◆――――――――――――――――――――――――――――
PC:ギゼー ジュヴィア リング
NPC:ラオウ<ラオ・コーン>の右腕 リンダ バッティ ジン ケン
場所:天界格闘場
*++―――――++**++―――――++**++―――――++**++―――――++*
闇はわが友
闇はわが親
闇はわが恋人
闇は我を生み育てた
我は闇の中に潜むもの
我は闇と一つとなりたるもの
そして我は、闇に還る―
残酷な死に様をさらしたラオウ<ラオ・コーン>の無残な死骸の一隅に、なぜか原
型を留めているものがあった。
<ラオ・コーン>の右腕である。<ラオ・コーン>の右腕の指の先、赤黒く鋭く光
る“爪”だけがなぜか綺麗に元の形を残していた。そして、何故か“生きて”いた。
最初に“それ”気が付いたのは、ギゼーだった。
“赤黒い爪”。先程のユリアと同じ。そして、彼女自身の口が明かしていた。
―私の一族はね、人間の精気を吸って繁栄して来たの。
そしてその直後に、“爪”を食い込ませて来たのだ。彼女は。
そして、今。無残に潰された死骸の中で、たった一つ原形を留めている“爪”があ
る。そしてそいつは、“生きて”蠢いているのだ。
(まっ、結論としてはその“赤黒い爪”って言うのが、本体なんだろうな)
ギゼーが“爪”を凝視しながら、冷静に分析する。
あの場所でユリアの言動と行動を実際に目の当たりにしたのは、三人の中でギゼー
だけだったから、彼女と同じ血族であるラオウ<ラオ・コーン>も、身体の構造自体
は同じであろうと推測したのだ。
ギゼーが冷静に分析している間でも、他の者達は全くと言って良いほどその危険な
事実に気付いていなかった。ジュヴィアだけは何処か一点を凝視している風でもあっ
たが、リングは今し方共闘した即席の仲間達と喜びを分かち合っていた。
「とにかく、皆さん無事で何よりですぅ~」
涙ながらに、リンダ、バッティ、ケンと交互に手を握り合ったり抱きついたりして
勝利の余韻に浸っている。
「あ、ああっ。俺は、リングさんが無事で何よりですよぅ」
これは、ジンの台詞だ。必死になってリングに抱き付き同じ余韻に浸ろうともがい
ているが、常に空振りに終始している。リングが絶妙なタイミングで、避けるから
だ。それでも必死に取り縋ろうとしているのは、悲しい男の性である。
(………しっかし、あいつは本当に解っているんだろうか?リングちゃんが女でもあ
り、男でもあるって事…。さっき目の前で変身するとこ目撃したのに………。う
うぅっ。同じ男として、恥ずかしいぞ…)
そして、俺はああはなりたくは無いなと、思ってしまうギゼーであった。
周囲の微笑ましい光景にギゼーが見入っている間に、例の右腕に動きが生じた。
ギゼーは眼の端に“それ”の動きを捉え、慌ててその場にいる全員に警告を発す
る。
「…!?リングちゃん、ジュヴィアちゃん、気をつけろ!奴の右腕はまだ…!!」
先程から一点を凝視していたジュヴィアは、ギゼーが警告の言葉を発するより早く
“それ”の動きに反応することが出来た。
ひょっとしたら彼女は魔族の気配を感じ取っていたのかもしれない。そしてその気
配を辿っていった時、気付いたのだ。その、赤黒い“爪”に。
ジュヴィアは戦斧を手にすると、“爪”に向かって一息に走り寄る。行動を起こし
たジュヴィアに眼を走らせると、ギゼーは早口で注意を促す。
「ジュヴィアちゃん!気をつけろ!そいつらの“爪”は…」
だが、最後まで言い終わらない内にジュヴィアは戦斧を振り下ろしていた。
「!?」
だが、振り下ろしたその場に“爪”はなかった。
「ジュヴィアちゃん!腕!」
ギゼーの上げた驚きとも、悲鳴とも付かない声に思わずはっとなって自分の腕を見
遣るジュヴィア。
“爪”は、驚くべき素早さでジュヴィアの利き腕に食い込んでいた。そして、吸っ
ていた。血とも精気とも魔力ともつかない何かを―。
