PC:セラフィナ ザンクード
NPC:蝗衆
場所:カフール国境近辺
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
─「…隠れている事だな、出て来られると足手まといだ」
─それだけ言い残し、補足した風上の方角へ向かう。
木々を駆け抜け両脚だけで大木の駈け上がり、ある程度の高さまで上ると…安定性の
有る太い枝に乗って、ザンクードは意識を感覚神経に収束させる…。
死の淵から生還した彼の体は、一応蟲種としての日常生活に支障は無かった。感覚は
電磁レベルまで達し、人間一人は抱えて走る事も…樹木や壁の上り下りも容易であ
る。
例え擬態能力が使えなくても、この森林という局地において、本能的に身を隠す手段
なら幾らでもあった……─
が…
二丁鎌を握る手には、微弱な麻痺の症状が伝わり…体の動きづらさを感じていた。
感覚神経と意識が回復しているのが幸いであり、回避のみなら可能でだった
が…“先制”だけは絶対的に不可であり…初撃で決定打が撃てない事に少々忌々しか
った。
面倒の対策は腐るほどあるが…
異常事態の連続というものには…ハプニング慣れの無い性分のザンクードにとって全
く苛たたざる終えなかった。
レーダーの如く、補足を開始し………数分経った頃…彼の背後に先制攻撃を仕掛けた
のは向こう側だった。
木にも駈け登らずに自身の凄まじい跳躍力で一斉に襲いかかるソレは三体おり、刀の
形状をした剣で斬りかかり
振り向いたザンクードは二丁鎌で斬撃を受け、
枝が斬り裂かれると火花と共に別の大木へ跳び移って、相手を目測する。
<生きてやがったか刃龍…>
枝の斬り落とされた大木側に居たのは…鋭利な牙を持つ蝗の蟲種が十数体。
首にはスカーフが巻かれ、人間の頭蓋骨に絡みつき食い合う二匹のムカデが描かれ
た…“連中”独自のエンブレムがそこに刻まれていた…
<死に損ないの同族殺しィ!!>
<人間の女とツルみやがって…てめぇは蟲族の“敵”だァアアアアア!!!!>
バネのような両脚で跳び、空中から突撃をしかける蝗の異形。
ザンクードは跳躍し…セラフィナの上空で空中戦を繰り広げた。
刃は火花を散らし数回組み合い、散解して地上へと着地すると、構えるザンクードに
対し、リーダー格以外の連中は色素擬態で姿を消す。
相手が一体だけしかいない事から…相手が擬態能力で隠れ、合図と共に一斉に突撃し
てくる策だと悟り…刃を構えるザンクードは、対峙する相手からは全く視線を逸らさ
ないが…
やはり反射が本調子とは言えない。
速力を計測し、どのタイミングで反応すれば良いかシミュレートして加減をしなけれ
ば、強靭な脚力によって移動能力に長けた相手に追いつかれ、刀剣の一撃を食らって
しまう。
<擬態能力はどうした…刃龍…>
<“必要性”が無い…とでも言っておこうか?>
“…追っ手が小隊クラスという規模からして、元々は俺を纖滅する部隊では無い…”
そう悟り…様子を窺うザンクードは挑発的な言葉を放つが…
<情報ではベニハガ様が殺ったとは聞いた。
お前が会った…神経毒を操る我が同志の幹部だ…。
そこで俺達が思うにお前は何らかの方法で命のみは無事だったが…やはりお前自身の
体にはわずかに、ベニハガ様の神経毒が廻って動きが鈍っているとみた。
違うか?>
既に手の内を読まれ…擬態能力を持つ相手は一人ならまだしも多勢である。音波探知
で視覚してもおまけに強靭な脚力による機動力は向こうが上だ…。
この最悪な状況で…微弱に広がる痺れを知覚しながらも、ザンクード構えたまま一歩
も動けずにいた…。
ところが…
