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PC 八重・ニーツ・(イートン)
場所 メイルーン 市長邸
NPC 執事クリエッド 市長ワトスン=ベーカーウォール(クリスティ)
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その男は、引き締まった顔立ちに、鋭い鳶色の瞳をしていた。スーツをきっちりと着込み、服装に隙がない。
(これが、四重人格市長か・・・)
八重はおもわずゴクリとつばを飲み込んだ。執事クリエッドの話によれば今は<クリスティ>のハズだ。しかし、今のところ服装は、まともだ。三人が視線を集め見つめる中、市長がゆっくりとその口を開いた。
「か・わ・い・い~」
くりっと手を顔の横に沿え、ニュアンスはわ、とい、を強調して市長、いや、クリスティはニーツに駆け寄った。素早い。
「きゃあ、かわいい~っ!!貴女、お人形さんみたいね~v」
そう言ってニーツを思いっきりぎゅううっと抱きしめた。
声はテノール、外見はどう見たって立派な紳士。なのに、している行動は、これだ。八重は本気で薄ら寒さを覚えた。ため息一つで事を済ますクリエッドとイートンは凄いと、本気で思った。
抱きしめられているニーツがクリスティの腕の中でぴくりと動いた。明らかに怒りと憤りを抑えている様子だ。
(これはヤバいぞ)
<借り一つ>ニーツの言葉が八重の脳裏に浮かんだ。これ以上<借り>ができたらどうなることかわかったもんじゃない。
「ちょっと・・・、いいかね、・・・クリスティ?」
八重はやんわりと、しかし少し力を込めてクリスティをニーツから引き離した。
「やん、なあに?おじさま?」
おじさま、は貴様も同じだろうが。その言葉をぐっと飲み込んで、八重はきわめて優しくクリスティに話しかけた。
「エドガーは、どうしたのかな?」
「エドガー?おじさまったらあんな女たらしに会いたいのぉ?」
そのおじさま、が癇に障るんだよ。八重の心の中の悪態は尽きない。
「エドガーは、今は寝てるわよ。このところいい女にめぐり合えないから拗ねてるのね。アイツの頭の中って女のことばかりよ。どうかしてるわ」
どうかしてるのは貴様も同じだ。・・・悪態をつくのもいい加減疲れてきた。
「お願いです、クリスティ」
イートンがクリスティに懇願する。彼も彼なりにニーツに対し<危険>信号を感じているようだ。
「エドガーを出してくれませんか?彼と話したいんです」
「いいわよん」
割とあっさりクリスティは承知してくれた。
「本当ですか!」
「た・だ・し」
クリスティは楽しそうに三人に向かって言った。
「クリスティと、かくれんぼして遊んでくれたら出してあげるっ」
かくれんぼ。その言葉にその場にいた全員に戦慄が走った。
「イートンおにいちゃんと、そこのおじさまと、かわいいおねぇちゃんがオニね。クリスティが隠れるの。誰でもいいからクリスティを見つけられたら、勝ちよ」
「それって、この屋敷内ですか」
「あたりまえよぅ、そうじゃなくてもクリスティ、このお屋敷から出ちゃいけないんだもの」
「・・・この屋敷に、侵入者を排除するトラップが何百個も仕掛けてあるのを承知で言ってるんですか」
やはり。八重とニーツは心の中でうなづいた。先ほどから目ざとい彼らの目には、この場にもトラップが三つほど仕掛けられているのが確認できていたのだ。
その言葉に、クリスティの笑みは、子供の残酷な笑みのそれに変わった。
「あたりまえじゃない」
クリスティは上目遣いで八重の瞳を覗き込んだ。
「どうする?おじさま、クリスティと遊んでくれる?」
「・・・やろう」
答えたのはニーツだった。
「・・・クリスティにこれ以上付き合わなくていいなら何だっていい」
「じゃあ、決まりねっ」
言うと、クリスティはたっと階段を駆け出した。
「十数えたら探していいわよ、それまでは動いちゃダメ!」
そして、クリエッドのほうを向いて付け加えた。
「動いたら殺していいわよ」
「承知しました」
つくづく恐ろしい屋敷だと八重は思った。
PC 八重・ニーツ・(イートン)
場所 メイルーン 市長邸
NPC 執事クリエッド 市長ワトスン=ベーカーウォール(クリスティ)
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その男は、引き締まった顔立ちに、鋭い鳶色の瞳をしていた。スーツをきっちりと着込み、服装に隙がない。
(これが、四重人格市長か・・・)
八重はおもわずゴクリとつばを飲み込んだ。執事クリエッドの話によれば今は<クリスティ>のハズだ。しかし、今のところ服装は、まともだ。三人が視線を集め見つめる中、市長がゆっくりとその口を開いた。
「か・わ・い・い~」
くりっと手を顔の横に沿え、ニュアンスはわ、とい、を強調して市長、いや、クリスティはニーツに駆け寄った。素早い。
「きゃあ、かわいい~っ!!貴女、お人形さんみたいね~v」
そう言ってニーツを思いっきりぎゅううっと抱きしめた。
声はテノール、外見はどう見たって立派な紳士。なのに、している行動は、これだ。八重は本気で薄ら寒さを覚えた。ため息一つで事を済ますクリエッドとイートンは凄いと、本気で思った。
抱きしめられているニーツがクリスティの腕の中でぴくりと動いた。明らかに怒りと憤りを抑えている様子だ。
(これはヤバいぞ)
<借り一つ>ニーツの言葉が八重の脳裏に浮かんだ。これ以上<借り>ができたらどうなることかわかったもんじゃない。
「ちょっと・・・、いいかね、・・・クリスティ?」
八重はやんわりと、しかし少し力を込めてクリスティをニーツから引き離した。
「やん、なあに?おじさま?」
おじさま、は貴様も同じだろうが。その言葉をぐっと飲み込んで、八重はきわめて優しくクリスティに話しかけた。
「エドガーは、どうしたのかな?」
「エドガー?おじさまったらあんな女たらしに会いたいのぉ?」
そのおじさま、が癇に障るんだよ。八重の心の中の悪態は尽きない。
「エドガーは、今は寝てるわよ。このところいい女にめぐり合えないから拗ねてるのね。アイツの頭の中って女のことばかりよ。どうかしてるわ」
どうかしてるのは貴様も同じだ。・・・悪態をつくのもいい加減疲れてきた。
「お願いです、クリスティ」
イートンがクリスティに懇願する。彼も彼なりにニーツに対し<危険>信号を感じているようだ。
「エドガーを出してくれませんか?彼と話したいんです」
「いいわよん」
割とあっさりクリスティは承知してくれた。
「本当ですか!」
「た・だ・し」
クリスティは楽しそうに三人に向かって言った。
「クリスティと、かくれんぼして遊んでくれたら出してあげるっ」
かくれんぼ。その言葉にその場にいた全員に戦慄が走った。
「イートンおにいちゃんと、そこのおじさまと、かわいいおねぇちゃんがオニね。クリスティが隠れるの。誰でもいいからクリスティを見つけられたら、勝ちよ」
「それって、この屋敷内ですか」
「あたりまえよぅ、そうじゃなくてもクリスティ、このお屋敷から出ちゃいけないんだもの」
「・・・この屋敷に、侵入者を排除するトラップが何百個も仕掛けてあるのを承知で言ってるんですか」
やはり。八重とニーツは心の中でうなづいた。先ほどから目ざとい彼らの目には、この場にもトラップが三つほど仕掛けられているのが確認できていたのだ。
その言葉に、クリスティの笑みは、子供の残酷な笑みのそれに変わった。
「あたりまえじゃない」
クリスティは上目遣いで八重の瞳を覗き込んだ。
「どうする?おじさま、クリスティと遊んでくれる?」
「・・・やろう」
答えたのはニーツだった。
「・・・クリスティにこれ以上付き合わなくていいなら何だっていい」
「じゃあ、決まりねっ」
言うと、クリスティはたっと階段を駆け出した。
「十数えたら探していいわよ、それまでは動いちゃダメ!」
そして、クリエッドのほうを向いて付け加えた。
「動いたら殺していいわよ」
「承知しました」
つくづく恐ろしい屋敷だと八重は思った。
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