◆――――――――――――――――――――――――――――
PC:ジュヴィア、リング、ギゼー
NPC:情報屋セル
場所:ソフィニア“消え行く灯火”亭
◆――――――――――――――――――――――――――――
何によって構成されているかはそんなに重要なことなのだろうか?
黙りこくってしまった一同の中で、真っ先に口を開いたのは矢張りと言うべきか
セルという男だった。軽くギゼーの背中をポンポン叩くと、笑い飛ばすように言う。
「な~にをそんな勿体つけた事ばっか言ってるんだよ?ほらあんた等もそんな黙っ
てないで。次行くぞ次!」
何の次だ、とリング以外は思ったに違いないが、そんな事にはお構いなしにセル
はその金色の瞳をジュヴィアの方に向けた。咄嗟に思わず身を強張らせたジュヴィ
アを見て、ギゼーが言う。
「何だよセル…人にあんな事言っておいて、お前だって変な目で見たんじゃないの
か?ジュヴィアちゃん今尋常じゃなく驚いたぜ」
――違う、悪いのは私…
声には出せないまま、ジュヴィアは目をぎゅっとつぶった。
「何を言うかコイツ。お前と一緒にするんじゃない…ったく」
セルはギゼーにそんな答えを返して、首を左右に倒しぼきぼきと音を立てた。
さて…と小声でつぶやいたのが聞こえる。さて…何だろう。
「リングちゃんが何で旅してるのか、ってことは解ったが…お嬢ちゃん、あんたが
何故旅をしているのかはまだ聞いてなかったな?」
…余り聞かれたくないことである。ジュヴィアは沈黙を守った。
「おいおい、黙ってちゃ解らんぞ。別に取って食おうって訳じゃない。あんたみた
いなチビ助が旅に出るってんだ。そりゃのっぴきならない事情があるんだろ?」
セルがジュヴィアの肩に手を置いた、刹那。
「――嫌ッ!」
弾かれるようにしてジュヴィアは後ずさった。同時に全員の表情が強張る。
「……どうしました~?」
リングが覗き込むようにしてジュヴィアを伺う。だが、すぐにジュヴィアはいつ
もの表情に戻った。否――戻したようだった。
「何でもありません…ごめんなさい。私のことは…訊かないで頂けますか…」
疑問形である。だが、こう言われて食い下がる者も居ないので、命令形でもある
と言えた。ギゼーもセルも何かを感じ取ったらしく、口をつぐんだ。場に再び重い
空気が淀む。リングは半ば慌てながらギゼーに話を振った。
「そうです、さっきは何をあんなに驚かれていたんです?」
「んん?あ、ああ…」
ギゼーの脳裏に再びあの声が蘇る。
――ガロウズ村の連中が、全滅…
その事を話すと、皆少なからず驚いた。無理もない。村が一晩で…滅びたのだ。
三度場は重苦しい雰囲気に包まれた。どよ~ん、と音がしそうな勢いである。
「もう…寝ようか。あとは明日…」
「そうだな…」
言い出したギゼーに、まだ跳ね除けられたショックが若干残っているらしいセル
が続いた。心中複雑なまま口々にそうだ、もう寝よう、と言いながら、一同は寝支
度を整えようとした。そしてはたと気づいた。
「ベッドが…2つ」
そう、それは極めて重要な問題であった。
PC:ジュヴィア、リング、ギゼー
NPC:情報屋セル
場所:ソフィニア“消え行く灯火”亭
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何によって構成されているかはそんなに重要なことなのだろうか?
黙りこくってしまった一同の中で、真っ先に口を開いたのは矢張りと言うべきか
セルという男だった。軽くギゼーの背中をポンポン叩くと、笑い飛ばすように言う。
「な~にをそんな勿体つけた事ばっか言ってるんだよ?ほらあんた等もそんな黙っ
てないで。次行くぞ次!」
何の次だ、とリング以外は思ったに違いないが、そんな事にはお構いなしにセル
はその金色の瞳をジュヴィアの方に向けた。咄嗟に思わず身を強張らせたジュヴィ
アを見て、ギゼーが言う。
「何だよセル…人にあんな事言っておいて、お前だって変な目で見たんじゃないの
か?ジュヴィアちゃん今尋常じゃなく驚いたぜ」
――違う、悪いのは私…
声には出せないまま、ジュヴィアは目をぎゅっとつぶった。
「何を言うかコイツ。お前と一緒にするんじゃない…ったく」
セルはギゼーにそんな答えを返して、首を左右に倒しぼきぼきと音を立てた。
さて…と小声でつぶやいたのが聞こえる。さて…何だろう。
「リングちゃんが何で旅してるのか、ってことは解ったが…お嬢ちゃん、あんたが
何故旅をしているのかはまだ聞いてなかったな?」
…余り聞かれたくないことである。ジュヴィアは沈黙を守った。
「おいおい、黙ってちゃ解らんぞ。別に取って食おうって訳じゃない。あんたみた
いなチビ助が旅に出るってんだ。そりゃのっぴきならない事情があるんだろ?」
セルがジュヴィアの肩に手を置いた、刹那。
「――嫌ッ!」
弾かれるようにしてジュヴィアは後ずさった。同時に全員の表情が強張る。
「……どうしました~?」
リングが覗き込むようにしてジュヴィアを伺う。だが、すぐにジュヴィアはいつ
もの表情に戻った。否――戻したようだった。
「何でもありません…ごめんなさい。私のことは…訊かないで頂けますか…」
疑問形である。だが、こう言われて食い下がる者も居ないので、命令形でもある
と言えた。ギゼーもセルも何かを感じ取ったらしく、口をつぐんだ。場に再び重い
空気が淀む。リングは半ば慌てながらギゼーに話を振った。
「そうです、さっきは何をあんなに驚かれていたんです?」
「んん?あ、ああ…」
ギゼーの脳裏に再びあの声が蘇る。
――ガロウズ村の連中が、全滅…
その事を話すと、皆少なからず驚いた。無理もない。村が一晩で…滅びたのだ。
三度場は重苦しい雰囲気に包まれた。どよ~ん、と音がしそうな勢いである。
「もう…寝ようか。あとは明日…」
「そうだな…」
言い出したギゼーに、まだ跳ね除けられたショックが若干残っているらしいセル
が続いた。心中複雑なまま口々にそうだ、もう寝よう、と言いながら、一同は寝支
度を整えようとした。そしてはたと気づいた。
「ベッドが…2つ」
そう、それは極めて重要な問題であった。
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