<…まぁ…そう、ピリピリしなくても良い。別に我々はお前が本目標というわけでは
ないからな…。こちらの交渉に応じてくれれば見逃してやる>
相手が持ちかけてきたのは…“不自然”な事に闘争では無かった…。
<交渉?>
<そうだ…我々はただの捕獲部隊で、何もお前を狩る精鋭部隊じゃない。確かにお前
はブラックリストに載ってはいるが、手柄欲しさに同志の命を危険にさらしたくはな
い…>
<…欲するなら、交渉は要らない。“奪え”ば良い話だ…。それがお前らに通じる唯
一“理屈”だった…>
<…待ってくれ。何も条件にお前の身の安全が絡んでるとは言ってないだろう?>
余計にこちら神経を張り詰めらせてくる相手に…
ますます苛立たせる。
<何が欲しい…>
──リーダー格が返答した条件は、ある人物へと矛先を向けた。
<……あの娘をこちらに渡せ。>
<──何故だ…>
<上からの指示でな。確かにお前にあの案内人でルートを聞き出され、我々の妨害を
されては困るというのもあるが…、それとは別の重要性があってね…。アレを渡せば
命は保証しよう。>
無論彼らの軍団にとって…彼女は“物”という価値しか無く、渡せばその臓物と骨は
食用となり、その皮は彼らの“衣”となる事は…ザンクードは明白に悟っていた。
<そう悪い取引じゃない……
お前は生き延び…、俺たちは手柄を得る。
案内人の人間などいくらでも調達出来るだろ…>
と…その時、リーダー格のアキレス腱の腎節を狙い、銀の針が飛んで来た。
リーダー格は高めに跳躍し木へとへばりつくと、向かってきた軌道の先から…一人の
女を確認した。
<奴といた女だ!!拘束しろッ!!!!>
女と聞き、瞬時にザンクードはそこへ視線を振り向くと、案の定そこにセラフィナの
姿が目に映った瞬間彼は走り出した、
「殺す気はありませんが…」
女の相手の時のみ…擬態を解いて飛来する蝗人間共。
セラフィナは投擲の針を宙に蒔いて、大半は空中で腎節部に直撃を受けるが…免れた
者はそれらを外骨格で弾き飛ばし、刀を振り下ろすが…
その直前、彼女が刀を片手の手のひらで受けようとした瞬間、“何かの力”が働き切
っ先が折れ…
慌てた異形は…こんどは押し固められたその手に宿る“何かの力”が腹部の外骨格に
直撃し、吹っ飛び木に叩きつけられる。
<地上での近接戦は避けろッ!!空中戦に持ち込め!!!!>
リーダー格の指示で次々に異形が現れて襲いかかり、セラフィナは針を投げつけ
“力”を収束させて攻撃に対応するが…
溜めの隙を狙われ、
首を掴まれた瞬時に…その身を上空へ持って行かれ…セラフィナが宙に持ち上げられ
た…
────その瞬間
周辺の蝗共に…重低音とともに投擲小鎌が突き刺さり、
墜落する彼らを空中で割って現れたザンクードの姿が彼女の視界に現れ、セラフィナ
を肩に抱えて着地する。
「何しに来た?小娘が…」
セラフィナを下ろして背を向けると、再び相手の連中に眼光を向ける。
「……深手のあなたを…簡単に戦場には出せません。」
セラフィナはそう言った直後に…
ザンクードの背に、無闇に動き切り込んだ挙げ句負った…深い切り傷を見つけ、近づ
こうとしたが…
その時既に、背後から臨戦態勢が解放された蝗共が、擬態能力をで身を隠したまま一
斉に襲いかかる寸前であり───
「余計なお世話だ…」
…その一瞬、ザンクードの二丁鎌のグリップにある引き金が押されると、二丁鎌に繋
がれた鎖が最長の長さまで調節され、───
──「俺の戦場に、“味方”など存在する筈が無い…」
複眼に異様な模様をした偽瞳孔が現れたザンクードは、その鎖を握り一振りする
と……、
───「…もう永遠に…誰一人として」───
