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PC 八重・ニーツ・(イートン) 場所 ヴェルン湖畔
NPC ベル=リアン シュワルツェネ=リアン クーロン
注)今回は八重の一人称です
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少年魔族ベル=リアンは、無邪気に笑いながら火の玉を俺のほうに向けて続けざまに放ってきた。
「あははっ、まずはそこの無能なニンゲンから死んじゃえ!!」
「無能?」
その言葉に、俺は少し遺憾を感じずにはいられない。すかさずニーツが防御障壁をつくって火の玉を弾いた。
「だって無能じゃん、ニーツがいなきゃ何もできないでしょ?」
たしかに、今の俺はニーツの魔法に助けられてばかりで何も動いてはいない。さぞかし、今の俺はニーツのお荷物だろう。ニーツも二三発火の玉を返すが、俺を防御しているせいでまともにベルへ攻撃ができないようだ。・・・ベルの狙いもそうだろう。俺を攻撃することで、ニーツに攻撃させないようにしているのだ。
冗談じゃない・・・。
俺の胸に静かに炎が燃えた。
あんな魔族のお荷物なんて、絶対に御免だ。
俺がそう思い、ある決意を固めようとしていたそのとき、
湖の水面が揺れたと思うとその波紋のなかから一人の男が現れた。
長い深緑色の髪に、金色の瞳。
そうか、コイツがあの魔族の兄・・・。
「兄ぃ!!」
ベルが嬉しそうに声を上げた。
「兄ぃ!ニーツを倒してよ!コイツ、人間と組んで僕を殺そうとするんだ!」
「・・・解った、ベル」
兄のほうはこの魔族とは違い、割と無口だと、俺は思った。
「・・・俺も、コイツとは一度戦ってみたいと思っていた。その能力を、見てみたいと・・・思っていた」
そう言ってソイツは静かにすっとニーツを見つめる。
「・・・俺はニーツを殺るから、お前はそこの人間を片付けろ」
「わかった!シュワルツェネ兄ぃ!すぐ片付けて僕も加勢するよ!」
シュワルツェネという魔族の言葉に、ベルは目をきらきらさせて答えた。それがますます俺の癇に障る。
「おい、ニーツ」
俺の腹は決まった。先ほどから考えていた決意を口に出す。
「あのベルとかいう魔族、俺に任せてもらおう。俺にかまわずアイツと戦え」
そう言って俺は目線でシュワルツェネとかいうやつを指す。
「おい、お前・・・」
瞳に戸惑いの色を浮かべるニーツに、俺は強く言った。
「心配するな。魔力さえなければアイツなど、・・・五秒だ。魔力の軌道さえ読めれば、問題ない」
ニーツは考え深げに俺を見ていたが、それは一秒だった。
「・・・解った。せいぜい犬死しないように戦いな」
言うと、ニーツはふっとシュワルツェネにむかって駆け出した。シュワルツェネも無言で両手に魔力を溜める。俺がニーツの行動を見ていられたのも数秒だった。ベルが火の玉続けざまに打ってくる。
しかし、はっきり言って俺は、しばらくの戦闘でベルの火の玉の動きが読めるようになっていた。俺は火の玉を交わすと、ひゅっとベルと間合いを詰めた。
ビュワッ
俺のパンチをベルは間一髪でかわした。
「!!」
ベルの額に汗がにじんでいる。俺はすかさずかくん、と足を曲げ、回し蹴りを決めようとしたが、
「・・・つっ!!」
ベルがとっさに放った炎で俺の蹴りは防がれた。全く、動きはそれほどでもないのにこの魔法がうっとうしい。
しかし、この攻撃で攻撃は完全に俺のペースになった。俺は次々にびゅんびゅんとパンチを繰り出す。
「くっ・・!!」
ベルのほうは俺の攻撃をよけることに精一杯のようだ。それでも、何発かは確実にベルにヒットしている。ダメージは確実に溜まってきているはずだろう。
ふっと、俺はニーツの方を見た。アイツもあのシュワルツェネとかいう魔族と派手に戦っている。二人がぶつかる度、花火のように火花が散った。それにしても、あの魔族はあのニーツとなかなか互角に戦っている。さすが、このベルとかいう魔族が応援を頼むだけはある。
「!!」
突然、俺はニーツの危機に気づいた。ニーツの背後にいつのまにか、炎が迫っている。あの間合いとスピードでは確実に、避けられない。
「ニーツ!!」
俺は無我夢中で足元にあったものを放った。放った瞬間、俺は、それが何であるかを知った。・・・先ほど、ニーツが俺の頭にぶつけた本だ。
俺があっと思う間もなく、本はニーツの代わりにその炎を身に受けた。
その瞬間、
「こりゃああああっ!!!」
本から飛び出たホログラフィに全員の動きが止まった。
「げっ」
そのホログラフィーを見たとたん、ニーツが苦い顔をした。
「・・・クーロン」
