PC ウピエル
場所 ルート
NPC ガン・バンジャン おぢいさん
___________________________________
草木も眠る丑三つ時、オーディルから街道を北へ独り行く影があった。
闇を払う光ももたず、この暗闇こそが我が居場所といわんばかりに堂々と。
★☆◆◇†☆★◇◆
「や、やっと付いたんだ……!!」
クーロンからちょっと離れた衛星都市…ならぬ衛星村に住む僕には、ある夢があった。
様々な苦労を経て早幾年。
ようやく、僕はこのルートの地を踏むことができたのだ!
……落ち着こう、自分。いくら目的地に付けたからって村の前でガッツポーズはマズい。
アヤシイ人に見られてしまうではないか。まずは深呼吸して落ち着こう。
すーはーすーはー、吸って吐いて吸って吐いて吐いて吐いて……死んでしまうわっ!
とにかく、昔ソフィニアにあると言う地下鉄の話を聞いて以来、僕はいつかソレに乗ってやろうと言う遠大な野望を持っていたのだ。
だけど、ソフィニアは遠い。僕みたいな一般人にはとても目指せる場所じゃない。
そんな時に聞いたのが大陸横断鉄道の噂だった。ソフィニアとクーロンの技術を合わせて現在試運転を重ねているという、幻の鉄道。
なんでも、移動中は異界を通る事で線路を敷かずに、駅だけで移動できる優れものなんだとか。ただ、新しい魔導技術の目白押しなものだからテストにテストを重ねて安全性をチェック、一般にはまだ情報も流していないって聞く。駅もまだ大きな工場に偽装してるくらいなんだって。
そして、一度にソフィニア⇔クーロン間を繋ぐのは危ないかもしれないから、要所要所に駅を置いてじょじょに距離を伸ばしていくのは当然のコト、そしてここがその要所の一つ、農村ルート。通りの向こうに大きな工場も見えるし、間違いない。
さぁ、夢に向かってまずは第一歩をふみだそ―「なぁなぁ、そこなお前さん」―う?
声を掛けてきたのは通りの入り口に机と椅子を置いて座っている人の良さそうなおぢいさんだった。
まるで占い師みたいな格好だけど、水晶球とかそういう小道具はないように見える。一体僕になんの用なんだろう?
「お前さん、名前はなんというのかな?」
目が隠れてしまっててよくみえない、お髭が長いおぢいさんは重ねてそう聞いてきた。
まぁ、隠すホドの名前でもないのでガン・バンジャンですなんて素直に名乗ってみる。
ガーン
まるでそんな効果音が聞こえてきたような錯覚に陥る。おぢいさんは瞼を見開き、口は半開きでカクカク震えている。何か僕の名前に問題でもあったのかな?
あ、何か呟いてる。いーとん、にーつ、やえぢゃないのかみたいな?よくわからないけど探してる人がいるみたい。ふるふると首をふって、今度は瞑想しはじめた。
よく、わからない。僕はもう行ってしまっていいのだろうか?
「喝ァァァァァァァァァァァァッ!!」
…うわ、びっくりした。突然目を見開いて叫ぶのはどうかと思う。
「ふむ。お前さんの夢はこの村で叶う……かもしれないとでたぞぃ」
ぱちくり。まばたきを一つ。
うん、今日もいい天気だなぁ。空は青く雲は白く。鳥はぴーちく囀りまくってるし。
ぱちくりこ、まばたきをもう一つ。そこで、ようやくこのおぢいさんが僕のコトを言ってるんだなってコトに気が付いた。
そこはかとなくいい加減だったけど、それでも希望が高まったことには違いなく。
僕は占い師のおぢいさんに頭をさげて、通りをまっすぐ進んでいった。
★☆◆◇†☆★◇◆
「よう、じいさん。調子はどうだい?」
希望に燃えた若者が立ち去ったその後に、入れ違うように金髪の若者が老人の前に姿を現した。
「ふむ、占い師の真似事もなかなか楽しいぞぃ。癖になりそうぢゃ」
村に入ってくるものは全て見えるようなそんな位置に座する老人は、その実ただの暇人でウピエルが雇ったアルバイターだ。
彼のバイト内容は、イートン、八重、ニーツの三人組を見かけたら強引にでも捕まえて、大陸横断鉄道のチケットを渡すこと。方法は問われていないので、占い師風に適当な値段で売りつけようと老人は画策している。
「まぁ、しっかり頼むゼ。多分夜の闇にまぎれてくるよーな連中じゃねぇと思うしナ」
そう言い残して、ウピエルは自分の宿に引っ込んでいった。一本通りを入ったところにある『眠れぬ森の野獣』亭という質はそこそこ値段は一流な宿は、主に普通の宿には泊まれない様な人達のための宿だが、ウピエルは三人組+一匹と鉢合わせしないようにこっちの宿を利用していた。
「さーて、ネタは仕込んだ。後は待つだけってか」
吸血鬼の呟きは、夜の闇にまぎれていった。
場所 ルート
NPC ガン・バンジャン おぢいさん
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草木も眠る丑三つ時、オーディルから街道を北へ独り行く影があった。
闇を払う光ももたず、この暗闇こそが我が居場所といわんばかりに堂々と。
★☆◆◇†☆★◇◆
「や、やっと付いたんだ……!!」
クーロンからちょっと離れた衛星都市…ならぬ衛星村に住む僕には、ある夢があった。
様々な苦労を経て早幾年。
ようやく、僕はこのルートの地を踏むことができたのだ!
