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2024/11/21 00:22 |
21.ギゼー『熱き死闘(謎』/ギゼー(葉月瞬)
◆――――――――――――――――――――――――――――

PC:ギゼー ジュヴィア リング
NPC:ラオウ ユリア ケン ジン バッティ リンダ
場所:ソフィニア~ラオウの豪邸~天界格闘場
*++―――――++**++―――――++**++―――――++**++―――――
++**++―――――++*

 時として人は、何かを求める為に戦う。
 それが、失うだけの行為だとしても心を満たすために―。


 翌日から、ギゼーの特訓は始まった。
 体力作りから始まり、秘策の用意まで。
 それは、ギゼーだけの秘密特訓だった。

 一週間後。
 大会は滞りなく執り行われた。
 “天界闘技場”という、ラオウが自分の趣味の為にだけ作らせた場所で。
 “天界闘技場”とは、なぜか屋敷の中心に聳え立っている塔―天空の塔という名前
らしい―の最上階

に据えられている、円形闘技場のことだ。どうやってバランスを取っているのかは、
秘密である。雲海

を見下ろすその美しい景観から、“天界闘技場”と名付けられたらしい。
 その、天界闘技場で今回の筋肉格闘大会は執り行われるのだ。
 当然、参加者はケン・シロウとギゼー、ジュヴィア、リング以外は誰もいなかっ
た。それもその筈で

ある。貴族連中が全て筋肉質体系だと思ったら、大間違いである。そう思い込んでい
るのは、ラオウと

ケン・シロウだけであった。
 当然、総スカンを喰らってしまうのは、いつもの事だった。
 大商人ラオウとケン・シロウは、実は社交界の中では良い噂は流れていなかった。
寧ろ、余り芳しく

ない噂ばかりだった。何処其処で、誰々に乱暴を働いただの、金に色目を付けて、娘
どもをかどわかし

ただの…悪い噂には事欠かない。
 で、今度の事でもそうだ。彼等が勝手に決めて、勝手に開催した大会など、貴族連
中が参加する義理

も義務も無い。だが、そんな事を気にするラオウや、ケンではなかった。寧ろ、暴走
するだけである。

誰も止める者が無いからだ。娘すらも。そして、益々総スカンを喰らっていくのだ。
それは、永遠に続

くかと思われる、悪循環だった。
 そして今回も、当然の事ながら誰も来なかった。一部を除いては。
 一部とは、ケン・シロウの取り巻き達である。
 取り巻きは全部で三人いた。
 一人は銀髪の長髪が見目麗しい、自分で二枚目だと自負している男、ジン。当然、
筋肉質の青年であ

り、ケンとは同い年のようだ。
 もう一人は十二、三歳の成人一歩手前の少年、バッティだ。子供ゆえの好奇心で、
ケンの後を付き纏

っている様だ。未だ幼さが残る、とはいってもこちらもかなり体を鍛えている。が、
ギゼーと同じ背丈

しかないし、小柄であるために侮られがちのようである。力もそんなに無いのは、事
実だが。
 三人目は少女だった。それも、飛び切りの美少女。名を、リンダと言う。華奢で、
薄幸の美少女とい

うイメージはあるが、実質どうだか皆目見当も付かない。見ようによっては、妖艶な
美女にも見えなく

も無いからだ。耳が尖がっていてエルフ種族であることが解る事から、その外見から
年齢を推し量る事

も出来ない。少なくとも、見た目ではバッティと同年齢のようだが。
「…………ギゼーさん好みの少女じゃないですか」
「…………うるさいっ。俺は、少女嗜好者じゃないって言ってるだろっ」
 リンダを見たジュヴィアがギゼーに囁いた言葉を、そのまま囁きで返すギゼー。い
つまで経っても、

誤解は解けないままである。
 ギゼー達の視線に気付いたのか、リンダが高笑いを上げながら宣言する。
「おーほっほっほ!あたしを子供だからって、あまり甘く見ないことねぇ。女には色
んな、武器がある

んだから。まっ、せいぜいがんばることね」
 彼女、リンダに関してだけ言えば、取り巻きというイメージは払拭したかった。な
ぜ、ケンに付き従

っているのかは謎だが、少なくともかなり高ビーな性格の様である、ということだけ
は分かった。
 彼女の言葉を聴いてジュヴィアは、過敏に反応していた。“女の武器”と言う言葉
に、淫魔の血がざ

わめき出したのである。その、淫魔の血を極度に嫌っているジュヴィアは、己の嫌悪
感を昇華する為に

密かに闘争心を燃やしていた。
「…………ギゼーさん、あのリンダとか言う女、私に任せてくれませんか?10秒で
片付けます」
「…………えっ!?ジュヴィアちゃん…!?」
 普段あまり感情を露わにしないジュヴィアが闘志を漲らせて言うのを目の当たりに
し、ギゼーは自分