PC 八重・ニーツ・(イートン) 場所 ヴェルン湖畔
NPC ベル=リアン シュワルツェネ=リアン クーロン
注)今回は八重の一人称です
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少年魔族ベル=リアンは、無邪気に笑いながら火の玉を俺のほうに向けて続けざまに放ってきた。
「あははっ、まずはそこの無能なニンゲンから死んじゃえ!!」
「無能?」
その言葉に、俺は少し遺憾を感じずにはいられない。すかさずニーツが防御障壁をつくって火の玉を弾いた。
「だって無能じゃん、ニーツがいなきゃ何もできないでしょ?」
たしかに、今の俺はニーツの魔法に助けられてばかりで何も動いてはいない。さぞかし、今の俺はニーツのお荷物だろう。ニーツも二三発火の玉を返すが、俺を防御しているせいでまともにベルへ攻撃ができないようだ。・・・ベルの狙いもそうだろう。俺を攻撃することで、ニーツに攻撃させないようにしているのだ。
冗談じゃない・・・。
俺の胸に静かに炎が燃えた。
あんな魔族のお荷物なんて、絶対に御免だ。
俺がそう思い、ある決意を固めようとしていたそのとき、
湖の水面が揺れたと思うとその波紋のなかから一人の男が現れた。
長い深緑色の髪に、金色の瞳。
そうか、コイツがあの魔族の兄・・・。
「兄ぃ!!」
ベルが嬉しそうに声を上げた。
「兄ぃ!ニーツを倒してよ!コイツ、人間と組んで僕を殺そうとするんだ!」
「・・・解った、ベル」
兄のほうはこの魔族とは違い、割と無口だと、俺は思った。
「・・・俺も、コイツとは一度戦ってみたいと思っていた。その能力を、見てみたいと・・・思っていた」
そう言ってソイツは静かにすっとニーツを見つめる。
「・・・俺はニーツを殺るから、お前はそこの人間を片付けろ」
「わかった!シュワルツェネ兄ぃ!すぐ片付けて僕も加勢するよ!」
シュワルツェネという魔族の言葉に、ベルは目をきらきらさせて答えた。それがますます俺の癇に障る。
「おい、ニーツ」
俺の腹は決まった。先ほどから考えていた決意を口に出す。
「あのベルとかいう魔族、俺に任せてもらおう。俺にかまわずアイツと戦え」
そう言って俺は目線でシュワルツェネとかいうやつを指す。
「おい、お前・・・」
瞳に戸惑いの色を浮かべるニーツに、俺は強く言った。
「心配するな。魔力さえなければアイツなど、・・・五秒だ。魔力の軌道さえ読めれば、問題ない」
ニーツは考え深げに俺を見ていたが、それは一秒だった。
「・・・解った。せいぜい犬死しないように戦いな」
言うと、ニーツはふっとシュワルツェネにむかって駆け出した。シュワルツェネも無言で両手に魔力を溜める。俺がニーツの行動を見ていられたのも数秒だった。ベルが火の玉続けざまに打ってくる。
しかし、はっきり言って俺は、しばらくの戦闘でベルの火の玉の動きが読めるようになっていた。俺は火の玉を交わすと、ひゅっとベルと間合いを詰めた。
ビュワッ
俺のパンチをベルは間一髪でかわした。
「!!」
ベルの額に汗がにじんでいる。俺はすかさずかくん、と足を曲げ、回し蹴りを決めようとしたが、
「・・・つっ!!」
ベルがとっさに放った炎で俺の蹴りは防がれた。全く、動きはそれほどでもないのにこの魔法がうっとうしい。
しかし、この攻撃で攻撃は完全に俺のペースになった。俺は次々にびゅんびゅんとパンチを繰り出す。
「くっ・・!!」
ベルのほうは俺の攻撃をよけることに精一杯のようだ。それでも、何発かは確実にベルにヒットしている。ダメージは確実に溜まってきているはずだろう。
ふっと、俺はニーツの方を見た。アイツもあのシュワルツェネとかいう魔族と派手に戦っている。二人がぶつかる度、花火のように火花が散った。それにしても、あの魔族はあのニーツとなかなか互角に戦っている。さすが、このベルとかいう魔族が応援を頼むだけはある。
「!!」
突然、俺はニーツの危機に気づいた。ニーツの背後にいつのまにか、炎が迫っている。あの間合いとスピードでは確実に、避けられない。
「ニーツ!!」
俺は無我夢中で足元にあったものを放った。放った瞬間、俺は、それが何であるかを知った。・・・先ほど、ニーツが俺の頭にぶつけた本だ。
俺があっと思う間もなく、本はニーツの代わりにその炎を身に受けた。
その瞬間、
「こりゃああああっ!!!」
本から飛び出たホログラフィに全員の動きが止まった。
「げっ」
そのホログラフィーを見たとたん、ニーツが苦い顔をした。
「・・・クーロン」
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