……落ち着こう、自分。いくら目的地に付けたからって村の前でガッツポーズはマズい。
アヤシイ人に見られてしまうではないか。まずは深呼吸して落ち着こう。
すーはーすーはー、吸って吐いて吸って吐いて吐いて吐いて……死んでしまうわっ!
とにかく、昔ソフィニアにあると言う地下鉄の話を聞いて以来、僕はいつかソレに乗ってやろうと言う遠大な野望を持っていたのだ。
だけど、ソフィニアは遠い。僕みたいな一般人にはとても目指せる場所じゃない。
そんな時に聞いたのが大陸横断鉄道の噂だった。ソフィニアとクーロンの技術を合わせて現在試運転を重ねているという、幻の鉄道。
なんでも、移動中は異界を通る事で線路を敷かずに、駅だけで移動できる優れものなんだとか。ただ、新しい魔導技術の目白押しなものだからテストにテストを重ねて安全性をチェック、一般にはまだ情報も流していないって聞く。駅もまだ大きな工場に偽装してるくらいなんだって。
そして、一度にソフィニア⇔クーロン間を繋ぐのは危ないかもしれないから、要所要所に駅を置いてじょじょに距離を伸ばしていくのは当然のコト、そしてここがその要所の一つ、農村ルート。通りの向こうに大きな工場も見えるし、間違いない。
さぁ、夢に向かってまずは第一歩をふみだそ―「なぁなぁ、そこなお前さん」―う?
声を掛けてきたのは通りの入り口に机と椅子を置いて座っている人の良さそうなおぢいさんだった。
まるで占い師みたいな格好だけど、水晶球とかそういう小道具はないように見える。一体僕になんの用なんだろう?
「お前さん、名前はなんというのかな?」
目が隠れてしまっててよくみえない、お髭が長いおぢいさんは重ねてそう聞いてきた。
まぁ、隠すホドの名前でもないのでガン・バンジャンですなんて素直に名乗ってみる。
ガーン
まるでそんな効果音が聞こえてきたような錯覚に陥る。おぢいさんは瞼を見開き、口は半開きでカクカク震えている。何か僕の名前に問題でもあったのかな?
あ、何か呟いてる。いーとん、にーつ、やえぢゃないのかみたいな?よくわからないけど探してる人がいるみたい。ふるふると首をふって、今度は瞑想しはじめた。
よく、わからない。僕はもう行ってしまっていいのだろうか?
「喝ァァァァァァァァァァァァッ!!」
…うわ、びっくりした。突然目を見開いて叫ぶのはどうかと思う。
「ふむ。お前さんの夢はこの村で叶う……かもしれないとでたぞぃ」
ぱちくり。まばたきを一つ。
うん、今日もいい天気だなぁ。空は青く雲は白く。鳥はぴーちく囀りまくってるし。
ぱちくりこ、まばたきをもう一つ。そこで、ようやくこのおぢいさんが僕のコトを言ってるんだなってコトに気が付いた。
そこはかとなくいい加減だったけど、それでも希望が高まったことには違いなく。
僕は占い師のおぢいさんに頭をさげて、通りをまっすぐ進んでいった。
★☆◆◇†☆★◇◆
「よう、じいさん。調子はどうだい?」
希望に燃えた若者が立ち去ったその後に、入れ違うように金髪の若者が老人の前に姿を現した。
「ふむ、占い師の真似事もなかなか楽しいぞぃ。癖になりそうぢゃ」
村に入ってくるものは全て見えるようなそんな位置に座する老人は、その実ただの暇人でウピエルが雇ったアルバイターだ。
彼のバイト内容は、イートン、八重、ニーツの三人組を見かけたら強引にでも捕まえて、大陸横断鉄道のチケットを渡すこと。方法は問われていないので、占い師風に適当な値段で売りつけようと老人は画策している。
「まぁ、しっかり頼むゼ。多分夜の闇にまぎれてくるよーな連中じゃねぇと思うしナ」
そう言い残して、ウピエルは自分の宿に引っ込んでいった。一本通りを入ったところにある『眠れぬ森の野獣』亭という質はそこそこ値段は一流な宿は、主に普通の宿には泊まれない様な人達のための宿だが、ウピエルは三人組+一匹と鉢合わせしないようにこっちの宿を利用していた。
「さーて、ネタは仕込んだ。後は待つだけってか」
吸血鬼の呟きは、夜の闇にまぎれていった。
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