キャスト:ジュリア イェルヒ リクラゼット
NPC:チャーハン魔王(仮)
場所:ソフィニア近郊 -遺跡パジオ、内部
----------------------------------------------------------------
天にも昇る気持ち。とはまさにこんな気持ちなのだろう。
いや、実際私は空を飛んでいたのかもしれない。
それほどまでに伝説の――そう、伝説なのだ!――のチャーハン魔王との出会いは素晴らしいものだったのだ!
こんな話を聞いたことは無いだろうか?
昔々、餓えた子供たちがある鍋を見つめた。するとどうだろう。その鍋から、まるで泉のように食べ物がわきあがってきたのだ。そして、蓋をするとぴたりと行動を止めるのだ。
実を言うと、このような話は世界中に様々な亜種が存在する。近代文学史の研究によると、その根本は古代文明に存在したあるアーティファクトにまつわる話である。
そのアーティファクトの名前は「チャーハンソード」。全ての包丁の親となった存在である。その刃は想像のものを切り、空想した野菜を切り刻み、実際に物質化させるという。現在では考えられぬほどの魔法技術で作られた「チャーハンソード」は幾度も古代文明の文明に登場しては世界を救い、また、窮地においやったこともあるという。
今では考え付かないほど遥か昔に、貧困の時代があった。寒波が世k(省略
「はぁはぁ……た、たまらない……まさに歴史のミステリーだ……ごふっ!はぁはぁ」
そんなことを思いながら、リクラゼットは思考の世界に入っていく。
まるで生ゴミとか、駅のホームで泥酔してベンチに横たわる中年とかへ向ける視線を、元教え子が向けているのにも気づかずに。今、この瞬間。彼は「唯一」自分を認めてくれていた生徒を失ったのだ。
「…………」
ああ、それはもう。確実に。
そんな彼らを尻目に女――ジュリアはおもむろに自分の靴を脱いだ。おもむろにぶんぶんと二三度振り回す。その度にビュッビュッと風の音がする。そして視線を、彼女の目の前で興奮のあまり身悶える中年男性(もやし・半裸)に向ける。いや、むしろその靴を向ける。
「あの食材、あれが空想のものだというのか……!一体どのようなテクノロジーが……ああっ、調べたい、今すぐ!しゃぶりつくし、陵辱するかのように調べま」
「やめろ、変態。」
すぽぽぽぽぽーん。
靴が、リクラゼットの腰にヒットした。悶絶する中年。
ゴキリ、という鈍い音がしたのは言うまもでもない。
(折れたか?)
イェルヒは一人、そんなことを考えた。そして早く帰って本を読みたいなーとも。
遺跡の中に不釣合いなチャーハンの香りを、疎ましく思いながら。
ベジタリアンの彼にとって、チャーハンの中途半端なチャーシューさは許せないのであった。
ぎぃぃぃぃぃ。
かくして、重苦しい悲鳴をあげながらその扉は閉ざされた。
「彼は大好きな研究材料と一緒に生きていくのでした。メデタイメデタイ。」
そう締めるジュリア。
扉は堅く閉ざされてはいるが、何とか力を込めればあけられるくらいだ。……もやし中年の場合、どうかはわからないが。
その後に残されたのは、早く帰りたそうな顔をするイェルヒとジュリアだった。
遺跡の何処からか、激しい破壊音と叫び声が聞こえてくる。「兄さん!コノヤロ!」「ひょーほほほほほほっ。世界征服だー!」「バカッ、チャーハンはパラパラご飯が基本だと何度もいってい(略」「あはははは捕まえてごr(略」「待てよk(略)」戦いは熾烈を極めているらしく、様々な効果音がオンパレードでマスカレードだ。
「「さあ、帰ろうか」」
再び、二人の声が重なった。
遥か遠くに聞こえる声たちが、いつ戻ってくるか分らない。
方向転換する二人。動きが、止まる。うんざりとした、停止だった。
「あなた方、アタクシの夫を知らないかしらぁ?」
目の前に、何か変な人がいた。
変な人は紅生姜が沢山入った袋に手を突っ込んでは、ボリボリと紅生姜を貪っている。その手は心なしか赤く変色している。
「アタクシ、紅生姜夫人と言いますの。ベニ夫人で構いませんことよ。」
誰も聞いてネェ。
NPC:チャーハン魔王(仮)
場所:ソフィニア近郊 -遺跡パジオ、内部
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天にも昇る気持ち。とはまさにこんな気持ちなのだろう。
いや、実際私は空を飛んでいたのかもしれない。
それほどまでに伝説の――そう、伝説なのだ!――のチャーハン魔王との出会いは素晴らしいものだったのだ!
