キャスト:アダム・クロエ
NPC:シックザール
場所:ヴィヴィナ渓谷→フィキサ砂漠丘
--------------------------------------------------------
「アダム」
声をかけられて振り返る。そこにはつい先日知り合った竜の少女がいた。
なぜか頬を赤らめて近づいてくる。距離に比例してアダムの心拍数も軒並み急上昇する。目の前で立ち止まると、両手を胸の前で組んだ格好でじっと上目遣いで見つめてくる。こんな顔と仕草で見つめられるのは初めてで、こちらも顔が赤くなるのは止められない。
「お願いがあるんです、聞いて…いただけますか?」
不安そうに俯きながら、ぽつりと呟く。がくがくと首を頷かせるアダム。こんなことを嫌いじゃない女性に言われて断らない男という人種はいない。神に誓ってもいい!
アダムが肯定すると、クロエは寄り添うように抱きついてきた。予想外だけど希望的イメージの一つにアダムが狼狽して、慌てて肩に手を…置こうとしてじっとクロエがこちらを見上げていることにドキリとした。夢か!これは夢だ!と自身に言い聞かせても胸の鼓動は収まらない。正直あれだよね、上目遣いって各国共通の殺し動作ですよね。しかし、クロエはそれだけではなく、いきなりアダムのシャツをめくって肌に手をおく。さすがにアダムもびっくりして離れようとするが、クロエがそれを許さない。
この進捗は正直驚きだがこのまま流れに乗ってしまえ!とにやけた次の瞬間。
「人の体って興味があるんです♪」
なんかクロエさんが嬉々とした笑顔、悪寒すら催すほどにすげぇ笑顔。今までの脳内シュミレートが急遽警報発令、なぜってクロエさんの手に握られてるソレです、そう名前は確か缶切り。ちょっと待って、と口にしたその瞬間。クロエは満面の笑みで缶切りをアダムの胸板に突き刺して、ぐにっと。そのままぐにぐにってえぐるとその向こうには肉片が脂肪が血管が動脈が肋骨が肺が内臓が心臓がーーーーーーーー
そのアダムの内包物の前には、愛らしい血塗れのクロエ、さん、が、げふっ、ごふっっ、て、い…て…
* * * * * * …
「そんなオチあるかぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!」
大絶叫と共に毛布代わりのジャケットをどかせて起き上がる。
『…おはようございます、アダム…ってどうしました?』
夢でも現でもまったく変わらないクロエの優しげな声が朝の谷間で首を傾げていた。てりり、てりり…と猛禽類の鳥の声が高く蒼穹から響いている。川のせせらぎもきらきらと流れる音で自然の豊かさを象徴している。実にいい朝だった。
『寝起きの抜群さから言って、すごいいい夢でも見たんじゃない?』
アダムの隣で転がっていたシックザールがのんきに発言する。基本、無機物のシックザールに睡眠という概念はないらしく、アダムの寝言まで細部に聞き取れていたようだ。
『なんかさっきまでは馬鹿みたいに幸せそうだったのにねー急に青ざめてうなされてたよ』
シックザールがん無視のまま、体を調べる。鎖骨胸板腹肩この間の傷と昨日の傷と四肢に顔、よかった俺は人のしてのパーツが全部揃ってる とちょっぴり涙が零れてくる。
『うわ泣いてるよアダム!どうしたのそんなに感動ものだったの!』
「俺今生きてることに大感動してる…」
『えぇと、アダム平気ですか?痛いところとかありますか?』
アダムの奇行の下で心配そうなクロエの声が加わった。アダムは生返事で「大丈夫、すごく意味のある夢だった」とベッド代わりのクロエへ返しながらも今後彼女に缶切りは絶対持たせないようにしようと心に誓うのであった。
* * * * * *
回復は著しく、ついに正午を過ぎる辺りには谷を登りヴィヴナの森林地帯を抜けることが出来た。緑の丘を越えると、その向こうはすでに地平線まで砂漠が続く景観があった。風紋という砂漠独特の絵画が大地に描かれては消えていく、というのはなんとなく壮大な景色だ。
まだ緑がかろうじてある丘で、アダムが遠くを見据える。
「砂漠越えか、どうするかな」
「アダムがつらいなら、私が飛びましょうか?」
