PC ギゼー・リング
場所 白の遺跡
NPC 水の鍵・カメ数匹・ビビンバ帝王
___________________________________
水の鍵が土管に入ってから数分たった。
「…」
無言でリングとギゼーは土管を見つめる。
「水の鍵さん、大丈夫でしょうか…」
「大丈夫だよ、あいつ、タフだからな。体伸びるし」
そう言うギゼーの表情には心配の色がうかがえる。
「でも…」
不安げに下を向いたリング。そしてちらっとギゼーの顔を覗いた。
「水の鍵さんって、少しドジですよ…?」
「うーん、まあ、たしかになぁ…」
ギゼーはぼりぼりと頭をかいたが、さしあたって今の自分たちにできること
は彼(?)を遠くから応援することぐらいだ。
「ま、信じてやろうよ」
ギゼーはぽんとリングの肩を叩いた。
「水の鍵をさ、俺たちは信じてやることぐらいしかできないんだから」
「そうですね…」
ギゼーの言葉にリングは頷く。
無言でじっと、二人は水の鍵が出てくる予定の土管を見つめた。
水の鍵が土管の先から、軽快なジャンプで飛び出したのは、それから数分後
のことだった。
「水の鍵さん!!」
「水の鍵っ!!」
二人は同時に喜びの声を上げる。
「よかったですっ!水の鍵さんご無事のようです…」
「そうだな…」
リングとギゼーの声に、水の鍵は元気よく手を振ってみせる。土管の中から
生還した水の鍵は、一段とたくましくなったように見えた。
そして元気よく歩き出す。
「にゅっ、にゅっ、にゅ~」
前方から、カメが近づいてきた。ただし、二本の足で立って歩いている、カ
メにしてはかなり大きいカメだ。
「すごいです、地上のカメは二本足で歩くこともできるなんて…。なのに、ど
うして普段はあんなにのろのろと歩いているんでしょうね?」
「いや…、アレは例外だと思うぞ…」
「そうなんですか?」
二人がそんな会話を交わしている間にも、カメは水の鍵の側まで近寄ってき
た。
「にゅ?」
水の鍵は首をかしげる。なんだか、とても無害そうなカメである。手になに
か武器を持っているわけでもなく、顔つきもぽやーっとしている。
しかし、土管の中でたくさんの修羅場(?)を潜り抜けてきた水の鍵は、い
ちおう用心してかかることにした。体の中からガラスの鍵を取り出すと、先っ
ぽでカメをつついてみる。
つんつんつん…。
びくっ、とカメは体を甲羅の中に引っ込めた。
「にゅおっ!」
これには水の鍵がびっくりした。驚いて一、二歩後ろに下がると、カメはまた
体を甲羅の外に出し…。
泣いている。
甲羅から出てきたカメは目にいっぱいの涙を浮かべていた。そして水の鍵があ
っと思うまもなく、カメはダッシュで逃げていく。
「にゅ~?」
水の鍵は首を傾げたが、気にせずまた先を歩いていくことにした。
「あっ、あれなんですか?」
リングが指差すほうをギゼーが見ると、そこにはまたもカメがいた。ただ
し、さっき会ったのよりかなり大きい。そのカメを、さきほど会った大きさぐ
らいのカメがたくさん周囲を取り囲んでいた。
「どうしましょう、あんなにたくさん。とくにあの大きなカメさんは強そうで
す」
「でも、いくしかないみたいだぜ、ほら、後ろ」
見ると、大きなカメの後ろに、大きな穴が見える。
「あれ、鍵穴ですね!」
「じゃあ、あのカメはラスボスってとこか」
水の鍵は、カメの大群のいる場所へ、臆することなくずんずんと歩いてい
く。とうとう、大ガメのところにたどりついた。
『貴様が水の鍵か。我輩はビビンバ帝王だ』
大ガメが口を開いた。水の鍵は大ガメを睨みつける。
『貴様、よくもうちのかわいい息子を泣かせてくれたな』
大ガメの言葉に、ギゼーとリングは大ガメの足元を見た。
先ほどのカメが涙を浮かべて大ガメの丸太のような足元にかじりついてい
る。
『うちの息子は心臓病を患っているのだぞ。おかげで月に払う医療費もバカに
ならないんだ。ただでさえ、こんな大家族だって言うのに…。ウチはね、数年
前に夫が他界して母子家庭なんだよ。なのに、全く、今月も大赤字だよ』
そういって大ガメはふんっと鼻を鳴らす。
『とにかく、ウチの息子を泣かすヤツは絶対に許さないからね』
場所 白の遺跡
NPC 水の鍵・カメ数匹・ビビンバ帝王