PC:ギゼー ジュヴィア リング
NPC:ラオウ<ラオ・コーン>の右腕 リンダ バッティ ジン ケン
場所:天界格闘場
*++―――――++**++―――――++**++―――――++**++―――――++*
闇はわが友
闇はわが親
闇はわが恋人
闇は我を生み育てた
我は闇の中に潜むもの
我は闇と一つとなりたるもの
そして我は、闇に還る―
残酷な死に様をさらしたラオウ<ラオ・コーン>の無残な死骸の一隅に、なぜか原
型を留めているものがあった。
<ラオ・コーン>の右腕である。<ラオ・コーン>の右腕の指の先、赤黒く鋭く光
る“爪”だけがなぜか綺麗に元の形を残していた。そして、何故か“生きて”いた。
最初に“それ”気が付いたのは、ギゼーだった。
“赤黒い爪”。先程のユリアと同じ。そして、彼女自身の口が明かしていた。
―私の一族はね、人間の精気を吸って繁栄して来たの。
そしてその直後に、“爪”を食い込ませて来たのだ。彼女は。
そして、今。無残に潰された死骸の中で、たった一つ原形を留めている“爪”があ
る。そしてそいつは、“生きて”蠢いているのだ。
(まっ、結論としてはその“赤黒い爪”って言うのが、本体なんだろうな)
ギゼーが“爪”を凝視しながら、冷静に分析する。
あの場所でユリアの言動と行動を実際に目の当たりにしたのは、三人の中でギゼー
だけだったから、彼女と同じ血族であるラオウ<ラオ・コーン>も、身体の構造自体
は同じであろうと推測したのだ。
ギゼーが冷静に分析している間でも、他の者達は全くと言って良いほどその危険な
事実に気付いていなかった。ジュヴィアだけは何処か一点を凝視している風でもあっ
たが、リングは今し方共闘した即席の仲間達と喜びを分かち合っていた。
「とにかく、皆さん無事で何よりですぅ~」
涙ながらに、リンダ、バッティ、ケンと交互に手を握り合ったり抱きついたりして
勝利の余韻に浸っている。
「あ、ああっ。俺は、リングさんが無事で何よりですよぅ」
これは、ジンの台詞だ。必死になってリングに抱き付き同じ余韻に浸ろうともがい
ているが、常に空振りに終始している。リングが絶妙なタイミングで、避けるから
だ。それでも必死に取り縋ろうとしているのは、悲しい男の性である。
(………しっかし、あいつは本当に解っているんだろうか?リングちゃんが女でもあ
り、男でもあるって事…。さっき目の前で変身するとこ目撃したのに………。う
うぅっ。同じ男として、恥ずかしいぞ…)
そして、俺はああはなりたくは無いなと、思ってしまうギゼーであった。
周囲の微笑ましい光景にギゼーが見入っている間に、例の右腕に動きが生じた。
ギゼーは眼の端に“それ”の動きを捉え、慌ててその場にいる全員に警告を発す
る。
「…!?リングちゃん、ジュヴィアちゃん、気をつけろ!奴の右腕はまだ…!!」
先程から一点を凝視していたジュヴィアは、ギゼーが警告の言葉を発するより早く
“それ”の動きに反応することが出来た。
ひょっとしたら彼女は魔族の気配を感じ取っていたのかもしれない。そしてその気
配を辿っていった時、気付いたのだ。その、赤黒い“爪”に。
ジュヴィアは戦斧を手にすると、“爪”に向かって一息に走り寄る。行動を起こし
たジュヴィアに眼を走らせると、ギゼーは早口で注意を促す。
「ジュヴィアちゃん!気をつけろ!そいつらの“爪”は…」
だが、最後まで言い終わらない内にジュヴィアは戦斧を振り下ろしていた。
「!?」
だが、振り下ろしたその場に“爪”はなかった。
「ジュヴィアちゃん!腕!」
ギゼーの上げた驚きとも、悲鳴とも付かない声に思わずはっとなって自分の腕を見
遣るジュヴィア。
“爪”は、驚くべき素早さでジュヴィアの利き腕に食い込んでいた。そして、吸っ
ていた。血とも精気とも魔力ともつかない何かを―。
PR
トラックバック
トラックバックURL: