キャスト:ディアン・フレア
NPC:箱(謎
場所:街道
―――――――――――――――
-fancy-free-
―――――――――――――――
まだ肺が震えている。
いくら場数を踏んでいるとはいえ、何の心の準備もなしに、
いきなり全速力で走り出す事態に慣れているわけでもない。
「とんだお別れだったな」
眼鏡を親指の腹で押し上げて、
ディアンが何事もなかったかのような声音で言った。
フレアは汗でにじむ額をぬぐうと、息を整えてうめいた。
「ゼクス…」
はっ―。ディアンが微苦笑をもらす。
「あいつも、たまには花束と指輪でも持って来やがれってんだ」
「…?」
意味のわからない事を言うディアンに、フレアは素直に
疑問の目を投げかけた。
それを感じて、彼がにやりと口の端を上げ、
「あいつな、言ったんだよ」
そして珍しく口ごもると、歩き出す。
「お前の事が好きだってよ」
そのセリフを聞いた瞬間、フレアは硬直する自分をはっきりと感じていた。
「え、え?なん――だ、誰が?」
歩みを止めないディアンにわたわたと走り寄って、見上げる。
「だからぁ」
明らかに不機嫌そうに――言ってしまったのを後悔しているようでもあるが―
―
ディアンは振り返ってきた。
「ゼクスがだよ」
「なんでだ!?」
愕然とするあまり、心からの疑問が声になる。
「なんでってお前…」
彼は呆れを隠す事もせず嘆息してから、こちらの顔を
まじまじと見てくる。
「お前、アレだろ。告られたことないだろ」
「こ、こく…?」
赤面するこちらを無言でにやにやとみやって――
ふと前方に目を向ける。
「でも、」
だが、ディアンはいきなり手で制止してきた。
仕方なく口をつぐむと、自分もディアンの視線を追う。
そこには。
道の真ん中に、分厚い紙でできた箱がひとつ、
夜を背景にぽつねんと佇んでいた。
NPC:箱(謎
場所:街道
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まだ肺が震えている。
いくら場数を踏んでいるとはいえ、何の心の準備もなしに、
いきなり全速力で走り出す事態に慣れているわけでもない。
「とんだお別れだったな」
眼鏡を親指の腹で押し上げて、
ディアンが何事もなかったかのような声音で言った。
フレアは汗でにじむ額をぬぐうと、息を整えてうめいた。
「ゼクス…」
はっ―。ディアンが微苦笑をもらす。
「あいつも、たまには花束と指輪でも持って来やがれってんだ」
「…?」
意味のわからない事を言うディアンに、フレアは素直に
疑問の目を投げかけた。
それを感じて、彼がにやりと口の端を上げ、
「あいつな、言ったんだよ」
そして珍しく口ごもると、歩き出す。
「お前の事が好きだってよ」
そのセリフを聞いた瞬間、フレアは硬直する自分をはっきりと感じていた。
「え、え?なん――だ、誰が?」
歩みを止めないディアンにわたわたと走り寄って、見上げる。
「だからぁ」
明らかに不機嫌そうに――言ってしまったのを後悔しているようでもあるが―
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ディアンは振り返ってきた。
「ゼクスがだよ」
「なんでだ!?」
愕然とするあまり、心からの疑問が声になる。
「なんでってお前…」
彼は呆れを隠す事もせず嘆息してから、こちらの顔を
まじまじと見てくる。
「お前、アレだろ。告られたことないだろ」
「こ、こく…?」
赤面するこちらを無言でにやにやとみやって――
ふと前方に目を向ける。
「でも、」
だが、ディアンはいきなり手で制止してきた。
仕方なく口をつぐむと、自分もディアンの視線を追う。
そこには。
道の真ん中に、分厚い紙でできた箱がひとつ、
夜を背景にぽつねんと佇んでいた。
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