の目を疑った。普段と違う、彼女の激しい一面を垣間見たような気がする。
 リングはリングで、取り巻き達の筋肉を触りながらしきりに感心していた。
(あいつはあいつで、何時どんな時でも変わらないなぁ)
 リングの行動を見て、妙な感想を抱くギゼーであった。

 残念なことに、第一試合はリンダのたっての願い―我侭とも言う―からギゼーとリ
ンダの対戦に決定

した。どうやら、女の武器とやらを使うには対戦相手が男じゃないと駄目らしい。ず
いぶんと応用範囲

の狭い武器だな、と心の中で突っ込むギゼーであった。
「宜しくお願いしま~すv」
(……ぶりっ子!?)
 それでもリンダの変幻自在な態度に、ギゼーは驚きを隠せないでいた。

 かくして、第一試合は始まった。
 リンダは、容易に近付いて来ず、間合いを取るだけに止まっている。
(…?なんだ?女の武器、とやらを使う積もりかぁ?それとも、何か…魔法みたいな
ものでも…?エル

フは魔法使うって、聞いたしな…)
 一応、念の為慎重に相手の様子を見るギゼー。
 その内、リンダの手の動きが奇妙な形に動いているのに気付く。
(……!?魔法か…!?なんだ?)
 彼女の腕の動きに合わせて、周囲の大気が動き出す。徐々に、彼女の周囲に集積し
ていく。やがて風

が起こり、彼女を中心に周回する旋風となる。
「風よ!切り裂け!!」
 彼女の掛け声とともに、旋風はかまいたちとなりギゼーに襲い掛かる。
「うわっ!風の精霊魔法かっ!」

「……風の精霊魔法ね」
 巻き添えを食らわないよう、遠くの方で静かに観戦しつつも冷静に分析するジュ
ヴィア。
「ええっ!?精霊魔法って言うんですかー。あんなの、始めて見ました。凄いです
ね、地上の人って…

。海の中では、水の魔法しかなかったからなぁ」
 ここに来ても未だ、妙な関心を見せるリング。意外と余裕なのかもしれないと、
ジュヴィアは彼女に

ついて分析するのであった。

「うっしっ!風の精霊魔法には、土系の魔法だ!……こんな所で、いきなり世話にな
るとはな…」
 リンダの繰り出すかまいたちを持ち前の素早さで華麗に(?)避けながらも、ギゼー
は腰に付けたポー

チから土色の玉を複数取り出した。
 そしてそれを、リンダの周囲にばら撒いていく。
「いっけー!ストーンウォール!」

「………勝手に、アイテムの名前付けちゃって…」
 またまた、冷静な分析を口ずさむジュヴィアであった。最近、これが口癖になって
来たようだ。

 ギゼーの大方の予想通り、彼の手から放たれた数個の土色の玉は地面に衝突するな
り岩の壁となって

上空に伸びていった。それが丁度、リンダを中心に円を描くように囲んでいる。これ
で風は、上を抜か

して全方向に放てなくなった。
 かまいたちは、横殴りに来る風である。
「……くっ!」
 その状況をして、リンダに先程まで見せていた余裕は無くなった。
 この状況では、上から吹き降ろす風しかないのだ。
「へっへーんだ。でも、こっちは何時でもナイフであんたを仕留められるんだぜ。壁
の隙間からな。も

う、降参するんだな」
「……わかったわ。降参する」
「えっ!?」
 リンダの意外と素直な反応に、ギゼーは驚いて一瞬思考が停止した。

「…………バカ」
 ジュヴィアが溜息混じりに呟いた。

「………………………あのな、お嬢ちゃん。子供が、大人に色目使っても、アホなだ
けだぞ」
 呆れ心頭、といった感じで静かにギゼーは言う。
 アースウォールが消えると同時にリンダが打って来た手は、所謂“お色気作戦”
だった。
 胸も小さいし、背丈も小さいし、おまけに見た目は未だ幼さが残るところから、エ
ルフとは言えまだ

まだ見た目通りの年齢なのだろう。あるいは、もう少し上か。どちらにせよ、二十七
歳のギゼーにとっ

ては子供である。美女は好きだが、美少女は範疇外だ。
(ふっ、まだまだ、もう少し大人になってから来るんだな)
 と、言うことである。
「えっ!?」
 少女は、自分の得意技だと思い込んでいた“色気”が相手に通じないところを目の
当たりにして、驚

きの表情を隠しきれないでいる。
 その一瞬を付いたギゼーは、彼女の頸椎の部分を軽く手刀で打ち込み、気絶させる
ことに成功した。
 勝者は、ギゼーと相成った―。

「………少女嗜好の癖に、無理しちゃって…」
 あくまでもギゼーを少女嗜好者に仕立て上げようとする、ジュヴィアであった…。
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2007/02/14 22:52 | Comments(0) | TrackBack() | ●ギゼー&リング

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