こんな話を聞いたことは無いだろうか?
昔々、餓えた子供たちがある鍋を見つめた。するとどうだろう。その鍋から、まるで泉のように食べ物がわきあがってきたのだ。そして、蓋をするとぴたりと行動を止めるのだ。
実を言うと、このような話は世界中に様々な亜種が存在する。近代文学史の研究によると、その根本は古代文明に存在したあるアーティファクトにまつわる話である。
そのアーティファクトの名前は「チャーハンソード」。全ての包丁の親となった存在である。その刃は想像のものを切り、空想した野菜を切り刻み、実際に物質化させるという。現在では考えられぬほどの魔法技術で作られた「チャーハンソード」は幾度も古代文明の文明に登場しては世界を救い、また、窮地においやったこともあるという。
今では考え付かないほど遥か昔に、貧困の時代があった。寒波が世k(省略
「はぁはぁ……た、たまらない……まさに歴史のミステリーだ……ごふっ!はぁはぁ」
そんなことを思いながら、リクラゼットは思考の世界に入っていく。
まるで生ゴミとか、駅のホームで泥酔してベンチに横たわる中年とかへ向ける視線を、元教え子が向けているのにも気づかずに。今、この瞬間。彼は「唯一」自分を認めてくれていた生徒を失ったのだ。
「…………」
ああ、それはもう。確実に。
そんな彼らを尻目に女――ジュリアはおもむろに自分の靴を脱いだ。おもむろにぶんぶんと二三度振り回す。その度にビュッビュッと風の音がする。そして視線を、彼女の目の前で興奮のあまり身悶える中年男性(もやし・半裸)に向ける。いや、むしろその靴を向ける。
「あの食材、あれが空想のものだというのか……!一体どのようなテクノロジーが……ああっ、調べたい、今すぐ!しゃぶりつくし、陵辱するかのように調べま」
「やめろ、変態。」
すぽぽぽぽぽーん。
靴が、リクラゼットの腰にヒットした。悶絶する中年。
ゴキリ、という鈍い音がしたのは言うまもでもない。
(折れたか?)
イェルヒは一人、そんなことを考えた。そして早く帰って本を読みたいなーとも。
遺跡の中に不釣合いなチャーハンの香りを、疎ましく思いながら。
ベジタリアンの彼にとって、チャーハンの中途半端なチャーシューさは許せないのであった。
ぎぃぃぃぃぃ。
かくして、重苦しい悲鳴をあげながらその扉は閉ざされた。
「彼は大好きな研究材料と一緒に生きていくのでした。メデタイメデタイ。」
そう締めるジュリア。
扉は堅く閉ざされてはいるが、何とか力を込めればあけられるくらいだ。……もやし中年の場合、どうかはわからないが。
その後に残されたのは、早く帰りたそうな顔をするイェルヒとジュリアだった。
遺跡の何処からか、激しい破壊音と叫び声が聞こえてくる。「兄さん!コノヤロ!」「ひょーほほほほほほっ。世界征服だー!」「バカッ、チャーハンはパラパラご飯が基本だと何度もいってい(略」「あはははは捕まえてごr(略」「待てよk(略)」戦いは熾烈を極めているらしく、様々な効果音がオンパレードでマスカレードだ。
「「さあ、帰ろうか」」
再び、二人の声が重なった。
遥か遠くに聞こえる声たちが、いつ戻ってくるか分らない。
方向転換する二人。動きが、止まる。うんざりとした、停止だった。
「あなた方、アタクシの夫を知らないかしらぁ?」
目の前に、何か変な人がいた。
変な人は紅生姜が沢山入った袋に手を突っ込んでは、ボリボリと紅生姜を貪っている。その手は心なしか赤く変色している。
「アタクシ、紅生姜夫人と言いますの。ベニ夫人で構いませんことよ。」
誰も聞いてネェ。
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