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PC 八重 イートン ニーツ
場所 メイルーン
NPC レオン、リウ、アエル、ユサ、男達
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血まみれで倒れたレオンを、イートンは抱きかかえた。
ざっと見た所、ほとんどが殴られた事での出血だった。数人に私刑にされたような跡がある。
「一体何が…ニーツ君!!」
懇願の表情でにニーツを振り返ると、ニーツはやれやれとため息を付く。
「俺は、君たちの便利屋じゃないんだぞ」
「其処を何とか…!」
頼み込むイートンに、小さく肩をすくめることで答え、ニーツはその手に魔力の光を宿し、呟いた。
「イートン、貸し一つだ」
「うわぁぁぁぁ!!」
露地の奥の方から悲鳴が聞こえて-また静かになった。
「あの奥だ!イートン」
怪我を癒されたがレオンが、三人を先導して走る。
「この奥って…確か…」
記憶を辿るようにイートンが呟いたとき、前方の空間が広がった。狭い路地から、広い場所に出たらしい。
「倉庫…か?」
八重が、その場所を見回して呟いた。彼の言うとおり、その場所は倉庫が立ち並んでいる。
「あ!あそこ!リウが…!」
はっと気付いたように、レオンが倉庫の一つの前に倒れている人影を指差した。そのまま駆け寄る彼に、三人も従う。
近寄ってみると、レオンほどひどい怪我ではなかった。
「リウ…!」
「レオン…それに、イートン…?か?」
「アエルは?どこに居る?」
「中に…」
イートンの問いに、リウは倉庫を指差す。
「中か…!レオン、リウを見てて!!」
「おい!イートン!!」
聞くなり駆け出したイートンを追って、八重も駆け出す。ニーツもやれやれと肩をすくめてから、二人の後を追った。
倉庫の中は、天井の窓から光が入り込んできて、それなりに明るさがあった。色んなものが、雑多に置いてある。
-ドサ-
「うわ!」
小さく悲鳴が聞こえて、イートンたちはそちらへ急いだ。そして…
「アエル!!」
「へえ。お客さんだ」
倉庫の奥の広い空間。倒れている人影の、更に奥の木箱に座っている人影たち。
イートンには、彼らに見覚えがあった。
「ユサ!!」
「へえ。誰かと思ったら、イートンじゃないか?」
タバコを口にくわえた、彼らの中心に居る男がイートンの名を呼ぶ。
昔、少年ギャングのリーダーだった男。イートンやアエル達は、色々とあって彼に反旗を翻したのだが、未だにトップの座に居るようだ。
「よう。久々だな。帰ってたのか。クックック。変わったな。イートン」
「ユサは変わっていないようだね」
「知り合いか?イートン」
「ええ。昔の仲間です」
ふうん、と八重はユサを見る。見るからに、悪そうな男だ。
「イートンは、すっかりお坊ちゃんになっちまったんだな。
……そ~んな可愛い娘まで連れて」
「…可愛い娘?」
笑うユサに、周りの男たちもせせら笑った。
その男たちの視線を、そのままイートンと八重も追う。
「…………ほう」
一同の注目を集めたニーツは、限りなく低い声でそう言った。その声で、イートンと八重は、周りの温度が10度は下がったような錯覚を覚える。
それに気付いていない男たちは、なおも続けた。
「そうだ、イートン。俺たちにその娘、貸してくれないか?せっかくの再会なんだしさ」
「ああ、ユサ、やめてください!」
思わず情けない声を出したイートンの言葉を、ユサ達はニーツの身を守るための懇願だと勘違いし、失笑を浮かべる。
実際は、ユサ達の身を案じた故に出た言葉だったのだが。
「はは。何ビビってるんだよ!イートン!!」
「愚か者どもが…!」
「やややや…やめて下さい!!ニーツ君!!」
呟いて、前に出たニーツを、思わずイートンが後ろから抱きとめる。
「待ってください!一応、僕の知り合いなんですから!!」
「……イートン…」
「はい?」
「放せ!」
イートンの鳩尾に、ニーツの肘鉄が見事に決まる。その衝撃でイートンの腕ははずれ、彼は腹を抱えて蹲った。
「ニー…ツ君…今のは…流石に…」
涙目になりながら訴えるイートンに、気が済んだのか、ニーツは近くの木箱に座って、足と腕を組む。どうやらもう、手出しする気は失せたらしい。だが、
「ククク…尻に敷かれてるのかよ。情けねえな。イートン…」
-ドオン-
からかいの声を上げた男の横の木箱が、バラバラに吹き飛び、男を蒼白にさせた。
「…煩い」
ニーツの呟きに、イートンはこっそりと、ニーツへの禁句リストにユサの言葉を書き加える。
しかし、確かに黙って立っていれば、ニーツは女の子にも見える。イートンたちは、
言葉づかいとかそういうものから無意識に男の子だと判断したのだが。