襲いくる群の半数が瞬間に斬り刻まれた。
──ザンクードは最長になった鎖を両腕で空中で振り回し、セラフィナの上空を覆う
と警告する。
「だから…一歩として踏み込む事は許さん。」
思わぬ奇襲にたじろぐ蝗共は……二撃目の構えをとり、リーダー格は先程の一撃目で
片腕を失い…焦り狂った。
<お前らの機動力は確かに俺を勝っている…
しかし音波探知なら知覚も出来、第一幾ら計測してみても…この程度なら多少ロスが
あったところで、俺の感覚神経で追えぬ速度では無い。俺の能力と技のメインが擬態
能力と通常範囲での近接戦という判断が…そもそもの間違いだ。>
<何故取引に応じない!!お前は…>
<…無意味だな…。ヘドが出る…>
<……何?>
<欲するなら“奪え”ば良いと言ったはずだ。
さぁ奪いに来い、この外道どもがッ!!>
───<く…ソ…がぁアアアアアッ!!>
リーダー格の合図とともに二撃目に襲いかかる…彼にとって最も“僅かな”軍団…
瞬間に鎖に繋がれて飛び回る二丁鎌は、ザンクードの腕の動きに合わせ…大蛇の頭の
如く動き、木々をすり抜け軍団を一人残らず“喰い千切”る。
─まるでセラフィナの盾になるかのように仁王立ちし、蝗共の血液を全身に浴びたザ
ンクードは何も言わず…鎌と腕に着いた血を振り払い、セラフィナに振り向いた。
すると…彼女が見つけた先程の傷の痛みに今頃気づき…
彼は片膝を着いた。
「ザンクードさん?!」
「叫ぶな…余計に傷に響く。お前が神経質になる程深くは…」
自分が異業の種にも関わらず…駆け寄るセラフィナに………ほんの一瞬…かつての
“師”の顔が浮かび……
ザンクードは不服そうな気分をわざと装った…。
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NPC:蝗衆
場所:カフール国境近辺
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─「…隠れている事だな、出て来られると足手まといだ」
─それだけ言い残し、補足した風上の方角へ向かう。
木々を駆け抜け両脚だけで大木の駈け上がり、ある程度の高さまで上ると…安定性の
有る太い枝に乗って、ザンクードは意識を感覚神経に収束させる…。
死の淵から生還した彼の体は、一応蟲種としての日常生活に支障は無かった。感覚は
電磁レベルまで達し、人間一人は抱えて走る事も…樹木や壁の上り下りも容易であ
る。
例え擬態能力が使えなくても、この森林という局地において、本能的に身を隠す手段
なら幾らでもあった……─
が…
二丁鎌を握る手には、微弱な麻痺の症状が伝わり…体の動きづらさを感じていた。
感覚神経と意識が回復しているのが幸いであり、回避のみなら可能でだった
が…“先制”だけは絶対的に不可であり…初撃で決定打が撃てない事に少々忌々しか
った。
面倒の対策は腐るほどあるが…
異常事態の連続というものには…ハプニング慣れの無い性分のザンクードにとって全
く苛たたざる終えなかった。
レーダーの如く、補足を開始し………数分経った頃…彼の背後に先制攻撃を仕掛けた
のは向こう側だった。
木にも駈け登らずに自身の凄まじい跳躍力で一斉に襲いかかるソレは三体おり、刀の
形状をした剣で斬りかかり
振り向いたザンクードは二丁鎌で斬撃を受け、
枝が斬り裂かれると火花と共に別の大木へ跳び移って、相手を目測する。
<生きてやがったか刃龍…>
枝の斬り落とされた大木側に居たのは…鋭利な牙を持つ蝗の蟲種が十数体。
首にはスカーフが巻かれ、人間の頭蓋骨に絡みつき食い合う二匹のムカデが描かれ