後ろからひょっこりクロエが問いかける。クロエが元の姿になって飛べば確かに徒歩で砂漠横断などよりはよほど早く、安全だろう。しかしアダムは首を横にふった。
「駄目だよ。砂漠じゃクロエさん目立ちすぎる、それじゃ帝國の伏兵に見つかるだろうし、いくらここが大自然地帯だってったって、まだ正統エディウス国内だからクロエさんだって分かる姿はしないほうがいい。ここからは極力、元の姿は抑えたほうがいい」
「そうですか…そうですね、私もフィキサ砂漠は初めてだから迷っちゃうかもしれません。アダム、フィキサ砂漠は初めてですか?」
「いんや、でも二回目」
うーんと困り顔であごに手を当てるアダム。このエディウスに入るきっかけとなった旅団の警護の仕事では水も装備も全部向こうが用意してくれていた。さらに悪いことにアダムには単身砂漠越えなんて冒険経験はない。地図も方位を示す羅針盤すら持ち合わせていない。これでは砂漠の屍となることが素人でも容易に想像付く。
「ヴィヴナ渓谷側からは出られないって言うしなぁ…」
ヴィヴナ渓谷は国境に隣接している。シメオンとの当初の予定ではそこから出ることも不可能ではない、という話もあった。が隣国のパウラ連合との凶悪な関係もあり国境周辺は夜盗盗賊の聖地になりつつあるというとんでもない噂もある。
結局フィキサ砂漠を越えるしかない、しかし情熱的な太陽の光に早くも汗が落ちるのが止まらないアダムであった。
--------------------------------------------------------------------------
アダムの夢見鳥パワーが足りなかったようです。
今回のRendoraはアダムが惨殺死体で発見されそうなところからスタートしました。
これがPCゲームであったらそのままBAD ENDです。よかったねアダム!
Rendora診断(最高五つ★)
恋愛レベルLv-1
ドキドキ度… ★★★★★
ほんわか度…☆☆☆☆★
ヤヴァイ度…★★★★★
胸キュン度…☆☆☆☆★
恋愛レベル下がりました。残念。
NPC:シックザール
場所:ヴィヴィナ渓谷→フィキサ砂漠丘
--------------------------------------------------------
「アダム」
声をかけられて振り返る。そこにはつい先日知り合った竜の少女がいた。
なぜか頬を赤らめて近づいてくる。距離に比例してアダムの心拍数も軒並み急上昇する。目の前で立ち止まると、両手を胸の前で組んだ格好でじっと上目遣いで見つめてくる。こんな顔と仕草で見つめられるのは初めてで、こちらも顔が赤くなるのは止められない。
「お願いがあるんです、聞いて…いただけますか?」
不安そうに俯きながら、ぽつりと呟く。がくがくと首を頷かせるアダム。こんなことを嫌いじゃない女性に言われて断らない男という人種はいない。神に誓ってもいい!
アダムが肯定すると、クロエは寄り添うように抱きついてきた。予想外だけど希望的イメージの一つにアダムが狼狽して、慌てて肩に手を…置こうとしてじっとクロエがこちらを見上げていることにドキリとした。夢か!これは夢だ!と自身に言い聞かせても胸の鼓動は収まらない。正直あれだよね、上目遣いって各国共通の殺し動作ですよね。しかし、クロエはそれだけではなく、いきなりアダムのシャツをめくって肌に手をおく。さすがにアダムもびっくりして離れようとするが、クロエがそれを許さない。
この進捗は正直驚きだがこのまま流れに乗ってしまえ!とにやけた次の瞬間。
「人の体って興味があるんです♪」
なんかクロエさんが嬉々とした笑顔、悪寒すら催すほどにすげぇ笑顔。今までの脳内シュミレートが急遽警報発令、なぜってクロエさんの手に握られてるソレです、そう名前は確か缶切り。ちょっと待って、と口にしたその瞬間。クロエは満面の笑みで缶切りをアダムの胸板に突き刺して、ぐにっと。そのままぐにぐにってえぐるとその向こうには肉片が脂肪が血管が動脈が肋骨が肺が内臓が心臓がーーーーーーーー
そのアダムの内包物の前には、愛らしい血塗れのクロエ、さん、が、げふっ、ごふっっ、て、い…て…
* * * * * * …
「そんなオチあるかぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!」
大絶叫と共に毛布代わりのジャケットをどかせて起き上がる。
『…おはようございます、アダム…ってどうしました?』
夢でも現でもまったく変わらないクロエの優しげな声が朝の谷間で首を傾げていた。てりり、てりり…と猛禽類の鳥の声が高く蒼穹から響いている。川のせせらぎもきらきらと流れる音で自然の豊かさを象徴している。実にいい朝だった。
『寝起きの抜群さから言って、すごいいい夢でも見たんじゃない?』
アダムの隣で転がっていたシックザールがのんきに発言する。基本、無機物のシックザールに睡眠という概念はないらしく、アダムの寝言まで細部に聞き取れていたようだ。
『なんかさっきまでは馬鹿みたいに幸せそうだったのにねー急に青ざめてうなされてたよ』
シックザールがん無視のまま、体を調べる。鎖骨胸板腹肩この間の傷と昨日の傷と四肢に顔、よかった俺は人のしてのパーツが全部揃ってる とちょっぴり涙が零れてくる。
『うわ泣いてるよアダム!どうしたのそんなに感動ものだったの!』
「俺今生きてることに大感動してる…」
『えぇと、アダム平気ですか?痛いところとかありますか?』
アダムの奇行の下で心配そうなクロエの声が加わった。アダムは生返事で「大丈夫、すごく意味のある夢だった」とベッド代わりのクロエへ返しながらも今後彼女に缶切りは絶対持たせないようにしようと心に誓うのであった。
* * * * * *
回復は著しく、ついに正午を過ぎる辺りには谷を登りヴィヴナの森林地帯を抜けることが出来た。緑の丘を越えると、その向こうはすでに地平線まで砂漠が続く景観があった。風紋という砂漠独特の絵画が大地に描かれては消えていく、というのはなんとなく壮大な景色だ。
まだ緑がかろうじてある丘で、アダムが遠くを見据える。
「砂漠越えか、どうするかな」
「アダムがつらいなら、私が飛びましょうか?」
後ろからひょっこりクロエが問いかける。クロエが元の姿になって飛べば確かに徒歩で砂漠横断などよりはよほど早く、安全だろう。しかしアダムは首を横にふった。
「駄目だよ。砂漠じゃクロエさん目立ちすぎる、それじゃ帝國の伏兵に見つかるだろうし、いくらここが大自然地帯だってったって、まだ正統エディウス国内だからクロエさんだって分かる姿はしないほうがいい。ここからは極力、元の姿は抑えたほうがいい」
「そうですか…そうですね、私もフィキサ砂漠は初めてだから迷っちゃうかもしれません。アダム、フィキサ砂漠は初めてですか?」
「いんや、でも二回目」
うーんと困り顔であごに手を当てるアダム。このエディウスに入るきっかけとなった旅団の警護の仕事では水も装備も全部向こうが用意してくれていた。さらに悪いことにアダムには単身砂漠越えなんて冒険経験はない。地図も方位を示す羅針盤すら持ち合わせていない。これでは砂漠の屍となることが素人でも容易に想像付く。
「ヴィヴナ渓谷側からは出られないって言うしなぁ…」
ヴィヴナ渓谷は国境に隣接している。シメオンとの当初の予定ではそこから出ることも不可能ではない、という話もあった。が隣国のパウラ連合との凶悪な関係もあり国境周辺は夜盗盗賊の聖地になりつつあるというとんでもない噂もある。
結局フィキサ砂漠を越えるしかない、しかし情熱的な太陽の光に早くも汗が落ちるのが止まらないアダムであった。
--------------------------------------------------------------------------
アダムの夢見鳥パワーが足りなかったようです。
今回のRendoraはアダムが惨殺死体で発見されそうなところからスタートしました。
これがPCゲームであったらそのままBAD ENDです。よかったねアダム!
Rendora診断(最高五つ★)
恋愛レベルLv-1
ドキドキ度… ★★★★★
ほんわか度…☆☆☆☆★
ヤヴァイ度…★★★★★
胸キュン度…☆☆☆☆★
恋愛レベル下がりました。残念。
PR
トラックバック
トラックバックURL: