデッタは落ち着いて言っ
た。
「ああそうだ。あの、銀髪の少女のことだろう?あの少女なら、途中の部屋で
倒れていたところを、運び出して、近くの民家に預かってもらった。あの少女
には」
ここでメデッタの声のトーンが変わった。
「この遺跡の魔力は少々キツすぎたようだ」
「魔力…?」
何かがちくっと、ギゼーの頭の中に刺さった。何か、自分の核を揺るがすよ
うな。不思議な違和感のキィ・ワード。
魔力、白い壁、意識。
呆然とするギゼーの横で、リングはジュヴィアが無事だということに、心の
底から安心していた。
「よかったです…。私、ジュヴィアさんがあの後どうなってしまわれたのか、
とても心配だったんです…。おじ…、メ、メデッタさんが助けて下さったんで
すね。ありがとうございます」
「ははっ、礼には及ばんぞ、リングっ」
そういうメデッタの顔はどことなく嬉しそうだった。
「さて、次の道に進まなくてはな。リング、ギゼー君。早くしないと、そこの
男に怒られてしまう」
「ははっ、よく言うね。第一の試練をものともしなかったクセに」
今まで傍観していた影の男が皮肉な笑みを浮かべて口を開いた。
「キミはそうとう鍛えてると見える」
「まあな。私もだてに<赤い色>で生きてきたわけじゃないんだ」
その言葉に影の男はメデッタを見つめ、他の人間にはわからない皮肉な笑み
を浮かべた。メデッタも黙って視線を返す。二人の間に、不思議な濃厚の雰囲
気が流れた。
「…メデッタさん?」
リングが不思議そうにメデッタを見つめる。
「ああ、リング。何でもないよ。それより、さあ行こう。この男にケツ突っつ
かれないうちに、な」
「は、はい…。メデッタさん、メデッタさんも海竜族なんですから、下品な言
葉遣いはダメですよ」
「ああ、<ケツ>か?何なら、お尻といえばよかったのかな?」
「メデッタさん!!」
「はいはい、今度から気をつけますよ」
もう…、と口だけで呟いて、リングは先に歩いていってしまった。それを、
影の男が追う。
ギゼーも後を追おうとして、くらっと立ち眩みを起こした。
魔力、白い壁、意識。
後ろにいたメデッタがあわてて背中を支えた。
「大丈夫かね?」
「あっ…、すみません」
「気をつけたまえ」
ここで、メデッタはギゼーの耳元でそっとささやいた。
「<白>に喰われぬよう、せいぜいしっかり自我を保つんだな」
「え…?」
ギゼーが何か聞き返そうとしたときには、メデッタは「次は支えてやらん
ぞ」と言い放ち、つかつかと先を歩いていってしまっていた。
場所 白の遺跡
NPC メデッタ=オーシャン・影の男
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「何でって、それは私が君たちよりも先に試練をクリアしたからに決まってい
るだろう?」
唖然としているギゼーとリングに向かって、メデッタはチッチッチッという
ように指を振る。
「全く、君たちは遅すぎるぞっ。私など、途中で倒れていたあの少女を遺跡の
外に運び出し、それからまた引き返してここまできたというのに」
「あの少女…って…」
「ジュヴィアさんのことですかっ!」
とたんに目の色が変わる二人。そんな二人に、メデッタは落ち着いて言っ
た。
「ああそうだ。あの、銀髪の少女のことだろう?あの少女なら、途中の部屋で
倒れていたところを、運び出して、近くの民家に預かってもらった。あの少女
には」
ここでメデッタの声のトーンが変わった。
「この遺跡の魔力は少々キツすぎたようだ」
「魔力…?」
何かがちくっと、ギゼーの頭の中に刺さった。何か、自分の核を揺るがすよ
うな。不思議な違和感のキィ・ワード。
魔力、白い壁、意識。
呆然とするギゼーの横で、リングはジュヴィアが無事だということに、心の
底から安心していた。
「よかったです…。私、ジュヴィアさんがあの後どうなってしまわれたのか、
とても心配だったんです…。おじ…、メ、メデッタさんが助けて下さったんで
すね。ありがとうございます」
「ははっ、礼には及ばんぞ、リングっ」
そういうメデッタの顔はどことなく嬉しそうだった。
「さて、次の道に進まなくてはな。リング、ギゼー君。早くしないと、そこの
男に怒られてしまう」
「ははっ、よく言うね。第一の試練をものともしなかったクセに」
今まで傍観していた影の男が皮肉な笑みを浮かべて口を開いた。
「キミはそうとう鍛えてると見える」
「まあな。私もだてに<赤い色>で生きてきたわけじゃないんだ」
その言葉に影の男はメデッタを見つめ、他の人間にはわからない皮肉な笑み
を浮かべた。メデッタも黙って視線を返す。二人の間に、不思議な濃厚の雰囲
気が流れた。
「…メデッタさん?」
リングが不思議そうにメデッタを見つめる。
「ああ、リング。何でもないよ。それより、さあ行こう。この男にケツ突っつ
かれないうちに、な」
「は、はい…。メデッタさん、メデッタさんも海竜族なんですから、下品な言
葉遣いはダメですよ」
「ああ、<ケツ>か?何なら、お尻といえばよかったのかな?」
「メデッタさん!!」
「はいはい、今度から気をつけますよ」
もう…、と口だけで呟いて、リングは先に歩いていってしまった。それを、
影の男が追う。
ギゼーも後を追おうとして、くらっと立ち眩みを起こした。
魔力、白い壁、意識。
後ろにいたメデッタがあわてて背中を支えた。
「大丈夫かね?」
「あっ…、すみません」
「気をつけたまえ」
ここで、メデッタはギゼーの耳元でそっとささやいた。
「<白>に喰われぬよう、せいぜいしっかり自我を保つんだな」
「え…?」
ギゼーが何か聞き返そうとしたときには、メデッタは「次は支えてやらん
ぞ」と言い放ち、つかつかと先を歩いていってしまっていた。
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