「それで、一体何でこんなことをしたんだ?」
騒ぎを横目に、すっかり忘れ去られていた、床に倒れていた男、アエルを診ていた八重が、突然立ち上がった。一段落したと思ったのだろう。
「外の二人といい、何故このようなひどいことをした?」
ゆっくりと、諭すように八重が問い掛ける。
「そ…そうだ、ユサ!どうしてアエル達を…!」
「ああ、そいつら?」
唇の端を吊り上げて、ユサがイートンを見つめる。その目には、かなりの威圧感があった。
けれど、イートンは顔色を変えずにその視線を受け止める。
フウっと、ユサは煙草を吸い、吐いた。
「別に。ただ、ちょっとした儲け話があったんで、乗らないかといったら断られたから、身の程を思い知らせてやっただけだよ。イートンも昔よくやっただろう?」
ニヤリと笑って、ユサはイートンに問い掛けた。イートンは、何も答えない。
その代わり、八重が口を開いた。
「儲け話?」
「そう、俺たちのために、ちょーと冒険して貰おうと思ったんだけどな。なんならあんたでも良いぜ?」
「…こいつらに、何をさせようとしていたんだ?」
八重の問いかけに、ユサはクククと笑う。
「なに、簡単なことさ。ある賞金首を俺たちのために狩って来てくれれば良いだけの話」
「賞金首…?」
「そう。賞金は50万マナだ。親切に一割やるって言ってるのに、やってくれないんだから、そいつらが悪いだろう?」
「それで?お前らは何もせずに賞金だけ手に入れようとしていたのか?」
人にやらせて、報酬だけいただく。なんとなく、やり方が汚い。しかも、断れば私刑だ。八重は、こいつらを好きになれそうもなかった。イートンも、眉をしかめている。
「どうだ?イートン。お前が行ってくれないか?俺たちのために」
「…何なんだ?その賞金首は…」
ここでこの男たちを吹き飛ばしても良いが、八重はなんとなく好奇心に負けて問い掛けてみた。ユサが、面白げに目を細めて、八重を見る。
「…この街の更に西にな、最近住み着いてるやつが居るんだよ。そいつだ」
「住み着いているもの?」
此処から更に西だと、丁度ヴェルンのあった辺りになるのではないか?と思いながら、八重が目でその先を促す。
その反応に、ますます面白げに笑って、ユサは言った。
「そう。住み着いているやつ。それは…魔族だよ」
その言葉に、ピクンと、ニーツが片眉を跳ね上げた。
PC 八重 イートン ニーツ
場所 メイルーン
NPC レオン、リウ、アエル、ユサ、男達
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血まみれで倒れたレオンを、イートンは抱きかかえた。
ざっと見た所、ほとんどが殴られた事での出血だった。数人に私刑にされたような跡がある。
「一体何が…ニーツ君!!」
懇願の表情でにニーツを振り返ると、ニーツはやれやれとため息を付く。
「俺は、君たちの便利屋じゃないんだぞ」
「其処を何とか…!」
頼み込むイートンに、小さく肩をすくめることで答え、ニーツはその手に魔力の光を宿し、呟いた。
「イートン、貸し一つだ」
「うわぁぁぁぁ!!」
露地の奥の方から悲鳴が聞こえて-また静かになった。
「あの奥だ!イートン」
怪我を癒されたがレオンが、三人を先導して走る。
「この奥って…確か…」
記憶を辿るようにイートンが呟いたとき、前方の空間が広がった。狭い路地から、広い場所に出たらしい。
「倉庫…か?」
八重が、その場所を見回して呟いた。彼の言うとおり、その場所は倉庫が立ち並んでいる。
「あ!あそこ!リウが…!」
はっと気付いたように、レオンが倉庫の一つの前に倒れている人影を指差した。そのまま駆け寄る彼に、三人も従う。
近寄ってみると、レオンほどひどい怪我ではなかった。
「リウ…!」
「レオン…それに、イートン…?か?」
「アエルは?どこに居る?」
「中に…」
イートンの問いに、リウは倉庫を指差す。
「中か…!レオン、リウを見てて!!」
「おい!イートン!!」
聞くなり駆け出したイートンを追って、八重も駆け出す。ニーツもやれやれと肩をすくめてから、二人の後を追った。
倉庫の中は、天井の窓から光が入り込んできて、それなりに明るさがあった。色んなものが、雑多に置いてある。
-ドサ-
「うわ!」
小さく悲鳴が聞こえて、イートンたちはそちらへ急いだ。そして…
「アエル!!」
「へえ。お客さんだ」
倉庫の奥の広い空間。倒れている人影の、更に奥の木箱に座っている人影たち。
イートンには、彼らに見覚えがあった。
「ユサ!!」
「へえ。誰かと思ったら、イートンじゃないか?」
タバコを口にくわえた、彼らの中心に居る男がイートンの名を呼ぶ。