た…“連中”独自のエンブレムがそこに刻まれていた…
<死に損ないの同族殺しィ!!>
<人間の女とツルみやがって…てめぇは蟲族の“敵”だァアアアアア!!!!>
バネのような両脚で跳び、空中から突撃をしかける蝗の異形。
ザンクードは跳躍し…セラフィナの上空で空中戦を繰り広げた。
刃は火花を散らし数回組み合い、散解して地上へと着地すると、構えるザンクードに
対し、リーダー格以外の連中は色素擬態で姿を消す。
相手が一体だけしかいない事から…相手が擬態能力で隠れ、合図と共に一斉に突撃し
てくる策だと悟り…刃を構えるザンクードは、対峙する相手からは全く視線を逸らさ
ないが…
やはり反射が本調子とは言えない。
速力を計測し、どのタイミングで反応すれば良いかシミュレートして加減をしなけれ
ば、強靭な脚力によって移動能力に長けた相手に追いつかれ、刀剣の一撃を食らって
しまう。
<擬態能力はどうした…刃龍…>
<“必要性”が無い…とでも言っておこうか?>
“…追っ手が小隊クラスという規模からして、元々は俺を纖滅する部隊では無い…”
そう悟り…様子を窺うザンクードは挑発的な言葉を放つが…
<情報ではベニハガ様が殺ったとは聞いた。
お前が会った…神経毒を操る我が同志の幹部だ…。
そこで俺達が思うにお前は何らかの方法で命のみは無事だったが…やはりお前自身の
体にはわずかに、ベニハガ様の神経毒が廻って動きが鈍っているとみた。
違うか?>
既に手の内を読まれ…擬態能力を持つ相手は一人ならまだしも多勢である。音波探知
で視覚してもおまけに強靭な脚力による機動力は向こうが上だ…。
この最悪な状況で…微弱に広がる痺れを知覚しながらも、ザンクード構えたまま一歩
も動けずにいた…。
ところが…
<…まぁ…そう、ピリピリしなくても良い。別に我々はお前が本目標というわけでは
ないからな…。こちらの交渉に応じてくれれば見逃してやる>
相手が持ちかけてきたのは…“不自然”な事に闘争では無かった…。
<交渉?>
<そうだ…我々はただの捕獲部隊で、何もお前を狩る精鋭部隊じゃない。確かにお前
はブラックリストに載ってはいるが、手柄欲しさに同志の命を危険にさらしたくはな
い…>
<…欲するなら、交渉は要らない。“奪え”ば良い話だ…。それがお前らに通じる唯
一“理屈”だった…>
<…待ってくれ。何も条件にお前の身の安全が絡んでるとは言ってないだろう?>
余計にこちら神経を張り詰めらせてくる相手に…
ますます苛立たせる。
<何が欲しい…>
──リーダー格が返答した条件は、ある人物へと矛先を向けた。
<……あの娘をこちらに渡せ。>
<──何故だ…>
<上からの指示でな。確かにお前にあの案内人でルートを聞き出され、我々の妨害を
されては困るというのもあるが…、それとは別の重要性があってね…。アレを渡せば
命は保証しよう。>
無論彼らの軍団にとって…彼女は“物”という価値しか無く、渡せばその臓物と骨は
食用となり、その皮は彼らの“衣”となる事は…ザンクードは明白に悟っていた。
<そう悪い取引じゃない……
お前は生き延び…、俺たちは手柄を得る。
案内人の人間などいくらでも調達出来るだろ…>
と…その時、リーダー格のアキレス腱の腎節を狙い、銀の針が飛んで来た。
リーダー格は高めに跳躍し木へとへばりつくと、向かってきた軌道の先から…一人の
女を確認した。
<奴といた女だ!!拘束しろッ!!!!>
女と聞き、瞬時にザンクードはそこへ視線を振り向くと、案の定そこにセラフィナの
姿が目に映った瞬間彼は走り出した、
「殺す気はありませんが…」
