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2024/05/16 17:49 |
1.フォギーロ-ズ/フレア(熊猫)
キャスト:ディアン・フレア
NPC:箱(謎
場所:街道
―――――――――――――――
-fancy-free-
―――――――――――――――

まだ肺が震えている。

いくら場数を踏んでいるとはいえ、何の心の準備もなしに、
いきなり全速力で走り出す事態に慣れているわけでもない。

「とんだお別れだったな」

眼鏡を親指の腹で押し上げて、
ディアンが何事もなかったかのような声音で言った。
フレアは汗でにじむ額をぬぐうと、息を整えてうめいた。

「ゼクス…」

はっ―。ディアンが微苦笑をもらす。

「あいつも、たまには花束と指輪でも持って来やがれってんだ」
「…?」

意味のわからない事を言うディアンに、フレアは素直に
疑問の目を投げかけた。
それを感じて、彼がにやりと口の端を上げ、

「あいつな、言ったんだよ」

そして珍しく口ごもると、歩き出す。


「お前の事が好きだってよ」


そのセリフを聞いた瞬間、フレアは硬直する自分をはっきりと感じていた。

「え、え?なん――だ、誰が?」

歩みを止めないディアンにわたわたと走り寄って、見上げる。

「だからぁ」

明らかに不機嫌そうに――言ってしまったのを後悔しているようでもあるが―

ディアンは振り返ってきた。

「ゼクスがだよ」
「なんでだ!?」

愕然とするあまり、心からの疑問が声になる。

「なんでってお前…」

彼は呆れを隠す事もせず嘆息してから、こちらの顔を
まじまじと見てくる。

「お前、アレだろ。告られたことないだろ」
「こ、こく…?」

赤面するこちらを無言でにやにやとみやって――
ふと前方に目を向ける。

「でも、」

だが、ディアンはいきなり手で制止してきた。
仕方なく口をつぐむと、自分もディアンの視線を追う。

そこには。

道の真ん中に、分厚い紙でできた箱がひとつ、
夜を背景にぽつねんと佇んでいた。

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2007/02/12 23:00 | Comments(0) | TrackBack() | ○異界巡礼

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