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PC 八重 イートン ニーツ
場所 ヴェルン湖遺跡
NPC 木兎
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ヴェルン湖を見つめ、困ったような笑みを浮かべるイートンと、その丸っこい瞳で、呆然と元遺跡の場所を見つめるウサギ。その表情は、アボーンという効果音が最もふさわしい程だ。
「あの・・・、えと・・・」
イートンは困ったような笑みをウサギに向ける。
「とりあえず・・・、ごめんなさい・・・」
「ふ・・・ふ・・・」
ウサギの体がわなわなと震えたと思うと、
「ふざけるなーーー!!謝って済むなら警察はいらんわーーー!!!」
言うなり、ウサギはその短い前足でぽかぽかとイートンの体を殴り始めた。
「チクショウ、こんなことなら貴様など助けるんじゃなかったわい!チクショウ!」
「わっ、痛い痛い、何するんですか!」
「チクショウ、先ほどあんなに魔力を使わなければ、貴様など一撃で倒せるのだ!チクショウ!」
チクショウと何度も言いながらぽかぽかイートンを叩くウサギの目には、涙が滲んでいた。しかし、魔力のなくなったウサギの短い手足が繰り出す攻撃は、単にかわいらしいだけでイートンには全く利いていない。
そうしてイートンがウサギ相手に苦戦していると、
「ふん、生きていたのか、イートン」
ぱっと、イートンが見た目線の先には、八重を背負って茂みから出てくるニーツの姿があった。
「ニーツ君!!」
思わず瞳が潤むイートン。ニーツはそのイートンをはんっと鼻であしらうと、「ふん、俺が出てきたことぐらいでそんなに感動されても困るんだが」
と、不機嫌そうに答えた。
「まさか、この俺があんなヤツの魔法で死ぬとでも思ってたのか」
「だって、ニーツ君、あんなに苦しそうで・・・、それにあの爆発・・・」
「あんなの、俺の魔力が戻れば回避するぐらいわけないね」
「とりあえず、よかった・・・、ニーツ君・・・」
ほっとしたような表情を浮かべるイートンを見て、ニーツは少しすねたような顔でぷいっと横を向いた。
「それより、問題はコイツだ。腹にくらった一撃が相当に効いているらしい」
その言葉で、初めてイートンはニーツの背中で苦しそうに呻いている八重に気が付いた。
「っ・・・!八重さんっ!!」
イートンは思わずウサギを手から放り出すと、背負われている八重の元へと駆け寄った。
「八重さんっ!大丈夫なんですか!八重さん!」
「・・・心配するな。こんな傷・・・、すぐに治るさ・・・。何時ものこと・・・」
うぐっ・・・と、八重は苦しそうな声を上げた。
「八重さん!!」
草の上に仰向けに寝かせた八重の腹の上には、痛々しいほどの火傷の跡が付いていた。その姿に、イートンの瞳が潤む。
(八重さん・・・、僕とニーツ君のために、こんな無理してまで戦ってくれて・・・)
「心配するな、俺の魔力がもう少し回復したら回復魔法をかけてやる」
心配そうな顔のイートンにニーツが言う。
「お前は俺のためにも戦ってくれたわけだからな。その礼だ」
「すまない・・・な・・・」
痛みに額が汗ばみながらも、八重はニーツに少し微笑んだ。そして、
「ところで・・・、アレは、何だ・・・?」
先ほどから、草むらから顔を出してウーッと牙をむき出して唸っている物体を指差した。
「あ、ウサギさん!」
「我輩は唯のウサギさんなどではない!ヴェルンの守護霊であるぞ!!」
そういってウサギはせいいっぱい強がってみせる。しかし、なにぶん、ダンゴのような体と丸っこい瞳である。そう言われても当然、何の迫力も感じられない。
「我が都を滅ばした罪は重罪であるぞ!いかにして償ってもらおうか!!」
「ヴェルンの・・・守護霊・・・」
口の中で八重は呟いた。が、突然、八重はがばっと起き上がると、ウサギをむんずと捕まえた。
「おい、オマエ!」
「オマエなどではない!我輩はヴェルンの守護霊であるぞ!!」
「そんなのどうだっていい!オマエ、<ルナシー>を知っているか?」
八重のその問いに、二人ははっと息を飲んでウサギを見つめる。
「ルナシー・・・、・・・ヒエログリフの対になる人間」
「そうだ!そのルナシーだ!!オマエの都に昔ルナシーとヒエログリフが来たはずだ!覚えていないか?」
しばらくの沈黙の後、ウサギは呟いた。
「確かに来た・・・、知っている・・・」
「本当か!!ならオマエがルナシーとヒエログリフについて知っていることを洗いざらい話してもらおう!」
「断る」
そう言うと、ウサギはつーんと横を向いた。
「我が都を滅ぼした極悪人どもに、話す事など何もないわ」
「なっ・・・」
その言葉に、思わず八重はへたり込んだ。
「そんな・・・」
「話してほしければ」
ここでウサギは三人を見てにやりと笑った。
「市長のところから<ヴェルンの涙>を取り戻してもらおう」
