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2024/11/01 08:35 |
36.『白の遺跡攻略!―その3―』ちびちびギゼー君の大冒険/ギゼー(葉月瞬)
PC:ギゼー リング
NPC:影の男 水の鍵(ちびちびギゼー君)
場所:白の遺跡
*++――――――――++**++――――――――++**++――――――――++*

「…………ど~でもいいけどよ、俺の名前で呼ぶなよ…。そのチビ助の事」
 ギゼーは呆れ顔のまま、自分の名前をしきりと繰り返す影の男を半眼で睨ん
だ。
「まあ、そう連れなくするなって。ギゼー君。僕と君の仲じゃあないか」
「人に聞かれたら誤解されるようなことを、言うんじゃない!」
 影の男のおどけに、突っ込みで返すギゼー。まるで双方共に楽しんでいるよ
うだ。
 その不可思議な二人の様子をおどけた顔で見遣っていたリングであったが、
突然何を思ったか顔を綻ばせ、手を一つ叩いて言った。
「まあ!お二人とも、仲が宜しいんですねv」
 違うぞリングちゃん、ギゼーはそうリングに対して突っ込みを入れたい衝動
に駆られたが、必死の思いで言葉を飲み込んだ。

  ◆◇◆

 水の鍵(ちびちびギゼー君)が正面にある壁の隙間を柔軟に抜けると、そこ
には大冒険の舞台が待っていた。彼にとっての。
 ミニチュアアスレチックは通常の人間には脱け出せない仕掛けになっている。
かてて加えて、壁の隙間をすり抜けないとそこに辿り着くことさえも出来ない
のである。言うなれば、此処は水の鍵(ちびちびギゼー君)の独壇場であった。
壁が透き通っていて、ギゼーたちの方からも見渡せるとは言え、所詮指示を与
える程度しか出来ない。つまり、このエリアを抜けるには、水の鍵(ちびちび
ギゼー君)に掛かっていると言っても過言ではないのだ。
「にゅー!」
 必然的に、水の鍵(ちびちびギゼー君)に気合が入る。……気合が入ってい
るのかいないのか良く分からない上に、余り意味の無い気合であったが。

 最初の難関は、動くプレートだった。
 底なしの穴の上を二つのプレートが時間差で動いている。一つ目は上下運動、
もう一つ目は床と平行な高さで前後運動をしていた。
 普通の人間でも突破するのが難しい難関に挑もうとしているのは、水で出来
たお惚けキャラ、ちびちびギゼー君なのだ。問題が無いはずは無い。
「にゅー!」
 気合も新に、水の鍵(ちびちびギゼー君)は早速手前のプレートとの距離を
計る。
「にゅーー!」
 計る。
「にゅっ」
 …計る。
「にゅにゅっ?」
 ……計り過ぎて、逆にタイミングを逃してしまった様だ。
「ああっ!なにやってんだ!そこぉっ!!」
 ギゼーはそんな水の鍵(ちびちびギゼー君)の間抜けな行動を、指を差して
指摘する。
 野次馬達が気を揉むのも無理は無い。それほど、ちびちびギゼー君の行動に
は、無駄が多過ぎるのだ。
「さあっ!どぉする!?ちびちびギゼー君!…彼は、無事にアスレチックを抜
けることが出来るのかっ!??以下、後編へ続くっ!!!」
「続くかあぁぁっ!!!」
「突っ込みも板についてきましたね。ギゼーさん」

  ◆◇◆

 ちびちびギゼーは今度こそ、タイミングを計って飛んだ。
 そして、上下運動をしているプレートに着地すると同時に転んで、身体をプ
レートに打ち付けてしまった。当然プレートは、水浸しになった。だが、何と
かそのぶちまけてしまった水(からだ)を集め、元の形を取り戻すちびちびギ
ゼー君。
 観客達は、観ていられないとばかりに目を覆う。
「ああっ!ちびちびギゼーさんっ!危ないですっっ!硝子の鍵は、落とさない
でくださいねぇっ!!」
「……あんた、どっちの心配してんだよ…」
 リングのちょっとずれた心配に、ギゼーは半眼で突込みともつかない突っ込
みを入れる。その二人の様子を、少々離れた場所から眺めやる“影の男”。楽
しんでいるようでいて、何処か冷めたようなその雰囲気からは、陰謀めいたも
のを感じる。だが、二人はその男の様子など知る由も無く、ただただちびちび
ギゼー君を応援することに集中するのみであった―。

 ちびちびギゼー君は、先程の上下運動プレートでコツを会得したのか、前後
運動プレートに飛び移るときは左程気を揉まずにすんだ。
 ちびちびギゼー君は上下運動プレートと、前後運動プレートが交錯する瞬間
に跳躍したのだ。着地の仕方は前例のようだったが、どうやら無事に済んだよ
うである。思い切りの良いことをして、なぜかちびちびギゼー君は胸を張って
いた。
「ほほぉう。やれば出来るじゃん。あいつにも、学習能力があったんだぁ」
 ギゼーは妙な関心の仕方を、周囲に披露した。
 動くプレートにおいて、一番の難関を突破したちびちびギゼー君に敵は無か
った。アクロバットを披露した後、すんなりとインターバルへと飛び移ること
が出来たからだ。

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2007/02/14 23:09 | Comments(0) | TrackBack() | ●ギゼー&リング

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