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2025/03/10 07:36 |
第十話「空家」 /シオン(ケン)
PC:ヴォルペ シオン オプナ クロース
NPC:フィミル、ブレッザ・プリマヴェリーレ
場所:マキーナ・謎の空家
―――――――――――――――――――――――――――――――――

倒れたまま動かないヴォルペにシオンがそっと手を触れる。もちろん、脈はある。た
だ心拍数が以上にまで高く、呼吸も荒かった。

「大丈夫なの?」

ヴォルペの身体を診ていたシオンに、クロースを連れて歩いてきたオプナが問う。ク
ロースも心配そうな顔で見ている。

「解りません…」

そう言いつつもシオンは何枚かの薬草を取り出すと、すり潰して塗り薬状にしてい
く。

「あんた、医者なの?」

「一応…ですけどね」

オプナの驚いた口調にシオンは意味深げな笑みを作り、ヴォルペの脇腹に薬を塗って
いく。

「あとは、どこか休める場所に運ばないと」

キョロキョロと辺りを見まわしたシオンは近くにあったいかにも空家と言った古めか
しい館を見つけ、ヴォルペを背負うと玄関まで歩いて行った。後にフィミルが続き、
肩をすくめながらもオプナも続き最後にクロースも後を追った。

「ゴメンください、何方かいらっしゃいませんか?」

返事は…ない。扉に手を掛けるとギィィと音を立てて開いた。鍵はかかっていないよ
うだ、隙間から見た内部は酷くあらされており、埃だらけで蜘蛛の巣まであった。衛
生的には悪環境だが、冷たい外気にさらすよりは随分とましだろう。人が住んでいる
気配はないが誰かの私有地と言う事も考えにくい、シオンは一度頭を垂れると内部へ
と入っていった。
シオンは全員が入ったことを確認すると足元に気をつけリビングまで進んで行く。そ
こに少しボロいがやわらかそうなソファーを発見すると、風を生みだし埃を払う。不
思議な事に、払われた埃は部屋に充満することなく風に誘われる様にして割れた窓ガ
ラスから外へ出ていった。シオンはヴォルペをソファーにそっと寝かせる。

「しかし、ボロいわね、いったい誰が住んでいたのかしらね」
「…いえ、過去形にするにはまだ早いかもしれませんよ」
「え、それって、どういう…」

きょとんとして問いかけるオプナに、シオンは笑顔で人差し指を立ててる。

「今、このあたりの空気を検索してみましたが、地下に微かですけど人の気配がしま
した」
「じゃあ、やっぱり人が住んでいるってこと?」
「さあ、でももしそうなら勝手に上がってしまった事をお詫びしないといけません
ね。あと、できれば一晩泊めてもらえないでしょうかね」

そう言って苦笑すると、シオンは地下へと続く階段へ向って歩き出した。

「待って、私も行くわ」

オプナが呼びとめ、シオンの後を追う。シオンは彼女に一度だけ笑みを向けると先に
階段を降りて行った。

「クロースは待ってなさい」

そう言い残すとオプナも後を追って階段に消えていった。

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2007/02/17 00:48 | Comments(0) | TrackBack() | ○造られし者達

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