PC 八重 イートン ニーツ
場所 ヴェルン湖遺跡
NPC 木兎
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ヴェルン湖を見つめ、困ったような笑みを浮かべるイートンと、その丸っこい瞳で、呆然と元遺跡の場所を見つめるウサギ。その表情は、アボーンという効果音が最もふさわしい程だ。
「あの・・・、えと・・・」
イートンは困ったような笑みをウサギに向ける。
「とりあえず・・・、ごめんなさい・・・」
「ふ・・・ふ・・・」
ウサギの体がわなわなと震えたと思うと、
「ふざけるなーーー!!謝って済むなら警察はいらんわーーー!!!」
言うなり、ウサギはその短い前足でぽかぽかとイートンの体を殴り始めた。
「チクショウ、こんなことなら貴様など助けるんじゃなかったわい!チクショウ!」
「わっ、痛い痛い、何するんですか!」
「チクショウ、先ほどあんなに魔力を使わなければ、貴様など一撃で倒せるのだ!チクショウ!」
チクショウと何度も言いながらぽかぽかイートンを叩くウサギの目には、涙が滲んでいた。しかし、魔力のなくなったウサギの短い手足が繰り出す攻撃は、単にかわいらしいだけでイートンには全く利いていない。
そうしてイートンがウサギ相手に苦戦していると、
「ふん、生きていたのか、イートン」
ぱっと、イートンが見た目線の先には、八重を背負って茂みから出てくるニーツの姿があった。
「ニーツ君!!」
思わず瞳が潤むイートン。ニーツはそのイートンをはんっと鼻であしらうと、「ふん、俺が出てきたことぐらいでそんなに感動されても困るんだが」
と、不機嫌そうに答えた。
「まさか、この俺があんなヤツの魔法で死ぬとでも思ってたのか」
「だって、ニーツ君、あんなに苦しそうで・・・、それにあの爆発・・・」
「あんなの、俺の魔力が戻れば回避するぐらいわけないね」
「とりあえず、よかった・・・、ニーツ君・・・」
ほっとしたような表情を浮かべるイートンを見て、ニーツは少しすねたような顔でぷいっと横を向いた。
「それより、問題はコイツだ。腹にくらった一撃が相当に効いているらしい」
その言葉で、初めてイートンはニーツの背中で苦しそうに呻いている八重に気が付いた。
「っ・・・!八重さんっ!!」
イートンは思わずウサギを手から放り出すと、背負われている八重の元へと駆け寄った。
「八重さんっ!大丈夫なんですか!八重さん!」
「・・・心配するな。こんな傷・・・、すぐに治るさ・・・。何時ものこと・・・」
うぐっ・・・と、八重は苦しそうな声を上げた。
「八重さん!!」
草の上に仰向けに寝かせた八重の腹の上には、痛々しいほどの火傷の跡が付いていた。その姿に、イートンの瞳が潤む。
(八重さん・・・、僕とニーツ君のために、こんな無理してまで戦ってくれて・・・)
「心配するな、俺の魔力がもう少し回復したら回復魔法をかけてやる」
心配そうな顔のイートンにニーツが言う。
「お前は俺のためにも戦ってくれたわけだからな。その礼だ」
「すまない・・・な・・・」
痛みに額が汗ばみながらも、八重はニーツに少し微笑んだ。そして、
「ところで・・・、アレは、何だ・・・?」
先ほどから、草むらから顔を出してウーッと牙をむき出して唸っている物体を指差した。
「あ、ウサギさん!」
「我輩は唯のウサギさんなどではない!ヴェルンの守護霊であるぞ!!」
そういってウサギはせいいっぱい強がってみせる。しかし、なにぶん、ダンゴのような体と丸っこい瞳である。そう言われても当然、何の迫力も感じられない。
「我が都を滅ばした罪は重罪であるぞ!いかにして償ってもらおうか!!」
「ヴェルンの・・・守護霊・・・」
口の中で八重は呟いた。が、突然、八重はがばっと起き上がると、ウサギをむんずと捕まえた。
「おい、オマエ!」
「オマエなどではない!我輩はヴェルンの守護霊であるぞ!!」
「そんなのどうだっていい!オマエ、<ルナシー>を知っているか?」
八重のその問いに、二人ははっと息を飲んでウサギを見つめる。
「ルナシー・・・、・・・ヒエログリフの対になる人間」
「そうだ!そのルナシーだ!!オマエの都に昔ルナシーとヒエログリフが来たはずだ!覚えていないか?」
しばらくの沈黙の後、ウサギは呟いた。
「確かに来た・・・、知っている・・・」
「本当か!!ならオマエがルナシーとヒエログリフについて知っていることを洗いざらい話してもらおう!」
「断る」
そう言うと、ウサギはつーんと横を向いた。
「我が都を滅ぼした極悪人どもに、話す事など何もないわ」
「なっ・・・」
その言葉に、思わず八重はへたり込んだ。
「そんな・・・」
「話してほしければ」
ここでウサギは三人を見てにやりと笑った。
「市長のところから<ヴェルンの涙>を取り戻してもらおう」
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