◆――――――――――――――――――――――――――――
PC :ギゼー・リング・ジュヴィア
NPC:女性、悪漢AOV
場所 :ソフィニア
◆――――――――――――――――――――――――――――
君を守るためなら君を殺したって良いんだよ?
全力疾走(本当にそうかは図りかねたが…)するギゼーを追いながらリングが
息を荒げて言った。
「はぁ、はぁ、ま、待ってくださいぃ~…お二人とも奇妙に速いですよぉ~」
すでに息が上がっているのか、スピードも今ひとつ出ていない。走るのに慣れて
いないのか――何しろ海底では地面を蹴って進む必要などないのだし。
「もたついてる訳にはいかねえ!絶世の美女がピンチだ!」
「――差し詰め貴方のお好きな美少女ですね」
「くどいぞジュヴィアちゃんっ!」
だが、苦しそうなリングとは裏腹に余裕で掛け合いをするギゼーとジュヴィア。
そうこうしている内に目的とするべき場所、つまり悲鳴を上げたギゼー曰くの
「美(少)女」がいる場所にたどり着く。リングは肩で息をしながら追い縋った。
「はああああ…待って~…」
漸く追いついたリングは、見たことのあるような光景を目にした。即ち――
「オイこらぁ、ねえちゃん!わかってんのかコノォ?」
「アンタのオヤジがおれたちに何したか知らねぇたぁ言わせねえぞ!」
女性にからむ悪漢3人、である。この前と違うのは「女性」の方がフリフリの
服を着ておらず、脛毛・髭も生えていないということだった。
「これはまた…解り易い図ですね」
ジュヴィアが皮肉混じりに言った。実際、ごつくていかにもな連中となかなかの
美女…と言う取り合わせであれば、誰でもどちらに非があるかという問題について
同じ答えをはじき出すに違いない。
「アンタのオヤジはなぁ!おれらに依頼をしときながら、必要経費すら払わなかっ
たんだぜぇ!?」
悪漢A(頭が尖っていたのでなんとなくそう名づけた)が担いだ棍棒をずん、と美
女の足元に落とす。ムゴ、と地面にめり込む音がした。
「ヒッ…!」
美女が息を飲む。
「払われてませんと言ったらなあ、あのくそオヤジ、あんたらに払う金などないと
こう抜かしたんだぞ!?」
悪漢O(ハゲで太っていたのでなんとなくそう名づけた)が美女の腕を掴んで引い
た。
「こうなったらてめえを売り飛ばしてやらぁ!心配するこたねえ、品のいい店に売っ
てやるからよ!」
「や、やめてください…!」
「…訂正します。解り易いを通り越して何かの寸劇ですね」
ひんやりとジュヴィアが言い放つ。だが、ギゼーの心境はひんやりとはしていない
ようだった。
「てめえらっ!」
そう叫ぶなり悪漢と美女の間に割り込んだ。リングもつられて飛び出す。ジュヴィア
はつられなかったが、こう呟いた。
「どうして面倒事に進んで関わるんでしょうね…」
だが、そんな呟きをよそにギゼーは怒鳴った。
「お前等の言い草はおかしいじゃねえか!文句があるならそのオヤジに言うべきだ
ろ!彼女は関係ないぞ!」
それが建前や上辺の伊達からくるものでないことは、怒りに燃える鳶色の瞳が示
していた。だが、如何せん分が悪すぎる。それはまさに火を見るより明らかだった。
「うるせえ!セコンドは黙ってろこのチビが!」
悪漢V(見事なまでに逆三角体型なのでなんとなくそう名づけた)がそう凄みを利
かせた、が――
「今なんつった!!!!」
額に血管が卍型に浮かび上がりそうな迫力で、ギゼーが怒鳴り返した。そう、彼
にとってチビとは――禁句なのだ。
「今何つったっつってんだよ!!!!」
あまりの迫力に悪漢AOVはたじろいだように見えた(気のせいかもしれないが)。
だが…
「ギゼーさん、武器も持っていないのにどうするんでしょうね…」
喧嘩を買うにあたって、重要なポイントがギゼーにはない。ましてや相手は棍棒
を持った男に大剣を持った男、武器こそないがどこからどう見ても格闘家に見える
男のトリオである。リングの「聖書」を使えばどうにかなるかもしれないが、こん
な道の往来で彼女の腹が伸びるのを見せてはどうなることか知れたものではない。
「うるせー!チビにチビっつって何が悪い!つべこべ抜かしてっとブッ殺すぞ!!」
悪漢トリオはそれぞれ身構えた。ギゼーの背後で美女が身を強張らせる。リング
はと言えば、今ひとつ状況を把握していない様子だ。まあ、無理もないと言えたが。
「…ああ…不条理の連続です…」
ジュヴィアの発した呟きは、雑踏に紛れて儚くなった。
PC :ギゼー・リング・ジュヴィア
NPC:女性、悪漢AOV
場所 :ソフィニア
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君を守るためなら君を殺したって良いんだよ?
