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PC 八重 ニーツ イートン
場所 メイルーン 市長邸
NPC 市長ワトスン=ベーカーウォール(クリスティ・エドガー)
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十秒経った。
市長…もとい、クリスティはもう、屋敷の何処かへ走り去っている。
「では、行きましょうか」
気の進まない声で、イートンが3人を促す。
「…そうだな」
ニーツと八重も、渋々ながら、それに従った。
「うわ!!」
「わわわわぁぁ~!!」
邪魔なドレスの裾を難なく捌きながら、ニーツはホールを一気に駆け抜けた。
トラップは既に発動しているようで、近づくだけで、様々な物が降って来る。
-後ろからイートンの情けない声が聞こえるのは、恐らく気のせいだろう。
「どうする?」
「手分けして探した方がいいな」
左右に伸びる、長い廊下の前で、八重とニーツは囁きを交わす。
「じゃあ、俺は右に行く」
「私は、左だな。気を付けて」
丁度立ち位置の通りに、二人は別れた。其処に、天井のシャンデリアから矢が降り注ぎ、一瞬前まで彼らの立っていたところに突き刺さる。
「わ~」
不幸なことに、ようやく追いついたイートンが餌食になりそうになったが、構わず二人は駆けていった。
「ま…待って下さい~」
「お前は、八重と行け!!」
ニーツが、イートンにそう叫ぶ。ニーツが飛び込んだ右の廊下の入り口は、既にトラップによって塞がれていた。
一瞬の逡巡の後、イートンが左の廊下へ行った事を感じながら、ニーツは、足下に開いた落とし穴を身軽に飛び越えた。
これで、既に10個目位だろうか。
(本当に…なんて屋敷だ!やりすぎだろう!)
両脇から飛び出してきた大きな鋭い針を交わしながら、心の中で毒づく。
ニーツにとって、ドレス姿、というのはそこまで障害にはならないが、それでもちょっと鬱陶しい。
(しかし…この年にもなって、かくれんぼとは…)
何となく、虚しくなる。
トラップの所為でなかなか前に進めないニーツの前に、左右二つの扉が現れた。魔力を使って、中の気配を探るが、誰もいる様子はない。
(…ったく、貸しは十倍にして返して貰わなければ)
二つの扉を通りすぎ、更に奥へ向かう。その後も、いくつかの扉を通りすぎ…
「…!いた!」
ある部屋の前で、ニーツは立ち止まった。人の気配。
慎重に、扉を開ける。その瞬間大きなハンマーが飛んでくるが、しゃがんでかわす。
ハンマーはどうやら天井からぶら下げられているらしく、そのまま無意味にプラプラと揺れていた。
部屋に入って、ざっと見回す。お人形、おもちゃ、その他の物が、大量に、そして無造作に散らばっている。
部屋の内装は、ピンク色がふんだんに使ってあり、可愛らしい花の模様なんかが施されていたりする。
何処までも乙女チックな雰囲気に、一瞬ニーツは、回れ右をしそうになった。恐らく、あのクリスティ専用の部屋なのだろう。
「……」
無言のまま、ニーツは、部屋の奥にある、大きなおもちゃ箱に近づいていった。
人一人が入れそうなほど、大きな箱。恐らく普段は、この散らばっている物体達を入れているのだろう。
パンドラの箱でも開けるような気分で、ニーツはそれに手をかけ、そっと開いた。と
「おねぇちゃん、すっご~い!!」
中から飛び出して来たのは、やはり生きた災い…もとい、クリスティ。クリスティは、そのままニーツに抱きついて、押し倒した。
「凄い凄い!!ここまで来れたのは、おねぇちゃんが初めてよぅ!!じゃあ、約束通
り、エドガーを出してあげるぅ♪」
「ちょ…」
この態勢でか?と止める間もなく、クリスティの首が、カクンッと垂れた。一瞬後、ニーツの上に被さったまま、クリスティ、いや、エドガーが、目ボケ眼で顔を上げ、上半身を起こした。
一瞬、彼は、キョトンとして、自分が組み敷いている-としか見えない-ニーツの顔を見た。そしてすぐに状況を理解したのか、にやりと笑う。
「へえ。久しぶりに出てきたら…コイツはいい!」
ヒュウッと口笛を一つ。
「綺麗で可愛いお嬢さん。俺と遊ばないか?」
人間二人組は、行き止まりの前で立ち止まっていた。
「う~ん、全ての部屋の中を探したが、いなかったな」
「はあ、はあ、じゃあ、ニーツ君の方でしょうか」
「恐らく、な」
息を切らしたイートンの言葉に、八重が渋面で頷く。
「戻るか…。あいつのことだ、何をしでかすか分からん」
「ええ、そうですね。そうですけど…」
言い淀んで、イートンは元来た道を振り返った。
様々なトラップの跡。一体、この屋敷は何個のトラップがあるのだろうか?と、イートンでさえ思う。
廊下をそれらが塞いでいる為に、戻るのは困難だと思われた。
「戻るのも、一苦労だな」
「ええ…」
二人して、途方にくれていた時。
八重の荷物の中から、なにかが飛び出した。
