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2025/03/11 05:40 |
36.悪夢を捜して/ニーツ(架月)
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PC  八重 ニーツ イートン
場所  メイルーン 市長邸
NPC 市長ワトスン=ベーカーウォール(クリスティ・エドガー)
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 十秒経った。
 市長…もとい、クリスティはもう、屋敷の何処かへ走り去っている。
「では、行きましょうか」
 気の進まない声で、イートンが3人を促す。
「…そうだな」
 ニーツと八重も、渋々ながら、それに従った。

「うわ!!」
「わわわわぁぁ~!!」
 邪魔なドレスの裾を難なく捌きながら、ニーツはホールを一気に駆け抜けた。
 トラップは既に発動しているようで、近づくだけで、様々な物が降って来る。
 -後ろからイートンの情けない声が聞こえるのは、恐らく気のせいだろう。
「どうする?」
「手分けして探した方がいいな」
 左右に伸びる、長い廊下の前で、八重とニーツは囁きを交わす。
「じゃあ、俺は右に行く」
「私は、左だな。気を付けて」
 丁度立ち位置の通りに、二人は別れた。其処に、天井のシャンデリアから矢が降り注ぎ、一瞬前まで彼らの立っていたところに突き刺さる。
「わ~」
 不幸なことに、ようやく追いついたイートンが餌食になりそうになったが、構わず二人は駆けていった。
「ま…待って下さい~」
「お前は、八重と行け!!」
 ニーツが、イートンにそう叫ぶ。ニーツが飛び込んだ右の廊下の入り口は、既にトラップによって塞がれていた。
 一瞬の逡巡の後、イートンが左の廊下へ行った事を感じながら、ニーツは、足下に開いた落とし穴を身軽に飛び越えた。
 これで、既に10個目位だろうか。
(本当に…なんて屋敷だ!やりすぎだろう!)
 両脇から飛び出してきた大きな鋭い針を交わしながら、心の中で毒づく。
 ニーツにとって、ドレス姿、というのはそこまで障害にはならないが、それでもちょっと鬱陶しい。
(しかし…この年にもなって、かくれんぼとは…)
 何となく、虚しくなる。
 トラップの所為でなかなか前に進めないニーツの前に、左右二つの扉が現れた。魔力を使って、中の気配を探るが、誰もいる様子はない。
(…ったく、貸しは十倍にして返して貰わなければ)
 二つの扉を通りすぎ、更に奥へ向かう。その後も、いくつかの扉を通りすぎ…
「…!いた!」
 ある部屋の前で、ニーツは立ち止まった。人の気配。
 慎重に、扉を開ける。その瞬間大きなハンマーが飛んでくるが、しゃがんでかわす。
 ハンマーはどうやら天井からぶら下げられているらしく、そのまま無意味にプラプラと揺れていた。
 部屋に入って、ざっと見回す。お人形、おもちゃ、その他の物が、大量に、そして無造作に散らばっている。
 部屋の内装は、ピンク色がふんだんに使ってあり、可愛らしい花の模様なんかが施されていたりする。
 何処までも乙女チックな雰囲気に、一瞬ニーツは、回れ右をしそうになった。恐らく、あのクリスティ専用の部屋なのだろう。
「……」
 無言のまま、ニーツは、部屋の奥にある、大きなおもちゃ箱に近づいていった。
 人一人が入れそうなほど、大きな箱。恐らく普段は、この散らばっている物体達を入れているのだろう。
 パンドラの箱でも開けるような気分で、ニーツはそれに手をかけ、そっと開いた。と
「おねぇちゃん、すっご~い!!」
 中から飛び出して来たのは、やはり生きた災い…もとい、クリスティ。クリスティは、そのままニーツに抱きついて、押し倒した。
「凄い凄い!!ここまで来れたのは、おねぇちゃんが初めてよぅ!!じゃあ、約束通
 り、エドガーを出してあげるぅ♪」
「ちょ…」
 この態勢でか?と止める間もなく、クリスティの首が、カクンッと垂れた。一瞬後、ニーツの上に被さったまま、クリスティ、いや、エドガーが、目ボケ眼で顔を上げ、上半身を起こした。
 一瞬、彼は、キョトンとして、自分が組み敷いている-としか見えない-ニーツの顔を見た。そしてすぐに状況を理解したのか、にやりと笑う。
「へえ。久しぶりに出てきたら…コイツはいい!」
 ヒュウッと口笛を一つ。
「綺麗で可愛いお嬢さん。俺と遊ばないか?」

 人間二人組は、行き止まりの前で立ち止まっていた。
「う~ん、全ての部屋の中を探したが、いなかったな」
「はあ、はあ、じゃあ、ニーツ君の方でしょうか」
「恐らく、な」
 息を切らしたイートンの言葉に、八重が渋面で頷く。
「戻るか…。あいつのことだ、何をしでかすか分からん」
「ええ、そうですね。そうですけど…」 
 言い淀んで、イートンは元来た道を振り返った。
 様々なトラップの跡。一体、この屋敷は何個のトラップがあるのだろうか?と、イートンでさえ思う。
 廊下をそれらが塞いでいる為に、戻るのは困難だと思われた。
「戻るのも、一苦労だな」
「ええ…」
 二人して、途方にくれていた時。
 八重の荷物の中から、なにかが飛び出した。

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2007/02/17 23:22 | Comments(0) | TrackBack() | ○Under The Moon

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