昔、少年ギャングのリーダーだった男。イートンやアエル達は、色々とあって彼に反旗を翻したのだが、未だにトップの座に居るようだ。
「よう。久々だな。帰ってたのか。クックック。変わったな。イートン」
「ユサは変わっていないようだね」
「知り合いか?イートン」
「ええ。昔の仲間です」
ふうん、と八重はユサを見る。見るからに、悪そうな男だ。
「イートンは、すっかりお坊ちゃんになっちまったんだな。
……そ~んな可愛い娘まで連れて」
「…可愛い娘?」
笑うユサに、周りの男たちもせせら笑った。
その男たちの視線を、そのままイートンと八重も追う。
「…………ほう」
一同の注目を集めたニーツは、限りなく低い声でそう言った。その声で、イートンと八重は、周りの温度が10度は下がったような錯覚を覚える。
それに気付いていない男たちは、なおも続けた。
「そうだ、イートン。俺たちにその娘、貸してくれないか?せっかくの再会なんだしさ」
「ああ、ユサ、やめてください!」
思わず情けない声を出したイートンの言葉を、ユサ達はニーツの身を守るための懇願だと勘違いし、失笑を浮かべる。
実際は、ユサ達の身を案じた故に出た言葉だったのだが。
「はは。何ビビってるんだよ!イートン!!」
「愚か者どもが…!」
「やややや…やめて下さい!!ニーツ君!!」
呟いて、前に出たニーツを、思わずイートンが後ろから抱きとめる。
「待ってください!一応、僕の知り合いなんですから!!」
「……イートン…」
「はい?」
「放せ!」
イートンの鳩尾に、ニーツの肘鉄が見事に決まる。その衝撃でイートンの腕ははずれ、彼は腹を抱えて蹲った。
「ニー…ツ君…今のは…流石に…」
涙目になりながら訴えるイートンに、気が済んだのか、ニーツは近くの木箱に座って、足と腕を組む。どうやらもう、手出しする気は失せたらしい。だが、
「ククク…尻に敷かれてるのかよ。情けねえな。イートン…」
-ドオン-
からかいの声を上げた男の横の木箱が、バラバラに吹き飛び、男を蒼白にさせた。
「…煩い」
ニーツの呟きに、イートンはこっそりと、ニーツへの禁句リストにユサの言葉を書き加える。
しかし、確かに黙って立っていれば、ニーツは女の子にも見える。イートンたちは、
言葉づかいとかそういうものから無意識に男の子だと判断したのだが。
「それで、一体何でこんなことをしたんだ?」
騒ぎを横目に、すっかり忘れ去られていた、床に倒れていた男、アエルを診ていた八重が、突然立ち上がった。一段落したと思ったのだろう。
「外の二人といい、何故このようなひどいことをした?」
ゆっくりと、諭すように八重が問い掛ける。
「そ…そうだ、ユサ!どうしてアエル達を…!」
「ああ、そいつら?」
唇の端を吊り上げて、ユサがイートンを見つめる。その目には、かなりの威圧感があった。
けれど、イートンは顔色を変えずにその視線を受け止める。
フウっと、ユサは煙草を吸い、吐いた。
「別に。ただ、ちょっとした儲け話があったんで、乗らないかといったら断られたから、身の程を思い知らせてやっただけだよ。イートンも昔よくやっただろう?」
ニヤリと笑って、ユサはイートンに問い掛けた。イートンは、何も答えない。
その代わり、八重が口を開いた。
「儲け話?」
「そう、俺たちのために、ちょーと冒険して貰おうと思ったんだけどな。なんならあんたでも良いぜ?」
「…こいつらに、何をさせようとしていたんだ?」
八重の問いかけに、ユサはクククと笑う。
「なに、簡単なことさ。ある賞金首を俺たちのために狩って来てくれれば良いだけの話」
「賞金首…?」
「そう。賞金は50万マナだ。親切に一割やるって言ってるのに、やってくれないんだから、そいつらが悪いだろう?」
「それで?お前らは何もせずに賞金だけ手に入れようとしていたのか?」
人にやらせて、報酬だけいただく。なんとなく、やり方が汚い。しかも、断れば私刑だ。八重は、こいつらを好きになれそうもなかった。イートンも、眉をしかめている。
「どうだ?イートン。お前が行ってくれないか?俺たちのために」
「…何なんだ?その賞金首は…」
ここでこの男たちを吹き飛ばしても良いが、八重はなんとなく好奇心に負けて問い掛けてみた。ユサが、面白げに目を細めて、八重を見る。
「…この街の更に西にな、最近住み着いてるやつが居るんだよ。そいつだ」
「住み着いているもの?」
此処から更に西だと、丁度ヴェルンのあった辺りになるのではないか?と思いながら、八重が目でその先を促す。
その反応に、ますます面白げに笑って、ユサは言った。
「そう。住み着いているやつ。それは…魔族だよ」
その言葉に、ピクンと、ニーツが片眉を跳ね上げた。
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