PC 八重 ニーツ イートン
場所 メイルーン 市長邸
NPC 市長ワトスン=ベーカーウォール(クリスティ・エドガー)
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十秒経った。
市長…もとい、クリスティはもう、屋敷の何処かへ走り去っている。
「では、行きましょうか」
気の進まない声で、イートンが3人を促す。
「…そうだな」
ニーツと八重も、渋々ながら、それに従った。
「うわ!!」
「わわわわぁぁ~!!」
邪魔なドレスの裾を難なく捌きながら、ニーツはホールを一気に駆け抜けた。
トラップは既に発動しているようで、近づくだけで、様々な物が降って来る。
-後ろからイートンの情けない声が聞こえるのは、恐らく気のせいだろう。
「どうする?」
「手分けして探した方がいいな」
左右に伸びる、長い廊下の前で、八重とニーツは囁きを交わす。
「じゃあ、俺は右に行く」
「私は、左だな。気を付けて」
丁度立ち位置の通りに、二人は別れた。其処に、天井のシャンデリアから矢が降り注ぎ、一瞬前まで彼らの立っていたところに突き刺さる。
「わ~」
不幸なことに、ようやく追いついたイートンが餌食になりそうになったが、構わず二人は駆けていった。
「ま…待って下さい~」
「お前は、八重と行け!!」
ニーツが、イートンにそう叫ぶ。ニーツが飛び込んだ右の廊下の入り口は、既にトラップによって塞がれていた。
一瞬の逡巡の後、イートンが左の廊下へ行った事を感じながら、ニーツは、足下に開いた落とし穴を身軽に飛び越えた。
これで、既に10個目位だろうか。
(本当に…なんて屋敷だ!やりすぎだろう!)
両脇から飛び出してきた大きな鋭い針を交わしながら、心の中で毒づく。
ニーツにとって、ドレス姿、というのはそこまで障害にはならないが、それでもちょっと鬱陶しい。
(しかし…この年にもなって、かくれんぼとは…)
何となく、虚しくなる。
トラップの所為でなかなか前に進めないニーツの前に、左右二つの扉が現れた。魔力を使って、中の気配を探るが、誰もいる様子はない。
(…ったく、貸しは十倍にして返して貰わなければ)
二つの扉を通りすぎ、更に奥へ向かう。その後も、いくつかの扉を通りすぎ…
「…!いた!」
ある部屋の前で、ニーツは立ち止まった。人の気配。
慎重に、扉を開ける。その瞬間大きなハンマーが飛んでくるが、しゃがんでかわす。
ハンマーはどうやら天井からぶら下げられているらしく、そのまま無意味にプラプラと揺れていた。
部屋に入って、ざっと見回す。お人形、おもちゃ、その他の物が、大量に、そして無造作に散らばっている。
部屋の内装は、ピンク色がふんだんに使ってあり、可愛らしい花の模様なんかが施されていたりする。
何処までも乙女チックな雰囲気に、一瞬ニーツは、回れ右をしそうになった。恐らく、あのクリスティ専用の部屋なのだろう。
「……」
無言のまま、ニーツは、部屋の奥にある、大きなおもちゃ箱に近づいていった。
人一人が入れそうなほど、大きな箱。恐らく普段は、この散らばっている物体達を入れているのだろう。
パンドラの箱でも開けるような気分で、ニーツはそれに手をかけ、そっと開いた。と
「おねぇちゃん、すっご~い!!」
中から飛び出して来たのは、やはり生きた災い…もとい、クリスティ。クリスティは、そのままニーツに抱きついて、押し倒した。
「凄い凄い!!ここまで来れたのは、おねぇちゃんが初めてよぅ!!じゃあ、約束通
り、エドガーを出してあげるぅ♪」
「ちょ…」
この態勢でか?と止める間もなく、クリスティの首が、カクンッと垂れた。一瞬後、ニーツの上に被さったまま、クリスティ、いや、エドガーが、目ボケ眼で顔を上げ、上半身を起こした。
一瞬、彼は、キョトンとして、自分が組み敷いている-としか見えない-ニーツの顔を見た。そしてすぐに状況を理解したのか、にやりと笑う。
「へえ。久しぶりに出てきたら…コイツはいい!」
ヒュウッと口笛を一つ。
「綺麗で可愛いお嬢さん。俺と遊ばないか?」
人間二人組は、行き止まりの前で立ち止まっていた。
「う~ん、全ての部屋の中を探したが、いなかったな」
「はあ、はあ、じゃあ、ニーツ君の方でしょうか」
「恐らく、な」
息を切らしたイートンの言葉に、八重が渋面で頷く。
「戻るか…。あいつのことだ、何をしでかすか分からん」
「ええ、そうですね。そうですけど…」
言い淀んで、イートンは元来た道を振り返った。
様々なトラップの跡。一体、この屋敷は何個のトラップがあるのだろうか?と、イートンでさえ思う。
廊下をそれらが塞いでいる為に、戻るのは困難だと思われた。
「戻るのも、一苦労だな」
「ええ…」
二人して、途方にくれていた時。
八重の荷物の中から、なにかが飛び出した。
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