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水の鍵が土管に入ってから数分たった。
「…」
無言でリングとギゼーは土管を見つめる。
「水の鍵さん、大丈夫でしょうか…」
「大丈夫だよ、あいつ、タフだからな。体伸びるし」
そう言うギゼーの表情には心配の色がうかがえる。
「でも…」
不安げに下を向いたリング。そしてちらっとギゼーの顔を覗いた。
「水の鍵さんって、少しドジですよ…?」
「うーん、まあ、たしかになぁ…」
ギゼーはぼりぼりと頭をかいたが、さしあたって今の自分たちにできること
は彼(?)を遠くから応援することぐらいだ。
「ま、信じてやろうよ」
ギゼーはぽんとリングの肩を叩いた。
「水の鍵をさ、俺たちは信じてやることぐらいしかできないんだから」
「そうですね…」
ギゼーの言葉にリングは頷く。
無言でじっと、二人は水の鍵が出てくる予定の土管を見つめた。
水の鍵が土管の先から、軽快なジャンプで飛び出したのは、それから数分後
のことだった。
「水の鍵さん!!」
「水の鍵っ!!」
二人は同時に喜びの声を上げる。
「よかったですっ!水の鍵さんご無事のようです…」
「そうだな…」
リングとギゼーの声に、水の鍵は元気よく手を振ってみせる。土管の中から
生還した水の鍵は、一段とたくましくなったように見えた。
そして元気よく歩き出す。
「にゅっ、にゅっ、にゅ~」
前方から、カメが近づいてきた。ただし、二本の足で立って歩いている、カ
メにしてはかなり大きいカメだ。
「すごいです、地上のカメは二本足で歩くこともできるなんて…。なのに、ど
うして普段はあんなにのろのろと歩いているんでしょうね?」
「いや…、アレは例外だと思うぞ…」
「そうなんですか?」
二人がそんな会話を交わしている間にも、カメは水の鍵の側まで近寄ってき
た。
「にゅ?」
水の鍵は首をかしげる。なんだか、とても無害そうなカメである。手になに
か武器を持っているわけでもなく、顔つきもぽやーっとしている。
しかし、土管の中でたくさんの修羅場(?)を潜り抜けてきた水の鍵は、い
ちおう用心してかかることにした。体の中からガラスの鍵を取り出すと、先っ
ぽでカメをつついてみる。
つんつんつん…。
びくっ、とカメは体を甲羅の中に引っ込めた。
「にゅおっ!」
これには水の鍵がびっくりした。驚いて一、二歩後ろに下がると、カメはまた
体を甲羅の外に出し…。
泣いている。
甲羅から出てきたカメは目にいっぱいの涙を浮かべていた。そして水の鍵があ
っと思うまもなく、カメはダッシュで逃げていく。
「にゅ~?」
水の鍵は首を傾げたが、気にせずまた先を歩いていくことにした。
「あっ、あれなんですか?」
リングが指差すほうをギゼーが見ると、そこにはまたもカメがいた。ただ
し、さっき会ったのよりかなり大きい。そのカメを、さきほど会った大きさぐ
らいのカメがたくさん周囲を取り囲んでいた。
「どうしましょう、あんなにたくさん。とくにあの大きなカメさんは強そうで
す」
「でも、いくしかないみたいだぜ、ほら、後ろ」
見ると、大きなカメの後ろに、大きな穴が見える。
「あれ、鍵穴ですね!」
「じゃあ、あのカメはラスボスってとこか」
水の鍵は、カメの大群のいる場所へ、臆することなくずんずんと歩いてい
く。とうとう、大ガメのところにたどりついた。
『貴様が水の鍵か。我輩はビビンバ帝王だ』
大ガメが口を開いた。水の鍵は大ガメを睨みつける。
『貴様、よくもうちのかわいい息子を泣かせてくれたな』
大ガメの言葉に、ギゼーとリングは大ガメの足元を見た。
先ほどのカメが涙を浮かべて大ガメの丸太のような足元にかじりついてい
る。
『うちの息子は心臓病を患っているのだぞ。おかげで月に払う医療費もバカに
ならないんだ。ただでさえ、こんな大家族だって言うのに…。ウチはね、数年
前に夫が他界して母子家庭なんだよ。なのに、全く、今月も大赤字だよ』
そういって大ガメはふんっと鼻を鳴らす。
『とにかく、ウチの息子を泣かすヤツは絶対に許さないからね』
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