女の相手の時のみ…擬態を解いて飛来する蝗人間共。
セラフィナは投擲の針を宙に蒔いて、大半は空中で腎節部に直撃を受けるが…免れた
者はそれらを外骨格で弾き飛ばし、刀を振り下ろすが…
その直前、彼女が刀を片手の手のひらで受けようとした瞬間、“何かの力”が働き切
っ先が折れ…
慌てた異形は…こんどは押し固められたその手に宿る“何かの力”が腹部の外骨格に
直撃し、吹っ飛び木に叩きつけられる。
<地上での近接戦は避けろッ!!空中戦に持ち込め!!!!>
リーダー格の指示で次々に異形が現れて襲いかかり、セラフィナは針を投げつけ
“力”を収束させて攻撃に対応するが…
溜めの隙を狙われ、
首を掴まれた瞬時に…その身を上空へ持って行かれ…セラフィナが宙に持ち上げられ
た…
────その瞬間
周辺の蝗共に…重低音とともに投擲小鎌が突き刺さり、
墜落する彼らを空中で割って現れたザンクードの姿が彼女の視界に現れ、セラフィナ
を肩に抱えて着地する。
「何しに来た?小娘が…」
セラフィナを下ろして背を向けると、再び相手の連中に眼光を向ける。
「……深手のあなたを…簡単に戦場には出せません。」
セラフィナはそう言った直後に…
ザンクードの背に、無闇に動き切り込んだ挙げ句負った…深い切り傷を見つけ、近づ
こうとしたが…
その時既に、背後から臨戦態勢が解放された蝗共が、擬態能力をで身を隠したまま一
斉に襲いかかる寸前であり───
「余計なお世話だ…」
…その一瞬、ザンクードの二丁鎌のグリップにある引き金が押されると、二丁鎌に繋
がれた鎖が最長の長さまで調節され、───
──「俺の戦場に、“味方”など存在する筈が無い…」
複眼に異様な模様をした偽瞳孔が現れたザンクードは、その鎖を握り一振りする
と……、
───「…もう永遠に…誰一人として」───
襲いくる群の半数が瞬間に斬り刻まれた。
──ザンクードは最長になった鎖を両腕で空中で振り回し、セラフィナの上空を覆う
と警告する。
「だから…一歩として踏み込む事は許さん。」
思わぬ奇襲にたじろぐ蝗共は……二撃目の構えをとり、リーダー格は先程の一撃目で
片腕を失い…焦り狂った。
<お前らの機動力は確かに俺を勝っている…
しかし音波探知なら知覚も出来、第一幾ら計測してみても…この程度なら多少ロスが
あったところで、俺の感覚神経で追えぬ速度では無い。俺の能力と技のメインが擬態
能力と通常範囲での近接戦という判断が…そもそもの間違いだ。>
<何故取引に応じない!!お前は…>
<…無意味だな…。ヘドが出る…>
<……何?>
<欲するなら“奪え”ば良いと言ったはずだ。
さぁ奪いに来い、この外道どもがッ!!>
───<く…ソ…がぁアアアアアッ!!>
リーダー格の合図とともに二撃目に襲いかかる…彼にとって最も“僅かな”軍団…
瞬間に鎖に繋がれて飛び回る二丁鎌は、ザンクードの腕の動きに合わせ…大蛇の頭の
如く動き、木々をすり抜け軍団を一人残らず“喰い千切”る。
─まるでセラフィナの盾になるかのように仁王立ちし、蝗共の血液を全身に浴びたザ
ンクードは何も言わず…鎌と腕に着いた血を振り払い、セラフィナに振り向いた。
すると…彼女が見つけた先程の傷の痛みに今頃気づき…
彼は片膝を着いた。
「ザンクードさん?!」
「叫ぶな…余計に傷に響く。お前が神経質になる程深くは…」
自分が異業の種にも関わらず…駆け寄るセラフィナに………ほんの一瞬…かつての
“師”の顔が浮かび……
ザンクードは不服そうな気分をわざと装った…。
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