全力疾走(本当にそうかは図りかねたが…)するギゼーを追いながらリングが
息を荒げて言った。
「はぁ、はぁ、ま、待ってくださいぃ~…お二人とも奇妙に速いですよぉ~」
すでに息が上がっているのか、スピードも今ひとつ出ていない。走るのに慣れて
いないのか――何しろ海底では地面を蹴って進む必要などないのだし。
「もたついてる訳にはいかねえ!絶世の美女がピンチだ!」
「――差し詰め貴方のお好きな美少女ですね」
「くどいぞジュヴィアちゃんっ!」
だが、苦しそうなリングとは裏腹に余裕で掛け合いをするギゼーとジュヴィア。
そうこうしている内に目的とするべき場所、つまり悲鳴を上げたギゼー曰くの
「美(少)女」がいる場所にたどり着く。リングは肩で息をしながら追い縋った。
「はああああ…待って~…」
漸く追いついたリングは、見たことのあるような光景を目にした。即ち――
「オイこらぁ、ねえちゃん!わかってんのかコノォ?」
「アンタのオヤジがおれたちに何したか知らねぇたぁ言わせねえぞ!」
女性にからむ悪漢3人、である。この前と違うのは「女性」の方がフリフリの
服を着ておらず、脛毛・髭も生えていないということだった。
「これはまた…解り易い図ですね」
ジュヴィアが皮肉混じりに言った。実際、ごつくていかにもな連中となかなかの
美女…と言う取り合わせであれば、誰でもどちらに非があるかという問題について
同じ答えをはじき出すに違いない。
「アンタのオヤジはなぁ!おれらに依頼をしときながら、必要経費すら払わなかっ
たんだぜぇ!?」
悪漢A(頭が尖っていたのでなんとなくそう名づけた)が担いだ棍棒をずん、と美
女の足元に落とす。ムゴ、と地面にめり込む音がした。
「ヒッ…!」
美女が息を飲む。
「払われてませんと言ったらなあ、あのくそオヤジ、あんたらに払う金などないと
こう抜かしたんだぞ!?」
悪漢O(ハゲで太っていたのでなんとなくそう名づけた)が美女の腕を掴んで引い
た。
「こうなったらてめえを売り飛ばしてやらぁ!心配するこたねえ、品のいい店に売っ
てやるからよ!」
「や、やめてください…!」
「…訂正します。解り易いを通り越して何かの寸劇ですね」
ひんやりとジュヴィアが言い放つ。だが、ギゼーの心境はひんやりとはしていない
ようだった。
「てめえらっ!」
そう叫ぶなり悪漢と美女の間に割り込んだ。リングもつられて飛び出す。ジュヴィア
はつられなかったが、こう呟いた。
「どうして面倒事に進んで関わるんでしょうね…」
だが、そんな呟きをよそにギゼーは怒鳴った。
「お前等の言い草はおかしいじゃねえか!文句があるならそのオヤジに言うべきだ
ろ!彼女は関係ないぞ!」
それが建前や上辺の伊達からくるものでないことは、怒りに燃える鳶色の瞳が示
していた。だが、如何せん分が悪すぎる。それはまさに火を見るより明らかだった。
「うるせえ!セコンドは黙ってろこのチビが!」
悪漢V(見事なまでに逆三角体型なのでなんとなくそう名づけた)がそう凄みを利
かせた、が――
「今なんつった!!!!」
額に血管が卍型に浮かび上がりそうな迫力で、ギゼーが怒鳴り返した。そう、彼
にとってチビとは――禁句なのだ。
「今何つったっつってんだよ!!!!」
あまりの迫力に悪漢AOVはたじろいだように見えた(気のせいかもしれないが)。
だが…
「ギゼーさん、武器も持っていないのにどうするんでしょうね…」
喧嘩を買うにあたって、重要なポイントがギゼーにはない。ましてや相手は棍棒
を持った男に大剣を持った男、武器こそないがどこからどう見ても格闘家に見える
男のトリオである。リングの「聖書」を使えばどうにかなるかもしれないが、こん
な道の往来で彼女の腹が伸びるのを見せてはどうなることか知れたものではない。
「うるせー!チビにチビっつって何が悪い!つべこべ抜かしてっとブッ殺すぞ!!」
悪漢トリオはそれぞれ身構えた。ギゼーの背後で美女が身を強張らせる。リング
はと言えば、今ひとつ状況を把握していない様子だ。まあ、無理もないと言えたが。
「…ああ…不条理の連続です…」
ジュヴィアの発した呟きは、雑踏に紛れて儚くなった。
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