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PC 八重 ニーツ イートン
場所 メイルーン ヴェルン湖畔
NPC ベル=リアン シュワルツェネ=リアン 伯父
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水面に月が映った。
砂糖を入れて、コーヒーをかき混ぜる。
ぐにゃぐにゃと歪んだ月 元の形も分からない・・・・。
「お前が甘党なのは知ってるが・・・どれだけ砂糖を入れる気だ?」
「・・・え?」
伯父の言葉にイートンは我に返った。
溶けきれなくなった砂糖がザラザラと不快な音を立てた。
とてもじゃないが飲めたものではない。
結局、口をつけることなくカップを机に置いた。
「そろそろ、戻らないと」
「何処に泊まってるんだ?」
「地下牢です」
「そりゃあ物好きだな」
窓の外、あの林の向こうにヴェルン湖がある。今すぐにでも彼らに追いつきたいと言う衝動をイートンは慌てて押さえつける。自分は戻らなければならないのだ、それが契約。
それを守る限りユサたちも自分たちに手を出すことが出来ない。
しかし、その光景を見た瞬間、イートンの理性は吹っ飛んだ。
――――――立ち昇る。紅い、光柱。
暗い林の中から、ソレは魂を乗せる箒星のように不吉な余韻を残し天に消えた。
「まさか・・・ニーツ君?」
均衡が破れる。
契約―――――不履行。
イートンの身体に知らぬ間に植え付けられていたニーツの魔法が解けるのが分かった。
「外が騒がしいな」
狭い路地の影で複数の人の動く気配がした。ユサに気づかれてしまったらしい。
「今から戻っても遅いですよね・・・」
アエルも抜け穴から無事、脱出していれば良いのだが。
「来るぞ」
カーテンを素早く閉めて伯父が言う。故郷のこの町でイートンが隠れる場所などここ以外には何処にも無いのだ。
「すいません、ご迷惑かけて」
何、他人行儀なこと言ってるんだ。そう笑う伯父にイートンはさらに甘えてみることにした。赤と青、綺麗で危険な液体を指差す。
「じゃあ、ソレちょっと分けてくれませんか?」
「ぐあっ!?」
扉を開けて襲ってきた男たちを不意打ちで叩きのめすとイートンは外に出た。
「また、来いよ」
男の腕を捻りながら伯父がそう言ったのが聞こえた。
「えぇ、近いうちに」
その言葉に、イートンは心から笑みを浮かべ答えた。
-------
微かな記憶を頼りに光の無い道を進むのは楽ではなかった。しかし大幅なショートカットの結果、イートンは半分以下の時間でヴェルン湖のほとりにたどり着いた。
「八重さん!?ニーツ君!!」
「イートン!?」
ニーツを庇うように魔族と対峙していた八重が驚いてこちらを見る。
魔族は二人だった。背の高い、長身の男に親子バッタよろしく一人の少年がくっ付いている。思わず二人で一人の妖怪か何かかとイートンは思った。
「ほぉ・・・あそこから良く脱け出せたな」
「シニワン!?」
長身の男が振り向いて、意外そうに細い目を開いた。小さい方がピョンと男の腕から離れた。可愛らしい少年。しかし、さすがのイートンにも少年を愛でる余裕は無かった。
「また玩具が増えたね。シュワルツェネ兄ぃ」
「お前が・・・ベル=リアンなのか?」
シニワンに向かって呟いたイートンに少年が頬を膨らませる。
「違うって言ってるだろ!こっちはシュワルツェネ兄ぃ。僕がベル=リアンだよ」
何となく状況が飲み込めたイートンは、困ったように首をかしげた。
「足手まとい、逆に増えちゃいましたか・・・?」
疲れた表情に口元だけ軽く持ち上げて、八重がニヤリと答えた。
「いや、一人よりはマシだ」
PC 八重 ニーツ イートン
場所 メイルーン ヴェルン湖畔
NPC ベル=リアン シュワルツェネ=リアン 伯父
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水面に月が映った。
砂糖を入れて、コーヒーをかき混ぜる。
ぐにゃぐにゃと歪んだ月 元の形も分からない・・・・。
「お前が甘党なのは知ってるが・・・どれだけ砂糖を入れる気だ?」
「・・・え?」
伯父の言葉にイートンは我に返った。
溶けきれなくなった砂糖がザラザラと不快な音を立てた。
とてもじゃないが飲めたものではない。
結局、口をつけることなくカップを机に置いた。
「そろそろ、戻らないと」
「何処に泊まってるんだ?」
「地下牢です」
「そりゃあ物好きだな」
窓の外、あの林の向こうにヴェルン湖がある。今すぐにでも彼らに追いつきたいと言う衝動をイートンは慌てて押さえつける。自分は戻らなければならないのだ、それが契約。
それを守る限りユサたちも自分たちに手を出すことが出来ない。
しかし、その光景を見た瞬間、イートンの理性は吹っ飛んだ。
――――――立ち昇る。紅い、光柱。
暗い林の中から、ソレは魂を乗せる箒星のように不吉な余韻を残し天に消えた。
「まさか・・・ニーツ君?」
均衡が破れる。
契約―――――不履行。
イートンの身体に知らぬ間に植え付けられていたニーツの魔法が解けるのが分かった。
「外が騒がしいな」
狭い路地の影で複数の人の動く気配がした。ユサに気づかれてしまったらしい。
「今から戻っても遅いですよね・・・」
アエルも抜け穴から無事、脱出していれば良いのだが。
「来るぞ」
カーテンを素早く閉めて伯父が言う。故郷のこの町でイートンが隠れる場所などここ以外には何処にも無いのだ。
「すいません、ご迷惑かけて」
何、他人行儀なこと言ってるんだ。そう笑う伯父にイートンはさらに甘えてみることにした。赤と青、綺麗で危険な液体を指差す。
「じゃあ、ソレちょっと分けてくれませんか?」
「ぐあっ!?」
扉を開けて襲ってきた男たちを不意打ちで叩きのめすとイートンは外に出た。
「また、来いよ」
男の腕を捻りながら伯父がそう言ったのが聞こえた。
「えぇ、近いうちに」
その言葉に、イートンは心から笑みを浮かべ答えた。
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微かな記憶を頼りに光の無い道を進むのは楽ではなかった。しかし大幅なショートカットの結果、イートンは半分以下の時間でヴェルン湖のほとりにたどり着いた。
「八重さん!?ニーツ君!!」
「イートン!?」
ニーツを庇うように魔族と対峙していた八重が驚いてこちらを見る。
魔族は二人だった。背の高い、長身の男に親子バッタよろしく一人の少年がくっ付いている。思わず二人で一人の妖怪か何かかとイートンは思った。
「ほぉ・・・あそこから良く脱け出せたな」
「シニワン!?」
長身の男が振り向いて、意外そうに細い目を開いた。小さい方がピョンと男の腕から離れた。可愛らしい少年。しかし、さすがのイートンにも少年を愛でる余裕は無かった。
「また玩具が増えたね。シュワルツェネ兄ぃ」
「お前が・・・ベル=リアンなのか?」
シニワンに向かって呟いたイートンに少年が頬を膨らませる。
「違うって言ってるだろ!こっちはシュワルツェネ兄ぃ。僕がベル=リアンだよ」
何となく状況が飲み込めたイートンは、困ったように首をかしげた。
「足手まとい、逆に増えちゃいましたか・・・?」
疲れた表情に口元だけ軽く持ち上げて、八重がニヤリと答えた。
「いや、一人よりはマシだ」
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